2023.02.01
賃貸経営

賃貸経営の空室対策アイデア22選!空室の原因8つも検証

賃貸経営の大きなリスクは空室が発生することです。主な8つの空室原因と、オーナーが今からすぐにできる「空室対策アイデア22選」を紹介します。実施には優先順位をつけ、費用ゼロのものから始めましょう。

 

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賃貸物件が空室になる5つの原因

賃貸物件で空室が発生する原因は、大きく以下5つに分けられます。それぞれの特徴を以下にまとめます。

立地条件が良くない

立地条件は賃貸経営においてもっとも重要視すべきポイントのひとつです。一般的には、駅に近い場所や、病院・学校・コンビニエンスストア・スーパーなどといった日常生活を営むために必要な施設が近くにある場所は、交通の利便性が良く周辺環境が充実しており好立地であると判断されます。

一方、駅までの距離が遠く、バスを使う必要のある場所などは入居者が集まりにくい傾向にあります。また、治安が悪かったり、嫌悪施設が近くにあったりする場合も、立地条件は良くないと判断され、空室が発生する原因となります。

ニーズに合う間取りではない

部屋の間取りが入居希望者のニーズに合わない場合、物件で空室が発生する原因となります。たとえば、和室やユニットバスのある物件は近年では不人気になる傾向があります。多くの場合、リフォームなどで対策を施すことが可能なので、検討することをおすすめします。

また、物件があるのは単身者が多いエリアか、それともファミリー層が多いエリアか、利用者のニーズを見極めることも重要です。単身者が多いならばワンルームや1Kなどの小さい間取り、ファミリー層が多いならば3LDK以上の大きい間取りが好まれるため、その地域のニーズから最適な間取りは何かを考える必要があります。ただし、リフォームを行う場合は高いコストがかかるため、費用対効果をよく考えて実施することが大切です。

設備が古い・美観が悪い

物件の築年数が古いと、設備や美観が新築物件よりも見劣りするケースが多く、魅力が乏しいために入居者が集まりにくい傾向があります。

ただし、築古物件でもこまめにメンテナンスを行えば、物件の魅力をあまり落とさずに高い家賃を維持し続けることは可能です。なお、10数年に1度は屋根・外壁の塗装・屋上防水などの大規模修繕を行う必要があるので、計画的に実施するようにしましょう。

賃料設定に問題がある

物件の賃料設定が適切ではない場合、入居者が集まりにくくなります。たとえば、周辺地域の類似物件と比べて家賃が大幅に高い物件などです。家賃だけでなく、敷金・礼金・更新料も比較することが大切です。

多くの入居希望者は予算と立地を優先して賃貸物件を探すため、家賃が相場よりも高すぎると、特別な理由がない限りは候補からすぐに外れてしまう可能性が高いです。そのため、周辺地域の家賃相場を把握して、相場と同じ水準になるように賃料を調整することが重要です。

広告に問題がある

賃貸物件の入居者を募集する際は、不動産会社の協力を得て広告を出すのが基本です。不動産の広告としては、折り込みチラシといった紙媒体のほか、インターネットのポータルサイトに掲載する方法があります。

広告を見て入居の判断をする人は多いため、掲載方法や内容に問題があると入居希望者はなかなか集まらないといえます。たとえば「物件情報がターゲットに合う媒体に掲載されていない」「募集図面が見づらい」「写真が古い」などが考えられるため、事前に内容は隈なく目を通しておくようにしましょう。

【参考】なぜ空室対策は重要?
 
アパート経営と空室対策サイト「あぱたい」が、総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」を基に全国の賃貸住宅空室ランキングを発表しています。それによると、最も空室率が高いのは栃木県で35.59%、最も低いのが沖縄県で9.733%となっています。

大都市圏では東京が11.62%で2番目に低く、愛知が14.34%、大阪が18.18%とされ、おおむね地方圏が20~30%台、大都市と首都圏が10%台と地域格差が大きい結果になっています。大都市圏でも10戸に1戸以上の割合で空室が出ていることに空室問題の深刻さがうかがえます。

では、なぜ空室対策が重要になるのでしょうか。その理由は不動産投資の特殊性に関係しています。不動産投資は購入する際に組んだローンを、毎月の賃料で返済していく仕組みになっています。全額自己資金で購入した場合は、空室の発生は利益率が下がるだけですので、それほど深刻ではないかもしれません。

