2019.7.5
新しい投資の形

民法改正で「敷金」の扱いはどう変わる?

(写真= only_kim/Shutterstock.com)
(写真= only_kim/Shutterstock.com)
2020年4月1日から施行される民法改正では「賃貸人・賃借人の修繕に関するルール」「設備の一部滅失による賃料減額のルール」など、不動産賃貸にかかわるさまざまなルールも変更になりました。そのなかでも、オーナーにとって大切な改正内容の一つが「敷金の返還に関するルール」です。今回は、民法改正によって「敷金はどのように変わるのか」など敷金返還に関するルールについて確認していきましょう。

そもそも敷金とは?

不動産賃貸にかかわる人ならば当たり前のように使っている「敷金」という言葉ですが、そもそもどのようなものでしょうか。敷金とは、部屋の借主が、オーナーに対する家賃等の支払いの保証のために預けておくお金のことです。たとえば、「家賃が支払えなくなった」「退去後に設備を修理しなければならない」といった場合、オーナーは敷金のなかから必要な金額を差し引くことができるとされてきました。

もちろん、借主に家賃の滞納などがない場合には、賃貸借契約終了時に敷金は返還されます。これが敷金として一般的に浸透している言葉の意味です。しかし、実はこれまで民法には敷金の定義や敷金の返還に関する明確な規定がありませんでした。そのため、借主の過失ではないにもかかわらず、「経年劣化した壁紙の交換に敷金が使われてしまう」といったことが起こり、借主とオーナーの間でトラブルが発生していたのです。

改正民法では敷金の定義が明確になった

新しい民法では、賃貸借契約においてトラブルに発展しがちな敷金について、明確に記載されることになりました。具体的には、改正民法第622条の2において、敷金を「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義したのです。

賃貸借契約においては、敷金のほかに、地域によって「礼金」「権利金」「保証金」などの名目で金銭が差し入れられることがあり、その名目もまちまちでした。しかし、改正民法においては、名目にかかわらず、担保目的であれば敷金に当たることが明確になり、さらに、敷金の返還時期と返還の範囲についても明記されています。

・敷金の返還時期
賃貸借が終了して賃貸物の返還がされた時点

・返還の範囲
受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額

実際のところ、民法が改正されたことで敷金の意味合いが大きく変わったということはありません。言葉の意味としては、ほぼこれまで通りといえます。

改めて知っておきたい「原状回復ガイドライン」

敷金と密接に関係する原状回復についても、明確に定義されることとなりました。簡単にいえば、借り主は、通常損耗(通常の使用によって生じた汚れや変色)や経年変化については、原状回復の必要はないと明文化されたのです。(改正民法621条)

【通常損耗・経年変化に当たる例】
・家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
・テレビ、冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
・地震で破損したガラス
・鍵の取り替え(破損、鍵紛失のない場合)

【通常損耗・経年変化に当たらない例】
・引っ越し作業で生じたひっかきキズ
・タバコのヤニ・臭い
・飼育ペットによる柱などのキズ・臭い
・日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備などの毀損

(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より)

これまでも、国土交通省の原状回復ガイドラインや判例の積み重ねにより、原状回復トラブルの解決は行われていました。しかし、民法のなかで解決指針となるルールが定義されたことで、トラブルにまで発展するケースが少なくなると考えられます。

いつから適用になる?

改正民法は2020年4月1日から施行されることになっています。原則として、施行日より前の契約については改正前の民法が適用され、施行日後の契約については改正民法が適用されます。施行前より敷金や原状回復の基本原則を十分に理解しておくことが大切といえるでしょう。

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