近年、豪雨や台風などが多く発生ています。所有物件が台風などで被害を受けた時、火災保険で損失をカバーできることをご存じでしょうか。いざという時に慌てないためにも、火災保険が適用される範囲や、被害に遭った時の手続き方法などを確認しておきましょう。
豪雨や台風などによる被害のことを、水災(水害)と言います。では、水害に利用できる損害保険は何でしょうか。答えは「火災保険」です。名前が火災保険なので火災にしか使えないイメージがありますが、実は水害など火災以外の災害にも適用されることがあります。
火災保険は大きく分けて、ベーシックな「住宅火災保険」と、さまざまなリスクに対応する「住宅総合保険」があります。
住宅火災保険は、以下をカバーします。
・火災や落雷
・ガス爆発などの破裂・爆発
・風災
・ひょう災
・雪災
住宅総合保険は、住宅火災保険のカバー範囲に加え、以下をカバーします。
・水害
・自動車の飛び込みなどによる飛来・落下・衝突
・給排水設備の事故などによる水濡れ
・騒じょうなどによる暴行・破壊、盗難
ただし、これらは一般的な補償内容であり、保険商品によって補償範囲は異なります。火災保険という名称でも、特約として水害や盗難などの補償をつけられるものが多いようです。
また火災保険は保険の対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」の3つの中から選択します。選択内容によって補償される対象が変わってきます。
さて、今回のテーマである水害とは、具体的にどんな被害を指すのでしょうか。水害とは、台風や暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどの災害のことです。
・ゲリラ豪雨で近くの川が氾濫して建物が床上浸水した。
・台風によって洪水が発生し、建物が流された。
・暴風雨によって土砂崩れが発生して、建物が壊れた。
これらが水害であり、火災保険(住宅総合保険)で損失が補償される対象となるものです。
水害による被害が補償されるためには、下記の通り一定の要件があります。
・「建物再調達価額の30%以上の損害を受けた場合」
・「床上浸水または地盤面より45センチメートルを超えて浸水があった場合」
再調達価額とは、現在と同等の建物を新築した場合に必要な金額のことです。水害の被害にあっても、再調達価額の30%以上の損害があると認定されない場合は、補償されない可能性があります。
また、支払い保険料の負担を軽減するために、損害保険金の支払い方法を縮小させる特約が付与できる保険商品もあります。
例として損保ジャパン日本興亜では下記の支払い縮小特約があります。
損害割合 | 支払われる損害保険金の額 |
---|---|
① :30%以上 | (損害額-自己負担額)×70% ※自己負担額は保険金額が限度 |
② :15%以上30%未満の床上浸水による損害 | 保険金額×10% (1事故1敷地内につき、200万円が限度) |
③ :15%未満の床上浸水による損害 | 保険金額×5% (1事故1敷地内につき、100万円が限度) |
※実施の条件や詳細については取り扱い代理店にご確認下さい。
同じ「水」を原因とする被害でも、補償を受けられないものがあります。以下のようなケースです。
津波や土砂崩れも水に関わる自然災害ですが、それらが起こった原因が地震の場合は、火災保険(住宅総合保険)の補償範囲外です。これらの災害でも補償を望むなら、地震保険に加入する必要があります。同様に、地震が原因で起こった火災についても、火災保険では補償されないので注意が必要です。
水濡れとは、「上の階の水道管が破裂して、下の階の家財に被害が発生した」「水道管が詰まって水浸しになり建物が被害を受けた」といった被害のことです。水濡れは水害ではないので、火災保険では補償されません。ただし、水濡れの特約を付けられる保険もあります。
台風によって屋根が壊れた場合は、水害ではなく風災の対象となります。
水害に限らず、火災保険で補償される被害に遭った時は、まず保険会社の事故受付センターに電話やインターネットで事故の連絡を入れます。その後は保険会社の指示に従って書類を用意して提出します。書類提出時に必要になるので、被害に遭った箇所の写真はあらかじめ撮っておくといいでしょう。
その後、保険会社が現地調査や審査を行います。審査の結果保険金の支払いが決まったら、保険会社から連絡が入り、指定した口座にお金が振り込まれます。物件が被害にあわないことが一番ですが、いざという時にあわてないよう、保険会社の事故受付センターの連絡先をあらかじめ確認しておきましょう。
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