2021.02.12
賃貸管理

家財保険は大家負担?事故発生時に大家が知っておきたいこと

入居希望者に加入をお願いする「家財保険」は、入居者の家財を守るための保険です。集合住宅では火災・水漏れで他の入居者を巻き込むことがあるため、本記事では家財保険の基本内容に加え、事故が発生した際に大家が知っておきたいポイントを紹介します。

 

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家財保険とは?

本章では、家財保険とはどういうものかについて説明します。

家財保険とは「入居者の家財を守る保険」

入居者に加入してもらう家財保険は、入居者が持ち込んだ家財を対象とした保険です。入居者自身の家財を守るための保険であり、家財にかける損害保険と考えると分かりやすいでしょう。

家財保険の補償が受けられる場合

次のような事故により家財が損害を受けた場合に保険金を受け取ることができます。

・火災、落雷、爆発
・風災、雹災、雪
・水漏れ
・盗難
・水災
・破損、汚損

主契約にさまざまな特約を付けて補償の範囲を広げることも可能です。

他の保険や特約との関係は?

集合住宅で暮らしていると、火災や水漏れによる損害が1室内にとどまらず、隣室や階上・階下の住人を巻き込んでしまう可能性があります。ある入居者の過失などが原因で他の入居者に損害を与えた場合に、補償を受けることができる保険が「個人賠償責任保険(特約)」です。

また、入居者は大家さんに対して原状回復の義務を負います。そのための費用を入居者に代わって補償してもらえる保険が「借家人賠償責任保険(特約)」です。多くの場合は家財保険の特約として加入します。

入居者自身の資力で原状回復ができない場合も、保険に加入することで、原状回復にかかる費用の補償が受けられます。入居者だけでなく、大家さんにとっても心強い味方となる保険なのです。

借家人賠償責任保険(特約)と似たものに「修理費用特約」があります。修理費用特約は「大家さんに対しての損害賠償責任はありませんが、賃貸借契約に基づいて、あるいは緊急に入居者自身の費用で修理した場合」に補償が受けられる保険です。

たとえば「ドアが壊れた場合は入居者が修理する」「窓ガラスが割れた場合は入居者が補償する」などの賃貸契約を大家さんと結んでいた場合で、実際にそのような事故が起こり、入居者がお金を出して修理をした場合に補償が受けられるというものです。

家財保険に加入してもらう必要性

もし入居者が「絶対に火事を起こさないから家財保険に加入したくない」と言い張ったとしても、基本的には家財保険に加入してもらうようにしましょう。「隣の部屋で起こった火災に巻き込まれ多大な損害を被る」という可能性はあるからです。生活をスムーズに立て直してもらうためにも、家財保険は必要です。

入居者には失火責任法の定めを理解してもらおう

日本では「失火責任法」という法律があります。入居者が過失によって火災を発生させた場合でも、隣人などに対して、民法上の損害賠償責任を負わなくてよい、と定められているのです(ただし重大な過失があった場合を除きます)。

逆に言えば、隣の部屋に入居している人が、過失によって火災を起こし、延焼で自分の家財が損なわれた場合でも、隣家の人には損害賠償をしてもらうことができず、自分で新たに、家財を揃えなければならないのです。このような事故に備え、家財保険に加入してもらうことが大切だといえます。

事故発生時に大家が知っておきたいポイント

火災などの自然災害や事故が発生した場合、大家さんが知っておきたいポイントとは何でしょうか。入居者が家財保険に加入していても、大家負担を少なくするにはどうしたら良いのでしょうか。

入居時に家財保険や借家人賠償責任保険(特約)への加入を確認する

入居希望者の中には「不動産会社や大家さんがすすめる家財保険ではなく、他の家財保険に加入したい」と希望する人もいるかもしれません。こういった要望を受け入れるか否かは大家さんの判断によります。ただし、

・家財保険
・借家人賠償責任保険(特約)
・個人賠償責任保険(特約)

に加入していても、火災その他の事故があった場合に、十分な補償が受けられる状態であることを必ず確認しましょう。

また、以前の家屋で契約していた家財保険との二重契約になっていないかを確認してもらうことも大切です。入居者が解約を忘れたまま二重に保険料を支払うことを防ぐためです。

事故時の対応をすばやくする

賃貸物件で火災が起こったとき、大家さんは不動産会社と協力しながら次のような対応をしなければなりません。

・入居者の安否確認
・入居者の仮住まいの手配
・警察や消防への対応
・保険会社への連絡
・現場検証への立ち会い
・近隣へのお詫び

事故時の対応マニュアルを作成しておき、被害にあった入居者や近隣の人が元の生活に戻れるよう力を尽くしましょう。すばやい事故対応と復旧を行い、入居者の不安を取り除くことで、仮住まいにかかる費用も少なくて済み、事故をきっかけに退居してしまう人を減らすこともできます。

逆に、復旧に時間がかかりすぎたり、大家さんや不動産会社の対応に誠意が足りなかったりして入居者がマイナスの感情を持つと、事故がきっかけで退居する人も出てしまうかもしれませんので、注意する必要があります。

家財や設備の修理義務を「誰が」負うのかを知っておく

入居者の家財が損害を受けたとき、

・入居者自身のお金や保険で対応しなければならない場合
・大家さんに修復などの責任がある場合

の2通りがあります。入居者から相談があった場合は、動揺している入居者を落ち着かせながら、責任の所在を明らかにして対処するのがよいでしょう。たとえば「窓ガラスが割れた」という事故も、考えられる原因はさまざまです。原因によって「誰が」修理すべきかが変わってきます。

➀入居者の過失による場合
物をぶつけたなど、入居者の過失で窓ガラスが割れた場合、修理は入居者が行い、借家人賠償責任保険(特約)が適用されます。

②空き巣、不法侵入者が原因の場合
一般的には大家さんが修理費用を負担し、大家さんが加入する火災保険が適用されます。ただし、窓の割れ方がひどく、生活に支障が出るなどの事情で入居者が緊急的に修理を行った場合、入居者が加入する家財保険の修理費用特約が適用されるケースもあります。

◆大家さんが入る火災保険についてはこちらの記事をご覧ください。
大家が入る火災保険|選ぶ時のポイント3つと相場の決まり方

 
③熱や錆びよる割れが原因の場合
修理費用は大家さんの負担であり、大家さん加入の火災保険が適用されます。ただし「空き巣、不法侵入者」の内容と同様に、家財保険の修理費用特約が適用される場合もあります。

入居者から故障や破損の相談があったら早めに対応する

たとえば入居者から「ドアや窓が壊れている」という相談があったにもかかわらず放置していて、その結果として風雨が吹き込むようになり入居者の家財が壊れたという場合、大家さんが入居者に対して損害を賠償しなければならないこともあります。相談を受けたら早めに修理を手配することが大切でしょう。

大家負担を軽くするためにも家財保険への加入を促そう

家財保険が大切であることはもちろん、借家人賠償責任保険(特約)や個人賠償責任保険(特約)にも加入してもらうことで、さまざまな損害について補償がスムーズに受けられるようになります。大家さんにとっても、家財を失った借主にとってもメリットが大きいといえます。

また、賃貸物件の大規模修繕、設備の入れ替え、経営規模の拡大などに伴い、保険契約を見直さなければならない場合が出てくるでしょう。不動産会社や保険会社の担当者に、必要な補償は十分得られる状態か、逆に補償を付けすぎていないかなどを相談しながら、賃貸経営を続けてみてください。

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