オーナーが不動産管理会社へ手数料として支払う「管理費」。管理費の目安、代行してもらえる業務、自主管理のメリットデメリットをお伝えします。うまく自主管理を行うと不動産運営のノウハウが身に付くでしょう。
多くの大家さんが管理にかかわる業務を不動産会社に委託しています。その分、管理費がかかります。管理は手間のかかる業務ですが、管理費を払ってまで外注するべき業務なのでしょうか。
管理の具体的な業務と管理費の目安についてご説明します。
不動産管理業務は、入居者対応と建物管理の2つに大きく分けられます。入居者が増えれば入居者対応が増えますし、物件の規模が大きくて設備が多ければ建物管理が煩雑化します。
簡単にいうと入居者が増えれば(=家賃収入が増えれば)、また、物件価格が高ければ管理費も高くなる傾向にあります。
つまり、年間家賃収入や物件価格に一定の率をかけることで、大まかな年間の管理費を見積もれるということになります。
管理業務をどこまで不動産管理会社に委託するかにもよりますが、おおむね賃料の5%前後というのが管理費の目安となるでしょう。
なお、管理委託でも自主管理でも、管理費以外に税金がかかります。
所得税および住民税(平成49年までは復興特別所得税)、固定資産税および都市計画税を毎年支払う必要があります。
こうした税金の計算・申告・支払いのために確定申告を行います。
こうした税務処理を税理士に委託していれば、その委託費も毎年のコストに加算されることになります。
委託をせずに自分で管理を行うようにすれば、管理費はかかりません。
管理委託によってどのような業務を代行してくれるのか、その中で自分でできる業務はないのかチェックしてコストを抑えましょう。
【入居者管理】
・入居者募集および選定…部屋に入居してくれる人を集め、その人が問題ないか見極める業務
・契約業務…新たな入居者と契約する業務
・集金代行…賃料を入居者から集める業務
・契約更新業務…契約期限が迫った入居者に対して契約更新 または 退去の意思を確認する業務
・部屋のクリーニング・修繕…入居者が退去した後の部屋の整備
・家賃滞納対応…滞納した入居者に対する督促
・クレーム対応…建物や設備に対するクレームへの対応
・トラブル対応…入居者同士、あるいは近隣と入居者とのトラブルへ対応
【建物管理】
・清掃・メンテナンス…共用部分の清掃および設備のチェックなどメンテナンス業務
・破損箇所および設備の修繕…壊れた部分の取り替えや修繕
・長期修繕計画の策定…定期的な修繕の計画
【その他】
・記帳…日々の収支の記録
・確定申告…所得を税務署へ申告する業務
以上のように、管理業務は多岐にわたります。
これらをすべて外部委託する場合、管理会社や工事会社、税理士など複数の専門家に委託費を支払うことになります。
委託費を支払う分だけ、投資用物件の実質利回りを押し下げることになるのです。
管理する戸数や物件数が増えてくると、物理的に自分一人では対応しきれなくなります。
そうなれば管理会社、その他の専門家へ依頼する方がよいでしょう。
逆に言えば、区分マンションなど所有する戸数が少ない場合は、自主管理ができないわけではありません。
たとえばクレーム対応やトラブル対応も、物件や入居者の見極めがしっかりできていればそこまで高い頻度で対応が発生するわけではありません。
管理委託をする場合、不動産会社選びや担当者との相性が重要です。
ひとくちに「管理会社」と言っても、設備の修理や交換等、各種業者とのやり取りまでやってくれるところもあれば、賃料の集金および簡単な管理業務しか担当しないところもあります。
全般的な委託を「全部管理委託」、部分的な委託を「一部管理委託」と言います。
前述のとおり管理業務は多岐にわたりますので、自分が希望する業務までやってくれる会社かどうか、慎重に確認する必要があります。
管理会社に任せたつもりが、実際に行なわれていなかった場合、困るのは大家さんご自身です。
また、管理会社とは長く付き合うことになりますので、担当者との相性も重視したいところです。
誠実に向き合ってコミュニケーションを取ってくれるか(おざなりな対応でないか)、時間やお金を大切に管理してくれるかなど、押さえておきたいポイントは人によって様々です。
