2021.02.12
トラブル対応

家賃滞納対策|3つの事例と対処法、おすすめのリスク軽減策

入居者からの賃料は賃貸経営にかかるコストへ充てるため、どのオーナーにとっても家賃滞納の対策をすることは重要であるといえます。そこで、入居者による家賃滞納に対してどのような対策を取るべきか、家賃滞納を防ぐための対策はあるのか解説していきます。入居者の家賃滞納に悩んでいる・家賃滞納への対策を知りたいオーナーはぜひご覧ください。

【著者】水沢 ひろみ

 

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オーナーにとっての「家賃滞納」とは?

家賃滞納とは、家賃の支払い日になっても入居者から家賃の支払いが行われないことです。単なる振込忘れのようにうっかり支払いを忘れただけといったケースもあれば、経済的に支払いが難しいケースや、故意に支払いを拒否しているケースもあります。

入金忘れのケース

単なる家賃の振込忘れによる家賃滞納の場合、催促して支払ってくれるのであれば問題ないかのように感じます。しかし、中にはオーナーの対応よっては期日に支払わなくても大丈夫だと判断し、支払いが遅れるのが常態化してしまう入居者もいます。決められた期日に入金が確保されないとオーナーのキャッシュフローは悪化するリスクがありますし、催促する回数が多くなってくるとオーナーにとって心理的にも時間的にも負担になりかねません。

経済的に支払いが難しいケース

失業や病気などで家賃滞納をしていて今後支払っていくことが難しい場合、賃貸借契約の解除を含めて対応を考えなければならないケースや、中には話し合いがこじれて入居者へ明け渡しの訴訟を起こすケースに発展することもあります。こうなってくると、退去となってから次の入居者が家賃を支払うようになるまで何カ月もかかることになり、オーナーにとっては大きな経済的損失と心理的負担になる可能性があります。

故意に支払いを拒否するケース

中には故意に家賃滞納を引き起こしていることがあり、居住環境に問題が発生していて入居者が故意に支払いを拒絶しているなどのケースが該当します。こういう場合、オーナーは問題解決に動かなくてはならず、入居者の言い分に合理性があると判断できるならば誠実な対応が必要となります。しかし、支払い拒否に合理性がなく入居者との意思の疎通が難しいと判断できるならば、契約の解除を視野に入れていく必要があるでしょう。

滞納分の家賃を催促する方法

原因はどうであれ、実際に家賃の滞納が生じた場合は、滞納分の家賃を催促する方法として以下の流れが考えられます。

1. 家賃支払い日を過ぎて1週間程度が経過してもまだ入金されていない場合
→口頭による連絡、もしくは書面での連絡を行います。

2. 2回目の書面を送っても家賃の滞納が解消されない場合
→内容証明郵便で「契約解除の予告通知書」(催告書)送付します。

3. 内容証明郵便による催告を行っても滞納が解消されない場合
→保証人への連絡を試みます。

4. 催告書の送付、保証人への連絡を経ても滞納が解消されない場合
→法的な措置(明け渡し訴訟、強制執行)をとることになります。

◆家賃滞納から立ち退きまでの流れについての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
【督促状文例あり】家賃滞納への対処法を4段階別に解説

入居者が行方不明の場合の対処法

仮に入居者が行方不明となっていて上記の対処が取れない場合、どうしたら良いのでしょうか?

ステップ1:連帯保証人などへ連絡

連帯保証人や緊急連絡先、入居者の勤務先など、心当たりのあるところへ連絡を試みましょう。オーナーは行方不明だと思っているものの、実は気づいていない間に入居者が家へこっそりと戻っている場合も考えられますので、電気メーターが動いていないか、郵便ポストが空になっていないかなど、注意して確認することも必要です。

ステップ2:契約解除の意思表示

入居者が行方不明だと、内容証明郵便で契約解除の意思を伝えることができません。この場合、訴状には「訴状の送達をもって賃貸借契約を解除する」という記載をし、裁判所に対して公示送達の申し立てをすることになります。

