留守にしていても荷物を受け取れる宅配ボックスは、家を空けることの多い現代人にとってあると便利なサービスです。宅配ボックスを設置することが入居者募集に効果的な理由や、宅配ボックスの設置によって国から受け取れる助成金について解説します。
不在時に荷物を仮置きできる宅配ボックスは、マンションに設置されていることが多い傾向です。鍵付きなので、入居者以外が勝手に持ち出すことはできません。入居者にとっても宅配業者にとっても再配達の手間が省けるため、忙しい現代人に人気の設備です。
ネット通販の普及により、宅配便の数は年々増加しています。共働き世帯が増えたことによるライフスタイルの変化に伴い、自宅での荷物の受け取りが難しくなっており、宅配ボックスのニーズは更に高まっています。
最近では、賃貸マンションや戸建て賃貸でも宅配ボックスを設置するところが増えてきました。宅配ボックスは、マンションや賃貸アパートで人気のダイヤル式や、戸建て向けの地面に固定するタイプなど、さまざまな種類が発売されています。価格や設置のしやすさも商品によって変わるため、気になる場合はチェックしてみましょう。
単身世帯や共働き世帯、一人暮らしの学生など、多くの人が物件探しで宅配ボックスの有無を確認するようになりつつあります。暮らし方の変化に柔軟に対応し、宅配ボックスの設置を検討しましょう。
2016年から2017年にかけて、福井県あわら市では市町村とパナソニックが企画し、日本郵便とヤマト運輸の協力を得て壮大な実証実験が行われました。あわら市内の106世帯に宅配ボックスを設置した結果、再配達は49%から8%にまで減少したといいます。再配達の減少によって、モニター世帯の98%が「満足」と回答し、住民の満足度が向上しました。
また、住民の満足度向上にとどまらず、宅配業者の労働時間が223時間削減され、トラックの二酸化炭素排出量は466キログラム削減されました。宅配ボックスの設置は労働問題や環境問題にもいい影響をおよぼす結果となったのです。あわら市のこの取り組みをきっかけとして、政府も本格的に宅配ボックスの設置を後押しする動きを見せ始めました。
2017年4月より、宅配ボックスを設置すると助成金が受け取れる制度が国土交通省によって創設されました。宅配ボックスの設置に助成金がおりる背景には、物流業界の労働力不足やトラックが排出する二酸化炭素による環境汚染が問題視されたことがあります。この制度を活用すれば、企業を問わず誰もが利用できる宅配ボックスを設置することで、設置にかかった費用の半額を助成金として受け取ることができます。
実施期間は2017~2021年なので、宅配ボックスの設置を検討している場合早めに着手しましょう。また、2019年度には国土交通省によって「次世代住宅ポイント制度」の創設が予定されています。次世代住宅ポイント制度は、2019年10月の消費税率10%への引き上げに備えて考案されました。消費税率が上がることで、新築やリフォームのニーズが減少し、不動産業界が打撃を受けるのを防ぐことが目的です。
次世代住宅ポイント制度では、エコ住宅や耐震住宅の新築、耐震改修などのリフォーム、宅配ボックスや食洗器の設置によって、ポイントを受け取ることができます。受け取ったポイントは、「環境」「高齢者対応」「子育て支援」など一定の分野にかかわる商品と交換可能です。あわら市の実証実験をきっかけとして、宅配ボックスの設置には今大きな注目が集まっています。
宅配ボックスが広く設置されるようになれば、宅配ボックスがないことが入居者集めにおいて不利に働く可能性も否定できません。助成金やポイント付与の制度を賢く活用して、追い風が吹いている今こそ宅配ボックスの設置を検討しましょう。