家賃保証とは何かがよくわからない人のために、家賃保証の概要としくみ、オーナーと入居者それぞれのメリット・デメリットを紹介します。家賃保証の相場、審査の流れも説明しますので、参考にしてください。
オーナーのための家賃保証
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目次
家賃保証とは、不動産賃貸借契約の際に必要となる親族や上司などの連帯保証人の代わりに、家賃保証会社に手数料を支払って連帯保証人になってもらうサービスのことです。
家賃保証会社は、入居者がケガ・病気・失業・盗難などの理由で家賃が支払えなかった場合に、家賃の立替払い(家賃保証)を行い、入居者と大家さんとの信頼関係の維持に努めます。立替代金は後日、入居者から支払いを受けます。
申し込み書類の中で「保証料」と記載されているのが手数料で、その支払者は入居者です。
家賃保証の仕組みは、以下の図のようになっています。
家賃保証会社は大家さんと入居申し込み者の間に立ち、
入居申し込み者に対しては
• ケガや病気の時、家賃が払えなくなったらどうしよう
→保証会社が家賃保証をして立替払いをするので、万が一の時でも安心
• 個人の連帯保証人が見つからないから部屋が借りられない
→保証会社が保証をするので、入居審査がスムースに進む
大家さんに対しては
• 入居希望者が安定した家賃支払いが出来るか心配、滞納されたらどうしよう
→保証会社が審査をして家賃保証をするので、滞納の心配がない
• 個人の連帯保証人が見つからないため、入居をお断りするケースが増えた
→保証会社が保証をするので、入居者の間口が広くなる
という、不動産を借りる側と貸す側が持つ心配事を同時に解消し、両者が長く安定して良好な契約が保てるようにサポートをします。
本章では、入居時に家賃保証が必要となるケースを7つ紹介します。
連帯保証人になる人物が周囲にいない・または頼むことが出来ない場合は家賃保証を使います。
連帯保証人は民法で定められている保証契約で、賃貸借契約中に入居者の家賃支払いが滞った場合(滞納)などに、その債務を入居者と同等に支払う義務が発生します。【参考:連帯債務者 民法458】
このような理由から、連帯保証人には社会的立場と収入が保証された親兄弟・勤務先上司・友人が引き受けるのが常でしたが、雇用環境の変化・少子高齢化などの深刻な社会状況の変化により、親兄弟や上司であっても連帯保証人としての役割を全うできない状況になることもあり、連帯保証人を頼むことが出来ないケースが増えてきています。
また、該当する人物がいる場合でも、連帯保証人を依頼することは、相手に万が一の場合の責任を負わせるリスクを依頼することになるため、気軽に頼みづらいという背景もあり、手数料を支払って保証会社に連帯保証人になってもらう方法を選ぶ人が増えています。
大家さんが積極的に家賃保証サービスを利用したい場合は、賃貸物件情報に「連帯保証人不要」「保証会社利用可」「保証料〇〇%」などの文言が記載されています。このケースは文字通り、連帯保証人が不要で、入居申し込み時に家賃保証に同時申し込みをして入居審査になります。
入居希望者の勤め先が中小企業・ベンチャー企業の場合、大家さんによっては長期的に安定収入が得られるのかが不安で、連帯保証人がいても家賃保証への加入が必要になる場合があり、入居を断られることもあります。大家さんの考え方次第ですので、営業担当者とよく相談をしてから決めると良いでしょう。
入居者が会社経営者(自営業含む)の場合や、給与支払者が家族や同族経営者(身内)である場合、大家さんによっては連帯保証人がいても、家賃保証が必要になるケースがあります。
会社経営者(自営業)の場合は、収入が多くても所得が少ないケースが多いこと、給与支払い元が親族会社の場合は、帳簿上の明細だけを発行して実際の給与支払いが無いケースがあるのが理由です。
上記のような背景がなくても、会社経営者は毎月安定的に給与が支払われる会社員に比べると、仮に所得が高くても家賃保証が必要になる場合があります。
