2021.02.12
賃貸管理

【大家さんは要注意】家賃が100%入るサブリースの落とし穴

家賃が100%入るといったキャッチが目立つサブリースですが、本当に安定した賃貸経営をサポートとする仕組みなのでしょうか?
賃貸住宅を経営する際には入居者の管理が重要なポイントです。中でも、代表的な管理方法としてはサブリース、管理委託、自主管理が上げられるが、それぞれの管理形態の特徴をみながら、それぞれの大家さんにとって有効な管理形態を探ってみましょう。

サブリースとは?


賃貸住宅を経営する上では「空室」ということが大きなリスクの1つといえます。
空室が続けば当然、家賃は入らないので、ローン返済などを考えると賃貸経営自体に大きな影響をもたらします。
そうしたリスクを回避する方法の1つにサブリースという考え方があります。

このサブリースとは、不動産管理会社が大家から借り上げた賃貸物件を第三者に貸すという行為をいいます。
よく混同されるものに、「一括借り上げ」とか「家賃保証」というものがありますが、これらはサブリースとは意味合いが異なるものです。
「一括借り上げ」とは不動産管理会社が大家から賃貸物件を借りる行為を指します。「家賃保証」とは入居者が家賃保証会社に金銭を払って保証人になってもらい、入居者が家賃を滞納した場合にはその保証会社に立て替えてもらうというものです。
したがって、サブリースとは全く異なりますので注意しておきましょう。
中でも、「一括借り上げ」とありますが、これはよくアパート1棟とかマンション1棟の全世帯分をすべて借り上げする意味であり、区分マンション1戸であったとしても一括借り上げといわれます。
よくハウスメーカーなどが「30年一括借り上げ・家賃保証」などとうたい文句を耳にしますが、その言葉の意味合いは理解できるかと思います。

次に、サブリースと一括借り上げ、家賃保証の違いを踏まえて、サブリースのメリットとデメリットをみてみましょう。

サブリースのメリット


大家にとって、サブリースにはいくつかのメリットがあります。
まず、不動産管理会社が一括管理してくれるため、知識がなくとも賃貸物件を建てる、もしくは所有することができ、サラリーマンでも手軽に賃貸経営ができることがメリットといえるでしょう。
次に、入居者に対しての対応はすべて不動産管理会社が行うため、大家は全く対応しなくてもよい点が挙げられます。
例えば、夜中にお湯がでないとか鍵を紛失したとか、入居者の困りごとには対応しなくて済みます。
併せて、家賃保証の契約であれば、家賃滞納があった場合や長期の空室時でも家賃は保証されて毎月大家に支払われます。
また、入居者の退去時の原状回復は不動産管理会社側が責任をもって対処するので、大家はいちいち退去の際に顔を出す必要はありません。
このように、大家にとって面倒なことはすべて不動産管理会社が行い、空室時の家賃まで支払ってくれるという便利なシステムです。
一般的なサブリース契約は家賃保証とセットになっており、通常賃料の80~90%前後を家賃として大家に支払うという流れです。

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サブリースのデメリット

これに対して、サブリースのデメリットとしては、契約中に不動産管理会社が倒産して家賃が支払われなくなったり、契約期間内に家賃を下げられたりするというリスクがあります。
契約の更新時には賃料の見直しが発生するのが一般的ですから、例えば、2年の更新ごとに家賃が下がるということもあり得る話です。
特に、入居率の悪い賃貸物件では賃料の値下げや契約条件の見直しが頻繁に行われます、大家はサブリース契約をする際にはその契約内容をよく精査する必要があります。

サブリース契約のリスク

これまでの内容から、サブリース契約にはリスクはなさそうに見えますが実際にはどうなのでしょうか?
1番のリスクはサブリース契約の不動産管理会社が倒産するケースです。
このリスクは実際に起こりうる話で、昨今の賃貸住宅の供給過剰傾向は不動産管理会社にとっては空室を埋められない場合も想定できます。
そうなると、家賃を下げるなどの策を講じますが、それでも空室が数か月間続けば厳しい経営状態に追い込まれ、最終的には倒産します。
不動産管理会社が倒産すれば、当然、家賃は入らなくなりますし、物件のメンテナンスもおろそかになります。
賃貸物件が今後、過剰傾向になれば、こうしたリスクは大きくなるといえるでしょう。

また、賃貸物件が供給過剰傾向になればなるほど空室のリスクも大きくなるため、最終的には家賃の見直し回数が増加することになります。

例えば、「30年間一括借り上げ、家賃保証」というようなうたい文句でサブリース契約をした大家にとっては、「何度も家賃の見直しがあるとは聞かされていない」ということで「話が違う!」ということを主張します。

しかしながら、このうたい文句には「当初の家賃を30年間保証する」という契約にはなっていません。
そんな契約を不動産管理会社がしてしまうと、不動産管理会社の儲けがなくなってしまうからです。したがって、そんなうまい話はないと理解しておくべきでしょう。

