2021.06.29
賃貸管理

自主管理オーナーが保証会社を使うメリットは?利用方法と選び方

不動産を管理する上で、委託管理を行うのか、自主管理を行うのかを悩むオーナーは多いと思います。自主管理にはコスト削減をはじめとしたメリットがある一方、リスクやデメリットもあります。今回は自主管理のメリット・デメリットを改めて紹介するとともに、自主管理を行うオーナーだからこそ家賃保証会社を使うべき理由、メリットを解説します。

自主管理とは

自主管理とは、管理委託を利用せずに、入居者募集、家賃の入金、家賃滞納時の対応、物件設備の故障などによる修繕の対応など、賃貸経営にかかわる業務をオーナー自身で行うことをさします。

ただし、自主管理という形をとっている場合でも、本当に自分だけで全ての業務を行うことはほとんどありません。たとえば、大規模な工事は委託し、物件の清掃や簡単な工事、入居者の募集のみを自分で行うオーナーもいれば、ほとんどの業務を専門業者に委託し、その管理のみを行うオーナーもいます。

自主管理のメリット

自主管理のメリットは、なんといってもコストを抑えられることにあります。通常、管理委託には賃料の3%~7%程度の管理手数料がかかりますが、自主管理ならばこのような費用は発生しません。さらに、原状回復や修繕工事の費用についても、オーナー自ら複数の見積もりを取って業者に直接発注することができるため、費用を抑えやすくなります。

また、入居者との距離が近づくことで、入居者の暮らし向きがわかることを自主管理のメリットに挙げるオーナーもいます。どのような入居者が住んでいるのか、何に困っているのかを実感できることで、入居期間が延びたり、適切な空室対策を検討しやすくなったりするためです。

自主管理のデメリット

自主管理の最大のデメリットは、手間や時間がかかることです。たとえば、突発的な修繕が発生したときに緊急対応で時間をとられてしまうと、サラリーマンのオーナーや副業でオーナーをしている人は本業に支障をきたしてしまう可能性が出てきます。

また、入居者の審査など、オーナー個人では実施が難しい業務もあります。不動産会社を通している場合は、連携事業者や独自の情報をもとに入居審査が行われますが、オーナー個人でこのような審査を行うことは難しいでしょう。

それに加え、入居者による家賃の滞納が発生した場合には、オーナー自らが入居者に対して督促を行う必要があり、最悪の場合、法的手段が必要になるまでに至るケースも考えられます。家賃滞納のやりとりに慣れていないオーナーにとっては、対応にかかる時間だけでなく精神的に大きなストレスを感じやすいことも挙げられ、これも大きなデメリットの一つといえるでしょう。

さらに、オーナーだけで物件管理をしていることによって専門的な知見が不足してしまい、適切な対策を打てないことで空室期間が延びたり、思わぬ出費が発生してしまったりする場合があることもデメリットといえます。

自主管理のメリット・デメリットについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【結局どっちなの?】大家さんの自主管理と管理委託のメリットとデメリット

他の業者と連携できるかどうかがポイント

デメリットの章で紹介したとおり、賃貸経営の全てをオーナー個人だけで行うことは難しいといわざるを得ず、自主管理が成功するかどうかはいかに業者と連携できるかにかかっているといっても過言ではありません。業者との連携を深めることでオーナー自身の手間が削減できるだけでなく、専門的な知見を外部から補うことによって適切な賃貸運営を行いやすくなります。

たとえば、入居者募集の際には、仲介事業者と連携することで効率的に入居者を募集することができます。原状回復の際にはクリーニング業者や工務店との連携が必要になるでしょう。このように、業者との連携を深めてオーナー自身も知識を得ることができれば、簡単な修繕工事は自分自身で行う、依頼する内容を工夫するといったこともでき、更なるコストの削減も見込めます。

自主管理で活用したい「家賃保証会社」とは

入居者が何らかの理由で家賃を滞納してしまった際に、入居者に変わってオーナーに立て替え払いをしてくれるのが家賃保証会社です。

保証会社によって保証範囲は様々ですが、入居者による家賃の滞納だけでなく、更新料や原状回復費用の未払いなども保証されることがほとんどです。

また、滞納が継続し、法的手続きが必要になってしまった際の費用を保証してくれる場合もあり、オーナーにとっては入居者とのトラブル解決の心強い味方となります。

自主管理でこそ家賃保証会社を使う理由

これまで紹介してきたことをまとめると、自主管理を成功させるカギとなるのは、様々な事業者と連携をとって、入居者募集、入居者対応、建物管理、家賃管理と幅広い業務を行っていくことであるといえます。

