2020.10.16
不動産トピック

アフターコロナの不動産投資戦略:不動産価格に影響を与えるマクロ経済指標

(画像=m-mphoto/stock.adobe.com)
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不動産投資を行う際は、マクロ経済の視点から今後の経済の先行きを読むことが大切です。いろいろなマクロ経済指標がある中で、特に不動産価格に影響を与える要素は以下の5つです。
  • 日本全体の人口
  • 首都圏の人口
  • 人の移動の発生
  • 世界経済の状況
  • 日本経済の状況
今回の新型コロナウイルスをきっかけに、不動産に対する考え方が大きく変化するのは間違いないでしょう。不動産市場の今後を、マクロ経済の視点から予測してみましょう。
   

これからの日本と首都圏の人口推移はどうなるか

言うまでもなく、日本の人口は減少が続きます。日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに、すでに減少トレンドに入っています。下記のグラフは、今後の日本の総人口の変化を表したものです。

2013年を基準としていますので少し古いですが、この中で注目すべきは合計特殊出生率です。2013年は1.43を記録しています。そして厚生労働省は2020年6月5日、2019年の人口動態統計月報年計(概数)を発表しました。出生数は前年(2018年)より5万3,166人少ない86万5,234人で、1899年の調査開始以来過去最少となり、合計特殊出生数は、前年から0.06ポイント低下して1.36でした。これは、グラフ中の赤の破線が示す、国立社会保障人口問題研究所(社人研)の中位推計である1.35とほぼ同レベルです。

ということは、日本の総人口は将来緑色の破線のように推移する可能性が高いと考えられます。これによると、30年後の2050年には9,708万人と、1億人を割ることになります。
 
(出典:国土交通省 HPより抜粋)
(出典:国土交通省 HPより抜粋)
では、首都圏の人口はどうなるでしょうか。6月11日に東京都が発表した都の人口総数は1,400万2,973人で、はじめて1,400万人を突破しました。新型コロナウイルスの感染拡大が続いたにも関わらず、人口の東京への一極集中が止まらない状況が裏付けられました。4月1日時点は1,398万人だったので、政府が東京都を「特定警戒都道府県」に指定した後も人口が増えたことがわかります。

人の移動は変化するのか。東京一極集中は変わるのか

特に都心で働く人たちの一部がリモートワークを強いられ、ニューノーマルと呼ばれる「新しい生活様式」が広がると、都心に毎日通勤する必要がなくなっていきます。

企業での働き方も変化し、人事制度がいわゆる「ジョブ型」と呼ばれる評価方式に変わっていくことが予想されます。勤務時間が長いことが美徳とされた旧来の「日本式労働」が見直されれば、首都圏から地方への人口移動が起こる可能性もあります。

また、ビフォーコロナでは日常的光景だった毎朝の満員電車での通勤が、ウィズコロナではいくらか緩和されたため、「元の状態には戻れない」と感じている人がいることは間違いないでしょう。

さらに、5Gの普及などネット環境の進化によって在宅勤務や郊外のワーキングスペースでの勤務が普及すれば、わざわざ都心まで通勤する必要はなくなるでしょう。週に数回の出勤で事足りるのであれば、都心から30分~1時間の通勤圏の街に住む必要性を見出せなくなる可能性もあるでしょう。

IMFの世界経済と日本経済の成長率予測は減速を予測

以下の表は、新型コロナウイルス後の世界経済の成長についてIMFが予想したものです。2020年、全世界ではマイナス3.0%、日本はマイナス5.2%、アメリカはマイナス5.9%、ユーロ圏はマイナス7.5%と驚くべき予測になっています。

▽世界経済の見通しによる最新の成長率予測(出典:IMF 国際通貨基金HPより)
 

今後、新型コロナウイルスの蔓延に第2波・第3波が起これば、さらに悪化する可能性があります。これは、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬がいつできるかによって、大きく変わると考えられます。

一方で、株式市場の動きは実体経済をまったく反映していません。これはFRBや日銀、欧州中央銀行などがゼロ金利政策やマイナス金利政策をとることで、金余りの状況を作り出しているからです。

各国の中央銀行は、市場へ資金を供給し続ける見込み

(出典:ニッセイ基礎研究所)
(出典:ニッセイ基礎研究所)
上のグラフは、2008年のリーマンショック発生前後と今回のコロナショック発生前後の日米の長期金利の動きを表したものです。

リーマンショック発生時は、日本が1.0~1.5%、アメリカが2.0~4.0%で推移していました。コロナ発生後は、日本はほぼ0.0%、アメリカは0.5~1.0%で推移しています。12年前と現在でこれほど金利に差があることに、あらためて驚きます。

FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「マイナス金利は副作用しかない」と発言しているため、何としても0%以上の金利は維持するでしょう。ということは、日米の金利差は0.5%の状態が当面続くと考えられます。

実質の経済成長は、国内国外を問わず非常に厳しい局面が続くことが予想され、企業の固定費となる地代家賃へのコストダウン圧力は高まると予想されます。一方、各国の中央銀行は、市場に資金を供給し続ける見込みであり、長期金利は低い水準で維持される可能性が高いです。現状、その資金は株式市場へ流入していますが、不動産市場への流入がないとは言えません。したがって、世界と日本の経済予測からは、不動産投資に対しポジティブとネガティブ、双方の影響があると考えられます。

マクロ経済の指標から見ると、不透明感はしばらく続く

新型コロナウイルスという見えない敵が作り出した経済不況は、いつ回復するかが見ない状況です。第2波・第3波が襲ってくることを前提に、備えておく必要があるでしょう。

2020年、私たちはリーマンショックを超える大恐慌以来最悪の景気後退を経験する可能性が極めて高いです。世界経済は現在、大恐慌ならぬ「大封鎖」の様相を呈しており、今後劇的なマイナス成長に陥る可能性も十分あります。

2021年は部分的回復が見込まれますが、GDPの水準はコロナウイルス流行前のトレンドより低い水準に留まるとIMFは予測しています。回復力については不透明で、成長率はさらに低くなる可能性が高いとしています。

この未曾有の危機がいつまで続くのか、そして不動産価格がどうなるのか、予想すらできないのが現状なのです。不透明な状況はしばらく続くと見られ、引き続き、東京都の人口の動き、経済成長率、中央銀行の資金政策と株価の動きなど、各指標を注意深く見ていく必要があるでしょう。

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