新型コロナウイルスの感染拡大は世界経済に悪影響を及ぼしており、不動産市況も大きく変化しています。ウィズコロナではコロナとともに生活せざるを得ませんが、治療薬やワクチンが開発されてアフターコロナを迎えると、不動産価格はどう変化していくのでしょうか。
不動産投資では、保有期間に家賃として得られるインカムゲインと購入価格と売却価格の差であるキャピタルゲインを考慮して、投資戦略を考える必要があります。
ここではキャピタルゲインを考える際の、仕入原価である購入価格と数年後の売却価格、またインカムゲインである賃貸物件の家賃の変化を考察します。
目次
新型コロナウイルスという目に見えない恐怖は、人間の心理にも影響を与えます。自分や家族が罹患しないかという不安だけでなく、経済の先行きがどうなるのかについても心配でしょう。
不動産市場でも先行き不安から契約キャンセルが相次ぎ、デベロッパーなどの供給側も新築マンションの売り出しを延期するところが出てきました。
またサプライチェーンの毀損により、特に中国からの部材供給が滞り、新築やリフォーム物件が完成しない現場も出てきています。これはお客様に物件の引き渡しができないことを意味し、事業者側にとっては売上の入金が遅れるため、資金繰りの悪化につながります。
またリモートワークが強いられるようになったことで、通勤を前提とする住まい選びの考え方が変わり、不動産価格に大きな影響を与えることも予想されます。
下のグラフは、首都圏の住宅地の公示地価と東京23区の住宅地の平均㎡単価の推移を表しています。
(出典:国土交通省 地価公示データ より 2010年を100とする)
過去は、東京都の伸びが著しかったことがわかります。これは、アベノミクスによる市場への資金供給が住宅価格にも影響を与えていたためと考えられます。2020年1月1日現在の公示地価は、東京都の住宅地で前年から2.8%上昇していますが、コロナ後の地価がどうなるかについては、7月1日現在の基準地価の発表が待たれます。
首都圏の賃料は、新型コロナウイルスの影響が出始めた後の3月には、東京都で1㎡あたり3,000円を超えました。一部で東京から地方への転出が取りざたされていますが、東京都は5月1日時点で推計した都内人口が1,400万人の大台を超えたと発表しました。
これはコロナの影響で首都圏から地方への転出が進むとの考えと相反する動きであり、賃料も上昇していることから、この流れはしばらく継続する可能性があります。
ただし、不動産市況は経済指標から少し遅れて動く傾向がある遅行指標であり、中長期的にこの動きが継続するかどうかは不透明です。
6月16日に東京カンテイが発表した2020年5月の首都圏のマンション賃料は、4月比+0.3%の3,061円/㎡と小幅ながら上昇傾向を維持しました。一方、都県別で見ると、東京都(-0.5%、3,647円/㎡)や千葉県(-2.2%、1,603円/㎡)では引き続き下落し、神奈川県(-0.1%、2,310円/㎡)や埼玉県(-1.1%、1,728円/㎡)でもマイナスに転じたことで、首都圏においては1都3県のすべてで下落しました。これは、これまでの上昇トレンドの潮目が変化している可能性を表しています。
また今後リモートワークが主流になり、通勤が週に数回となると、これまでの東京近郊から通勤するスタイルが大きく変わる可能性もあります。首都圏の駅近物件が価値を維持するかどうか、目が離せません。
最後に、出口戦略としての不動産売却も考えなくてはなりません。
不動産売却時に譲渡益が出た場合、キャピタルゲインには不動産譲渡税がかかります。なお所有期間が5年以内と5年超では、税率が大きく異なります。したがって5年超保有することを前提に購入し、売却を考える必要があります。
しかし5年後の不動産市場がどうなっているかは、まったく予想できません。今回の新型コロナウイルスによって、さらに不透明感が高まりました。
そうなると、5年後も不動産市場が現在と変わらないという前提で、シナリオを考えるしかないでしょう。
不動産は、「三極化」する可能性があります。不動産価格が上がるエリア、横ばいのエリア、そして下がるエリアです。
今後コロナウイルスの影響で地方の土地の需要が高まり、価格が上がることもあり得ます。逆に都心やその近郊であっても、通勤頻度が減ることで価値が下がる可能性もあります。不動産価格は、需要と供給のバランスで決まります。需要が高い地域を見つけて、そこに投資をするのが理想ですが、その見極めが非常に難しくなっていくでしょう。
不動産投資に限らず、すべての投資商品に影響を与えるのが金利です。金利の動きをウォッチすることが、不動産投資の成功のカギになります。
各国の中央銀行は、ほとんど横並びでゼロ金利政策もしくはマイナス金利政策をとっています。さらにFRBのパウエル議長は、6月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で「少なくとも2022年末までゼロ金利を維持する」というフォワードガイダンスを発表しました。これは、市場にお金がジャブジャブあふれることを意味します。日銀もこのスタンスはしばらく変わらないでしょう。
現在の実態経済を反映していない株価も、この金融政策によるものです。したがって、不動産投資に使う借入金の金利も、低金利が継続すると考えられます。
金利だけでなく、投資エリアやその需要などついても、常にアンテナを張って情報を収集することが、今まで以上に重要になるでしょう。
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