2021.04.14
賃貸経営

【連載#2】早期満室を実現する入居募集の秘策

【厳選】オーナーズ倶楽部編集部 おすすめ書籍を紹介

不動産オーナー、そして将来オーナーになる方にとって、日々の賃貸経営について、そして次の不動産投資については、いつも情報を求め、学びを深めていることでしょう。そこで、オーナーズ編集部では、多くの書籍の中から、良質な1冊を厳選し、その抜粋を紹介してまいります。

著者 浦田健

入居募集営業のサイクル

物件チラシと周辺環境マップができたら、不動産業者に客付け営業を開始する。営業訪問する不動産業者は、物件の最寄駅周辺、沿線前後3~5駅、そして最も近いターミナル駅周辺のすべてとなる。訪問の際に注意することは、売買仲介しかしていない不動産業者へは訪問しないようにすること。賃貸仲介を得意としているかどうかは、不動産業者の店先に「入居者募集中」などのノボリがあればすぐにわかる。また、賃貸物件の募集チラシが店先に数多く掲載されているかどうか、接客するためのカウンターがあるかどうか、などで判別がつくはずだ。

基本的に、最初の営業訪問では、目につく不動産業者すべてに飛び込み、物件の紹介依頼をしよう。なかには100社以上も回る大家さんもいるが、空室が出るたびに毎回、100社も訪問するわけではない。実際に募集に協力的な業者は2割程度である。そこで、営業の際には今後、積極的に募集してくれそうな業者かどうかを見極めながら訪問する。

そして、2割に絞り込んだ業者へは、満室になるまで毎週訪問を行ない、積極的に物件を紹介してもらえるよう営業して回るのだ。

積極的でない残り8割の業者へは、まったく営業しないのかというとそうではない。毎週末に募集チラシのFAXを送り、その後、電話で営業をしていく。こうして力の入れ具合を調整しながら、満遍なく営業をかけていくのである。

毎週末の動向をチェックする

いったん不動産業者に入居募集の依頼をしたら、満室になるまで営業を継続していかなければならない。一番効果的なのは、毎週金曜日に行なう訪問営業である。金曜日なら土日の増客に備えて、自分の物件をより印象づけることができるからだ。

週明けの月曜日には、絞り込んだ2割の業者に必ず電話をかけ、週末の動きを確認する。

内見があったのか、なかったのか。申し込みは入ったのか、なかったのか。もし、内見もいなかったなら、内見者を増やすために、まだできることはないか。内見があっても申し込みまで至らなかったのであれば、なぜ成約しないのか。家賃が高いのか? 駅から遠いからか? 間取りが気に入らないのか? その理由を探り、なにが足りないのかを考え、次の木曜日までには対策を決定し、改善できるところはすぐに改善していくのである。

作戦や条件を変更する際は、金曜日まで新たな対策を決定し、決定した情報をもとに募集チラシをFAXし、2割の業者には修正した情報を伝えながら訪問営業を行なっていく。

そして、また月曜日になれば週末の動きを確認し、さらに週末にかけての営業を強化していくのである。このように、状況確認(Do)→検証(Check)→改善(Action)を繰り返しながら行なう営業の積み重ねが、早期満室には絶対欠かせないことなのである。

効果的な入居募集の媒体を活用しよう

不動産業者への訪問営業と合わせて、物件情報を広くお客様の目に触れさせるための広告についても、できることはすべて利用すべきだ。媒体によっては、不動産業者の協力が必要なものもある。募集形態が専任募集であれば専任業者に相談し、一般募集であれば営業訪問の際に広告に協力してもらえるかどうかを確認しておくといい。

①不動産業者の店頭広告

募集チラシを店頭の窓ガラスや、A看板と呼ばれる立て看板に貼ってPRする手法。通行人に広くPRすることができるが、そこを通る人にしか効果がない。

▽店頭広告のポイント

 

②物件そのものに広告する

募集看板、のぼり、募集チラシを現地に備え付けておく。募集看板は常時設置しておくことで近隣住民にPRすることができるし、物件の詳細を掲載したホームページを作成してアドレスで告知しておけば、より詳しい情報をみてもらうことができる。

とくに部屋に空きがある場合は、のぼりを設置し「現在募集中」であることを積極的にPRしていく。また雨風がしのげるボックス(チラシケース)を設置し、募集チラシを持って帰れるようにしておく。こうしておくと、客付け業者の同行なしに現地に直接訪れたお客様にも、もれなく情報提供ができるようになる。

▽物件そのものに広告する場合のポイント

ただし、募集チラシを設置する際の注意点がある。それは、家賃を明確に記載しないようにすることである。もし、既存の入居者より安い家賃で募集していると、後で入居者から家賃の値下げを要求されることがあるからだ。そこで、家賃は5万~6万円など幅を持たせて記載するようにしたほうがいいだろう。

③レインズ(不動産流通機構)に情報を掲載する

レインズとは、宅建業者間で物件情報を共有するデータベースのことで、不動産売買や賃貸物件情報を検索することができる。一般的にレインズは、売買物件の情報しか流通していないイメージがあるが、実は賃貸物件も、このネットワークを通じて頻繁に取引が行なわれている。したがって、募集にあたっては必ず情報を掲載しておくようにする。

