2020.2.3
未来の賃貸経営

家賃収入がある人が確定申告する際の注意点|申告漏れに注意しよう

(画像=takasu/Shutterstock.com)
(画像=takasu/Shutterstock.com)
家賃収入を初めて確定申告するときにはいろいろ戸惑うことも多いでしょう。
必要な書類は何か?
経費計上できる項目とは?
本稿では確定申告で困らないために、おさえておくべきポイントをお伝えします。
 

1.家賃収入はどの所得区分にあたるのか

収入金額から、その収入を得るためにかかった必要経費を引いた後の金額を「所得」といいます。所得の種類は10種類に区分けされます。

確定申告をするにあたって最初に確認すべきは、家賃収入がどの所得区分にあたるかです。家賃収入は「土地や建物などの不動産の貸付け」にあたるため、不動産所得にあたります。不動産収入から必要経費を引いたものが不動産所得です。
・不動産収入 – 必要経費 = 不動産所得

不動産収入は、賃料のほかに以下のような項目が含まれます。
・礼金、名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの
・敷金や保証金などのうち返還を要しないもの
・共益費などの名目で受け取る電気代や水道代、掃除代など

収入として申告するべき項目は家賃のほかにもいろいろなものがあります。申告漏れにならないように注意しましょう。

2.確定申告が必要になる場合と不要の場合|「給与所得以外の所得」の合計額

家賃収入があれば必ずしも確定申告が必要なわけではありません。場合によっては確定申告をしなくてもいいケースもあります。これは「給与所得以外の所得」の合計額が年間で20万円を超えているかどうかがポイントとなります。合計額が20万円以下の場合は確定申告をしなくてもいい一方、20万円を超えると必ず確定申告をしなければなりません。

注意したいのが「給与所得以外の所得」には不動産所得のほかに、不動産所得以外の所得(例えば雑所得や事業所得など)も含まれるということです。そのため不動産所得が単独で年間20万円を超えていなくても、例えば雑所得との合計で20万円を超えている場合には、確定申告が必要になります。

下記のAパターンとBパターンの場合は、Aパターンは確定申告をしなければならず、Bパターンは確定申告が不要ととなります。

Aパターン:不動産所得15万円+雑所得10万円=25万円(→確定申告が必要)
Bパターン:不動産所得15万円のみ(→確定申告が不要)

3.賃貸経営で経費計上できる項目・できない項目

確定申告の際に、経費計上できる項目がいくつかありますので、理解しておきましょう。一般的には必要経費として計上できるのは以下のような項目です。

3-1.賃貸経営で経費計上できる10項目

(1)各種税金
不動産貸付で発生する固定資産税、都市計画税、不動産取得税、印紙代などが経費として計上できます。
(2)管理会社への業務委託料(管理費)
管理会社に業務を委託しているのであれば委託料(管理費)を経費として計上できます。
(3)司法書士や税理士への報酬
確定申告や不動産の登記を専門家へ依頼した場合の報酬も経費として計上できます。
(4)減価償却費
建物には法律で木造22年、鉄骨造34年、RC造47年と耐用年数が決まっています。建物の購入にかかった費用をこの年数で割った金額が減価償却費で、毎年経費に計上できます。例えば、木造のアパートを新築し、建物代金が2,200万円だった場合には、毎年100万円を減価償却費として経費計上することができます。
(5)修繕費
物件の年数が経過するにつれて修繕費もかさんできます。壁紙、給湯器、エアコンなどの交換、室内クリーニングなどにかかった費用は経費として計上できます。ただし、建物の増築や避難階段の取り付けなど、グレードを上げるための費用は修繕費としての計上が認められず、資本的支出とみなされる場合もあります。
(6)金利
ローンの金利も経費になるので、物件をローンで購入したのであれば、金融機関から送付される返済表の金利分を計上できます。
(7)保険料
火災保険料や地震保険料は経費として計上できます。ただし、5年間の長期契約を結んだ場合など、次年度以降の保険料を一括で支払った際には、全額を一括で経費計上することはできず、その年度分の保険料のみが経費として計上可能です。次年度以降の分の保険料については、12ヶ月分をその都度経費計上するようにしましょう。
(8)仲介手数料
入居者募集、契約更新業務などで不動産管理会社に支払った仲介手数料は経費計上できます。ただし、不動産を購入した際の仲介手数料は固定資産の購入に関わる経費ですので、取得価格に上乗せして計上することになります(減価償却の対象になります)。
(9)広告費
入居者募集の際や、空室を埋めるために不動産管理会社等に支払った広告費も、経費として計上できます。
(10)融資手数料
金融機関に支払う融資手数料は経費として計上できます。手数料の種類には、「固定金利手数料」「返済額指定手数料」など、金融機関によっていろいろな種類があります。