一方、空室率10%(10戸につき1戸の割合)を前提にローンを組んでいる場合は、満室ならゆとりある経営、空室1戸なら想定どおりです。ところが、2戸以上空室が出ると預貯金を取り崩して返済しなければならなくなります。

もし空室対策をせずに、空室期間が長引けばオーナーの生活にも支障が出る可能性があります。そうならないように、下記に紹介しているさまざまな空室対策のアイデアを参考にしながら、可能なことは積極的に実行していくことが求められます。

賃貸物件の空室対策アイデア22選

では、空室対策としてすぐにできる22のアイデアを紹介しましょう。

物件の適切な管理と環境整備を行う

物件を清潔な状態に保つには、適切な管理と環境の整備が必要です。とくに女性のユーザーは美観を重視しますので、汚い印象を持たれないように注意しましょう。

アイデア1:清掃を行い清潔感と美観を保つ
敷地の入り口(外観)やエントランス、廊下などの共用部分は清潔感を保つべき最重要エリアです。空室になったあとに来訪する内覧者に汚いイメージを持たれたら、まず入居に至る可能性は低いと考えるべきです。

自主管理であれば、共用部分の電球が切れたらすぐ取り換える、エントランスにゴミや荷物を置かないなど、オーナーにできることも多々あるはずです。スーパーやコンビニが行っているチェックシートによる点検を毎日行うことで、改善すべき点を発見できます。

アイデア2:女性がターゲットの場合、水回りを特に清潔にする
女性がターゲットの物件であれば、水回りを清潔に保つことは重要な空室対策になります。前入居者が使っていたものを嫌がる女性もいるので、シャワーヘッドやトイレの便座を替えてあげると喜ばれるでしょう。洗面所に乾燥機や、室内干し用のポールを設置するのもアピールポイントになります。

リフォーム・リノベーションを行う

リフォームは壁クロスの貼り替えや、割れたタイルの交換など「元の状態に戻す」意味合いがあります。これに対し、リノベーションは3LDKの部屋をワンルーム2部屋に分割する、家全体をバリアフリー化するなど「つくりかえる」という意味があります。

リフォームは定期的に行うこともできますが、リノベーションはファミリー中心から独身者中心に周辺の居住者層が変わったなど大きな理由がないと難しい対策といえます。予算をとることが可能なら以下のような対策を検討するとよいでしょう。

アイデア3:室内クロス(壁紙)やクッションフロアなどを貼り替える
室内クロスは「ホワイト」か「アイボリー」が定番です。色は人によって好みが違うので、無難なホワイトやアイボリーを採用しているものと思われます。それは同時に他物件との差別化にならないということにもつながります。モダンな色やデザインのクロスを貼ることでおしゃれな部屋を演出できるほか、玄関などにアクセントカラーとして貼る方法もあります。

クッションフロアも貼り替えることで部屋の雰囲気が変わります。床材としては安価でリフォームによって効果の出しやすい素材として知られています。

アイデア4:収納スペースの造作を追加する
収納スペースは世帯人数の多いユーザーにとって多いに越したことはありません。押入れをクローゼットに改修して洋服の収納容量を増やす、隙間収納のために造作家具を取り付ける、トイレの壁面に収納スペースをつくるなどいろいろな方法が考えられます。

アイデア5:水回りを改修する
住宅の水回り4大ポイントといえば、キッチン、トイレ、浴室、洗面所です。退去後にこれらの場所に改修の必要が生じた場合は、最新の人気設備を導入する機会にもなります。IHキッチン、シャワー付きトイレ、シャワーミスト付き浴室、乾燥機付き洗面所にすれば内覧者の評価が高くなることが期待できます。

◆キッチンとトイレのリフォームについては、こちらの記事をご覧ください。
大家向け|賃貸キッチンリフォームを予算別・種類別に紹介
賃貸経営のトイレリフォーム|入居者層を意識して決めよう

 
アイデア6:外壁塗装や屋根を補修する
リフォームやリノベーションが必要なのは部屋ばかりではありません。外壁や屋根も築十年以上になれば補修の必要が生じる場合があります。

とくに外壁は多くの人の目にとまるので、汚れは落としておきたい箇所です。最近は高圧洗浄機を使えば比較的簡単に外壁の汚れを落とせるようになりました。手すりの錆なども小さい部分ならオーナー自らペンキを塗ることも可能でしょう。

