家賃収入を初めて確定申告するときにはいろいろ戸惑うことも多いでしょう。必要な書類は何か?経費計上できる項目とは?確定申告で困らないためにも、あらかじめ大事なポイントをチェックしておきましょう。
家賃収入はどの所得にあたるのか
確定申告にあたってまず確認したいのは、家賃収入がどの所得区分にあたるかです。所得は収入金額から、その収入を得るためにかかった必要経費を引いた後の金額を言います。所得の種類は10種類に区分けされます。例えば、家賃収入は「土地や建物などの不動産の貸付け」にあたるため、不動産所得にあたります。
総収入から必要経費を引いたものが不動産所得の金額で、総収入は賃料のほかに以下のような項目が含まれます。
・名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの
・敷金や保証金などのうち返還を要しないもの
・共益費などの名目で受け取る電気代や水道代、掃除代など
収入として申告するべき項目は、家賃のほかにもいろいろありますので、申告漏れにならないように注意しましょう。
賃貸経営で経費計上できる項目
確定申告の際に、経費計上できる項目がいくつかありますので、理解しておきましょう。一般的には必要経費として計上できるのは以下のような項目です。
各種税金
不動産貸付ですので、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、印紙代などが経費として計上できます。
管理会社への業務委託料
管理会社に業務を委託しているのであれば委託料を経費として計上できます。
司法書士や税理士への報酬
確定申告や不動産の登記を専門家へ依頼した場合の報酬も経費として計上できます。
減価償却費
建物には法律で木造22年、鉄骨造34年、RC造47年と耐用年数が決まっています。建物の購入にかかった費用をこの年数で割った金額が減価償却費で、毎年経費に計上できます。例えば、木造のアパートを2,200万円で新築した場合には、毎年100万円を減価償却費として経費計上することができます。
修繕費
物件の年数が経過するにつれて修繕費もかさんできます。壁紙、給湯器、エアコンなどの交換、室内クリーニングなどにかかった費用は経費として計上できます。ただし、建物の増築や避難階段の取り付けなど、修繕費としての計上が認められず、資本的支出とみなされる場合もあります。
金利
ローンの金利も経費になるので、物件をローンで購入したのであれば、金融機関から送付される返済表の金利分を計上できます。
保険料
火災保険料や地震保険料は経費として計上できます。ただし、5年間の長期契約を結んだ場合など、次年度以降の保険料を一括で支払った際には、全額を一括で経費計上することはできず、その年度分の保険料のみが経費として計上可能です。次年度以降の分の保険料については、12ヶ月分をその都度経費計上するようにしましょう。
仲介手数料
入居者募集、契約更新業務などで不動産管理会社に支払った仲介手数料は経費計上できます。ただし、不動産を購入した際の仲介手数料は、固定資産の購入に関わる経費ですので、取得価格に上乗せして計上することになります。
広告費
入居者募集の際や、空室を埋めるために不動産管理会社等に支払った広告費も、経費として計上できます。
融資手数料
金融機関に支払う融資手数料は経費として計上できます。手数料の種類には、「固定金利手数料」「返済額指定手数料」など、金融機関によっていろいろな種類があります。
家賃収入を確定申告するために必要な書類の種類
確認確定申告書には給与収入と他の収入がある人が提出する「確定申告A」と、個人事業主が提出する「確定申告B」があります。
副業で賃貸経営をしている場合は「確定申告A」、事業として行っている場合は「確定申告B」の申告書を作成します。

確定申告A・確定申告B
個人事業主が家賃収入を白色申告する場合は「確定申告B」と、収支内訳書(国税庁ホームページからダウンロード可)、各種控除を受けるための証明書類が申告に必要な書類です。証明書類には以下の4つがあります。
・医療費控除の明細書
健康保険組合等から送付された医療費通知書をもとに明細を記入し、通知書を添付します。
・生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書
それぞれの加入している保険会社から送付されてきますので、添付します。
・社会保険料控除証明書
国民年金、国民健康保険、国民年金基金、付加年金の中で加入している保険料について、送付されてきた証明書を添付します。
・小規模企業共済等掛金控除証明書
小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合、送付されてきた証明書を添付します。
確定申告は1月1日から12月31日までに得た所得を、原則として翌年の2月16日から3月15日(休日の有無で前後します)に申告します。申告期限ギリギリになると税務署が混雑しますので、書類が用意できたらなるべく早く確定申告を終えるようにしましょう。
個人事業主ならば青色申告も可能
個人事業主ならぜひ利用したいのが「青色申告」です。青色申告は「白色申告」に比べて詳細な簿記を付ける必要があり、煩わしい面もありますが、複式簿記での申告なら65万円の「青色申告控除」が受けられます。
ほかにも純損失を繰り越せるなどのメリットがあり節税に有効です。ただし事業として認められるためには、法令でおおむね独立した部屋10室以上または独立した家屋5棟以上を所有している必要があります。
青色申告の必要書類は、「確定申告B」「青色申告決算書(国税庁ホームページからダウンロード可)」と各種控除を受けるための証明書類です。
正しく確定申告し、節税を
確定申告のポイントをご紹介しましたが、確定申告で大事なのは正確に申告することと、正当な方法で申告することです。家賃は生活のための収入ですので、損しないために事前にしっかりチェックして確定申告しましょう。
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