2021.07.09
賃貸経営

家賃保証会社は滞納履歴があっても使える?貸主借主の注意点

賃貸物件を運営するオーナーにとって、入居者の家賃滞納はできるだけ避けたい事態のひとつでしょう。収入の低下に繋がってしまうほか、入居者側も家賃滞納をすることで最悪の場合、契約解除で退去となる可能性があります。

そこで近年では、このような双方のリスクを避けるために「家賃保証会社」を利用するケースが増加しています。

家賃保証会社を利用することによるメリットはあっても、反対に実際に滞納が発生した場合に注意すべき点はあるのでしょうか?本記事では家賃保証会社についての基本的な説明に加え、家賃滞納に関する貸主・借主それぞれの注意点を解説します。

家賃保証会社とは

家賃保証会社とは、入居者による家賃滞納が発生した場合に、入居者に代わってオーナー側に立て替え払い(これを「代位弁済」といいます)する会社をさします。以前であれば「連帯保証人」が担っていた役割を代行する会社、と考えるとイメージしやすいかもしれません。

従来の連帯保証人の役割を家賃保証会社がもつことから、入居者は「保証委託料」を家賃保証会社へ支払う必要があります。保証委託料の金額や更新料の有無、支払う頻度は家賃保証会社によってさまざまです。具体的には、賃貸物件を借りるときに「初回保証料」として一括で保証料を支払うパターン、「初回保証料+月額保証料」のパターン、「初回保証料+更新保証料」のパターンなどがあり、オーナー側がどういった保証商品を使っているかによって決まります。

家賃保証会社が普及するようになった背景には、高齢者を含めた単身世帯の増加、外国人の増加に伴って従来の連帯保証人制度の要件では難しいケースが増えたことが挙げられます。また、自己破産などの原因により連帯保証人が家賃を支払えなくなる、借主による孤独死で家賃滞納が長期になったために連帯保証人が任意で支払いをしない、といったケースも存在します。

このような背景から、オーナー側には
・毎月の家賃を確実に回収できる
・家賃の督促を依頼できる
・入居者の審査も依頼できる
などのメリットがあります。

また入居者側にも
・家賃保証会社に連帯保証人の代わりになってもらえる
・連帯保証人を立てる必要がない
などのメリットがあるため、家賃保証会社を利用するケースが一般的になっています。

家賃保証会社の詳しい解説は、以下の記事を参考にしてください。
大家さんと入居者を支える「家賃保証会社」とは?家賃保証サービスの仕組みを解説

「家賃保証会社」は誰が加入するものなのか

家賃保証会社を利用するかどうかは、借主側が判断するのではなく、オーナー側が決定するものです。借主が賃貸借契約を結ぶときに、家賃保証会社の加入は「必須」となっている場合と、「利用可能」となっている場合があります。

利用可能」の場合は借主が連帯保証人を立ててオーナーがそれを承諾すれば、家賃保証会社に加入しなくても問題ありません。一夫で「必須」の場合は、いくら借主側で連帯保証人を立てることができる状況であっても、借主側はそれに従って必ず家賃保証会社へ加入しなければなりません。

また、賃貸保証会社の保証内容は会社やプランによって異なり、家賃滞納の保証以外にも以下のような保証が含まれるときがあります。

・退去時の残置物の処理
・滞納が長期化した場合の法的手続き
・原状回復費用

法的な手続きをオーナー自ら行う場合、時間的にも精神的にも大きな負担になりますので、保証会社へ対応を一任できるのは大きなメリットといえます。

家賃滞納に関する借主・貸主の注意点

では、借主による家賃滞納が発生した場合、どういった点に注意する必要があるのでしょうか。借主側・オーナー側それぞれで説明します。

借主側の注意点

家賃保証会社への加入が必要である場合、借主側には事前審査が発生します。事前審査で否認になるケースは少ないものの、以下で紹介する基準に満たず、過去に家賃の滞納履歴があったり金融機関の信用が低かったりすると審査に通らないこともあります。

審査で重要視しているのは「与信情報」と「滞納履歴」の2点です。どちらか片方だけを確認しているわけではなく、複合的に確認を行っています。

「与信情報」とは、その人物が信用できる人であるかを客観的に表す情報で、主にクレジットカードやカードローンの利用履歴などが影響します。そのため、過去に支払いに関するトラブルを起こしているとマイナス評価となります。また、信用情報機関に登録された情報は5から10年ほど残るため、現在は解決済みであっても当分の間は影響が残ります。

「滞納履歴」とは、言葉の通り家賃を滞納した履歴のことです。現在も家賃を滞納している場合はもちろんですが、過去に何回か家賃を滞納し、家賃保証会社が立て替え払いをした履歴があるとマイナス評価となります。