必ず管理会社へ足を運び、担当者と話をしてから委託先を判断するようにしましょう。
委託管理して管理の手間を省きたいと思っている人でも、まずは部分的にでも自主管理を取り入れてみるのがお勧めです。
最初は運営規模も小さいでしょうから、そこまでの手間にもなりません。
また、自分で管理してみることで、賃貸経営を身をもって学ぶことができます。
ノウハウを身に付ければ、将来的に委託管理へ移行する際にどこを任せればよいか自分で判断することができます。
業務の内容を把握していなければ、滅多に発生しない業務にまでお金を払って委託してしまうかもしれません。
管理費を有効的に使うためにも、まずは自主管理で勉強することをお勧めします。
自主管理はお勧めと言っても、やはりメリットのみならずデメリットもあります。
自主管理が絶対に良いというわけではなく、あくまで入居者のことを考えた運営のための管理スタイルについて考えましょう。
ここでは、自主管理のメリットとデメリットについてお話しします。
自主管理とは、所有者自らが物件を管理する管理スタイルのことです。
戸数が多いと自主管理は難しいので、小規模な運営で採用されることが一般的です。
分譲マンションですと、そこに居住する区分所有者が管理組合を結成して管理をおこなうため、個人で管理することにはなりません。
しかし投資用マンションであれば、オーナー自身が管理をすることになります。
自主管理の最大のメリットは、コストをカットできることです。
まず管理費がかかりません。
頻度の低い業務にお金をかけず、収支管理であればインターネットサービス(クラウド会計サービスなど)を利用するなどして、管理のコストパフォーマンスを高める努力が必要です。
建物管理であれば、業者を自らインターネット等で選定できれば、管理会社が選定する場合に比べて費用を抑えられる可能性もあります。
前述のとおり自分で管理をしてみることで、不動産運営のノウハウが身に付きます。
しかしそれ以上に、意識の変化が得られます。入居者や業者と直接やり取りをすることで、自分が不動産運営をやっているという自覚が芽生えます。
建物や入居者のちょっとした問題に対し自発的に動く習慣が身に付きます。
なかには会社勤めの傍ら不動産投資をおこなう兼業の不動産投資家もいますが、その場合、本業と同等の覚悟で運営することが大切です。
入居者が安心して快適な生活が送れるようにの利便性を高めるためにも、自主管理で大家さんとしての高い意識を持つようにしていただければと思います。
自主管理が重要とは言っても、やはり手間がかかることは否めません。
何でも自分でやるのではなく、管理業務を洗い出し、どの業務を自分がやってどの業務を他人に任せるかという切り分けが大事だということです。
そこでお勧めしたいのが、集金代行付きの家賃保証サービスを利用することです。
ご存知のとおり家賃保証サービスは、家賃や原状回復などの債務を保証してくれるサービスです。
これに家賃の集金管理がプラスされたのが集金代行付きの家賃保証サービスです。
Casaの「家主ダイレクト」はそんな集金代行付きサービスの代表的な一つです。
日々の家賃は入居者の口座から引落し、オーナーへは引落しの可否にかかわらず、前月末に全額送金されます。
家賃の他、更新料や原状回復費用、早期解約違約金も保証され、滞納が長期化し訴訟や法的手続きに移行した際の費用も実費で負担してもらえます。さらに近年注目されている孤独死保険も付帯していますので、高齢者の一人住まいでも安心して受け入れることが出来ます。
万が一入居者による家賃の滞納が発生した場合も、サービスの運営会社が滞納者とやり取りを行い、支払いを立て替えてくれるため安心です。
物件の運営を始めたばかりの初心者は、つい盲目的に管理業務の一切を管理会社に任せてしまいがちです。
しかしその場合、無駄に管理費を支払っている可能性があり、結果としてキャッシュフローを圧迫することにつながりかねません。
まずは具体的な管理業務を洗い出し、部分的にでも自分でやってみることでノウハウを身に付けましょう。
各種クラウドサービスや家賃保証サービスを上手に活用することで、コストパフォーマンスの高い管理を実現してください。
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