2019.9.19
資産承継への道

土地を生前贈与する方法やメリット・デメリットについて

(画像=beeboys/Shutterstock.com)
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家族や親族へ土地の生前贈与をしよう、あるいは家族や親族から贈与を受けようと思われている方もいるでしょう。希望に沿った贈与を実現できるように、手続きの流れや、生前贈与のメリット・デメリットなどのポイントを整理し、理解しておきましょう。

土地を生前贈与するメリット

土地を親族から受け継ぐには「生前贈与」と「相続」の2つの方法がありますが、生前贈与の最大のメリットは相続税を減額できることです。

相続財産が多くても生前贈与しておけば贈与した分の財産が減るため、相続税の支払いが少なくなります。

贈与税は婚姻期間20年以上の妻への贈与であれば「おしどり贈与」を利用して2,000万円まで非課税になりますし、子への贈与の場合は分割贈与にして毎年110万円の基礎控除を利用すれば非課税にできます。

また、生前贈与だと、贈与する相手を指定できるというのもメリットでしょう。相続の場合は被相続人の死後に相続が発生するため、遺言通りに相続されたかを知ることはできませんが、生前贈与なら契約した時点で贈与が確定しますので、土地を受け渡す側にとっても精神的な安心感があります。

さらに生前贈与した分は遺産分割協議が不要になるため、遺産相続争いを避けることもできるのです。

土地を生前贈与するデメリット

一方、デメリットとしては贈与税を非課税にできたとしても、不動産関連の税金の支払いが発生することです。登記手数料や登録免許税のほか、相続ではかからない不動産取得税も課税されます。

また土地を何年かに分けて分割贈与する場合、途中で贈与者が亡くなった場合に、遺産分割や相続税の計算が面倒になるデメリットもあります。

さらに、分割贈与の場合には毎年同時期に同金額を贈ることで税務署に「連年贈与」とみなされる可能性があります。「連年贈与」とは、例えば毎年110万円ずつ10年間贈与を続けた場合、「最初から1,100万円の贈与をする意図があった」と税務署にみなされる贈与のことです。この場合、贈与初年度に対して1,100万円全額課税されてしまいます。

これを回避するためには、実際は土地全体を贈与するつもりであっても
「毎年同じ時期、同じ金額を贈与しない」
「贈与契約書を贈与の都度、作成する」
「まれに110万円を超える贈与をし、贈与税申告をすることで、連年贈与ではない記録を残す」
これらのような、工夫が必要です。

土地を生前贈与するための手続きの流れ

土地を生前贈与するための手続きの流れは以下のようなステップを踏むのが一般的です。

【ステップ1】誰に贈与するかを決める

最初に決める必要があるのは土地を誰に贈与するかです。贈与相手によって贈与税の税率が異なりますので、慎重に検討しましょう。

【ステップ2】贈与したい相手と事前に合意する

土地の贈与は相手に無断で行うことはできません。法的な手続きが必要なため、贈与する相手が決まっていないと次のステップに進めないからです。贈与する土地を譲り受ける意思があるかどうか、相手と合意するための話し合いをします。

【ステップ3】贈与契約書を作成する

不動産の名義変更をするためには贈与契約書が必要です。相手と合意したら早めに契約書を作成しましょう。

(1)書式
決まった書式はありませんが、必須事項は漏れなく記載する必要があります。不動産贈与契約書の雛形は、現在はwebからも簡単にダウンロードできますが、必須事項が網羅されているかどうかは注意しておきましょう。作成媒体は手書き・パソコン、どちらでも問題ありませんが、氏名の部分は自筆となります。印鑑も印刷ではなく押印します。

(2)記載必須事項8点
①いつ
贈与を行なった日付を記載します。

②誰から、誰に
贈与者と、受贈者を記載します。

③何を
不動産情報を記載します。なお、不動産の場合、記載するのは住所ではなく、登記事項証明書にある所在・地番となります。こちらは必ず確認しましょう。

④どのような条件で、どのような方法で
「登録免許税など、所有権移転登記の手続きに必要な費用の負担者」
「不動産取得税・固定資産税・その他、公租公課の負担者」
以上を明確に記載します。

⑤贈与者と受贈者の住所・氏名・印鑑
氏名は必ず自筆で。印鑑は、贈与者は必ず実印(印鑑登録してあるもの)です。
受贈者の印鑑は認印でもかまいませんが、できれば実印のほうがよいでしょう。

⑥(受贈者が未成年の場合は)親権者名
贈与を受ける者が未成年の場合は、親権者の氏名も併記する必要があります。

⑦収入印紙200円
不動産の譲渡契約書では、取引金額に応じ、収入印紙の額が定められています。不動産の贈与契約書にも必ず収入印紙が必要です。
収入印紙の額は、価額を記載していなければ200円となります。取引された不動産の価額記載は不要なので、一律に「200円」とされている場合が多いです。

⑧確定日付
必須ではありませんが、公証人役場で「確定日付」をもらっておくことで、日付の公式証明となります。(もしも税務署から問い合わせがあった場合は、証明書とできる)

【ステップ4】不動産登記を行う

贈与したら所有権移転登記を行います。これを怠ると贈与された人が自分の権利を証明できなくなります。

(1)    登記場所:法務局
ただし、どの法務局でも良いわけではありません。「贈与される不動産を管轄する法務局」で不動産の名義変更をしましょう。

(2)    法務局への提出:登記申請書と添付書類5点
法務局で登記申請書を作成します。以下の添付書類5点が必要です。
①    登記識別情報(登録済権利書)
②    登記原因証明情報(不動産贈与契約所・上記で作成したもの)
③    代理権限証明情報
④    印鑑証明書(贈与者の印鑑証明・3ヶ月以内のもの)
⑤    住所証明情報(受贈者のもの)

<参考>
法務局「不動産登記の申請書様式について」
「登記申請書雛形(贈与の場合)」

【ステップ5】贈与税を納税する

非課税枠に収まりきらず贈与税を支払う場合は、贈与した翌年の2月1日から3月15日の間に納税します。確定申告の時期とは開始が異なりますので注意してください。

不動産名義変更に必要な書類は?

生前贈与により不動産の名義変更をするためには、以下のような書類を用意する必要があります。

【贈与する人が用意する書類】

・登記識別情報通知……対象不動産の登記済み権利証のことです。
・印鑑証明書……発行3ヵ月以内のものを用意します。

【贈与される人が用意する書類】

・住民票……期限はとくにありません。

【その他】

・固定資産評価証明書……名義変更する年度のもの。
・贈与契約書、贈与証書……贈与されたことを証明する書類。

生前贈与のメリット・デメリットを考える

不動産といっても、先祖代々の土地や投資のつもりで買った土地などいろいろありますが、大事な財産であることに変わりはありません。所有者の希望する形で、家族や親族の間で大事な土地を贈与できるのが、生前贈与なのです。

生前贈与のメリット・デメリットを考慮した上で「生前贈与」と「相続」のどちらを選ぶかを慎重に検討しましょう。


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