ゼロから純資産10億円をつくった不動産オーナーとして知られる川村龍平氏。30代から不動産経営をスタートさせ、試行錯誤を繰り返しながら現在は自主管理の道を究めています。メガバンクで働いていた経験を活かし、不動産経営におけるキャッシュフロー分析の大切さを訴えるセミナーは好評を博しています。川村氏の新著出版を記念した特別インタビュー、第2回目は不動産経営の課題をどう乗り越えるかを語っていただきました。
第1回目のインタビューはこちら
私は、これまで不動産のオーナーに寄り添い、きちんと儲かる方法を伝えるべくセミナーを行ってきました。そこで、一貫して主張してきたのは、「自主管理の重要性」です。私は、20年近い不動産経営の中で、会社員時代も含めて管理会社に一度たりとも管理を依頼したことはなく、自主管理を徹底してきました。極端かもしれませんが、それができたからこそ、不動産投資で純利益10億円を築くことができたと言ってもいい。
では、自主管理の土台に何が必要か。第一に、キャッシュフローの分析です。物件の購入に際しては、税引き後・経費控除後のキャッシュフローをシミュレーションすることが必要です。まずは、実際の手取り額がどれくらいになるのかを算出し、借入金を完済する30年後までプラスを維持し続けられるのかを見極めます。
私は、不動産コンサルティングも行っていますが、独自に開発したシミュレーションツールを用いて、必ず相談者のキャッシュフロー分析をしています。これをせずに安易に不動産投資をはじめることは危険です。
次に、建築の知識を身につけることです。自主管理は業者に直接発注することになるので、排水工事や設備、リノベーションなど、幅広い知識がないといけません。いかに中間マージンをなくして、自分のところにキャッシュを集中させるかが大事なので、自主管理を極めるためには建築関連の勉強をする覚悟が肝心です。
不動産経営には、維持管理など不要だと思われるコストがある反面、いざというときに支えてくれるサービスもあります。そのひとつが家賃保証サービスです。私は、全物件のうちかなりの部分で家賃管理を保証会社にお願いしています。経済が不安定な世情ですから、いつ家賃の滞納が発生するか分かりませんよね。ちなみに、私が利用しているCASAの「家主ダイレクト」は、前月末に翌月分が全部振り込まれるので、キャッシュフローにおける遅延が起こりません。特に、家賃滞納にかかわるトラブル解決は、自主管理を行う大家にとって大きな負担となると実感しています。しかも保証会社のサービスは入居者から保証料をもらう仕組みなので、大家は負担ゼロで利用できます。費用対効果を考えると、家賃保証会社を使うのはマストだと思っています。
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また、私は客付けについても、不動産経営をはじめてすぐの頃から、自分で不動産仲介業者に足を運んで物件の写真を見せるなどして営業してきました。それを地道に続け、数十社も回ると、お付き合いできる会社が数社残ります。空室が出たら、その付き合いのある不動産仲介業者に直接連絡を取ることで、管理会社に任せるよりもスピーディーに客付けできるようになります。ちなみに、新築の場合は客付けが比較的簡単です。修繕の比率も少なくクレームも少ない傾向があるので、新築物件はより自主管理しやすいといえます。
逆に築古物件であれば、リフォームに注力することが大切。私は、リフォームの知識も常に吸収するように努め、物件をおしゃれでかっこよく蘇らせるにはどうすればいいか研究しています。また、施行も業者に丸投げするのではなく、壁紙を貼ったり、ルームクリーニングをしたりと、何でも自分の身体を動かして経験を積んできました。
私は、リフォームにあたって必ず分離発注をしています。解体産廃業者、大工、電気屋、ガス屋、水道屋、ユニットバス業者、サッシ屋、それぞれ個別に発注して、自分で大まかな工程表を作り連携を図っています。材木や器具は、ホームセンターやネットで購入。現地着荷にして、大工さんに受け取ってもらいます。このように、工務店に任せるのではなく、自分が動くことによりリフォームのコストを半額以下に抑えることができます。
専業だからできるのではと思われがちですが、サラリーマン大家さんでも、土日を使えば何とかなります。むしろ、これくらいやらないとキャッシュが手元に残りません。繰り返しになりますが、不動産経営は甘くないのです。
しかし逆にいえば、これだけやるとしっかりとお金が入ってきます。私は純資産10億円を手にすることができましたが、他の商売ではこれだけの資産を築けなかったでしょう。いろんな手間も掛かりますし苦労はありますが、それを乗り越えると平穏な時期も必ずやってきます。不動産はやるべき分析をきっちりやって、自主管理を徹底することで盤石になると断言してもいい。そう思っています。
書籍『不動産経営 誰も教えてくれないお金の残し方』の出版を記念した特別インタビューシリーズ、最終回となる第3回目は、厳しさを増す日本の不動産投資環境下で、不動産オーナーが生き残るにはどうすればいいのか鋭く提言していただきます。
川村龍平(かわむら・りょうへい)
横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業後、第一勧業銀行、モルガンスタンレー証券会社にて、債券トレーダーとして機関投資家向けビジネスを行う。2002年、渋谷に一棟ビルを購入、サラリーマン大家をスタート。2005年11月より専業大家となる。現在ビル3棟、アパート4棟、ワンルーム3戸を個人保有し経営中。本人訴訟からペンキ塗りまで全て自主管理する。純資産10億円。あと2年で主な借金は完済予定。現在実質借金ゼロ経営を継続中。2020年6月に初の著書『不動産経営 誰も教えてくれないお金の残し方』(幻冬舎)を上梓。
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