2021.04.21
賃貸経営

【連載#1】家賃に見合った価値を提供していますか?

【厳選】オーナーズ倶楽部編集部 おすすめ書籍を紹介

不動産オーナー、そして将来オーナーになる方にとって、日々の賃貸経営について、そして次の不動産投資については、いつも情報を求め、学びを深めていることでしょう。そこで、オーナーズ編集部では、多くの書籍の中から、良質な1冊を厳選し、その抜粋を紹介してまいります。

著者 浦田健

家賃に見合った価値を提供していますか?

空室対策のポイントは、仲介業者から「お願いします。私に客付けさせてください」といわれるような物件に仕立て上げることです。そして、内見したら即成約するような物件であれば、仲介業者はわれ先にあなたの物件を紹介してくれるようになります。

しかし、多くの大家さんの物件は、残念ながら仲介業者がわれ先に客付けしたくなるような物件にはなっていません。むしろ「家賃下げなきゃ決まらないよ」と業者に思われるようなメンテナンスの行き届いていない、古ぼけた物件のほうが多いといっても過言ではないでしょう。

家賃以上の価値があるか

古今東西、商売というものは、相手に価値を与え、その価値の対価として「お金」をいただくことで成り立っています。

大家さんも、毎月家賃という「対価」をいただいているということは、誰かに何かしらの価値を与えているはずなのです。では、その価値とはいったい何でしょうか?

「入居者」に「部屋」という「空間」を提供し、その対価として家賃を得ているわけですね。では、あなたの物件は、設定家賃以上の価値があるものになっているのでしょうか?

もし、家賃以上の価値を感じられる「部屋」になっていないのであれば、その家賃で入居者を決めることはできません。逆に、入居者に設定家賃以上の価値を感じてもらえることができれば、需給状況など関係なく、どんな家賃でも入居者は決まるものなのです。

たとえば、J・RECの会員さんのなかには、築20年以上の物件を相場以上の家賃で提供し満室経営を続けている大家さんはたくさんいます。なかには相場より3割も高い家賃で貸している大家さんもいます。なぜこのようなことができるのでしょうか?

それは、家賃以上の価値、お得感を感じてもらえる部屋にしているからに他なりません。

結局、その価値に見合った家賃にすれば、必ず入居者は決まります。入居者が決まらないというのは、その家賃に見合った価値を提供できていない、というだけの話なのです。

リフォームで商品価値を高める

では、家賃以上の価値を感じてもらうためにはどうすればいいのでしょうか?

答えはとてもシンプル。リフォームをして失われた商品価値を取り戻すしかありません。

「空室だらけで、そんなお金かける余裕ないよ」。こう反論したくなる大家さんもいるでしょう。しかし、もし、そのままの状態で募集を続けるなら、もはや家賃は下げざるを得えません。その程度の価値しか与えられていないのですから当然なのです。

確かに、お金をかければ、誰でも商品価値を高めることはできます。しかし、ただ単にお金をかければいいわけではありません。採算に合う程度のお金をかけてリフォームすること。これがとても重要です。

そして、もう1つ重要なことがあります。それは「こんなのあったら便利だな」という生活向上アイテムを要所要所にちりばめることです。誰でもお金があれば、最新設備を投入したり、畳の和室をフローリングの洋室にリノベーションしたいでしょう。しかし、そんな力任せのリフォームをしなくても、ほんの少しのアイデアで商品力をアップさせることは可能なのです。

そこで、この章では、お金をかけずに商品価値が高められる、小予算でおしゃれな、とっておきの〝ときめきリフォーム〟ノウハウをお伝えしていきます。そのまま実践すれば、満室になることはもちろん、家賃の値上げも十分可能になるでしょう。

スゴ技①:1にお掃除、2にお掃除、3にお掃除

「あれ? リフォームの話なのに、いきなり掃除の話?」

もしかしたら、拍子抜けしているかもしれませんね。しかし、リフォーム云々以前に、この話をしないわけにはいきません。

オーナー自ら掃除をしよう

あなたは、自分で自分のアパートを掃除したことがあるでしょうか? もし、管理会社まかせでまったくやったことがない、というならぜひ自ら掃除をしてみてください。

なぜオーナー自ら掃除をするのか?

それは、自ら掃除をすることで、他の人には見えない汚れ、不具合に気づくことができるからです。たとえば、車を例にあげてみましょう。自分で洗車をしたことがある人は、洗車の最中に傷を見つけたりすることがあるはずです。些細な傷も見落としません。しかし、他人の車だととたんに小さな傷は目に入らなくなります。自分の車ではないですし、他人の車の洗車もしませんから当然です。

同じように、自分のアパートの掃除をすることで、他の人が気づかなかった汚れ、不具合に気がつくのです。だから、オーナー自ら掃除をすることが大切なのです。

手すりのさび、階段塗装の剥がれ、電球切れ、ゴミ置き場の散乱、粗大ごみ、自転車の放置など、仮に定期清掃が入っていても、なんら指示をしなければ、このような状況が劇的に改善することはありません。普通の掃除業者は普通に掃除をして帰るだけの教育しか受けていないのです。