◆屋上防水工事は、建物の寿命を伸ばすためには欠かせません。屋上防水工事について詳しくまとめた記事はこちらです。
屋上防水工事で建物寿命を伸ばす!種類・耐用年数のまとめ

 

近年の入居者ニーズに合わせた設備やサービスを導入する

近年入居者のニーズが高い設備やサービスを導入するのも、空室を早く埋めるのに効果的です。セキュリティの強化策とあわせて、いくつかの対策をみてみましょう。

アイデア7:セキュリティを保持する(有料)
賃貸経営にとってセキュリティは最重要課題です。警備会社と契約する、防犯カメラを設置するなど一般的な方法以外にどのような対策があるでしょうか。

不動産広告でよく目にするのが「オートロック」という言葉です。オートロックは入り口と各世帯に機器を設置する必要があるため、導入費用が高額なのが難点です。しかし、従来よりも安い費用で設置できる「簡易オートロック」もあるので、コスト面では導入しやすくなっています。

もう1つ最近注目されている「スマートロック」は、スマホなどの電子機器を使って鍵を開閉できる商品です。鍵を閉め忘れた際も外出先から遠隔操作でき、開閉の状況を確認できるものもあります。取り付ける鍵にはいくつかの種類があり、仕組みや価格も異なるので、予算に合わせて選ぶとよいでしょう。暗証番号式のため、退去の際に鍵交換が不要というメリットがあります。

◆従来のシリンダーキーよりも複雑な構造で作られており、防犯性が高い鍵として知られているのが「ディンプルキー」です。ディンプルキーについてはこちらの記事をご覧ください。
ディンプルキー導入で防犯性向上!メリットと費用を紹介

 
アイデア8:宅配ボックスなど利便性の高いシステムを導入する(有料)
新型コロナウイルスの影響で宅配便の需要が急増しており、宅配ボックスの有無がますます物件の人気を左右する状況になっています。自分で注文した商品なら時間指定できますが、他者から送られてくるものはどうにもなりません。留守にすることが多い独身会社員であれば宅配ボックスがあるのは大きな魅力でしょう。

◆宅配ボックスを設置する費用相場などは、こちらの記事で紹介しています。
宅配ボックス設置の費用相場|種類とメリット・デメリット

 
アイデア9:無料Wi-Fiを完備する(有料)
スマホを持つのが当たり前の時代ですので、街ナカでも無料Wi-Fiを設置する施設が増えています。賃貸経営においても今後は無料Wi-Fiを完備しているかが、ユーザーの重要な選択のポイントになるでしょう。

全国賃貸住宅新聞2020年10月19日付の報道によると、単身者向け、ファミリー向けともに「インターネット無料」を人気設備の1位に選んでいます。空室対策としてインターネットへの接続環境が重要なポイントであることが立証された形です。

◆入居者からのニーズが高い設備のひとつが「インターネット無料」です。こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
「インターネット無料」で入居率改善!メリットと注意点まとめ

 
アイデア10:駐車場・駐輪場を用意する
駐車場・駐輪場があるかどうかもユーザーが物件を選ぶ有力な選択肢になります。敷地内にないか、あっても部屋数分の台数が確保できていない場合は、近隣の空き駐車場を契約することも必要です。車を持っているユーザーは「駐車場無し」の物件ははじめからスルーしてしまうので、競争力を高めるためには駐車場は必須といえるでしょう。

駐輪場は多くの物件で用意していると思われますが、「バイク駐輪可」とすると、より内覧者増加が期待できます。とくに都心の物件ではバイク駐輪可としているところが少ないので、競争力のアップにつながります。

アイデア11:自動販売機を設置する
収益も兼ねた対策として、自動販売機の設置も検討の余地があります。夜間などコンビニまで行くのが面倒なときもあるでしょう。設置すれば入居者の利便性が高まるだけでなく、わずかでも副収入が得られます。一石二鳥の対策といってよいでしょう。「メーカー設置タイプ」の契約なら電気代のみで運営できます。

