2021.02.10
資産運用

ライフプランと投資 その② 複利と税金を意識しよう

前回は、投資とライフプランニングの関係について基本的なことをお伝えいたしました。今回は投資に視点を移し、より具体的にライフイベントごとにどのような金融商品を使うべきかを説明します。

投資を行う最大のメリット~複利効果

まず、投資を行う最大のメリットである複利効果についてお伝えします。複利効果とは、中長期の投資を行うことで得られた利益を再投資することで効率良く資産が増えることです。雪だるまをコロコロ転がしていくと、あっという間に大きくなるのと同じイメージです。ちなみに、「複利」の反対語は「単利」です。

(出典:金融庁HP 投資期間と複利効果の関係

このグラフは、年10%の投資収益率で元本100の金融商品を運用した時の単利と複利の違いを説明したものです。

投資期間が2年の場合は単利120、複利121でそれほど差が出ませんが、それが10年になると単利200、複利は259と大きな差が出てきます。これが、アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ複利効果なのです。

投資で課税される所得の種類

次に金融商品を運用する際に発生する利子と配当について見ていきましょう。

所得税の対象となる所得は10種類あります。その中で、金融商品に関するものは利子所得と配当所得です。利子所得とは、公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の分配金から生じる所得を言います。配当所得とは、株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配から生じる所得のことです。

預貯金の利子や投資信託や上場株式の分配金、株式の配当金には、所得税及び復興特別所得税15.315%と住民税5%がかかります。ただしこれは金融機関が源泉徴収し、残りが手取りになります。

また、株式や投資信託が購入価格よりも高く売れた場合は譲渡益が発生し、これに税金がかかります。これを「株式等譲渡益課税」と言います。この場合の課税対象商品は、株式や投資信託、公社債などです。

譲渡益が発生した場合、原則的に確定申告が必要です。計算式は以下の通りです。

(譲渡価格-(取得費+委託手数料等))×(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)=所得税額

しかし、これはあくまで原則です。通常、証券会社などで取引を行う場合、「一般口座」「特定口座」「非課税口座(NISA・つみたてNISA)」「未成年口座(ジュニアNISA)」などがあり、非課税口座・未成年口座での取引で得た利益には税金がかかりません。

譲渡益課税を回避する方法

資産運用でのポイントは、手元に残る現金がいくらになるかを把握することですので、したがって、税金のかからない非課税口座・未成年口座を使うことが大切です。

また、個人型確定拠出年金(iDeCo)も有効です。すでに少子高齢化が進んでいる日本で、公的年金のみに老後の資金を頼るのは危険です。そのため、自助努力の一環として自らリスクを取りながら資産を増やす手段として導入されたのがiDeCoです。

iDeCo には税制上3つのメリットがあります。

  1. 毎月の掛け金について、社会保険料と同じく全額所得控除が受けられる
  2. 運用益も非課税で再投資できる
  3. 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となる

前回お話しした、ライフイベントに対してどの節税制度を使うのかが重要です。

老後資金については、圧倒的にiDeCo が有利です。投資で得た利益に税金がかからず、そのまま再投資できるのは、とても大きなメリットです。長期になればなるほど、複利効果が大きくなります。また長期で一定金額を定期的に積み立てると、価格の安い時期は多く、高い時期は少なく購入することになり、取得単価を平準化することができます。これは、ドルコスト平均法というリスク分散の方法の一つです。

教育資金や住宅資金の頭金の準備には、NISAやつみたてNISAが適しています。ただしこの2つを併用することはできません。NISAは、年間120万円までの積み立てを5年間続けることができます。5年間で120万円の非課税枠を5つ持つイメージです。一方、つみたてNISAは、年間40万円を20年間運用できるので、合計800万円の非課税投資枠を持つことができます。

NISA口座とつみたてNISA口座では、投資できる商品が異なります。NISAは現物株式やETFなどほんどすべての金融商品が対象ですが、つみたてNISAはその名の通り、金融庁が設定したガイドラインに沿った積立を前提とした金融商品しか選べません。

投資の節税制度を上手に使うことで、手元に残る金額が大きく変わってきます。制度の違いを踏まえて、様々なライフイベントに合った口座選択をしていきましょう。

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