クレジットカードに滞納履歴があることが判明した場合、現在の支払い状況に問題がなくても家賃保証が必要になることがあります。
ただ、この滞納履歴とは「数か月にわたってクレジットカードの請求額を支払わなかった場合」になりますので、「支払日を忘れていた」程度の遅延は履歴として残らないことが多いです。
入居申し込み者が外国籍の場合、家賃保証が必要になるケースが多くあります。
現在のところ、まだ日本では外国人入居者に対するイメージは
「言葉が通じない人に部屋を貸すのが不安」
「滞納しても支払ってくれるか不安」
「外国人の与信がよくわからない」
「室内の使い方が日本人と違う」
「急に帰国されても追いかけようがない」
などが多く、家に対する習慣やルールが違う外国人との付き合い方がよくわからない大家さんが、万が一の場合の保険として保証会社への加入を希望しているため、家賃保証は連帯保証人がいても必要になります。
広めの部屋や一軒家を2人~数人でシェア(共同生活)する住み方は、一人の家賃負担が軽くなるため若い世代に人気がありますが、シェアの場合は家賃保証が必要になることがあります。
シェアの場合、主たる契約者がいても、現実には支払い責任者が誰なのかが大家さんからはわかりにくいことが主な理由です。
また、シェア物件は通常よりも合鍵を多く作ることになるため、実際にはその部屋を何人で何に使っているのかも把握しにくくなります。結果、賃貸物件で事故・瑕疵・トラブルが起きる可能性が高まると判断されるため、家賃保証を利用することがあります。
現在、家賃保証のサービスは賃貸契約での義務ではありません。ただ、マンション全棟で家賃保証サービスの利用を必須としている場合や、大家さんが強く希望している場合は、家賃保証の利用を断ると入居を断られることがあります。
気に入った物件があるけれども、どうしても家賃保証を利用するのに抵抗がある人は、営業担当者に従来型の連帯保証人による入居審査にして欲しい旨を伝えて大家さんに打診してもらうことが可能です。
家賃の立て替えが増えても大丈夫?安心な保証会社を選ぶ3つのポイント
この章では、家賃保証を利用したときの、入居希望者のメリットを3つ紹介します。
連帯保証人になってくださいと人にお願いすることは、自分が家賃滞納したときに、その弁済の義務を一緒に背負ってもらうこととイコールですので、大変にお願いをしづらい頼み事になります。
家賃保証は人にお願いする代わりに、料金を支払って連帯保証人の代わりになってもらう「サービス」ですので、しがらみなく自分の住みたいところに住むことができます。
家賃保証は入居時に利用料を支払うため、余分なお金が出ていくイメージを持つ人もいますが、物件によっては初期費用が安く抑えられるケースもあります。
家賃保証を推奨している物件は敷金か礼金が通常の月数よりも低く設定してあることが多く、家賃保証の代金を支払ったとしても、結果として初期費用を抑えることができます。
下記の表を見てみましょう。
敷金:礼金* | 家賃保証料金 | 初期費用合計 |
---|---|---|
2:2(合計40万円) | 利用しない(連帯保証人を頼む) | 40万円 |
1:1(合計20万円) | 5万円 | 25万円 |
0:0(合計0円) | 5万円 | 5万円 |
上記の通り、敷金・礼金が抑えてある物件を選べば、家賃保証料を支払っても初期費用合計が低く抑えられていることがわかります。
派遣社員・契約社員・アルバイトは正規雇用と比較すると長期・安定収入があるとはいえず、連帯保証人がいても入居審査が通らない物件が多かったのですが、家賃保証のサービスを利用すれば、ほぼ問題なく入居ができます。
理由は2つあります。1つ目は、入居審査および支払い能力審査は保証会社が自社で行うからです。そのため賃料に見合った一定収入があり、過去に金融事故を起こしていなければ、原則問題なく入居審査を通過できます。
