2021.02.12
賃貸管理

家賃債務保証とは?サブリースとの違いと家賃保証会社の選び方

家賃債務保証とサブリースは、どちらも家賃を保証してくれることで共通点があります。しかし、その仕組みには異なる部分もあり、家主はどちらが自分の物件にふさわしいか選択する必要があります。ここでは両者の違いと、家賃保証会社の選び方を解説します。

家賃債務保証とは

家賃債務保証とは、家賃債務保証会社(以下、保証会社)が入居者の連帯保証人になり、家賃滞納があった場合に、家主に立て替えて家賃を払ってくれるサービスです。家賃をはじめ金銭的なやりとりに関して保証会社が債務を引き受けてくれるため、大家さん(家主)はリスクの少ない経営をすることができます。

家賃債務保証の役割

家賃債務保証の役割は大きく分けて2つあります。1つは、入居者の連帯保証人になることです。これまでの入居審査では、高齢者、学生、外国人などは、審査に通らないケースが多くみられました。保証会社が保証人になることで、保証人を見つけにくい人でもアパート・マンションを借りることができるようになります。

もう1つは、万一家賃の滞納があった場合に、家賃を立て替えて家主に支払うことです。家主にとっては、家賃が確実に入ることで、賃貸経営を安定化させることができます。

家賃債務保証の利用の増加

家賃債務保証の利用は増加の傾向にあります。国土交通省住宅局が公表した「家賃債務保証の現状」という資料によると、何らかの形で保証会社を利用する人の割合が、平成22年度の39%から平成26年度には約56%まで増加しています。入居者と家主にとって、保証会社はなくてはならぬ存在になっており、今後も増加の傾向は続くものと予想されます。

▽家賃債務保証の利用状況

(出典:国土交通省「家賃債務保証の現状」)

家賃債務保証会社の利用者が増加する理由は、高齢化と核家族化で独居の高齢者が増えることと、若年人口の減少による労働力を補うために、外国人労働者が増加するからです。高齢者と外国人の入居は家主にとってリスクがあるため、保証会社を利用する傾向はますます強まる可能性が高いと思われます。

また、2020年4月から施行された改正民法により、連帯保証人の極度額を設定しなければならなくなりました。賃貸借契約書において、連帯保証人の責任限度額を金額として明記する必要があり、連帯保証人を見つけるためのハードルは高くなっています。そのため、家賃債務保証会社を利用するケースは増加傾向にあります。

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家賃債務保証の仕組みとメリット・デメリット

家賃債務保証は以下のような仕組みになっています。

▽家賃債務保証の概要

(出典:国土交通省「家賃債務保証の現状」)

はじめに入居者と家主が賃貸借契約を締結します(①)。次に入居者は保証会社と家賃債務保証委託契約を結び、保証料を支払います(左の②)。同じく家主は保証会社と家賃債務保証契約を結びますが、家主の保証料負担はありません(右の②)。その後、万一家賃の滞納が発生した場合は(③)、家主から請求を受けた保証会社が、立て替えて家主に家賃を支払います(④)。続いて保証会社は入居者に立て替えた家賃の支払いを求める(⑤)という仕組みです。

家賃債務保証には、一般保証型と支払委託型の2種類があります。それぞれの仕組みと、メリット・デメリットは以下のとおりです。

家賃債務保証の種類1:一般保証型のメリットとデメリット

一般保証型は、入居者が家賃を滞納した場合、家主からの請求を受けて保証会社が立て替えて家主に支払い、その後入居者に立て替えた家賃の支払いを請求する仕組みです。前掲の概要図が一般保証型にあたります。

一般保証型のメリットは、通常は入居者から家賃を受け取るため、支払い状況を把握できることです。滞納が続けば、「支払いが難しいから転居が近いかもしれない」と空室になる可能性を予測することができます。デメリットは、滞納がある度に請求しなければならないことです。

家賃債務保証の種類2:支払委託型のメリットとデメリット

一方の支払委託型とは、家主から委託を受けた保証会社が、毎月家賃を立て替えて家主に支払う仕組みです。入居者は保証会社に家賃を支払います。滞納がなくても保証会社が立て替えるのが特長です。

▽支払委託型のイメージ(株式会社CASA「家主ダイレクト」の例)

株式会社CASA「家主ダイレクト」の例

支払委託型のメリットは、家賃が前月末に支払われるため、家主のキャッシュフローが安定することです。また、滞納の有無に関わらず家賃が入金されるため、一般保証型のように請求する必要がありません。

デメリットは、家賃の支払い主が保証会社となるため、入居者の状況がよくわからないことです。それでも、家主の手間などを考えると支払委託型のほうが利便性は高いといえそうです。

家賃債務保証とサブリースの違い

家賃債務保証とサブリースは、ともに家賃が保証される点で共通していますが、契約も仕組みも基本的に異なるものです。サブリースの仕組みとメリット、そして気になるリスクについて確認します。

サブリースの仕組み

サブリースとは「転貸」のことを指し、サブリース会社が家主から建物を一括して借り上げ、入居者に転貸し、家主に一定の家賃を保証する制度です。

家主には空室の有無に関わらず一定の家賃が入るため、毎月の収入が安定します。サブリース会社が物件を運営する形になります。基本的には家主が所有する空き地に賃貸物件を建築してもらい、サブリース契約を結ぶことが多く、家賃収支の予算が立てやすい反面、同じ会社の物件が同一地域に乱立する危険があります。

