2019.2.28
資産運用の基礎

表面利回りと実質利回りの違い

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
不動産投資を成功させるためには、事前の入念な準備が欠かせません。
その準備の一つが、利回りをあらかじめ見積もる作業です。

ところが、見積もりが甘い状態で物件を購入してしまい、後から「こんなはずではなかった!」と嘆く大家さんが少なくないのが実態です。
この記事では、不動産投資の基礎知識である表面利回りと実質利回りについて、あらためてご説明しましょう。

実質利回りとは?

不動産投資においては、あらかじめ物件の実質利回りを計算する必要があります。
そのためには、購入時や管理の際に必要な諸経費を知ること、そして、それぞれの金額を見積もることが求められます。
ここでは実質利回りの概要と計算する意義をご説明するとともに、購入および管理にどのような経費を考案すべきかをご紹介していきます。

●実質利回りの定義

実質利回りは「ネット利回り」とも呼ばれ、物件の本当の収益力を測るのに用いられる指標です。
年間キャッシュフロー(手元に残るお金)を可能な限り正確に予測するためにも、実質利回りの計算は重要です。

実質利回りは物件から得られる収益を購入費用(経費)で割って算出します。
表面利回りとは異なり、各種経費を計算式に織り込んでいるのが特徴です。

ここでいう費用とは、管理費や購入時の手数料だけではなく、税金やローンの金利も含む場合が多いです。
これらの費用がどれくらいかかるのかは物件によっても異なりますし、なかなか事前に調べにくいところかもしれません。

たとえば年数の経過した物件では建物の修繕や設備の入れ替えに多くのお金を使うかもしれませんし、新築でも豪雪地帯に建てられていれば除雪の費用を多く見積もる必要があるかもしれません。

「経費率は年間家賃の15%ほど」という説もありますが、経費が年間家賃収入や購入価格に必ずしも比例しているわけではありません。
「経費率15%」を鵜呑みにせず、具体的な目安を事前に不動産会社に確認した方がよいでしょう。
とくに不動産投資の初心者や、物件のあるエリアの土地勘がなく、周辺の特性や生活環境に詳しくない人は、プロに相談してください。

●実質利回りの計算方法と具体例

実質利回りの具体的な計算方法は、以下のとおりです。

(年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

場合によっては、物件価格に購入時の諸経費を加えず計算することもあるかもしれません。
しかし、現実に近い数字を算出してキャッシュフローを見積もるという目的から考えると、やはり購入時の経費も加味してより現実的な数字を出しておいた方がよいでしょう。

仮に年間家賃収入が100万円、年間経費が30万円、物件価格が1,900万円、購入時の諸経費が100万円の物件の場合、以下のような計算になります。

(100万円-30万円)÷(1,900万円+100万円)×100=3.5%

経費を2種類織り込んでいるため、利益は小さめで購入代金は大きめになります。
また年間家賃収入についてもある程度の空室率も計算に入れると、さらに利回りは低めに算出されます。
こうした実質利回りはWebサイトや雑誌などの物件情報には記載されていないことが多いため、なるべく自分で計算して「現実」を理解する必要があるわけです。

●物件の本当の収益力を測るのに有効

その名のとおり、実質利回りは収益物件の実質的な収益力を見極めるのにきわめて重要な指標です。
購入価格の割に年間家賃収入の見込みが高く、一見利回りがよさそうに見える物件であっても、実は空室率が高くなりがちであったり、購入時や物件管理時の諸経費が高かったりと、結果としてそれほどまで利益を得られないケースが少なくありません。

前述のとおり、経費の額は必ずしも家賃収入や物件価格と比例しているわけではありません。
「想定よりも経費がかかるケース」や「空室率が高いケース」となると、利回りを上げるどころか黒字にすらできない危険性もあります。

●実質利回りで考慮すべき諸経費の例

実質利回りの計算で最も重要な点は、諸経費の金額をどれだけ正確に見積もるかです。
購入時と物件管理時に発生する諸経費を、それぞれ見てみましょう。

まず購入時の諸経費は、大まかに「外部へ支払う費用」「税金」「保険料」の3タイプに分けられます。
それぞれのタイプに当てはまる費用項目として、以下が考えられます。

【外部へ支払う費用】
・仲介手数料…不動産の売買を仲介した不動産会社に支払う手数料
・登記手続きの報酬…不動産登記手続きを司法書士などに依頼した時の報酬
・融資事務手数料…金融機関から購入資金の融資を受ける場合に支払う手数料
・ローン保証料…金融機関からの融資に対し、保証会社を利用する場合に支払う費用

【税金】
・印紙税…売買契約書や建築請負契約書に貼る収入印紙の費用
・登録免許税…不動産登記時に必要な税金
・固定資産税および都市計画税…その年の税額を購入日以降の日割り計算で支払う税金
・不動産取得税…土地や建物を取得した時に支払う地方税