また、借主が家賃を滞納した場合、家賃保証会社は代理でオーナーに支払いますが、当然ながら家賃を負担してくれるわけではありません。あくまでも家賃保証会社は立て替え払いをするだけで、後日、借主は立替金を支行う必要があります。何度も家賃を滞納すれば社会的信用を失う・訴訟問題に発展するといった可能性があるため、たとえ家賃保証会社を利用していなくても家賃の滞納はリスクの高い行為であるといえるでしょう。

貸主側の注意点

借主による家賃滞納は、オーナーにとっても注意すべき点があります。それは、家賃滞納に時効が存在することです。基本的に家賃滞納は5年で時効となりますので、それまでには然るべき措置を講じることが重要です。

また、家賃保証会社は原則として、借主が部屋を退去するまでの期間の家賃を保証しますが、「免責条件」を設けている場合があります。

例えば、多くの場合においては退去時の精算費用は保証対象内となっていますが、「精算についての同意書が作成されていなければ免責となる」というような条件が入っている場合がありますので注意が必要です。このような免責条件があると、借主から書類で同意書をもらうのを忘れてしまったり、無断退室などで同意書の取得が不可能だったりする場合は、家賃保証会社からの保証を受けることができなくなってしまいます。

それに加え、もうひとつ注意すべき免責条件として「滞納報告の期限超過」があります。これは「滞納報告の期限を超えた場合は保証対象外」となる条件のことです。

会社や商品によりますが、例えば「家賃約定月の翌月10日までに報告しなければならない」などとなっている場合、オーナーは定められた期日までに申請を行わないと、家賃保証を受けられなくなってしまいます。オーナーが家賃保証会社と契約を行う際には、保証内容や免責条件などを入念に確認してから契約を締結することが求められます。

家賃滞納している入居者を立ち退きさせるには

家賃を滞納している入居者を立ち退きさせる場合、家賃保証会社はどこまで対応してくれるのでしょうか。

基本的には、借主による家賃滞納が発生しても家賃保証会社が督促業務や回収を代行し、滞納している家賃の立て替えも行ってくれるため、オーナー側に金銭的な負担が発生することはありません。また、家賃滞納が1ヵ月以上継続している場合は、管理会社などから「内容証明郵便」を借主へ送付して督促を行うのが一般的です。

こうした手段により大抵の場合は解決することが多いですが、それでも入居者の家賃滞納が続く場合には、法的な手段を用いて入居者を立ち退きさせる方法がとられます。法的な手段を用いた手続きはオーナーが主体となって行う必要がありますので、立ち退きをさせるための条件や方法は事前に把握しておくことが大切です。

また、オーナーが入居者を立ち退きさせるためには「借主に家賃を支払う意思がなく、貸主と借主の信頼関係が壊れていること」が条件であるという考え方があり、その「信頼関係が壊れていること」の基準のひとつとして、「3ヶ月以上の家賃の滞納」が挙げられることが多いです。

ただし、これはあくまでもひとつの基準であり、個別の事情によっては3ヶ月以上の家賃滞納がみられても信頼関係が壊れているとはみなされないケースもあります。

入居者が家賃滞納のまま退去してしまった場合の対応については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
所有物件で家賃滞納が発生! そのまま退去されてしまった場合の対策とは?

家賃保証会社「家主ダイレクト」

それでは、具体的に家賃保証会社のサービス内容をイメージするために、ここでは「家主ダイレクト」を紹介します。

家主ダイレクトは、不動産オーナーの賃貸経営をサポートし、安定した家賃収入を確保してもらうことを目的としたサービスです。家主ダイレクトが一括して入居者の口座から家賃を引き落とし、オーナーの口座へ振り込むシステムで、月末には必ず入金されるようになります。入居中の賃料を100%保証してもらえるため、家賃滞納があってもオーナー側は未収のリスクを心配する必要はありません。

また、賃貸経営で起こり得るトラブルとして挙げられる家賃滞納の督促、退去時の精算費用の未払いへの対応、滞納が長期化した場合の法的手続きなども依頼することができます。

さらに、家主ダイレクトでは入居者募集支援も行っており、独自の仲介会社によるネットワークから対象エリアの仲介会社へ空室状況の配信をしてもらえる点も特徴です。オーナーは客付けの機会を増やせるため、空室対策の大きな一歩となるでしょう。

借主だけでなく貸主も家賃滞納への対策は早めに打ちましょう

近年ではさまざまな理由から家賃保証会社を利用するケースが増えていますが、借主による家賃滞納はオーナー側にも注意すべき点をもたらします。入居者を立ち退きさせることになる場合、オーナー側には時間的・精神的負担が発生しますので、家賃保証会社のサービスを上手に取り入れながら、安定した賃貸経営を目指してみてください。

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