2020.5.15
トラブル対応

「家賃が払えない」「家賃を減らして欲しい」と入居者から言われた際の対応方法

(画像=iJeab/Shutterstock.com)
(画像=iJeab/Shutterstock.com)
コロナウイルスによる不安定な社会情勢によって、家賃滞納や減額交渉のリスクが高まっています。入居者も緊急事態宣言による自粛要請の影響から収入がなくなってしまい、家賃を支払いたくても支払えないという方もいるかもしれません。こうした方々に対して初期対応を誤ると、家賃滞納のトラブルに発展する可能性があります。そうならないようにオーナー自らが入居者に提案できる3つの対応をご紹介します。

提案可能な3つの対応

入居者から「家賃が払えない」または「家賃を減額してほしい」と相談された際、オーナーはどのように対応すべきでしょうか。法的には「賃貸借契約書で取り決めた家賃を払ってほしい」ということが可能です。しかしコロナウイルスにより実態経済が停滞している状況では、交渉に応じないことで長期滞納リスクが高まります。場合によっては、滞納のまま自己破産してしまうケース、オーナーに何も告げずに退去してしまうというケースも想定されます。

このような事態を招かないよう、オーナーは入居者に丁寧なヒアリングを行った上で、以下のような対応をとるのが望ましいと考えられます。もちろんヒアリングの結果、合理的な理由がない場合は応じないという選択肢もあります。

・合意書を交わす
・住居確保給付金の提案
・緊急小口融資・総合支援資金の提案


自主管理している場合は直接、管理を委託している場合は管理会社を通じて、上記のような対応をするのが望ましいでしょう。

入居者への丁寧なヒアリングにより、入居者の現況が把握できるはずです。以下、想定されるシナリオから可能と思われる3つの対応について、具体的に見ていきましょう。

対応1:一定期間待てば支払いが見込めるケース「合意書を交わす」

一時的な収入減の影響で家賃が遅延しているものの、まとまったお金が“確実に入る”と判断されるようなケースでは、家賃支払いのスケジュール変更や一時減額も考慮しましょう。ただし万が一、約束を破られたときに法的手段に移行しやすいよう、口頭ではなく合意書を取り交わしておくべきでしょう。合意書の書式は自由ですが、以下のようなポイントは抑えておきましょう。これらのポイントに不備がある場合、法的な効力を持たない可能性があるので注意しましょう。

・入居者の合意を示すサイン
・合意書を取り交わした日付
・猶予する家賃の額
・家賃を支払う日付
・支払い条件(回数、金額、支払い方法など)

対応2:長期間支払いが困難なケース「住居確保給付金の提案」

飲食業や観光業、イベント関連業など、コロナショックの影響が大きい業種で働いていて、長期間家賃の支払いが困難なケースでは、2020年4月に拡充された「住居確保給付金」を提案するのも一案です。この給付金はもともと、離職・廃業後2年以内(65歳未満)の人向けのものでしたが、2020年4月20日より拡充し「やむ得ない休業により、離職・廃業に近い状態のある人」にも対象が広がり、フリーランスの人なども対象となりました。

▽収入基準額(これを超えると給付不可)と支給家賃額の上限
  単身世帯 2人世帯 3人世帯
収入基準額(月額) 138,000円 194,000円 241,000円
支給家賃額(上限) 53,700円 64,000円 69,800円
※上記は東京23区の場合。各自治体によって異なります。

給付期間は3ヶ月が原則ですが、場合によっては9ヶ月までの延長が可能です。注意ポイントは資産要件があり、単身者は50.4万円以下、2人世帯は 78万円以下、3人世帯だと100万円以下の預貯金の人に限られます(東京23区の場合 自治体によって異なる)。ただし、住居確保給付金は申請日以降の家賃に適応されるもので、過去の滞納家賃には使えません。尚、相談窓口は各自治体の窓口や社会福祉協議会などになります。

対応3:急を要するケース「緊急小口融資・総合支援資金の提案」

預貯金や収入、家族との関係などをヒアリングした結果、放置できないようなケースでは緊急かつ一時的な生計維持のための貸付である「緊急小口融資」や「総合支援資金」を提案するのも一案です。いずれも返済が必要な制度ですが、無利子・無担保・保証人なしで融資が受けられます。
 
  貸付額 貸付回数 据置期間 返済期間
緊急小口融資 10万円以内 1回のみ 1年以内 据置後2年以内
総合支援資金 単身世帯:月15万円以内
2人以上世帯:月20万円以内
原則3ヶ月
(3回)
1年以内 据置後10年以内
※緊急小口融資は、小学校の休校などの影響があった世帯20万円以内の特例あり。 
※新型コロナウイルス感染症による特例貸付の場合、据置期間終了時に所得減少が続いているときは返済免除にできる可能性もあります。

ただこの制度でも、即日に振り込みがされるわけではありません。今日明日の食事にも事欠いているといった緊急の場合は、食材の差し入れのようなフォローも必要でしょう。尚、相談窓口は各自治体の社会福祉協議会などになります。

入居者に事前に情報提供しておくという手も

コロナショックは「リーマンショック超え」と言われるだけに、平常時以上の入居者に対するサポートが必要になります。実際に家賃が払えなくなってしまう前に、入居者が相談しやすいよう、チラシやメールなどで様々な制度があることを事前にお知らせしておくのも有効です。

入居者と密にコミュニケーションをとっておくことで、長期の家賃滞納や急な退去のリスクを防げることができるかもしれません。あらためて入居者の職業などのステータスを確認し、困っている入居者がいないかどうか、可能な限り把握しておくようにしましょう。
 

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