3-2.賃貸経営で経費計上できない5項目

(1)借入金の元本部分の返済額
ローンの金利は経費になることを説明しましたが、一方で金融機関からの借入金の元本部分の返済額は経費として計上することができません。誤解しやすいので注意しましょう。
(2)交通違反の罰則金など
例えば、所有する不動産物件から自宅へ車で移動中にスピード違反や駐車違反をして罰則金を支払う必要があったとしても、こうした罰則金は経費に含めることができません。
(3)スーツや革靴や自動車
スーツや革靴が必要だとしても原則的に不動産事業と関係がない場合、購入費用を経費に含めることはできません。また不動産事業と関係なく自動車を購入した場合も、その費用は経費に計上できません。
自動車を購入して、不動産事業に使用した分のみ、費用に計上可能です。
(4)知人や家族などとの飲食
不動産運用と関係ない友人との食事や会食に要した費用を経費として計上することはできません。
(5)フィットネスクラブの会費や健康診断の費用
健康維持のためにフィットネスクラブに通ったとしても、その会費などは経費として計上できません。また定期的な健康診断の費用も同様に経費として計上できないことになっています。

4.不動産賃貸業における事業的規模|5棟10室ルール

不動産所得には事業とみなされる規模が定められています。

(1)不動産賃貸業における事業的規模
国税庁は不動産賃貸を「事業」として行っているかについて、その基準を「原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうか」とした上で、下記の3点を挙げています。
①    貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
②    独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
③    駐車場貸付けにおいては50台以上であること。

つまり、一戸建てなどの場合は5棟以上、アパートやマンションなどの場合は10室以上を所有、駐車場なら50台以上を運用している場合、「事業的規模」として取り扱われるということです。

(2)事業的規模であるメリット
事業的規模であることの一番のメリットは青色申告特別控除で65万円を控除可能なことです。複式簿記で記帳を行うことが条件ですが、不動産所得から65万円を差し引いて申告することができます。事業的規模ではない場合は青色申告をしたとしても、控除額は10万円になります。
その他にも配偶者や子供など、家族に対して給与を払い、青色事業者専従者給与として経費計上することもできます。(詳細は次項)

5.青色申告と白色申告の違いとは

確定申告には「青色」と「白色」の2種類あります。不動産所得を確定申告する際、どちらの方が有利なのでしょうか。それぞれの違いとメリット・デメリットについて見ていきます。

5-1.個人事業主ならば青色申告も可能

不動産所得や事業所得がある人は、「青色申告」という制度を利用できます。青色申告は一定水準の記帳をした上で正しい申告を行う場合、所得金額の計算で有利な取り扱いを受けることができるというものです。

5-2.青色申告のメリットとデメリット

(1)    青色申告のメリット
青色申告にはメリットと言える4つの特典があります。「青色申告特別控除」「青色事業専従者給与」「貸倒引当金」「純損失の繰越しと繰戻し」です。
例えば「青色申告特別控除」は所得のうち最高65万円が控除されるというもので、節税効果があります。「純損失の繰越しと繰り戻し」については損失額を3年間にわたって繰り越すことができることから、初期に出した損失をその後の各年分の所得金額から控除していくことができます。