公示送達とは、裁判所の掲示場などに法定の期間、書類を公示することで、意思表示が行われたことと同一の効果を本人へ与えることです。

ステップ3:残存物の処分

入居者が行方不明の場合であっても、明け渡し訴訟を提起し、強制執行の判決が出て一定期間経過すれば、残存物の処分は可能になります。

強制執行の判決前に勝手に残存物を処分することは「自力救済」といって法律で禁止されています。部屋に勝手に立ち入ることも不法侵入だと思われる可能性があるため注意が必要です。

ステップ4:家賃の回収

家賃の請求権には時効があります。家賃の滞納があることに気が付いているのに何も対応せず、時効期間である5年を過ぎると、家賃の支払い義務が消滅してしまい滞納した家賃の請求ができなくなってしまいます。そのため、入居者が行方不明だからといって家賃の滞納を放置しておくことは避けるべきといえ、できるだけ早めに必要な措置を講じることが求められます。

入居者から家賃が払えないと言われたら?

入居後の生活の変化によって経済状況が悪化し、その結果として入居者から「家賃が払えない」「家賃を減額してほしい」と相談されることがあります。このようなときにオーナーはどのような対応を取るべきでしょうか?状況別にお伝えします。

一時的な収入減と判断できるなら「合意書を交わす」

家賃の滞納が一時的な収入減の影響によるものであり、一定期間後には支払いが可能と判断できる場合には、家賃の支払いの一時猶予や減額も選択肢のひとつです。

ただし、その場合には入居者との間で合意した内容が後であいまいにならないために、また、法的手段が必要になったときの証拠能力保持のために、以下の内容を記載した合意書を交わすことが有効です。

  • 家賃の支払い予定日付
  • 猶予する家賃の額
  • 支払い条件(回数、金額、支払い方法など)
  • 合意書の作成日付
  • オーナーと入居者の合意を示すサイン
  • 長期間にわたり支払いが困難なら「住居確保給付金の提案」

    大規模感染症の影響による収入減で長期間にわたって家賃の支払いが困難な人へ向けて、2020年4月に「住居確保給付金」が拡充されました。住居確保給付金はもともと離職者や廃業後2年以内の人を対象にしていましたが、離職・廃業と同程度まで収入が減少した人も対象とされるようになりました。一時的な収入減に留まらず、長期間支払いが困難とみられるケースでは、この住居確保給付金を案内する方法もあります。

    ただし、住居確保給付金には資産要件があり、一定金額以上の預貯金があると支援を受けられません。また、申請日以降の家賃に対して適用されるので、過去の滞納分には対応できません。申込や相談は最寄りの自立相談支援機関でできます。詳細は厚生労働省のページ(住居確保給付金)をご覧ください。

    緊急性があるなら「緊急小口融資・総合支援資金の提案」

    入居者から事情を聴きとった結果、入居者の困窮状態に緊急性があり見過ごせないと判断される場合には、緊急小口融資・総合支援資金の提案が必要になることもあります。

    緊急小口融資とは、大規模感染症の影響による収入減で一時的に生活に困窮している人へ向けた緊急の貸付制度です。また、総合支援資金とは、大規模感染症の影響で日常生活が困難になっている世帯へ向けて、生活再建に必要な資金を貸し付ける制度です。

    これらは貸付制度なので返済は必要となりますが、無利子・無担保・保証人なしで融資が受けられます。いずれも申込は市町村の社会福祉協議会でできます。こちらの貸付制度については厚生労働省のページ(新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し生活に困窮する方へ)をご覧ください。

    それでも解決しない時は契約の解除を視野に

    新たに入居者を探すことを考えれば、現在の入居者の問題が解決し、継続して家賃が支払える状況になることが望ましいといえます。しかし、上記の対応を取っても解決しない時は「滞納分の家賃を催促する方法」の章で紹介した4段階の流れに沿って契約の解除を検討する必要があるでしょう。