ちなみに宅建業者は、売買で依頼者との間で専任媒介契約または専属専任媒介契約を交わした場合は、宅建業法により物件情報を必ずレインズに登録しなければならない。

しかし、この登録義務には特段の罰則規定も監視機能もないため、実際に登録されているかどうかを確かめる術すべがない。したがって、不動産業者に客付け依頼をする際には、必ずレインズに情報を掲載してもらうように念を押しておくことが重要である。登録費用も無料なので拒否されることはまずない。

なお、賃貸や一般募集のときは宅建業法上の登録義務はないが、仲介契約の内容などにより、レインズに登録してもらうことは可能である。

④マイソクを利用する

募集チラシのことを、俗に「マイソク」と呼ぶことがある。マイソクの名は社名に由来するが、現在ではアットホームがメインとなり全国の加盟業者に週2~3回配っている。また紙媒体ではなく、インターネット上の情報共有の仕組みもある。契約内容により、会員専用ホームページで検索・表示・印刷することもできる。

マイソクは配布に費用がかかるため、賃料の安い物件などは1枚のチラシに複数掲載して配布されることがあるので注意が必要だ。もし、マイソクを利用した募集依頼をする場合には、必ず1物件1枚として掲載してもらうようにすることである。

⑤インターネット広告

インターネットを利用した広告手法には、主に2つの方法がある。1つは、募集を依頼した不動産業者のホームページに掲載する方法。もう1つは、不動産専門のポータルサイトに掲載する方法だ。

不動産業者のホームページでは、その不動産業者のことを知らない人がアクセスすることはほとんどないが、個々の物件について詳細情報を掲載できるメリットがある。したがって、募集看板と物件の詳細ページを連動させた募集方法に効果がある。

一方、不動産専門ポータルサイトは、契約している数多くの不動産業者が情報を掲載し公開されているので、物件登録数も非常に多い。また、広く一般にも認知されているので、インターネットを利用して物件を探すユーザーがアクセスする可能性は極めて高い媒体となっている。さらに、不動産専門ポータルサイトは、他の情報系ポータルサイト(yahoo!、goo、msn など)にもリンクして情報が公開されるメリットがある。たとえば、アットホームに物件掲載すると「yahoo! 不動産」などにも物件が掲載されるようになる。

ただし、多くのユーザーの目に触れやすいというメリットがある一方で、物件数が多すぎるため自分の物件が埋もれてしまう可能性がある。また、情報の掲載項目にも制限があるため、特殊な物件の場合に、その特徴を効果的にPRできないこともある。このような特徴を踏まえ、不動産業者のホームページなども併用しながらうまく活用していくことが大切である。

⑥賃貸情報誌

業者が独自に制作し、店頭で自由に持ち帰ってもらえるようにしているもの、駅などに置かれているフリーぺーパー、書店やコンビニで売られている有料の情報誌などがある。いずれも印刷物であるため、募集したいときにすぐ掲載できないという欠点はあるものの、無料または安価で大量の情報を収集できることから、まだまだ効果的な媒体となっている。

⑦大学・専門学校・法人需要を掘り起こす

広告だけでなく、直接、入居者需要を掘り起こす方法もある。

各種学校は、入学時期の予測がつくため賃貸需要をつかみやすい。近くに学校がある場合には、直接、学生課などの窓口に物件の紹介が可能かどうか聞いてみるといい。この業者を通すようにと指定業者を指示されたり、場合によっては生協で紹介してくれたり、入学予定者へ物件情報を届けてくれたりすることもある。とくに大学などは、11月には推薦入学で合格する学生がいるため、年末までに物件を探すことが多いので覚えておくといい。

法人需要も直接、総務部などに連絡して社宅などの需要がないかどうかヒアリングするといいだろう。とくに地方などは、近くに流通センターや工場がある場合は単身赴任者や転勤者の需要があるかもしれない。人事異動の多い季節の変わり目などを狙って連絡してみるといい。

季節ごとに募集スタイルを変える

入居者の入れ替わりは1年を通じて同じではない。入居募集も、時期的な特徴に合わせたスタイルが求められる。

入居希望者が多くなる時期は、強気の募集条件でも入居者は決まりやすい。しかし、

年々2月、3月の集中度合いが低下している傾向にあるため、地域の事情に合わせた調整が必要となる。参考となる資料としては、市区町村の住民基本台帳の統計情報がある。月別で転入・転出の状況がわかるので参考にするといいだろう。

さらに、各季節ごとの特徴に加えて、日本語学校の学生(就学生)や留学生は3月、6月、9月、12月に部屋探しをすることが多いことも覚えておくといいだろう。

▽季節ごとの入居募集の動き方

 

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<著者プロフィール>
浦田健
明治大学商学部卒。「一生、大家さん応援団長」を誓う不動産コンサルティングの第一人者。オールアバウト「アパート・マンション経営」公式ガイド。不動産コンサルティング会社のほか、不動産管理会社、不動産投資会社を経営。自らもアパートの掃除を行なう大家さんのひとり。2008年12月に「大家検定」を監修・認定する一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)を設立、代表理事に就任。
主な著書に『「金持ち大家さん」になる アパート・マンション経営塾』(日本実業出版社)、『もうアパート投資はするな! 利回り20%をたたき出す戸建賃貸運用法』(ダイヤモンド社)、『あなたのアパート・マンションを即満室にする方法』(フォレスト出版)など多数。

 

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