2021.02.12
民法改正

民法改正で「賃料減額」になる?改正による変更点とポイント

2020年4月の民法改正で不動産賃貸のルールがいくつか変わり、「賃料減額」に関してはよりシビアになりました。民法改正の内容、賃料減額が当てはまるケース、オーナーとしての心構えを解説します。

 

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どんなときに賃料が減額になるのか

入居者が生活をしているなかで、エアコンや給湯器などの設備、屋根などの建物の一部が故障・破損してしまうことがあります。故障が発生した場合には、急いで修理対応するのがオーナーとしての当然の義務です。しかし、場合によっては対応が遅く借主が不便を強いられることもあります。そのようなときに、現行の民法611条では借主は「賃料の減額を請求することができる」というルールを設けています。

このルールが2020年4月からの改正民法では、より厳しくなりました。「設備などが故障により一部使用不能になったときに、それが借主の過失によるものでなければ、使用できなくなった部分の割合に応じて、当然に賃料は減額される」と規定されたのです。

民法改正で、賃料減額はよりシビアになる

現行民法では、「減額請求できる」とされていたものが、改正民法では「当然に減額される」という、よりシビアな表現に変わりました。オーナーにとっては、少し緊張感を覚える改正といえるのではないでしょうか。しかし、改正民法において「どのくらい壊れたらどのくらいまで減額するか」について明確に規定しているわけではありません。

国土交通省の主催する「賃貸借トラブルに係る相談対応研究会」が発表した「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」によれば、一部使用不能の状態について下記のように解釈しています。

・物件の物理的な破損だけではなく、設備の機能的な不具合なども含めて、物件の一部が使用できない
・その一部使用不能の程度が、社会通念上の受忍限度(社会生活を営む上で、我慢するべき限度)を超えて通常の居住ができなくなった

「社会通念上の受忍限度」とはどんなものか、判断はなかなか難しいものがあります。なかには悪質な借主がいて、「設備の一部が壊れたことを理由に何度も賃料減額を求めてられてきて困ってしまう」といったことも想定されるでしょう。さらに一部使用不能となった物件の修繕について、オーナーが誠実に対応したとしても、修理業者の状況によっては速やかに修理ができないといった問題も考えられます。改正民法の施行を機に、賃料減額に関するさまざまなトラブルが起こるかもしれません。

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基本は早急に、誠心誠意対応すること

トラブルに発展しないようにするためには、設備などの使用不能な期間、使用不能の程度、使用不能な免責、代替手段・代替品の提供などについて、特約として契約書に盛り込んでおくことが大切になるといえます。たとえば、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会では、賃料減額についての特約として以下のようなガイドラインを作成し、賃料減額と免責日数の具体的な数字を決めています。このようなガイドラインを参考にするのもよいでしょう。

状況 減額割合(月額) 免責日数
トイレが使えない 30% 1日
風呂が使えない 10% 3日
水が出ない 30% 2日
エアコンが作動しない 5,000円 3日
電気が使えない 30% 2日
テレビ等が使えない 10% 3日
ガスが使えない 10% 3日
雨漏りによる利用制限 5~50%
結露・カビが発生した場合は50%
7日

出典:(公財)日本賃貸住宅管理協会「クレーム・トラブル対処法増補改訂版」

また、実際の賃料減額の協議・決定にあたっては借主からオーナーに壊れている旨を通知します。そのうえで、減額の割合や期間(一定期間の免除とするのか、賃料そのものを変更するか)について協議して、合意のうえで減額を決定するのが一般的な流れになるでしょう。したがって、設備の故障などが発生したときは、まずは早急に、誠心誠意対応することが重要です。

速やかな対応を日ごろから心がけていれば、借主との間に信頼関係が生まれ、「むやみな賃料減額請求にはつながらないのではないか」と考えられます。改正民法は2020年4月1日から施行されますので、不動産を保有するオーナーはもちろん、これから不動産オーナーになる方もしっかりと内容を押さえておきましょう。

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