    家賃滞納を未然に防ぐための3つのポイント

    安定して家賃の支払いを受けることは、オーナーが賃貸経営を行う上で非常に重要なことです。家賃滞納が起こるとオーナーはケースに応じた対応が必要になりますが、時間的にも心理的にも大きな負担となりかねません。そこで、ここでは家賃滞納を未然に防ぐための3つのポイントをお伝えします。

    保証会社による家賃債務保証を利用する

    家賃滞納への対策として、保証会社による家賃債務保証を利用すること、つまり家賃保証会社と契約する方法が挙げられます。

    家賃保証会社とは、入居者による家賃の滞納が生じたときに、入居者に代わって家賃を立て替えてくれるサービスを提供している会社です。保証会社によって利用料にはばらつきがあるものの、基本的には入居者が入居時に家賃の半額~1カ月分、契約更新時に1万円程度を負担することで家賃滞納の際の保証を受けられます。

    基本的な家賃滞納の保証以外に含まれているサービス内容は保証会社によってさまざまですが、法律的な解決が必要になった場合に訴訟にかかる手続き費用まで保証するところもあります。こういったサービス内容の充実した保証会社を利用することは、家賃滞納への備えとして有効だと考えられます。

    入居者に必ず連帯保証人をつける

    家賃滞納に対する対策として、入居者に連帯保証人をつけるという方法はこれまで一般的に行われてきており、ある程度有効だと考えられます。

    ただし、家賃滞納対策として連帯保証人をつけるデメリットは、連帯保証人自身の信用力によって効果が左右されてしまうこと。つまり連帯保証人に資力がなければ家賃の支払いを受けることができません。

    また、2020年に改正された民法により、連帯保証の際には「極度額」という限度を設けることが必要となりました。この極度額を設定していない連帯保証契約は無効となりますので、家賃滞納の期間が長期化した場合、連帯保証だけでは十分な補償が受けられない可能性が生じています。

    日頃からコミュニケーションをとる

    入居者の家賃滞納や急な退去などといったリスクを避けるためには、日頃から入居者とコミュニケーションを取っておくことも抑止力につながります。そうすることで入居者の生活の変化に事前に気が付くことができ、場合によっては自治体の窓口や社会福祉協議会などに相談するよう助言してあげることもできるでしょう。もちろん、入居者が困窮せずに生活を維持できることは、安定した家賃の確保という大きなメリットにもつながります。

    家賃保証サービス「家主ダイレクト」とは

    家賃滞納への対策をいくつか紹介してきましたが、滞納のリスクに対して高い効果を発揮するのは家賃保証会社を利用することです。サービス内容は保証会社によって異なるため、本記事では株式会社Casaが提供する「家主ダイレクト」を例に紹介していきます。

    家主ダイレクトは、入居者の家賃が前月末にオーナーの口座へ入金されるしくみをとっています。その後で入居者の口座から一斉に引き落としするため、仮に家賃の引き落としができなければ家主ダイレクトから入居者へ連絡をし、オーナー側から滞納家賃の請求をする必要はありません。

    オーナーに代わって家主ダイレクトが入金のチェックをしてくれることから、長期の不払いを放置するようなリスクは起こりません。万が一、入居者との間で訴訟に発展した場合には、その間の家賃や訴訟費用などまで負担してもらえる点もオーナーにとっては大きなメリットだといえます。

    また、家賃の支払いが困難になった入居者が生活の立て直しを図れるように、入居者の相談にのる「生活相談室」という仕組みも用意されています。オーナーにとってメリットが多いだけでなく、入居者にとってもメリットがあるサービスだといえるでしょう。利用料は入居者側が負担し、入居時に家賃の半額を、契約更新時に1万円を支払います。

    家賃滞納は事前の対策によって防止することができる

    家賃滞納への対策は、賃貸経営を行ううえでは重要な問題です。入居者の選定を慎重に行うことももちろん大切ですが、入居者による家賃滞納は、時として入居者自身にも予測不能な生活の変化によりいつでも誰にでも起こりうる問題といえます。

    従来から連帯保証人を立てることは対策のひとつとされてきましたが、オーナーにとって多数のメリットをもたらす家賃保証会社を利用することも有効な対策といえるでしょう。

     

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