サブリースのメリットとリスク

サブリースのメリットは、空室があっても一定の家賃収入を得られるので、経営が安定することです。運営はサブリース会社が行うので、ほかに本業をもつ家主には便利な仕組みといえます。

ただし、サブリースは賃料収入が安定する半面、リスクも多いので注意が必要です。1つは契約期間が決っているため、契約時の賃料がずっと保証されるわけではないことです。契約更新時に空室が多ければ、家賃を下げられる可能性があります。同じ会社の物件が乱立した結果供給過多となり空室が増え、契約家賃の値下げを通告されたことで社会的話題になったのが「サブリース問題」です。

2つめは大きな修繕費を負担するリスクがあることです。退去時の原状回復工事や大規模修繕を行う際に、相場より高い工事費用を請求される場合があります。運営の手間がかからないということは、逆にいえば家主が判断する余地が少ないということでもあるのです。

そして3つめが、家賃収入の最大化を図れないことです。たとえ満室になっても契約した家賃以上の金額が入ってくることはありません。

家賃債務保証とサブリースの違い

家賃債務保証とサブリースの違いを、運営方法や契約期間、手取り家賃や空室対策などから比較してみましょう。

▽家賃債務保証とサブリースの違い

家賃債務保証 サブリース
運営方法 自主運営 委託運営
保証期間・契約期間 家賃保証期間あり 契約期間あり
家賃決定の主導権 原則として家主 会社
手取り家賃 原則として100% 80~90%(会社により異なる)
空室対策 一部あり(客付けなど) 契約会社に一任

上記は、家賃債務保証とサブリースの一般的な違いをまとめたものです。

両者の最も大きな違いは、運営方法です。家賃債務保証は家主に運営の主導権がありますので、通常どおり賃貸経営を行うことができます。一方のサブリースは家主から物件を借り上げたサブリース会社が運営しますので、原則として家主は運営に関わることができなくなります。

次に保証期間・契約期間の違いです。サブリースは契約期間が決まっており、空室率などを基準に定期的に保証賃料の見直しが行われます。一方家賃債務保証は家賃の保証期間が決まっています。契約更新時に再度入居者が保証料を支払い、保証が継続されるのが一般的です。

家賃決定の主導権にも違いがあります。家賃債務保証では原則として家賃は家主が決められますが、サブリースは会社が運営しているため、家賃変更の際は会社から通告されることになります。また、家賃自体もサブリースでは管理料が差し引かれ、80~90%と手取り額は減ってしまいます。

空室対策については、債務保証会社では提携している不動産仲介会社をとおして客付けをしてくれる会社があります。一方サブリースは、空室対策も会社に一任することになります。

全体的な比較では、お任せで家賃収入が入るサブリースが便利ですが、リスクも多く、家主が経営の主導権を持てる家賃債務保証のほうが安心できる印象があります。

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では、家賃債務保証会社はどのような点に注意して選べばよいのでしょうか。1つめは当然のことながら実績のある会社を選ぶことです。インターネットで家賃債務保証に関するサイトを見ると、ランキングや「おすすめ保証会社〇選」という形で実績のある保証会社が紹介されています。上位はだいたい同じ会社が並んでいますので、ある程度評判の良い会社を絞れるでしょう。

2つめは、ネットワークのしっかりした会社を選ぶことです。保証会社のなかには全国で数万社の不動産仲介会社とネットワークを組み、客付けをしてくれる会社もあります。つまり、保証会社を利用することが空室対策にもなるのです。

そしてもう1つのポイントが、財務基盤の強固な会社を選ぶことです。仮に平均月10万円の家賃で100件滞納があると、年間の立て替え家賃は1億2,000万円にもなります。財務基盤が強固でないと家賃の立て替えに不安が生じる事態も考えられます。

家賃債務保証会社が上場していれば、財務内容はインターネットで調べることができます。一般的に自己資本比率が40%以上あれば安全な会社といわれていますので、その数字を目安にチェックするとよいでしょう。

まとめ 保証会社とサブリース会社の違いを理解し堅実な経営を目指そう

家主側から見た家賃債務保証会社とサブリース会社の違いをあらためてまとめてみましょう。

  • 滞納した場合の家賃支払いを代行するのが保証会社、毎月一定の家賃(見直しあり)を保証するのがサブリース会社。
  • 入居者の間口を広げることで、結果的に空室を減らすのが保証会社、空室時の家賃を保証するのがサブリース会社。
  • 家主自身が賃貸運営するのが保証会社、運営をサブリース会社に委託するのがサブリース。
  • 家主が入居者の家賃を全額受け取るのが保証会社、家賃からサブリース料を差し引いた額を受け取るのがサブリース。

その他細かい条件はそれぞれの会社によって異なりますので、違いを理解して賢く活用することが大事です。

いかがでしょうか、保証会社とサブリース会社にはそれぞれメリットがあり、どちらにしたらよいか迷うところでしょう。ただ、不動産経営においては、堅実性が何よりも求められます。最近のサブリースの社会的問題を考えると、堅実性では家賃債務保証会社に分があるといえそうです。
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