2020.4.22
不動産投資

いよいよ完全にふさがれる?消費税還付についての変更点

(画像=one photo/Shutterstock.com)
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これまで活用されてきた不動産投資における消費税の還付スキームが、2020年度の税制改正で完全に封じられる見込みです。今回は、不動産投資の消費税還付スキームの仕組みをあらためて確認するとともに、今回の改正でどのように抜け道がふさがれたのかを解説します。

消費税の仕組みを簡単におさらい

まず、一般的な消費税の仕組みについて確認しておきましょう。例として、材料を仕入れて商品を作り、その商品を売っている事業者の売上高と仕入高が下記の通りだった場合を見てみます。

機械の売上高 年間1,100万円(消費税100万円)
材料の仕入高 年間440万円(消費税40万円)

売上にかかる消費税100万円は、実質機械の購入者が機械を購入する際に負担したものです。つまり、事業者は消費税100万円を消費者から預かっている状態です。仕入にかかる消費税40万円は、事業者が取引先に支払った消費税です。

この時、事業者が納める税金は、預かった消費税100万円から支払った消費税40万円を差し引いた金額、つまり60万円となります。消費税は、最終消費者が負担し、事業者がそれを計算して納税するという仕組みを採用しているのです。

消費税還付スキームとは?過去の改正内容も解説

事業者が納税するのは、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた金額です。一方、支払った消費税が預かった消費税を上回った場合は、消費税は還付されます。

この仕組みを活用して、建物の購入時にかかった消費税の還付を受けようというのが、不動産投資における消費税の還付スキームです。

家賃収入は、消費税がかからない非課税売上に該当します。非課税売上だと、預かった消費税が発生しないため、消費税の申告が必要ありません。しかし、仕入にかかった消費税の還付を受けることもできないのです。

そこで、建物を購入したタイミングで「課税売上を作る」ことにより、消費税の還付を受けられるようにするスキームが流行しました。いわゆる「自販機スキーム」です。

建物を購入した年は、家賃収入を受け取らず自販機売上のみを計上すれば、建物の購入にかかった消費税について全額還付を受けることが可能になります。

初年度が自販機の売上で課税売上100%だったとしても、その後事業内容が変わって課税売上の割合が下がった場合、3年後に還付された消費税を払い戻さなければならないという仕組み自体はありましたが、この段階では届出を出すことで払い戻しを逃れることがまだ可能でした。

しかし、2010年度、2016年度の税制改正で、二度にわたって「居住用不動産の消費税還付スキーム」の封じ込めが行われます。この改正により、届出の提出に制限が加えられ、払い戻しを逃れることが難しくなりました。そこで今度は、3年間は「課税売上割合が下がらないようにする」スキームが生み出されます。いわゆる「金地金スキーム」です。

非課税である家賃収入がある中、自販機売上だけで課税売上割合を維持するのは至難の業です。しかし、金地金の売買を行えば、課税売上割合を維持するのは難しくはありません。不動産投資家の間では、このように依然として消費税の還付スキームが活用されてきました。

完全な封じ込めとは?衝撃的な2020年度の改正内容

これまでの流れを受け、「金地金の売買では消費税の還付が受けられなくなる改正がなされるだろう」と、多くの税理士や不動産投資家は予想していました。しかし、2019年12月に発表された2020年度税制改正大綱に盛り込まれた内容は、予想以上に厳しいものでした。

それは、「住宅用建物を購入した際の消費税を差し引くことを禁止する」というものです。つまり、これまでのように課税売上を工夫したとしても、今後は消費税の還付は一切受けられないことになります。今後新たなスキームが登場する可能性はないとは言いきれませんが、かなり厳しい状況になったといわざるを得ません。

改正内容が適用されるのは、2020年10月1日以降に引き渡しが行われる物件です。建物の購入にかかる消費税は数百万円に及ぶので、還付スキームの活用を検討している人は、期限内に物件を購入することを検討した方がいいでしょう。
 

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