(2)青色申告のデメリット
青色申告を行う上でのデメリットといえるのが白色より手間が増えることです。「複式簿記」で記帳して「貸借対照表」と「損益計算書」も必要となることは大きいでしょう。自ら記帳を行う場合は一定程度の簿記の必要であり、市販のソフトやクラウドサービスを使う場合も最低限の知識は知っておく必要があります。
また記帳や計算に誤りがないかなどの税務署のチェックも厳しくなり、現金主義ではなくしっかりと領収書や請求書などを残していくことも求められます。

<複式簿記とは>
まず、単一簿記とは銀行の預金通帳をイメージして下さい。基本的に収入と支出の記帳を繰り返し、合計すれば、手許の現金がどの程度、増減したかを把握することができます。
一方、複式簿記は「借方」と「貸方」という表記を使い、取引の結果として財政状態がどのように変化したのかを簿記によって表すことが可能です。一つの取引の原因と結果の両面を帳簿に記載します。

5-3.白色申告とは

「青色申告」に対して「白色申告」は、青色申告の申請を行っていない(青色申告をするための「青色申告決算書(国税庁ホームページからダウンロード可)」などを提出していない)人が行う確定申告の方法です。提出必要書類は「収支内訳書」「確定申告書B」となり、青色申告のような複式簿記や貸借対照表、損益計算書の提出は必要ありません。簡易な手順でできるため青色申告より手間はかからず簿記などの専門的な知識も不要ですが、代わりに青色申告で得られる減価償却などの優遇措置、控除額や税務上の優遇は得られません。

青色申告は詳細な簿記を付ける必要があり、煩わしい面もありますが、国が用意している制度を上手に使って節税が可能ですので、ぜひ検討したいところです。

6.家賃収入を確定申告するための必要書類

ここでは家賃収入を確定申告する際の必要書類を見ていきます。

(1)「確定申告書A」または「確定申告書B」
確定申告書には給与収入と他の収入がある人が提出する「確定申告書A」と、個人事業主が提出する「確定申告書B」があります。
副業で賃貸経営をしている場合は「確定申告書A」、事業として行っている場合は「確定申告書B」を作成します。
個人事業主が家賃収入を白色申告する場合は「確定申告書B」と、収支内訳書(国税庁ホームページからダウンロード可)、各種控除を受けるための証明書類が申告に必要な書類です。証明書類には以下の4つがあります。
①医療費控除の明細書
健康保険組合等から送付された医療費通知書をもとに明細を記入し、通知書を添付します。
②生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書
それぞれの加入している保険会社から送付されてきますので、添付します。
③社会保険料控除証明書
国民年金、国民健康保険、国民年金基金、付加年金の中で加入している保険料について、送付されてきた証明書を添付します。
④小規模企業共済等掛金控除証明書
小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合、送付されてきた証明書を添付します。

7.確定申告を忘れてしまったときはどうなる?

もし確定申告を忘れてしまったらどうなるのでしょうか。

国税庁は確定申告を忘れたときについて「自分で気が付いたらできるだけ早く申告するようにしてください」と説明しています。この場合「期限後申告」として扱われ、「法定申告期限から1月以内に自主的に行われている場合」や「期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合」は「無申告加算税」が課されないと説明されています。
無申告加算税が課される場合は、50万円までは15%、50万円以上の部分は20%の割合を乗じて計算した金額が税額となりますが、自主的に期限後申告をした場合は金額が軽減されます。

一方、故意に所得を隠そうとするなどの悪質なケースについては脱税容疑で逮捕まで発展する可能性もあります。いずれにしてもきちんと正しい納付金額を計算し、期限通りに申告することが最良の選択と言えるでしょう。

8.まとめ 

確定申告のポイントをご紹介しました。確定申告で大事なのは正確に申告することと、正当な方法で申告することです。

確定申告は1月1日から12月31日までに得た所得を、原則として翌年の2月16日から3月15日(休日の有無で前後します)に申告します。申告期限ギリギリになると税務署が混雑しますので、書類が用意できたらなるべく早く確定申告を終えるようにしましょう。


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