賃貸経営には小規模な修繕が頻繁に発生します。修繕費の大小が収益に直結するため、業者の見積もりの確認は必ず行いましょう。相見積もりをとって効果的にチェックし、コストを抑えるためのコツをお伝えします。
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賃貸経営をしていると収入だけではなく、出て行くお金も多いのが実情です。その最たるものが修繕費用です。入居者がいる時には、「ドアの建て付けが悪くて開かない」「トイレが壊れた」など、小規模な修繕が頻繁に発生します。また退去後には、原状回復のための修繕が必要になります。そして10数年に一度は、屋根・外壁の塗り替えといった大規模な修繕が発生します。
このように賃貸経営と修繕費は切っても切り離せない関係といえます。そして修繕費は一定ではなく、工事内容や依頼先(リフォーム会社)によって、上にも下にも大きくブレるもの。この修繕費をいかにコントロールするかで、収益に大きな差が出てきます。そこで大事になってくるのが、見積書のチェックです。
物件の管理を管理会社に任せている場合、基本的にはその管理会社から修繕の見積書が送られてきます。その時に、オーナーの皆さんはきちんとチェックできているでしょうか? 「よくわからないから詳しく見ていない」という人も多いでしょう。しかし、修繕費を抑えるためには見積書のチェックは欠かせません。
まず大切なことは、必ず2社以上から相見積もりを取ることです。複数のリフォーム会社から見積書を作ってもらえば、価格の比較検討が行えます。いろいろな見積書を見ていくなかで、相場感覚を掴めるようになり、その工事が高いか安いかのおおよその判断ができるようになるのです。
相見積もりを取る際に注意したいのは、記載する項目を各社でそろえてもらうこと。工事項目や見積書の記載方法がバラバラだと比較検討しづらいからです。そこで、最初のリフォーム会社から受け取った見積書を見て、工事項目(修繕箇所、材料費、施工費、諸経費)を拾い上げます。そのうえで、拾い上げた項目を別のリフォーム会社にも伝えて、同じ基準で見積書を作成してもらうようにします。
見積書の作成を依頼する際は、「複数の会社に相見積もりをお願いしている」と伝えておく方がいいでしょう。それが一般的なビジネスマナーですし、他社と競合していることを知らせることで有利な条件を引き出せる可能性もあるからです。
見積書には工事内容についてできるだけ詳しく書いてもらうようにします。
例えば、トイレの修繕を「トイレ工事一式」と書くリフォーム会社がいた場合、それでは詳しい内容がわかりません。トイレの工事でも「壁クロス交換」「クッションフロア交換」「ボールタップ交換」など、工事箇所はいろいろとあるはず。それらを細かく分けて記載してもらいます。
また、材料代と人工代(施工費)、諸経費を分けて書いてもらうようにします。リフォーム会社によって作業の仕方や使う材料は少しずつ異なるので、すべての見積書で工事項目を統一することは難しいかもしれません。しかし、おおよそ同じ基準で作った見積書であれば、比較検討するには十分です。
なかには賃料アップのための提案として、プラスアルファの要素を加えた見積書を出してくるリフォーム会社もいるかもしれません。しかし、何でもかんでも提案通りにリフォームしていたら、お金がいくらあっても足りなくなります。
普段シャワーだけで済ませるような学生の入居が多い部屋なのに、追い炊き機能付きのお風呂はいりませんよね。入居者に気持ちよく生活してもらうために必ず行うべき工事や、費用対効果の高い工事から優先的に実施し、不要な工事については見送りするという経営判断も大切です。
コストを抑えるためには、部材や設備をグレードの低いものに変更できないかも検討するべきでしょう。
「フローリングの張り替え」と見積書にあったとしても、それが本当に必要とされているかどうかは、ターゲットとしている入居者によって異なります。低価格帯の部屋ならクッションフロアでも十分ですし、そもそも少しくらいフローリングに傷がある状態でも、問題なく借りてくれる人もいるでしょう。
設備についても同じです。6畳の部屋に8畳用のエアコンはオーバースペックです。一つ一つの項目についてどのようなグレードのものを使っているのか確認し、コストダウンの可能性を探りましょう。
さらにコストダウンを図りたいなら「施主支給」という手もあります。施主支給とは洗面化粧台・キッチン等の設備や床材などの部材について、施主であるオーナー自らが購入し、リフォーム会社に渡して作業してもらう方法です。ネット通販サイトなどを活用して安い商品を探して支給することで、リフォームの総コストを抑えられるというメリットがあります。
ただし注意したいのは、リフォーム会社とよく相談のうえ、支給する設備や部材を決めることです。寸法などを間違って商品を買ってしまったら、トラブルや工期の遅れにつながるからです。また、そもそも施主支給を受け付けていないリフォーム会社もあります。事前に確認してから実施するようにしましょう。
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