2021.02.10
不動産投資

担保価値あり物件のメリット・デメリット

金融機関は、不動産物件の価値をどのように計算しているのでしょうか。その計算方法と、担保価値のある物件を買うメリット・デメリットを確認しましょう。

金融機関は担保価値をどうやって計算するのか

担保価値とは、融資を受けた人が返済できなくなった場合に、物件を競売にかけて回収を見込める金額のことです。そのため、金融機関はその物件がいくらで売れるかを正確に計算して、融資をしなければなりません。では金融機関は、不動産の担保価値をどのように計算しているのでしょうか。

金融機関が担保価値の計算に使うのが、「掛け目」と呼ばれるもので、一般的に時価の70~80%に設定されることが多いです。これは、競売にかけられた場合、実勢価格より安く落札されることが多いからです。金融機関は慎重を期すため、本来の価値よりも20~30%低く担保価値を設定します。掛け目は金融機関によって異なり、また物件の立地などの条件によっても異なります。

計算式は以下のとおりで、時価の算出については、公示地価や路線価、固定資産税評価額などが使われます。

時価×掛け目=担保価値

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担保価値あり物件のメリット

担保価値の高い物件を購入することには、どんなメリットがあるでしょうか。
1つ目は、当然ながら金融機関から融資を受けやすくなることです。前述のように、金融機関は掛け目を用いて融資可能額を計算するため、担保価値が低い物件はその分自己資金を多く用意しなければなりません。担保価値が十分ある物件なら、少ない自己資金で購入することができるのです。

2つ目のメリットは、担保価値の高い優良物件であれば、融資金利が低めに設定されることです。不動産担保ローンの金利は担保不動産の価値で決まるため金利の幅は広く、現在では0.85~8.35%(2019年8月現在の東京スター銀行、不動産担保ローン変動金利の場合)と設定されています。

3つ目のメリットは、売却時に買い手が見つかりやすいことです。「再建築不可」「崖地など災害の可能性が高い」「離島など遠隔地にある」「建築に自治体の許可が必要」などの理由で売れる見込みがない物件には、そもそも担保価値がありません。一方で担保価値がある物件は、金融機関が売れる物件であると鑑定したようなものなので、売りたい時に売りやすいのです。

担保価値あり物件のデメリット

担保価値あり物件のデメリットとしては、アパート・マンションなどの収益物件を購入した場合、土地の値段が高く、収益性が下がるケースがあることです。

アパート・マンションなどの収益物件の担保価値は、積算法(対象不動産について、ある価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に、対象不動産の賃貸借等を継続するために必要な諸経費等を加算して、対象不動産の試算賃料を求める方法)によって出された土地と建物の評価額の合計と、収益還元法(対象不動産が将来生み出すと予測される純収益を、現在価値に割り引いて計算する方法)による評価額を按分して決められます。

したがって、アパート・マンションのように建物によって収益を得るタイプの不動産では、土地の値段によって物件価格が高くなっている場合、土地分の返済金額が多い分、収益性が下がってしまうのです。

これは、不動産の評価方法が土地と建物に分かれているため、土地価格の評価基準に「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」のいずれを採用するかということや、掛け目が金融機関によってまちまちであることも原因の一つです。

メリットが多い担保価値あり物件ですが、上記のメリット・デメリットを踏まえ、収益と返済のシミュレーションをしっかりした上で購入を決定することが大切です。

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