2019.7.22
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極度額の明記が必須に!民法改正によって連帯保証人はどうなるのか?

(写真=goodluz/Shutterstock.com)
(写真=goodluz/Shutterstock.com)
2020年4月1日から、「民法の一部を改正する法律(2017年5月に成立)」が施行されます。今回の改正において、とくに賃貸関連で注目されているのが“保証契約”についての新しいルールです。保証契約とは、借金の返済や代金の支払いに関する保証について規定した契約のことで、代表的なものに「連帯保証契約」などがあります。ただ、残念ながら連帯保証に関するトラブルは枚挙に暇がありません。

そのような状況を加味して、改正後の民法では、極度額(負担金額の上限額)の明記が義務付けられることになりました。これまでの条項では、連帯保証人が負担する債務の上限について、極度額の明記は義務付けられていませんでした。しかし、それではどのくらいの金額まで保証しなければならないのかわからず、連帯保証人の負担が必要以上に大きくなりかねません。そうした現状を改善するために、今回の改正へといたりました。

賃貸借契約における“保証”の重要性

たとえば、知人や親類から「マンションを借りるから連帯保証人になってほしい」といわれ、連帯保証人になったとします。連帯保証人になった人は、その借主(債務者)が家賃等の支払いをしなかった場合、肩代わりしなければなりません。

もし、支払わない場合は、不動産や給与、預貯金が差し押さえられることもあります。物件オーナーからすれば、連帯保証人がいることによって回収リスクが保全されるため、安心して賃貸借契約を結ぶことができます。万が一、「家賃の滞納」「部屋で亡くなる」などの不測の事態が発生した場合でも、連帯保証人に請求することができます。

ちなみに、通常の保証契約とは異なり、連帯保証契約の場合は、借主に財産があるかどうかにかかわらず、連帯保証人に支払いを求めることができます。その点、借主と連帯保証人は、一蓮托生のような関係になるということです。

保証に関する民法改正の主な変更点

保証の内容について理解したうえで、2020年4月の民法改正にともなう変更点をチェックしていきましょう。保証契約の部分に関していえば、とくに「極度額の明記」「情報提供義務の創設」という2つのポイントに注意が必要です。極度額の明記により、連帯保証人に請求できる金額に上限が設定されるため、物件オーナーは、連帯保証人に対して請求可能な金額を認識しておく必要があります。また、滞納により債務者が期限の利益を喪失した場合には、オーナーから連帯保証人に通知する必要が生じる点についても、オーナーは知っておかねばなりません。それぞれの内容についてきちんと把握しつつ、どのような背景で改正が行われたのかについて考えてみましょう。

極度額の明記が義務化

保証人となる時点において、どのくらいの債務が発生するのかはっきりしない場合、保証人は、一定の範囲に属する不特定多数の債務を保証することになります。これが「根保証契約」です。賃貸物件の賃借に関する賃料などの連帯保証人は、この根保証契約を結んでいることが多いでしょう。とくに、今回の改正では、根保証契約において極度額(上限)を定めることが義務化されました。この改正は連帯保証人の保護を目的としているため、極度額が明記されていない根保証契約は無効となります。
「極度額は100万円とする」や「極度額は契約締結時における賃料及び共益費の2か月分」など具体的な金額がわかるように明記をする必要があります。
現在利用している賃貸借契約書も訂正しなければいけません。国土交通省のHPに民法改正に対応した改訂版の賃貸住宅標準契約書がアップされていますので、それを参考にしながら前もって準備をすることが必要です。

情報提供義務の新設

加えて、保証人に対する情報提供義務も新設されます。たとえば、主債務者の財産や収支の状況、その他の債務や履行状況、さらには分割金の支払いを遅延した場合に発生する「期限の利益の喪失」についても通知されることとなりました。今後、連帯保証人からこれらの状況等について問い合わせがあった場合には、必ず情報を提供しなければいけなくなりました。この規定により、保証人は遅延損害金の額が大きくふくらむ前に対処することが可能となります。オーナーがこの義務を怠った場合の規定はありませんが、法の一般原則に従い、義務を怠ったことによって保証人に生じた損害がある場合には、生じた損害の賠償を請求されてしまう可能性があります。

今後は保証契約を頼みづらくなる可能性も

このように2020年の民法改正では、連帯保証人のあり方が大きく変わります。連帯保証人の保護が強化される半面、これからは連帯保証人を頼みづらくなることが考えられます。最近では様々なリスクが回避できて家賃も保証されるため、保証会社を上手に活用することが当たり前になってきています。また、すでに保証契約を結んでいる方は、更新のタイミングにおいて、保証会社に変更するというケースも増えてきているようです。

とくに、更新時に契約書を作成し、連帯保証人に署名捺印をしてもらう場合には、改正後の民法が適用されるため注意が必要です。極度額が明記されていないと、保証契約そのものが無効になってしまいます。保証会社の活用を模索するなど、中長期的な視点での対策を検討しておきましょう。

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