内覧者を気持ちよく迎える

入居に結び付けるには、内覧者を気持ちよく迎えることが大事です。そのために、以下のような対策をして迎えてみてはいかがでしょうか。

アイデア12:来場者プレゼントやウェルカムボードの設置を実施する
住宅展示場ではおなじみの来場者プレゼントを、内覧者に贈呈するのも有効なアイデアといえるでしょう。その場合、告知に単に「粗品」と書くのはNGです。内容がわからないので魅力を感じませんし、品物の場合は人によって要・不要の差があります。不動産物件の内覧で多い「QUOカード500円分」のプレゼントであれば、誰でも使えて価値がはっきりわかるので、喜ばれるでしょう。

ウェルカムボードの設置やPOPの掲示も内覧者に好印象を与えます。単なる既成の印刷物が貼ってあるだけでは宣伝物にしか見えませんが、ウェルカムボードは手書きで温かみがあります。書く内容もいつも同じではなく、例えば雨の日なら「雨のなかをようこそいらっしゃいました」などと書かれていると、いかにも自分のために書いてくれたような印象を持ちます。

アイデア13:内覧の際の空調や部屋のにおい対策、換気を徹底する
内覧者に気分よく物件を見てもらうことは大事です。そのための対策としては次のようなことが考えられます。

  • 部屋のにおいを気にする内覧者のために、部屋を換気しておく
  • 清潔感を重視する内覧者のために、スリッパを用意しておく
  • 夏は冷房、冬は暖房を入れるなどエアコンを快適な温度に調整しておく
  • 夕方以降訪れるユーザーのために、電気を開通しておき照明器具を点けておく

POPも家具の近くに「大きなクローゼットでロングコートもらくらく収納!」などと特長をアピールするような文面を掲示すると効果的です。

広告の手法を見直す

入居者募集を不動産仲介会社に任せている場合は、広告の手法を見直す必要があります。インターネットの募集サイトに掲載せずアナログな店頭募集のみ行っている会社もあります。現在はスマホやパソコンを使って、インターネットの不動産サイトから情報を得る人が主流派です。インターネット広告を行わない方針であれば、仲介会社を替えるのも選択肢の1つでしょう。

アイデア14:ネット広告やチラシに使う画像を選び直す
ネット広告やチラシに使う画像に問題があって問い合わせ件数が少ないという可能性があります。マイナス要素になる写真の状態としては、「小さすぎる」「画像が暗い」「写真がピンボケしている」「画像の解像度が粗い」などが考えられます。これらの状態の写真が1枚でもあれば再選定して差し替えましょう。

アイデア15:広告でアピールポイントを前面に出す
広告は写真だけでなく、文言も重要になります。せっかく広告を出すのですから、物件のセールスポイントを前面に押し出す文言を入れるようにしましょう。「駅歩5分で通勤・通学便利」「閑静な住宅街で子育てに安心」など立地の特性をアピールするものや、「スーパー近く買い物便利」「安心の駐車場全戸確保」など利便性を謳うのもよいでしょう。また、ニーズが高い「宅配ボックスあり」「無料Wi-Fi完備」など設置している設備があれば積極的にアピールしましょう。

アイデア16:ホームステージングなど実物を見せる工夫をし、プロの利用も
最近空室対策の1つとして注目されているのがホームステージングです。ホームステージングとは、空室になった部屋に、売り出し時のようにテーブル、イス、カーテン、小物、観葉植物などを配置して、モデルルームのように見せる方法です。

ステージングした部屋をインターネットの募集サイトに掲載すれば、単なる空き部屋の写真を見せるよりも内覧希望者が増える効果があります。ハイレベルなステージングにしたい場合は、ホームステージャーと呼ばれるプロに依頼するのもよいでしょう。

入居者審査や募集条件を緩和する

入居者審査や募集条件を緩和して、間口を広げるのも1つの戦略です。緩和の方法として以下の3つが考えられます。

アイデア17:募集条件を緩和する
条件緩和のなかで有効と思えるのが1Rや1Kの2人入居を認めることです。学生であれば友人同士で入居したいというニーズが見込めます。とくにトラブルになる例は少ないようです。

事務所として使用することを可にするのもユーザー層の拡大につながります。その場合、事業用となるため、敷金の増額と賃料に消費税を加算する必要が生じます。

一方で、「ペット可」は慎重に判断したほうがよいでしょう。糞尿等のにおいや汚れが染みつき、退去後の原状回復に多額の費用がかかります。費用負担でトラブルになりかねません。もし可にするなら敷金を増額し、原状回復に責任を持つことを契約書に記載する必要があります。