【保険料】
・団体信用生命保険料…住宅ローン借り入れの際に必要な保険料(金利に含まれている場合あり)
・火災保険料…住宅ローン借入時に、物件にかける保険料

管理の際にかかる諸経費としては、以下が挙げられます。

【外部へ支払う費用】
・仲介手数料…賃貸借契約の成約時に契約者(賃貸人、賃借人)が不動産会社へ支払う手数料
・広告料…入居者募集を依頼した際に不動産会社へ支払う費用
・管理費ないし管理委託費…設備のメンテナンスや共用部の清掃などにかかる費用
・修繕費(修繕積立金)…大規模な修繕に備えて積み立てるお金
・ローンの金利…融資に対する月々のローンの金利

【税金】
・固定資産税および都市計画税…土地および建物にかかる税金
・所得税および住民税…不動産所得にかかる税金

以上の費用項目が購入時のイニシャルコスト、そして管理時のランニングコストとして発生してきます。
実質利回りの計算の際には、これらを洩れなく見積もることが必要です。

なお、購入時の費用の詳細については、以下の記事もご参照ください。

【いよいよ購入!】その時にかかる実際の費用は?

(写真=PIXTA)
 

●経費の予測が困難なことも

実質利回りの計算には諸経費の正確な見積もりが必要といっても、実際にはそう簡単ではありません。

そもそも経費は毎年変動します。
たとえば管理費や修繕費は、建物の劣化が進むにつれて増えてきます。
家賃収入の増加とともに、所得税や住民税の負担も大きくなります。
実質利回りの計算の際には、無理矢理固定額を仮定するしかありませんから、正確性に欠ける可能性があります。

このように考えると、実質利回りであっても過信は禁物です。
あくまで参考値であることを念頭に、入居率の向上や各種経費の抑制などがどれくらい可能かを考慮する必要があるでしょう。

●必ず実質利回りを計算すること

実質利回りは必ずしも正確ではないと言っても、やはり表面利回りよりは信頼性があります。
文字情報として提示された表面利回りを信用せず、自分で各種経費を見積もって実質利回りを計算することは必要不可欠です。
どんな経費があるのか考えるだけでも、不動産投資のリアルなイメージが浮かんでくるでしょう。

表面利回りとは?

(写真=PIXTA)

次に表面利回りをご紹介します。
表面利回りは、実質利回りから各種経費を取り除いて計算したシンプルな指標です。
その計算方法や使い方を理解しましょう。

●表面利回りの定義

表面利回りは「グロス利回り」とも呼ばれ、年間家賃収入を物件の購入価格で割った値です。一般的に「利回り」と言った場合、この表面利回りを指します。ポイントは経費を織り込んでいないこと、そして満室を想定して年間の家賃収入を計算していることです。

●表面利回りの計算方法と具体例

表面利回りの計算方法は、以下のとおりです。

年間家賃収入(満室想定)÷物件価格×100

実質利回りの説明の際のケースと同じく、年間家賃収入が100万円で物件価格が1,900万円とすると、以下のような計算になります。

100万円÷1,900万円×100≒5.3%

実質利回りは3.5%でしたから、表面利回りが実質利回りより随分と高くなることがよく分かると思います。
これで、記載された表面利回りを鵜呑みにしてはいけない理由はご理解いただけたと思います。

●購入候補を絞り込むのに有効

一方で、表面利回りのメリットは、その計算方法のシンプルさです。
いちいち経費の数字を仮定しなくても計算できるため、購入したい物件を絞り込む際には、手軽な表面利回りが用いられます。
膨大な物件数の中から、すべての候補物件に対して実質利回りを計算して比較するのは大変です。

最初に表面利回りを利用して候補を絞り込み、残った候補数件に対して実質利回りを計算する流れで考えるとよいでしょう。

●表面利回りに踊らされないこと

表面利回りも参考にはなりますが、実際に物件を運営してみると表面利回りと同程度の利回りとなることは考えにくいです。
そもそも満室想定に無理がありますし、経費額の高さに後でショックを受けるかもしれません。

インターネット上のポータルサイトや雑誌記事などには表面利回りしか記載されていないケースが多いので、気になった物件については実質利回りを自分で計算する習慣をつけておきましょう。

まとめ

(写真=PIXTA)

物件の購入と管理にはさまざまな費用がかかりますし、入居者を集めて満室にするのは容易ではありません。

こうした実態を織り込んでいない表面利回りを過信せず、実質利回りを算出することが重要です。
また実際の運用に当たっては、管理会社や施工会社などに相見積もりをとって経費削減を図るなど、地道な努力も必要です。

実質利回りを計算してキャッシュフローの現実を見据え、「賢い大家さん」になりましょう。

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