2020.5.1
賃貸管理

アパート・マンション経営に必要な法定点検とは

(画像=visivastudio/Shutterstock.com)
(画像=visivastudio/Shutterstock.com)
収益不動産を一棟で所有している場合、さまざまな法定点検が必要です。それらを怠ると法律違反となり火災などが起きた際の原因によっては、オーナーが責任を負わなければならないケースも出てきます。

逆にメンテナンスがきちんと行われている物件であれば、入居者も安心して住むことができるため空室リスクを抑えることにもつながるでしょう。

オーナーが責任を負わなければならないような事態を避けるためには、法定点検を再度見直し各法律と実行内容を紐付けてみることが大切です。今回はアパート・マンション経営における法定点検について解説します。

<目次>
法定点検に関わる5つの法律
各法律とやるべき内容
特に厳しい消防法

法定点検に関わる5つの法律

まず一棟物で必要となる法定点検に関連する主な法律は以下の5つです。

1消防法
2水道法
3建築基準法・労働安全基準法
4浄化槽法
5電気事業法

各法律とやるべき内容

法定点検のもととなる法律に沿って何を行う必要があるかについて具体的に確認していきましょう。

1消防法

消防法第17条3-3に基づき点検を行うことが必要です。点検は半年ごとに行う「機器点検」と年1回行う「総合点検」があります。

・機器点検
消防器具、誘導灯、屋内消火栓設備、自動火災報知設備など

・総合点検
屋内消火栓設備、自動火災報知設備、避難器具、排煙設備、配線など

総合点検では実際に動作確認を行い、公示で定める基準に従い総合的な機能を確認する作業を1年に1度行う必要があります。専門的な知識が必要となるため、外部の専門家に依頼することが望ましいでしょう。

2水道法

水道法第34条2-2に基づき、給水末端栓の残留塩素数値や、その他一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、PH値などの項目を検査する必要があります。またアパートに受水槽がある場合、水槽などの外観検査、水質チェックなどが必要です。電気ポンプで給水している場合は、供給電圧値、運転電流値などの電気系統、給水ポンプユニット、受水槽内の目視点検、一定時間ポンプを稼働させ運転状況を確認するなどの点検も必要になります。

3建築基準法・労働安全基準法

建築基準法第12条に基づく法定点検は、階数が5階以上かつ延べ床面積が1,000㎡超の建物が対象です。

・換気設備や排煙設備
排煙口の開閉、手動開閉装置、排煙機の運転状況、排煙風量の確保の検査

・非常用照明設備
停電時の照度測定、バッテリー性能、外観検査

・給排水設備
各種設備の目視確認

上記の設備に関して1年以内ごとの点検が義務付けられています。さらに建築物の敷地や構造に関しては3年以内ごとに検査が必要です。

・敷地の状況調査
敷地の地盤沈下、擁壁、がけなど

・一般構造合点検
採光に有効な開口部、換気設備の設置状況など

・構造強度の状況調査
基礎・土台・柱・梁・壁・外壁・屋外設備機器など

・耐火構造などの状況調査
外壁・屋根・開口部・内装仕上げなど

・避難施設などの状況調査
避難通路・空地・出入り口・廊下・階段・避難バルコニーなど

エレベータ関連の点検も建築基準法第12条3に基づき行う必要があります。エレベータ各部の点検、注油、調整および消耗品の取り替えは年1回義務付けられています。エレベータは、取り付け費用はもちろん設置後のコストもかかるため、費用との兼ね合いで設置すべきかどうかを慎重に考慮すべきです。

4浄化槽法

浄化槽法第10条に基づく法定清掃は、トイレや洗面所などからの生活排水を処理する浄化槽内に発生したスカムや汚泥の除去洗浄、水張り作業が年1回以上必要です。

5電気事業法

電気事業法第39条、42条、43条に基づく自主点検が必要です。機器を運転した状態で損傷、変形、加熱による変色などがないかの日常目視点検を行います。また年に1回全設備を停電させた状態で機器の清掃や締め付け点検、測定や保護装置が正常に動くかなどの点検も行う必要があります。さらに3年に1回、全設備を停止させ各機器の動作特性試験などを精密に行うことが求められています。

特に厳しい消防法

特に1の消防法関連は、万が一火災が発生した場合に居住者を守る大切なものです。過去には消防点検を怠ったことで、痛ましい事故が発生しそのたびにオーナーの責任が裁判で問われています。火災が発生してから対応するのでは遅すぎるのです。予防策として法定点検などを怠ることなく確実に実施することが、入居率の安定につながると認識しておきましょう。
 

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