2つ目は、万が一失職をして家賃の支払いが滞ったとしても、滞納分を家賃保証会社が大家さんに立替え払い*をしてくれますので、大家さんには家賃の未払いが発生しません。そのため、大家さんにとっては入居者の属性が派遣社員・契約社員・アルバイトなど何であっても、「賃料に見合った一定収入がある人」になりますので、大家さんから入居拒否の回答が出る可能性が非常に低くなります。
なお、家賃保証による立替分は後日、入居者が家賃保証会社に支払います。
*保証会社によって月数の限度があります。
【不動産オーナーにとっての家賃保証サービスのメリット】不動産オーナーにとって、家賃保証の最大のメリットは「家賃滞納が起きない」ことです。また、不動産経営における滞納の対応という手間と空室リスクを同時に回避できるため、従来型の連帯保証人による保証から、家賃保証サービスに切り替えるオーナーが増えています。 例えば、オーナーの物件が 家賃保証会社では独自審査で入居者の属性を把握し、選別して入居紹介が出来ます。入居希望者の属性が心配なケースでも家賃保証会社が家賃を保証してくれるなら、安心して入居者募集の間口を広げることができるでしょう。その結果、賃貸経営が安定し物件の価値・評価も安定(向上)します。 また家賃保証には、「一般保証(滞納が出たときのみ立替)」と「委託保証(毎月立替)」のタイプがあり、どちらのタイプでも家賃保証料は借主さんが入居時と更新時に支払うものですので、オーナーの負担はありません。 晩婚化や非婚化が進み、一人暮らし世帯が増えつつあることに加え |
ここでは、入居時に家賃保証のサービスを使わなかった場合の入居者のデメリットを3つ説明します。
大家さんが家賃保証への加入を強く希望している場合は申し込みの時点で断られます。
家賃保証のサービスを使わない場合、従来型の連帯保証人による保証が採用されます。この場合、連帯保証人の社会的地位がよほどしっかりしていないと、入居を断わられる可能性があります。
初期費用の負担が大きい敷金2礼金2の物件よりも、初期費用が少なく済む家賃保証を利用する入居スタイルが主流になりつつあります。
現在すでに様々な要因で従来通りの「連帯保証人だけで申し込みが出来る物件」が少なくなってきているため、この先ますます賃貸物件の選択肢が少なくなる可能性があります。また、大家さんによっては、連帯保証人・家賃保証をダブルで条件にするケースもあります。いずれにせよ、入居の際には家賃保証を利用するのが今後も主流の方法として推移していくと考えられます。
ここでは家賃保証の相場と、入居審査の流れを説明します。
家賃保証の保証料は、家賃の3割~全額または固定費として家賃に組み込まれている場合など、物件・保証会社によってバラバラです。
<例>家賃10万円 保証会社利用の場合
・保証料:3万円~10万円
・支払い:入居時・更新時(または固定費として毎月)
保証料金の割合は、不動産会社と保証会社が決めます。申込時に不動産会社が指定した保証会社を使用するのが一般的です。
保証料は入居時と更新時に支払います。固定費タイプは、毎月の家賃と共に振り込みます。
入居申し込みをして契約するまでの3ステップを説明します。
不動産会社で入居申し込み用紙と一緒に、所定の書類に記入をして提出します。保証会社によっては源泉徴収票や所得証明書の提出を求められることがあります。
保証会社から、申し込み本人・連帯保証人(必要な場合)・緊急連絡先へと確認連絡をします。
同時に、入居申し込み者の支払い能力の審査があります。
審査を通過して契約を結びます。不動産会社で重要事項説明があるときに、契約書を一緒に渡されます。保証料は、敷金礼金などの代金と一緒に不動産会社が指定する口座に振り込むのが一般的です。
いかがでしたか。
家賃保証について
を紹介しました。
家賃保証は、入居希望者と大家さんの不安を同時に解消し、両者が安心して良好な契約を続けるためのサポートをしてくれるサービスとして、今後ますます普及していく可能性が高いと言えます。物件の賃貸を考えている方も、そしてお手持ちの物件を賃貸に出している、または今後出すことを考えているオーナーの方も、ぜひ、家賃保証の利用をご検討ください。