2021.02.12
賃貸管理

純資産10億円を実現した不動産オーナーが語る03-大家さんが「家余り時代」を生き抜く経営の知恵

銀行員時代から二足のわらじで不動産経営に乗り出した川村龍平氏。ペンキ塗りや本人訴訟まで、すべてまずは自分でやり、そのあと業者に頼む部分は直接業者に発注するという徹底した自主管理でコスト削減。その努力が実を結び、純資産10億円・無借金経営を実現させている強者です。

書籍『不動産経営 誰も教えてくれないお金の残し方』の出版を記念した特別インタビューシリーズ、最終回となる第3回目は、厳しさを増す日本の不動産投資環境下で、不動産オーナーが生き残るにはどうすればいいのか鋭く提言していただきます。
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楽観視はできない!厳しさを増すことが予想される不動産経営

これからの日本の不動産投資、とくに賃貸経営をめぐる環境は、決して楽観視できるものではありません。なぜなら「人口減」「人々の所得減」「金利上昇」に加え、「相続税アップによる新築供給の加速化」なども考えられます。とりわけ新築供給の加速化は、都市部は当然のことながら競争が乏しい地方にも波及する恐れがあります。よって「家余り」が発生し、不動産の価値低下、空室率の増加はまったなしです。

今後、東京の都心などを除けば、不動産の価値が上昇することは考えにくいです。そのため、物件を売却して大幅なキャピタルゲインを期待することは、まず無理でしょう。つまりコツコツと家賃収入で利益を出す、インカムゲインで不動産経営を続けることが現実的な選択です。

さらに、台風や地震といったリスクも無視できません。私も保有している物件が2019年の台風15号と19号の被害に遭い、損害保険の受け取りが数百万円にのぼりました。そして、南海トラフ地震、首都直下型地震なども考えておかなくてはいけません。

こうした社会的なリスク要因を踏まえると、ある程度の資産がないとこれからの不動産経営は乗り切れないでしょう。

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未来は不確実だが正しい不動産経営をすればきちんと儲かる

こうした現実をお伝えすると、不動産経営なんてやらない方がいいと挫けそうになる人もいるかもしれません。しかし、変化に対応できる不動産オーナーは、生き残っていけると信じています。

第2回の記事でもお伝えしましたが、まずは不動産経営の指標となるキャッシュフロー分析は必須です。どんぶり勘定で不動産経営をしているならすぐに考えを改めましょう。ちなみに、フルローンで物件を購入した人は、低利回りかつ低金利で長期の融資を受けていることから、キャッシュフローを出せているだけのケースが少ない場合が殆どです。結果、税引き後はほとんどお金が残らない人があまりにも多い。賃貸経営は長期に及ぶものです。しばしば目にする“家賃収入は公開しているのに純資産を言わない”不動産オーナーは、はたして手残りがどれくらいなのだろうと常々不思議に思っています。

社会的な環境要因を見るに、この低金利時代があと数十年続くとは思えません。もし金利が上昇したら……。それこそたいへんな状況になることは目に見えてます。低金利が当たり前ではないという現実を踏まえる、そして手残りを少しでも増やすためコストを削減する。家賃保証会社など家賃滞納の不安から解放してくれる、コストの見合うサービスを自分で選び、上手く活用しましょう。

キャッシュフロー分析だけでなく、経済の大局観を見る目を養うことも重要

不動産投資に求められるのは、世の中の大局を俯瞰する力と細かい分析をする力です。大局観を養うためには、経済や金融、他の投資を学ぶことです。不動産経営のノウハウだけ蓄えても、大局観は身につきません。日本をはじめ世界の動向を知ることで、不動産の未来が予想できると言ってもいいでしょう。そして細かい分析については、繰り返し述べてきたようにキャッシュフロー分析を怠らないことです。

かく言う私も、はじめから成功していたわけではありません。最初に購入したのは中野にある築3年のワンルームマンションで、約1,500万円でした。その物件の表面利回りは6%だったのですが、手元にまったくお金が残らなかったんです。それで、これはダメだと痛感し、キャッシュフロー分析をするようになりました。そこから不動産経営のスタイルは一変。結果として純資産10億円を築くことができました。この経験をもとにして言えるのは、「利回り」を根拠なく鵜呑みにしない、ということです。

“お客様は神様”を実感できる自主管理

そして、最後にお伝えしたいのは、「”お客様は神様”の精神を忘れちゃいけない」ということです。どうしたら入居者様に喜んでもらえるのか、暮らしやすさを感じてもらえるのかを考えましょう。自主管理は入居者様に感謝されると喜びを感じますし、汗をかいた分だけが自分の見返りになります。但し、何でもかんでも入居者の要求を呑むのではなく、正当な理由にのっとり、入居者との交渉に臨むこともこれからはより重要になってくると思います。知識と分析力を武器に、正しい不動産経営を継続させることができれば、確かな資産を築けるはずです。

川村龍平(かわむら・りょうへい)

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業後、第一勧業銀行、モルガンスタンレー証券会社にて、債券トレーダーとして機関投資家向けビジネスを行う。2002年、渋谷に一棟ビルを購入、サラリーマン大家をスタート。2005年11月より専業大家となる。現在ビル3棟、アパート4棟、ワンルーム3戸を個人保有し経営中。本人訴訟からペンキ塗りまで全て自主管理する。純資産10億円。あと2年で主な借金は完済予定。現在実質借金ゼロ経営を継続中。2020年6月に初の著書『不動産経営 誰も教えてくれないお金の残し方』(幻冬舎)を上梓。

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