2019.9.27
資産承継への道

親から住宅購入資金を非課税で贈与してもらう方法

(画像=Africa Studio/Shutterstock.com)
(画像=Africa Studio/Shutterstock.com)
住宅購入資金を親などから援助してもらうケースは多いでしょう。そこで気になるのが、「贈与税が発生するかどうか」です。結論から言えば、親子間のお金の授受でも贈与税の支払い義務は発生します。ただし、住宅購入資金に限っては、特例を使って非課税にすることが可能です。

【目次】

「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」とは?

たとえ親から子へのお金の受け渡しであっても、その金額や内容によっては贈与税が発生します。ただし、場合によっては贈与税が非課税になることもあります。その手段の一つが、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例(住宅資金贈与特例)」の利用です。

これは2021年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母など)が20歳以上の子・孫へ、マイホームの増改築も含めた住宅購入資金として贈与したお金については、次の非課税限度額までが非課税になる制度です。非課税にできる金額は、新築・購入・増改築の契約をした年によって変わります。具体的には以下のとおりです。

建物の価格に消費税率10%が適用される場合

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

上記以外(中古住宅の個人間売買で建物に消費税がかからない場合)

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~2015年12月31日 1,500万円 1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 800万円 300万円
 
【参考:省エネ住宅とは】
住宅資金等資金贈与が非課税になる「省エネ住宅」とは、室外の温度変化に左右されず、少ない冷暖房エネルギーで室内の温度を一定に保てる家屋をいいます。具体的には「夏に直射日光を遮蔽する」「冬に室内の熱を外に逃さない断熱効果がある」そしてそれらの効果をささえる「機密性の高さをもつ」住宅となります。
この「日射遮蔽」「断熱」「機密性の高さ」が、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)にもとづき、基準として定められています。
また、省エネルギー性能の高い住宅には住宅ローン【フラット35】の優位なプラン(省エネルギー基準等級により金利が一定の期間引き下げられる)を利用できるなどの特典が用意されています(等級により年数と引き下げられる金利は異なります)。

なお、非課税の対象となるのは、一定の要件を満たしている場合になります。具体的には以下のとおりです。(引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)※
 
【参考:受贈者の要件】
次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
  1. (1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
    o    (注) 配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
  2. (2) 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
  3. (3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
  4. (4) 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)。
  5. (5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
  6. (6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
    o    (注) 受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
  7. (7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が一時居住贈与者又は非居住贈与者である場合を除きます。)。
     なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
    o    (注) 「一時居住者」、「一時居住贈与者」及び「非居住贈与者」については、受贈者が外国に居住しているときをご覧ください。
  8. (8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
    o    (注) 贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
※ 災害により住宅用の家屋に被害を受けた場合には、災害を受けたときの贈与税の取扱いをご覧ください。

要件を満たしているかどうか等、念のため事前に国税庁のホームページで確認しましょう。

他の非課税枠と併用できる

なお、上記の非課税枠を使った後に、さらに贈与税の基礎控除(1年間に110万円)を利用することができます。たとえば個人から中古住宅を購入し、2019年12月に契約するケースでは、700万円プラス110万円で、合計810万円の住宅購入資金を非課税でもらえることになります。

また、住宅資金贈与特例は「相続時精算課税制度」とも併用できます。相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した際に選択できる制度で贈与時は2,500万円まで非課税で受け取ることができます。ただし、贈与してもらった親などが亡くなって相続が発生した時には、相続時精算課税制度を利用して受け取った贈与財産と、相続した財産を合わせて再計算して、相続税額を決めることになります。

なお、贈与税の基礎控除と相続時精算課税制度は併用できません。よって住宅資金贈与特例と併用する場合は、贈与税の基礎控除か、相続時精算課税制度のいずれかを選ぶ必要があります。

非課税の場合も申告は必要

住宅資金贈与特例を利用する際に注意すべきことは、非課税の場合でも申告が必要という点です。贈与税申告の期間内、つまり贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、申告書や添付書類を税務署に提出して申告します。期限内に申告しなければ、特例の適用を受けることができません。

相続の可能性があるなら要検討

住宅購入時に住宅資金贈与特例の利用を検討する際に、もう一つ頭に入れておきたいことがあります。それは、贈与を受ける人が将来相続する時に、「小規模宅地等の特例」を受けられなくなる可能性があることです。

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人が所有していた不動産を相続した場合に、一定の要件のもとで相続税評価額が大幅に減額される制度です。たとえば、親が住んでいた自宅を子どもが相続した場合、この特例によって評価額が最大で8割引になります。1億円の不動産を相続しても、評価額が2,000万円になるので、支払う相続税は大きく抑えられます。

ただし、小規模宅地等の特例を受けられる人は、「亡くなった人と同居していた親族」か、「別居していても、過去3年以内にマイホームを所有していない親族」です。つまり、住宅資金贈与特例を使って住宅を購入した人は、この小規模宅地等の特例を受けられないことになります。


したがって、子どもなどへ住宅購入資金を援助する時には(あるいは親から援助をしてもらう時には)、「住宅資金贈与特例」や「相続時精算課税制度」を使うのか、それとも将来「小規模宅地等の特例」を使うのか、トータルで得になる方法を事前によく検討する必要があります。

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