室内も重要です。プロの清掃業者が入って1か月くらいでは、そんなに汚れるはずもないのに、それでも毎週掃除をします。

実際、汚れてもいない部屋を掃除するのは苦痛です。でも普段と違った角度から、いつもと違った目線から、自分の物件を掃除しながら見ることで、これまで目立たなかった汚れ、あまり気づかなかった小さな不具合に気づくことができるのです。蛇口や鏡のくすみ、シャワーカーテンのカビ、室内のにおいなど、持ち主であるあなたがチェックすれば、いくらでも改善すべき点は見つかります。

せっかくお金をかけてリフォームをしたとしても、残念なポイントがいくつもあれば商品価値は下がってしまいます。だから自ら掃除をすることが何よりも重要なのです。逆にいうと、このような細かいポイントの欠点をなくしていくことだけでも商品価値を高めることはできる、ということです。

物件に愛着がわいてくる

こうして、自分の物件と向き合い始めると、次第に物件に対する愛着がわいてきます。

おもてなしのオーラが充満します。こうして、あなたのアパートは輝きを取り戻しはじめるのです。掃除の頻度は定期清掃を入れていても、できれば1週間に一度。時間的に難しいなら2~3週間に一度でもかまいません。

だまされたと思って、ホウキとちりとりをもってお掃除を実践してみてください。掃除をしたとたん入居者が決まった、内見者が増えた、入居者との会話が増えて思わぬヒントをもらった……など、いままでにない変化が必ず起こりはじめるはずです。

スゴ技②:いま人気の設備はつけてはいけない

アパマンのリフォームをする際、気をつけるべきことがあります。それは「いま人気の設備をつけてはいけない」ということです。

なぜなら、人気の設備を後追いで設置したと思っても、数年であっというまにブームが去ってしまうからです。たとえば、震災前は常に人気設備の上位にあったオール電化ですが、東日本大震災による原発事故の問題から端を発した電力供給の不安から人気が落ちてきています。

今後、電気料金の値上げ、電力供給のカット、計画停電などが進行すれば、3点式ユニットバスのように不人気の設備になる可能性も十分考えられます。

他にも防犯性が高いといわれるカードキー、携帯で施錠が可能なハイテクキーなど、一時的な人気はありましたが、現在では普通の鍵でも家賃や入居率に大差はありません。また、3点式ユニットバスが不人気だからといって、バス・トイレ別に改造するアイテムもありますが、3点式ユニットバスでもすべての人が嫌っているわけではありません。大改造のために大金を投入して採算が合わなければ本末転倒です。

マストアイテムははずせない

ただし、絶対に必要なマストアイテムははずしてはいけません。

たとえば、防犯のためのテレビインターフォン。特に女性の大半は、防犯面からテレビインターフォンのない物件には住みたくないという方がほとんどです。また、インターネットやピッキング防止効果が高いディンプルキーなどもマストアイテムです。これらの設備は、いまや生活になくてはならないアイテムになっています。

このような、マストアイテムは全国賃貸住宅新聞社が定期的に発表している賃貸設備人気アンケートなどが参考になります。

数年後の定番設備を知る方法

しかし、これから先のマストアイテムや、ブームに左右されない定番人気設備がどうなっていくのかは、このランキングからではうかがい知ることができません。アパートの商品価値を高めていくためには、将来を先取りした設備を知る必要があるのです。

そこでいい方法があります。それは最新分譲マンションの設備を参考にすることです。

実は賃貸物件の人気設備は、分譲マンションの人気設備が数年後に波及してきているものがほとんどなのです。

分譲マンションは販売競争に勝ち抜くため、常にマーケティングを行ない、世の中のトレンドを先取りした設備で勝負をかけています。

そこで、もし近くに新築分譲マンションのモデルルームがあれば、ぜひ見学してみてください。すぐに導入するには高価なものもありますが、数年後に賃貸物件の定番アイテムになるものも少なくないでしょう。

最近、特に目がつくのは、災害対策設備です。

まず、災害対策設備には、地震などの揺れを感知してキッチン扉をロックする扉開放防止機能付きラッチがあります。これなら安価ですので、すぐにでもあなたの物件に装備できますね。地震速報一斉配信システムも、テレビ配線を利用したものがあり、意外と手軽に付けることができるようになっています。さらに地震速報配信サービス付きインターフォンは、分譲マンションの標準になりつつあります。

このように、常に賃貸物件の数年先を行っている分譲マンションの設備をみると、将来、賃貸物件で人気が出る設備がわかるようになります。

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<著者プロフィール>
浦田健
明治大学商学部卒。「一生、大家さん応援団長」を誓う不動産コンサルティングの第一人者。オールアバウト「アパート・マンション経営」公式ガイド。不動産コンサルティング会社のほか、不動産管理会社、不動産投資会社を経営。自らもアパートの掃除を行なう大家さんのひとり。2008年12月に「大家検定」を監修・認定する一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)を設立、代表理事に就任。
主な著書に『「金持ち大家さん」になる アパート・マンション経営塾』(日本実業出版社)、『もうアパート投資はするな! 利回り20%をたたき出す戸建賃貸運用法』(ダイヤモンド社)、『あなたのアパート・マンションを即満室にする方法』(フォレスト出版)など多数。

 

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