世の中には、株式や不動産以外のさまざまな投資の対象がでてきています。その代表的なものは、仮想通貨です。しかし、コインチェックから日本円にして約580億円という巨額な仮想通貨が流失した事件が起こったのは、2018年1月でした。2019年3月時点で、いまだに犯人は特定できていません。これを契機に、監督官庁である金融庁が、「仮想通貨」から「暗号資産」へ名称変更を行いました。
また、「仮想通貨取引所」といった名称は公的なイメージがありましたが、法定通貨と仮想通貨の交換を業とする「仮想通貨交換業」と名称を変更しています。全盛期は、「億り人」という言葉が流行ったように投機対象として見られていた仮想通貨ですが、今回はその現状と今後の展望について見ていきましょう。
派手なCMを流して、仮想通貨業界をわかしたコインチェックは、現在はマネックスグループのもとでクリプト事業アセットセグメントに吸収され、コンプライアンスが徹底的に見直されています。
ところで、仮想通貨のマーケットは現在、どうなっているのでしょうか。
上のグラフは、仮想通貨の代表ともいえるビットコインの、対ドルにおける長期トレンドチャートです(2013年~2018年2月)。
その後、2018年5月3日に1BTC=9,725USDの最高値を付けてから、2019年3月現在では4,000USD前後で推移しています。最高値は、2017年12月15日の1万9,650USD ですから約5分の1に下がったことになります。このように、ボラティリティ(変動幅)が著しく高いのが、仮想通貨の特徴ですので、頻繁に取引値をチェックできない人は、トレードを控えたほうが良いでしょう。
また、仮想通貨のFX取引(証拠金取引)もあり、レバレッジを最大10倍までかけた取引ができます。しかし、仮想通貨の証拠金取引のボラティリティ(変動率)は外国通貨のそれとくらべて格段に大きくなっています。円・ドルの最大ボラティリティが1.63%、円・トルコリラが7.94%である一方、円・ビットコインのそれは34.34%と円・ドル取引の約21倍となっています(2017年8~11月GMOコインより)
仮想通貨に関する法律が日本で施行されたのは、2017年4月1日のことで、「改正資金決済法」という法律に仮想通貨に関する事項が盛り込まれました。この名が表す通り、仮想通貨は、決済手段として使われるのが前提でした。しかし、先のグラフの通り、この法整備とタイミングを同じくして、ビットコインは異常な高騰をみせました。
これはバブル以外の何物でもなく、まさに投機の対象となったのです。この法律によって仮想通貨および、仮想通貨交換業の定義が示されると共に、仮想通貨交換業者に対する登録制が導入されました。これまで、投資家保護の観点で法律が完全に整備されていませんでした。
登録制によって金融庁の登録を受けていない業者は、仮想通貨の取り扱いができなくなりました。また、投資家にとっては仮想通貨に関わる課税態勢が強化されたことが、大きなインパクトとなりました。本邦では、改正資金決済法施行に伴い、ビットコインの定義が「財産的価値はあるが、法定通貨ではない資産」と明確化されました。
EUは、仮想通貨を「通貨」とみなしていますが、日本では「資産」と定義しています。2017年7月に仮想通貨の売買取引が消費税の非課税対象となり、2017年12月に国税庁が「ビットコインの使用によって生じた利益を所得税の課税対象とみなし、雑所得に分類する」と発表しました。「仮想通貨で得た利益」「仮想通貨で購入した商品」、また「仮想通貨で得た事業所得」はいずれも雑所得の一つとみなされ、そのすべてが課税対象になります。
このように、仮想通貨取引には、従来の外国為替証拠金取引と比べボラティリティの大きさ、税務上の取り扱いも異なりますので、トレードを行う際には、より慎重な考慮が必要です。
【オススメ記事】
・【無料eBook】費用0円ですぐに効果が出る賃貸経営の収入を増やす方法
・純資産10億円を実現した不動産オーナーが語る01-「儲かる大家さん」「損する大家さん」の違い
・地震保険でアパートを建て直せる?どこまで補償を手厚くすればいい?
・所有物件で家賃滞納が発生! そのまま退去されてしまった場合の対策とは?
・オーナーにとっての強い味方!そもそも保証会社とは?