管理委託とは? そのメリット・デメリット


次に、管理委託とはどういった形態なのでしょうか?
管理委託とは、入居者の入退室の手続きや家賃の回収、未払い家賃の督促などの業務を大家が管理会社に委託して行わせるものです。
管理委託会社が宅建業も兼ねて業務をしている場合には、退室があった際には、次の入居者の募集も行います。
この場合、サブリースと大きな違いは、入居者がいない場合には家賃が入らないという点と管理委託の手数料がある点です。
特に、空室率が低いエリアでは、サブリースの必要性がないので管理委託の形態をとる大家が多いとされています。
また、管理委託手数料は家賃の5%前後が一般的ですが、中には10%近く請求する会社もありますので契約前によく条件を確認する必要があります。
さらに、解約の際には違約金や解約通知を6ヵ月前に申し出する必要があるなど、個々の契約内容で足かせが多いものがありますので注意すべきでしょう。

この管理形態のメリットとしては、家賃収入が賃料満額近くを得ることができます。
管理手数料が3%であれば97%の家賃が大家に入るという仕組みです。
また、大家にとって面倒な入居者に対する業務もすべて行ってもらえるというメリットもあります。
逆にデメリットとしては、空室時には家賃が全く入らないという点です。
数か月も空室が続く場合には、賃貸経営自体に大きな影響を及ぼします。

自主管理とは? そのメリット・デメリット

3番目の自主管理とは、文字通り大家自身で管理する形態を指します。
よくありがちなのが、自宅の隣にアパートを所有している大家です。
家賃の回収から退室時のリフォーム、入居者の困りごとなど、すべてを大家自身で受け入れるというものです。
当然、家賃は丸々入ってくるので収入面では1番メリットがありますが、入居者がいない場合にはその期間の家賃は入りません。
例えば、ローン返済金の原資を家賃としている大家にとっては、空室期間中のローン返済金は大家自身の資金で補てんしないといけません。

また、空室になった場合には、できる限り空室の期間を少なくするために、いくつかの宅建業者に入居募集をさせて空室期間のリスク回避をしています。
自主管理をしている大家にとっては、常に入居者の顔が見えるので、ある意味安心な面もあるようですが、管理戸数が多い場合には自主管理は向かない場合があります。
あわせて、入居者の困りごとが多発するとなれば、大家自身が大変な想いをするので管理自体が煩わしいと感じる大家にはデメリットばかりです。

収益を得るためにはどの管理形態が有効なのか?

今まで3つの管理形態をみてきましたが、それぞれのメリット・デメリットを鑑みながら大家自身にあう管理形態はどれにあてはまるか見極める必要があります。
また、物件のエリアやその戸数によっても管理形態の向き不向きがあります。
例えば、20~30戸もある賃貸物件を所有し会社勤めが多忙を極める方の場合には自主管理は向かないですし、サラリーマン大家ならばやはり管理委託かサブリースが向いているということになります。

また、空室率が高いエリアにはサブリースは有効とされます。
今後の人口減少や賃貸物件の供給過多が予測される地域には、サブリース契約は有効な管理形態です。
こうした点を踏まえて、大家自身にとってどの管理形態がいいのか、エリアや所有している戸数、大家自身の性格などを考慮して管理方法を選択すべきでしょう。

まとめ


例えば、サブリースは一般的に空室リスクを抑え、安定して一定金額の賃料を得られることがメリットといわれています。
その代わりに賃料は自主管理よりも割安になり、契約内容にもよりますが、2年ごとの更新で保証賃料が変わることもあります。
また、一般的に20年から30年超の長期間の契約が多く、この場合、契約期間中にサブリース契約を解約すると違約金が発生するケースもある、といったデメリットもあります。
不動産賃貸経営で一番重要なポイントは、税引き後に残った現金をできるだけ手元に残すことにあると言われています。そう考えると、サブリースや管理委託というような管理コストは、できるだけ下げた形の賃貸経営を心がけるべきでしょう。特に、借入金が返済し終わらない前に減価償却費と借入金利息が非常に少なくなると、課税所得が上昇し、支払う税金が毎月の表面キャッシュフロー(家賃-銀行返済金)を上回る事態になりますので注意が必要です。
賃貸経営は20~30年と非常に長い期間で収入を得ることが多いですが、これからは少子超高齢化社会へ突入しますので、借り手が圧倒的に少ない時代になります。
本当にキャッシュフローが黒字でいるのか、いつ、どんなケースで悪化するのか予め把握しておくことを強くお勧めします。

執筆者
寺岡 孝 テラオカ タカシ
( 東京都 / 住宅&保険・住宅ローン コンサルタント    )
アネシスプランニング株式会社 代表取締役

1960年東京都生まれ。大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。

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