2020.9.25
賃貸経営

「その賃料は適正か?」AIが分析する無料の賃貸経営分析ツ-ルは、賃貸オーナーの悩みを解決できる?

(写真=VideoFlow/stock.adobe.com)
(写真=VideoFlow/stock.adobe.com)
「賃料設定はむずかしい」と感じている家主さんも多いのではないでしょうか。賃料設定が高すぎると空室リスクが高まってしまい、逆に賃料設定が低すぎると利益を逃してしまいます。この悩ましい賃料を無料で分析できるAIツールが、この8月にローンチされました。さらに、このAIツールはリノベーション後のキャッシュフロー分析もできる機能も備えています。リアルな賃貸経営で、どこまで使えるのか実際に利用してみました。

 

1億もの物件データから、標準的な賃料がわかる無料の分析ツール「AI SCOPE」

今回、利用する賃貸経営分析ツールの名は「AI SCOPE(エーアイ・スコープ)」です。不動産物件情報のビッグデータをもとに、AIがリアルタイムで不動産物件の分析をしてくれます。

▽AI SCOPEのトップ画面

使い方は簡単で、名前とメールアドレスだけで会員登録でき、さらに物件の基本情報(所在地、建物構造、延床面積、築年数、購入価格など)をスマホやパソコンから登録するだけで、AIによる市場分析が可能になります。

たとえば、登録物件がJR渋谷駅から徒歩10分の9階建てマンション(延床面積30平方メートル)と入力すると、その周辺の入居者の傾向を一覧表示してくれます。具体的には、エリア内の居住者数、平均年齢、未婚率、単身比率などです。

この情報だけだと「へー、このエリアにはこんな傾向があるのか」くらいで終わってしまいそうですが、AI SCOPEでは「渋谷駅平均」と「東京23区平均」のように、対象エリア(区など)と広域エリア(東京23区など)のデータを見比べることができます(下記の画像参照)。

▽AI SCOPEの所有物件所在地のエリア概要表示画面

これにより、対象エリアの傾向が浮き彫りになります。渋谷駅周辺だと、エリア内の単身比率が東京23区平均よりも15%以上も高く、単身用物件が有利なことがひと目でわかります。

現状の賃料が「割安」なのか、「割高」なのかがわかる賃料分析機能

賃貸オーナーがもっとも気になりそうな賃料分析の機能も、かなり参考になります。「賃料」「賃料単価」「専有面積」などの分布図によって、対象物件の賃料が割高なのか、割安なのかが判断できます。たとえば今回のデモで登録されている物件では賃料が割安で、さらに高い設定が狙えそうです。
過去に不動産会社の担当者の感覚のみで賃料の値下げを勧められて
▽AI SCOPEの賃料分析画面

ただ現時点のAI SCOPEは、首都圏や主要都市は十分なデータベースがあるものの、地方の小都市などになるとデータが不足しているエリアもあるようです。まずは、関東、関西の主要各県と、各県庁所在地を中心に対応しているといってよいでしょう。今後は地方の中小都市への対応も期待したいところです。

投資シミュレーション機能:出口戦略を含めた収支計画が立てられる

AI SCOPEには市場分析機能に加えて、投資シミュレーション機能もあるとのことで、こちらもやってみました。まずは、下記画像のように物件概要と投資条件を設定すると……

▽AI SCOPEの投資物件の入力画面

設定期間のトータル賃料損益と売却損益が表示されます(下記の画像参照)。これにより、最終的にどのくらい儲かるのか(逆に、損をするのか)がしっかり把握できます。これなら出口戦略も含めた収支計画が立てやすくなります。

▽AI SCOPEの投資物件分析画面

投資シミュレーション機能ではこのほかに「賃料損益推移」「売却損益推移」「安全性分析」「キャッシュフロー表」などの情報も得られます。とくに詳細データが得られる「キャッシュフロー表」は1年ごとの税引き後キャッシュフローまで把握できます。

▽AI SCOPEのキャッシュフロー表

リノベーション後の賃料アップとキャッシュフローの推移がわかる

この投資シミュレーション機能で筆者が一番気に入ったのは「リノベーションプラン」の機能です。リノベーション後にどのくらい賃料(キャッシュフロー)が変わるかを確認できます。賃貸経営では長期空室が発生したときに不動産会社から「リノベをすると、空室も埋まりやすいですし、賃料アップできますよ」といったアドバイスをされて実行することが多いと思います。

そして、リノベーションのよくある失敗パターンは、追加投資したものの、経営シミュレーションをほとんどしなかったために、なかなかリターンを回収できないというものです。正直にいうと、筆者もそんな大雑把な家主のひとりです。数年前に築古物件にかなりの追加投資をして空室を埋めたものの、この判断が正しかったのかは未だわからないという状況です。

AI SCOPEのリノベーションでのシミュレーションを使うと、投資した金額に対して「どのくらい賃料アップが見込めて、キャッシュフローが改善されるのか」が視覚的にわかります(下図参照)。これにより、リノベーションをして賃料を上げるのが得策なのか、そもそもリノベーションをしないほうが正解なのかが判断しやすくなります。

▽AI SCOPEの賃料損益推移画面

本気で賃貸経営を考える家主にぴったり。賃貸オーナーならAI SCOPEはぜひ試してみたい

AI SCOPEをテストした感想を一言でまとめると「家主が欲しいと思う情報を得られる賃貸経営分析ツールである」ということです。これはAI SCOPEの開発に複数の家主さんが関わっている影響もあるでしょう。

個人的なリクエストとしては、もっとスマートフォンでも使いやすいツールになるとよいと感じます。ネット証券のトレーティングツールのように、パソコン版とスマホ版があるのが理想です。

いずれにしても、家賃設定は賃貸経営の生命線なので、こういったツールが登場したのは大歓迎です。多くの家主さんに使っていただき、その要望が開発元のCasaに寄せられることで、さらにブラッシュアップされていくことを願っています。

*****AI SCOPEを試してみる******
URL:https://ai-scope.jp/
 

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