2021.02.12
民法改正

民法改正による賃貸借契約の変更点!6つのポイントを解説

2020年4月の民法改正による賃貸借契約の変更点を、6つのポイントに分けて詳しく解説します。オーナーは敷金、修繕義務、原状回復、連帯保証など、変更によって生じる影響を確認しましょう。

 

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民法改正が賃貸借契約に与える影響の概要

はじめに、民法改正が賃貸借契約にどのような影響を与えるのか、概要を確認しましょう。

まず影響を受けるのが「賃貸借契約書」です。契約書は民法改正前に作成されているため、改正後は現行民法と大きく異なる点があり、契約書の各条項の見直しが不可欠です。

【例】
・賃借人の原状回復義務及び収去義務などの明確化
・敷金に関するルールの明確化

次に確認しなければならないのが、改正民法の適用時期です。契約内容は改正民法施行以前か以降かで変わってきます。入居者との契約が2020年3月31日までであれば現民法が適用され、4月1日以降の契約なら改正民法の内容が適用されます(附則34条1項)。

では、契約の更新についてはどうなるのでしょうか。法制審議会民法部会の資料によれば、施行日前に契約が締結されても、施行日以降に契約更新の合意がされる場合については、改正民法の規定が適用されます。

ただし、施行日前に更新の合意がなされた場合については、改正後の規定を適用する必要はないとされています。

また、賃貸借の存続期間がこれまでの20年間から50年間に伸長したことも大きなポイントです。これにより比較的長期間の賃貸借を必要とする、太陽光発電、ゴルフ場、大型プラントなどの設置を目的とした敷地の使用について、20年を超えて契約できるようになるのです。

設備や建物の不具合で賃料減額? 民法改正の内容を把握しておこう

変更点と変更の影響は?

改正民法で賃貸借契約に関わる変更部分は以下の通りです。

賃貸借終了時の敷金ルールの明確化

賃貸借契約のトラブルの中でも多い「敷金」について、改正民法では定義を明記して敷金の返還時期、返還範囲等に関するルールが明確になりました。

【敷金とは?】
入居者が賃貸していた部屋を退去する際の原状回復工事や滞納がある場合に充てられる費用として、入居時に預けるお金。原状回復工事に関しては経年変化以外での損傷を修繕することに使われ、残りがある場合は返還される。

計算式は以下の通りです。
敷金額-未払い債務残額(損害賠償金、未払の賃料、原状回復費用など)=返還額

賃貸借終了時の原状回復ルールの明確化

賃借人が負う原状回復義務について、「通常損耗」や「経年変化」による部分についてはその義務を負わないというルールが明記されました。現行民法では原状回復義務の範囲について定めた条文がなかったため、従来からトラブルの原因となっていました。敷金の返還にも関わる部分ですので、どのような損耗・変化がそのケースにあたるのかチェックしておくことが大事です。

【参考】国土交通省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化

賃貸人Aが賃貸人Cに賃貸物件を譲渡した場合、賃借人Bは新賃貸人のCに家賃を支払うことが明文化されました。オーナーチェンジの際に家賃の支払先が明確化されたことは、賃借人にとって安心できる改正といえます。

ただし、Cが家賃を受け取るにはAからCへ不動産移転登記が必要です。譲渡を受けたら早めに移転登記を済ませましょう。

修繕についての義務の明確化

今回の改正では賃貸人の修繕義務と賃借人の修繕義務の範囲が明確化されました。前者は賃貸人が物件を貸すときにはしっかり修繕して貸し出す義務を負い、後者は借主が壊したり汚した部分は自分で修繕する義務を負うものです。

連帯保証人の責任範囲と限度額の明確化

改正民法で連帯保証人の責任範囲と限度額が明確化されたことは、安心感につながる点で大きいといえます。

連帯保証人が責任を負う範囲は「債務の元本」「債務に関する利息」「違約金」「損害賠償」「その他に発生する債務」で、あらかじめ決められた極度額を限度とするように定められています。さらに連帯保証人の限度額を契約書に記載するように定められたのも画期的といえるでしょう。

設備の一部滅失による賃料減額の厳格化

現行の民法においては、建物の設備あるいは屋根などの建物の一部が故障・破損した場合には、借主は貸主に賃料の減額を請求することができると規定されています。

民法改正後は、賃料減額についての規定が厳格化され、使用できなくなった部分の割合に応じて、当然に賃料は減額される、と変更されます。そのためオーナーは、故障・破損を借主が発見した場合の通知義務、減額の割合や期間について、あらかじめ確認しておくべきでしょう。また、故障・破損が発生した際には、まずは早急に、誠心誠意対応して借主との信頼関係を構築し、減額請求に至らないよう努めることが大切です。

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これまで曖昧だったためにトラブルが絶えなかった賃貸借契約ですが、改正民法でルールが明確化されたことは、オーナーとユーザーの双方にとってプラスであり、今後の信頼関係の構築に貢献することが期待されます。

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