2019.12.30
未来の賃貸経営

この大規模リフォーム、修繕費と資本的支出、どっちに該当する?

(画像=udra11/Shutterstock.com)
(画像=udra11/Shutterstock.com)
リフォームを行った時にかかった費用を全額「修繕費」に計上できるとは限りません。場合によっては「資本的支出」として処理する必要があります。修繕費と資本的支出の違いはどこにあるのか、会計・税務処理はどのようにするのか、ご存知でしょうか?

目次:

「修繕費」と「資本的支出」どこが違う?

建物や設備が老朽化すると、修繕の必要が出てきます。修繕にかかった費用は、基本的には「修繕費」としてその年の必要経費にしますが、例外もあります。修繕の内容や金額によっては、「資本的支出」として資産に計上しなければならないケースもあるのです。

では、「修繕費」と「資本的支出」、何がどう違うのでしょうか。
修繕費は、修繕のために費やした費用のことを指します。つまり、壊れたり劣化したりしたものを「元に戻す(原状回復する)」ために行われる工事のことです。修繕費に当たるものとしては、次のようなものが挙げられます。

・屋根の雨漏りの修理
・汚れた壁紙やクロスの張り替え
・外壁の塗り替え
・壊れた給湯器の交換
・蛍光灯を蛍光灯型LEDランプへ交換

一方、建物や設備などの固定資産を修理・改良した金額のうち、その固定資産の耐久性を高めたり、価値を高めたりする場合には、修繕費ではなく「資本的支出」としなければなりません。具体的には、次のようなものが挙げられます。

・建物に新たに避難階段を取り付け
・用途変更のための改装
・古いキッチンをシステムキッチンに交換

「資本的支出」に該当した場合は減価償却費で処理

「資本的支出」に該当した場合、かかった金額をその年の必要経費にすることはできません。いったん、固定資産として資産の部に計上して、その後、法定耐用年数に応じて減価償却をすることで費用処理をしていきます。

具体的にどの固定資産になるかというと、たとえばシステムキッチンなら「器具・備品」に該当しそうに思えますが、システムキッチンやユニットバスなどは、建物と一体不可分なものとされるので、「建物」に該当します。たとえば、木造アパートの一室にユニットバスを取り付けた時は、その金額を「建物」として計上し、木造住宅の耐用年数である22年で減価償却を計算します。

原状回復工事であれば「修繕費」でいい

修繕費か資本的支出か、判断が難しい場合もあります。そのような時は、次のポイントで判断します。

・資本的支出であっても、20万円未満なら修繕費
・おおむね3年以内の周期で必要な修理や改良は修繕費
・費用は高額であっても修繕(壊れたところを元に戻す)に該当するなら修繕費
・かかった費用が60万円未満、あるいは前期末における取得価額のおおむね10%以下なら修繕費

国税庁のホームページには、「固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は、修繕費として支出した時に損金算入が認められます。」と記されています。
ご参考:国税庁(修繕費とならないものの判定)

外壁の塗り替えなど100万円以上かかるような工事は、その金額の大きさから「資本的支出」かと思ってしまいますが、それが維持管理や原状回復のための工事ならば、修繕費にしても差し支えないということです。

一方、「修繕費」になりそうな工事であっても、「資本的支出」に該当してしまうものもあります。たとえば、外壁の塗り替えをする際に、新築時に利用したものよりも性能の高い塗料を使った場合には、建物の耐久性が高まると考えられるため、資本的支出に該当する可能性があります。

「修繕費」と「資本的支出」どっちがいい?

修繕工事をした金額を「修繕費」とするのか、あるいは「資本的支出」とするのか、どちらがいいのかは、その時々の状況に寄ります。利益がたくさん出てしまい、翌年の税金が心配ということでしたら、修繕費になるように注意して修繕を行うとよいでしょう。

一方、近い将来、銀行に融資を申し込む予定で、賃貸経営の業績が好調であると見せたい場合には、その逆です。なるべく修繕費ではなく資本的支出を選択して、経費として計上する額を抑えるという考え方もあります。迷った場合は税理士などの専門家に相談のうえ判断してください。

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