2021.02.10
不動産トピックス

民泊新法で変わる市場!法律の改正がもたらしたもの

海外で広まってきた「シェアリングエコノミー(共有経済)」の波は、日本でも普及しつつあります。その中でも代表的なのが、住宅のシェアリング、いわゆる“民泊”です。民泊という新しいかたちの宿泊サービスを多くの人が提供できるようになれば、物件の所有者は空きスペースの有効活用が期待できるでしょう。また、盛り上がる日本の観光需要に応えることができるなど、個人・社会にとってメリットがあります。

ただ、にわかに盛り上がりをみせていた民泊市場は、2018年6月15日から施行されている「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によって、下火になりつつあります。なぜなら、法整備がなされたことによって、これまで参入していた個人オーナーの撤退が相次ぎ、物件を供給できる人が限定されてしまったからです。民泊新法によって、市場はどのように変化してきたのでしょうか。法整備のその後について見ていきましょう。

「住宅宿泊事業法(民泊新法)」のメインは規制の強化

民泊新法の特徴は、“規制の強化”に主眼が置かれていることです。具体的には、下記のような内容が強化されています。

・年間営業日数180日以内
・家主による都道府県知事への届出義務
・管理者による国土交通大臣への登録義務
・民泊サイトの運営事業者に対する観光庁長官への登録義務など

いずれも、安全・衛生への配慮や、近隣住民とのトラブルを未然に回避するための措置です。これらの規制強化によって、入居者がより安心して民泊を利用できるようになった一方で、民泊新法の施行前には必要なかった届出や登録が必要となったことで、民泊を経営したいオーナーの負担は増加しました。なお、民泊新法においては、関係者を「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という3つのプレーヤーに区分しています。

住宅宿泊事業者

住宅の宿泊事業を行う物件所有者

住宅宿泊管理業者

不在型住宅で管理の委託先となる業者

住宅宿泊仲介業者

民泊の仲介サービスを提供する業者(マッチングサイトなど)

民泊新法によって市場はどう変わったのか?

このように、規制の強化という点で法整備が行われた民泊市場ですが、民泊新法によってどのような変化があったのでしょう。
とくに注目したいのは、2018年6月の民泊新法施行から2019年5月まで住宅宿泊事業届出件数が着実に伸びている半面、事業廃業している業者も一定数増加してきているということです。民泊新法がもたらした市場の動向について、その背景をふまえつつ、より詳しく見ていきましょう。

ポイントは以下の3つです。
・民泊事業者の負担が増加
・民泊物件の“シェア”は大きく低下
・観光客の受け皿になれていない現状も

民泊事業者の負担が増加

すでに紹介しているように、民泊新法の特徴は規制の強化です。事実、年間180日以内の営業規制や届け出など、民泊事業者の負担は増加しています。加えて、設備要件や居住要件などが厳しくなり、民泊に参入できる人・業者は限定されることとなりました。具体的には、民泊を実施できる住宅には「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」といった設備が備わっており、かつ、
「①現に人の生活の本拠として使用されている家屋」
「②入居者の募集が行われている家屋」
「③随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」
のいずれかの居住要件が必要とされています。

民泊物件の“シェア”は大きく低下

2017年11月に発表された観光庁の報道資料によると、2017年7~9月期における民泊の利用率(対訪日外国人旅行者)は、全体の12.4%でした。訪日外国人のうち、実に1割以上の人が民泊を利用していたのです。しかし、民泊新法が施工された2018年6~7月期の数字を見てみると、民泊のシェアはわずか0.3%ほどに急落。民泊新法によって届出や登録が必要となり、また設備要件や居住要件も厳しくなった結果、民泊物件そのものが減少し、シェアは大きく低下しています。

観光客の受け皿になれていない現状も

たしかに、民泊新法によって適切な業者によるフェアな運営が可能となったのは事実です。しかし、民泊事業への参入が難しくなったため、民泊新法施行直後に物件数や利用者は減少しました。また、施行から1年余りが経過した現在、物件の届出総数は新法施行直後に比べると増加していますが、特に地方における届出数の増加は限定的なものにとどまっています。現状では、ホテルや旅館に変わる観光客の受け皿にはなれていないのが実情でしょう。下火になった民泊市場を変えるには、何らかの規制緩和が必要になるかもしれません。

時代に要請に応じて進化できるかがカギ

このように、民泊新法による規制強化の影響は、市場全体に波及しています。これから先、「民泊」という手法で不動産を活用していくためには、法規制に対応しつつ、民泊物件のあり方そのものを検討し直していく必要があるでしょう。物件を民泊として活用したいオーナーは、上述したような当局への届出・登録はもちろんのこと、自身の強みを活かして特徴ある物件を市場に供給するなど、時代の要請に応じた対応が求められます。

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