では、自主管理を選択するオーナーだからこそ家賃保証会社を使うべき理由とは何でしょうか。1つ目は、家賃保証会社を利用すれば万が一の滞納が起きた際の督促を家賃保証会社が行ってくれるので、入居者トラブルのリスクを大きく下げられることが理由です。

また、家賃保証には大きく、「滞納報告型」と「集金代行型」の2種類があります。滞納報告型とは、滞納が起きた際に、家賃保証会社に連絡をすることで家賃相当額の保証を受けることができる仕組みです。一方、集金代行型とは家賃の集金を家賃保証会社がオーナーに代わって行い、入居者から集金ができなかった場合も家賃保証会社が立て替えて支払いをしてくれる仕組みです。

この集金代行型の家賃保証サービスを利用すれば毎月確実に家賃の送金を受け取ることができるため、これによって家賃管理の手間を大幅に減らせること、キャッシュフローの安定も見込めることは家賃保証会社を使うべき2つ目の理由といえます。

より詳しく家賃保証について知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
家賃債務保証とは?サブリースとの違いと家賃保証会社の選び方

家賃保証会社の利用方法

自主管理のオーナーが家賃保証会社を利用するには、大きく2つの方法があります。

1)不動産会社を通して家賃保証サービスを利用する
2)家賃保証会社と直接取引を行う

不動産会社を通して家賃保証サービスを利用する場合は、不動産会社が指定する保証会社の商品を使うことになることがほとんどです。また、不動産会社に仲介を依頼することになるため、もしオーナー自身で入居者を見つけたとしても不動産会社へ仲介手数料を支払う必要があります。

家賃保証会社と直接取引を行う場合は、自分自身で家賃保証会社を選ぶことが可能です。個人との取引を行っていない家賃保証会社も多いため注意が必要ですが、たとえば株式会社Casaの賃貸オーナー向けサービス「家主ダイレクト」のように、個人のオーナーでも取引可能な家賃保証会社も存在します。

家賃保証会社の選び方

では、家賃保証会社を選ぶ場合、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。注意するポイントは大きく二つです。

・集金代行型のサービスであること
・保証内容が十分であること

滞納報告型と集金代行型の違いはすでに上で説明したとおりですが、改めてここでも簡単に整理します。

・滞納報告型の保証商品…入居者からの毎月の入金状況を確認し、滞納があれば都度、保証会社に報告する必要がある。
・集金代行型の保証商品…滞納報告の必要はない。多くの場合、入金明細を提供してもらえるので入金状況を個別に確認する必要もない。

滞納報告型は毎月入金の有無を確認する負担・保証会社へ報告して滞納家賃分を請求する負担がオーナーに発生するものの、集金代行型は滞納のある・なしに関係なく毎月安定して家賃を振り込んでもらえることから、オーナーにとって自主管理を行う上での大きな助けになるのは集金代行型のほうであるといえます。

次に、保証内容についても注意が必要です。家賃保証会社ですので家賃についてはもちろん保証されますが、たとえば原状回復費用や更新料、早期解約違約金などのその他の保証においての保証範囲・保証金額は保証商品によって様々です。

また、保証内容に含まれているとしても注意が必要な場合があります。たとえば、原状回復費用の保証において、入居者の支払いの同意書がなければ保証が免責となってしまうような商品もあります。通常であれば問題はありませんが、仮に入居者が無断退室してしまった場合などはそもそも同意書を取得することが困難であるため、そのまま保証対象外となってしまうことがあるのです。そのため、保証商品を選ぶ場合は単に保証範囲だけでなく、どのような場合に免責となってしまうのかについても確認しておくことが重要です。

委託管理から自主管理に変えると家賃保証はどうなる?

では、管理会社を変更したり、管理会社を解約して自主管理に移行したりする場合はどうなるのでしょうか。この場合、管理会社の保証商品によっては保証契約が解除になってしまうことがあるため、管理会社へ連絡をとり、継続が可能であれば切り替えの手続きを行ってもらうことがおすすめです。

仮に家賃保証が継続できない場合、たとえば上で紹介した「家主ダイレクト」には現在入居中の方向けとなる『入居中プラン』が用意されています。同プランならば、すでに入居中であっても保証加入が可能となり、入居者による初期費用の負担はありません。このように、入居中でも保証加入が可能なサービスであれば、引き続きスムーズに保証を受けられることもあります。

家賃保証会社を活用して自主管理を成功させましょう

自主管理を行う上では、様々な業者と連携をとっていくことが重要です。家賃保証会社とうまく付き合うことで、リスクと手間を減らすことができます。自身の賃貸経営にあった家賃保証会社を活用して、効率的な自主管理を実現しましょう。

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