2021.02.10
不動産投資

「不動産価格指数市場」から不動産市場を先読みしてみる

不動産オーナーにとって、「不動産価格指数」は、収益物件の今後の追加購入もしくは売却のタイミングを計る際に、注目すべき指標です。9月30日に発表された最新資料をもとに、だれもが注目するアフターコロナの収益不動産の市況の動向について、検討してみましょう。

不動産価格指数とは

国土交通省は、2020年9月30日に令和2年6月・令和2年第2四半期分の不動産価格指数を公表しました。この統計は、IMF等の国際指針に基づき、2010年の平均を100として、不動産の取引価格情報提供制度により蓄積された取引データを元に、「同一品質の物件」を仮定して、住宅・商業用不動産別にその月ごとの変化を把握できるよう作成されているものです。

不動産価格指数は、年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに、全国・ブロック別・都市圏別・都道府県別に不動産価格の動向を指数化したもので、国土交通省が毎月公表しています。この毎月のデータは、翌3か月以内に発表されます。

今回のポイントは以下の通りです。

▽令和2年6月の住宅における不動産価格指数

  • 全国:112.7(-0.9%)
  • 住宅地:100.8(+0.4%)
  • 戸建住宅:99.0(-1.7%)
  • マンション:151.8(-2.3%)

※()内は対前月比

▽令和2年第2四半期の商業用不動産における不動産価格指数

  • 全国:119.1(-2.0%)
  • 店舗138.2:(-2.0%)
  • オフィス:138.6(-6.8%)
  • マンション・アパート(一棟):133.1(+1.1%)

※()内は対前月比

この中で、オーナーズ倶楽部の読者の方々が一番興味深いのは、商業用不動産の一項目である、マンション・アパートの動向ではないでしょうか。では、過去の商業用不動産のアパート・マンションの推移を見ていきましょう。

▽不動産価格指数(商業用不動産・総合/用途別)全国

(出典:国土交通省 不動産価格指数 令和2年7月30日公表)

上記グラフは2020年3月までのデータとなります。緑の線が2013年以降のマンション・アパート(一棟)の価格推移です。2018年1~3月をピークに少しずつ低下しているのがわかります。この期間は、日銀の超低金利政策が続いている状態で、今回の新型コロナにより、その傾向がさらに強くなっています。

不動産投資は、金利水準と金融機関の融資姿勢に大きく左右されます。景気の影響を直接受けるオフィスや店舗と比べて、マンション・アパートの指数の上下動(ボラティリティ)は小さいことがわかります。当月も他の商業不動産の指数が下落し、オフィスはー6.8を記録するなか、マンション・アパートは+1.1となっています。今後、さらに新型コロナウイルスの影響で、次の4半期がどのように推移するのかは注目したいところです。

今後のマンション・アパート(一棟)の推移はどうなるか

不動産投資は、金利情勢から大きな影響を受けます。日銀を含む世界主要国の中央銀行は大きな金融緩和政策をとっており、不動産投資家の投資姿勢・投資意欲は、現段階において大きな落ち込みはみせていません。しかし新型コロナウイルスによる社会や経済の混迷長期化リスク等、不動産投資市場は予断を許さない状況にあることは間違いありません。

特に、テレワークの推進により、職場までの通勤が前提のライフスタイルが、大きく変化することが予測されます。この変化がどこまで浸透するかにより、賃貸市場の価格が変わってくると予想されます。

さらに、場所により賃料の推移も注意する必要があります。従来通り、駅から近いところが人気となるのか、それとも駅から多少遠くても、部屋数が多いところが人気となるのか、その答えはまだ出ていない状況です。

このように、ニューノーマルな生活様式が我々にどこまで浸透するかにより、今後の価格推移は変わってくるでしょう。

新型コロナウイルス感染者数の少ないエリアは、投資家から好感されている

マクロ経済の視線から不動産投資を見てみましょう。総合不動産サービス会社ジョーンズラングラサール(以下JLL)によるグローバル投資家調査によれば、アジア太平洋地域の不動産投資額は、2021年に回復に向かうと予測しています。

JLLは、世界の中で不動産投資額が回復する国として、日本やオーストラリアなどを挙げており、対日投資額は2021年末までに回復するとの回答が56%と半数以上を占めました。世界の中で、新型コロナの感染者数が比較的低レベルで落ち着いている国が、投資家には好感されています。

株式市場が、実体経済を反映せず、各国の中央銀行の金利動向に左右される金余りの状況下では、投資家も金融機関も潤沢な資金が手元にあるため、それを積極的に不動産に振り向けています。これは10年前のリーマン・ショック後の状況と大きく異なる点として注目しておきましょう。

アパートの新規着工件数は減少傾向

一方で、個人投資家の主力となるアパート経営市場に対する見方は慎重姿勢が続いています。

相続税対策をうたい文句に、地主に積極的にアプローチしていた時期は過ぎ、一棟物の着工件数は2017年半ばから減少し始め、昨年も減速ペースが加速しました。大手賃貸物件建築会社の施工不良問題や金融機関の融資姿勢が締まるなどが主な原因です。

今年に入ってさらに新型コロナ感染が加わり、地主の投資マインドも冷え込みました。各金融機関がコロナによる経営悪化企業の支援に集中して動く中で、アパートローンが後回しになり、融資実行が遅れる傾向が続いており、新規着工件数の低迷は続くのではないでしょうか。

しかし、中長期の視点に立つと、人口減少がさらに進む中でも、老朽化したアパート建て替えなどの需要が断続的に発生するでしょう。

まとめ:毎月発表される不動産価格指数。不動産投資の目安として注目しよう

不動産投資の最大の魅力は、外部資金を使ってレバレッジを利かせ、自己資金以上の投資ができる点にあります。そのスキームの中で、今回の金融市場の低金利はとても魅力的であることは間違いありません。一方、投資対象によっては、その市場における直近の課題とあわせ、新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化や、金融機関の融資状況が景況に影響を与えそうです。不動産の取引データを元に算出される不動産価格指数は、毎月発表されます。今後も市場動向とあわせ、この不動産価格指標と金利動向からまだまだ目が離せない、といえるでしょう。
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