アイデア18:入居者の制限を緩和する
次に、入居者の制限を緩和することも昨今の賃貸住宅事情を考えれば必要なことです。これまで賃貸経営では外国人、学生、高齢者の入居を敬遠する傾向にありました。しかし、近年は家賃保証会社の登場で、昔ほどこれらのユーザーを入居させるリスクは小さくなっています。

これから高齢化と人口減が進む日本の社会で、高齢者や外国人を入居不可としたら賃貸経営が成り立たなくなることも考えられます。よい家賃保証会社をいまから探し、入居者の間口を広げておくのが有効な空室対策といえるでしょう。

アイデア19:使用方法を緩和する
UR都市機構は、2018年1月30日付で入居者による模様替えの基準を緩和する方針を発表しました。入居者の多様なニーズに対応し、入居者サービスの向上を図るためとしています。入居者が自分の好みで壁のクロスを貼り替えることなどを認めるかどうか、オーナーにとっては悩ましいところです。ペットやバイク、楽器の問題も使用方法の一部に属するでしょう。

反面、入居者自らトイレをシャワー付き便座に替えるといったオーナーにとってプラスといえるケースもあります。使用方法の緩和は、他の入居者の迷惑になることは禁止し、それ以外を緩和するのが無難といえるでしょう。また、禁止しなくても「ピアノの使用は午後8時まで」など、時間を区切って認める方法もあります。

家賃など金銭的な条件を緩和する

さまざまな空室対策を実行してもなお空室が続く場合は、家賃に問題があるのかもしれません。金銭的な条件の緩和には以下のような方法が考えられます。

アイデア20:敷金・礼金などの一時金を緩和する
金銭的条件を緩和する場合、いきなり家賃を下げるのは得策ではありません。一度下げた家賃を上げるのは難しいからです。それに万一、出口戦略として物件を売却する際に、家賃を下げると不動産の評価が変わってしまいます。買い手からみると、高い家賃=人気のある物件と判断しますので、敷金・礼金で調整したほうが無難です。

保証会社を利用すれば家賃も退去時の原状回復費用も保証されるので敷金は不要にできます。

敷金は退去時の原状回復の担保として下げるのは不安があるので、「礼金なし」にしたほうが安全でしょう。ユーザーにしても、家賃1ヵ月分相当の礼金がないのはお得感があるはずです。

アイデア21:フリーレント物件にする
フリーレントとは、一般的にいう「無料体験期間」のことです。条件はよいが住み心地がわからないので一定期間お試し入居したいというユーザーの需要を取り込めます。

フリーレントは、1カ月分に設定するケースが多くみられます。いくら1カ月分無料になるからといって、希望とかけ離れた条件の物件に体験入居する可能性は低いと考えられますので、そのまま継続入居してくれる可能性は高いでしょう。1カ月分の家賃は入りませんので空室状態と同じですが、その先の入居を確保できる点で有効な対策と考えられます。

アイデア22:家賃の相場を調査し家賃を見直す
周辺の家賃をリサーチした結果、相場よりも高い場合は一定の値下げを考えることもやむを得ないでしょう。ただし、家賃の値下げは最終手段です。あらゆる努力をした結果、空室が改善しなかったときの選択肢であることを心に留めておきましょう。
最近では無料で家賃の周辺相場が調べられるツールもあります。

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管理会社の見直し、家賃保証会社の検討も空室対策のひとつ

不動産管理会社は大きく分けて、入居者募集や家賃集金などの賃貸管理業務と、建物のメンテナンスを中心とした建物管理業務の2種類の業務を行います。賃貸経営で成功するためにはいずれも重要な業務であるため、信頼できる不動産管理会社の選び方を知っておくことが大切です。

また、場合によっては管理会社の見直しや家賃保証会社の利用を検討することをおすすめします。家賃保証会社とは、入居者が負担する家賃の支払いをオーナーに保証する会社のことです。賃借人の「連帯保証人」を代行する会社として考えるとイメージしやすいでしょう。入居者が家賃滞納をした場合はもちろんですが、通常時においてもオーナーに家賃の立て替え払いを行います。


具体的には、株式会社Casaが提供する「家主ダイレクト」というサービスは、不動産オーナーの賃貸経営をサポートし、安定した家賃収入を確保するのが特徴です。入居中の賃料などを100%保証するため、家賃滞納があってもオーナーは心配する必要がありません。家主ダイレクトが一括して入居者の口座から家賃を引き落とし、オーナーの口座に振り込みますので、月末には必ず入金されます。

また、家賃滞納時の催促、契約終了時の未払い金への対応、長期滞納時の法的措置など、賃貸経営で起こる可能性のあるお金の問題に対応してもらえるのもメリットです。加えて、家主ダイレクトでは入居者募集支援も行っており、独自のネットワークの中から、対象エリアの仲介会社へ空室状況の配信も行います。入居者の家賃管理だけでなく、賃貸経営を行ううえでのサポートも受けられるため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

おすすめできない空室対策

ここまで有効な空室対策を紹介してきましたが、一方でおすすめできない空室対策も存在します。特に以下の3点は空室に悩むオーナーが行いがちな対策といえますので、デメリットやリスクをよく理解しておきましょう。

相場よりもかなり家賃を安くする

家賃を安くすれば、入居者は集まりやすくなります。周辺の物件と比較して、間取りや設備、築年数などに大きな違いがなければ、ほとんどの人は家賃が安いほうを選ぶでしょう。

しかし、周辺相場と乖離した家賃設定するのは避けるべきです。空室状態よりは良いと考えるオーナーも中にはいますが、家賃を下げれば結果的に収支の悪化につながります。また、アパートやマンションなどの賃貸物件は築年数が経つほど価値が落ちますので、一度下げた家賃を後で上げるのは難しいという点もあります。

家賃を下げることよりも、まずは広告に力を入れたり、リフォームなどを通して物件の魅力を高めたりすることをおすすめします。

回収までを考えないでリフォームをする

リフォームやリノベーションを行うと、築年数の古い物件でも利便性や美観を高められるので、入居者を集めるには有効な手段になります。

しかし、費用対効果を考えて実施しなければ、逆効果になってしまうリスクがあります。リフォームにかかった費用を家賃収入で回収するにはどのくらいの期間を要するか、事前に計算したうえで実施することが大切です。

また、室内を真新しい状態にできても、家賃設定などに問題がある場合は入居率にそれほど改善がみられないこともあります。物件の特徴や周辺環境など、さまざまな要因によってリフォームの効果は異なるので、リフォームやリノベーションの実施には客観的な視線を持つことが必要です。

リスクを想定しないで条件を緩和する

アパートやマンションでは入居審査を行うのが基本です。たとえば、年齢・勤務状況・家族構成・自己資金・保証人の有無などが審査対象になります。こうした条件を緩和すれば、今まで審査に通らなかった人でも入居できるようになるので、入居率が上がる可能性があります。

しかし、入居条件を緩和すれば、家賃を滞納したり、騒音などで近隣トラブルを起こしたりするなど、問題のある入居者が住んでしまう可能性が高くなります。長期間の家賃滞納は賃貸経営の収益減少につながるうえ、回収できなくなるリスクもあるので、オーナーとしてはもっとも避けたい事態のひとつです。

また、近隣トラブルによって他の入居者が被害を受けると、トラブルを発生した人ではなく、被害を受けた人が退去してしまう可能性があります。注意喚起しても改善されない場合があるので、問題行動をとる入居者とは契約しないのが最良の選択といえます。もし入居条件を緩和するのであれば「敷金を増額する」「保証人を立てる」などの対策を行うことが必要不可欠と考えましょう。

◆賃貸経営によくあるトラブルはこちらの記事でまとめています。
オーナー向け|賃貸経営のよくあるトラブル一覧とその対処法

 

◆騒音トラブルの対処ステップについては、こちらの記事を参考にしてください。
アパートの騒音トラブル|対処するステップと回避策を紹介

 

空室対策アイデアの実施は優先順位付けが大切

ここまで空室対策について、あらゆる角度から考察しました。あわせてすぐにできる22の有効な空室対策も紹介しましたが、1度にはできないので、実施にあたっては優先順位を付けて行う必要があります。

1.費用がかからずできることから実施する
2.予算の手当てが必要な対策は経営状況を考え、できることから実施する
3.さまざまなアイデアを実施しても改善しない場合は、金銭的条件の引き下げを行う

ただし、家賃の値下げは最終手段と考えるべきです。また、入居者の間口を広げるため、家賃保証会社と契約するのも有効な方法としておすすめです。家賃を下げる前に一度検討してみてはいかがでしょうか。

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