2021.02.12
賃貸経営

賃貸物件の共有部の私物は撤去できる?オーナーがとれる対処法

賃貸マンション・アパートの廊下やエントランスなどは共有部分であり、私物放置は規約違反です。中には自室の前の廊下に私物を放置する入居者もいるため、法的な視点を含めてオーナー側がとれる対策を紹介します。

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Q:所有物件の共用部分に私物が放置されており、苦情が発生している。撤去してよいのでしょうか

A:多くの集合住宅では共用部分に私物を置くなど私的に使用することは規約で禁止されています。そのためオーナーの権限で撤去することは可能ですが、それには適切な段階を踏む必要があることと、「撤去」はできても「処分」を行うには、細心の注意が必要です。

共用部分に私物を放置するのは規約違反

アパートやマンションなどの共用部分に置かれている私物として多いのは傘立てや自転車、ベビーカー、植木などです。これらの私物を放置するのは原則としてマンションなどの規約違反になります。共用部分は文字通り住人同士で共用する部分であり、自由に使える専有部分ではないからです。

他の住人は置いていないのに特定の住人だけが共用部分を自室の一部のように使用することは不公平感につながり、入居者間のトラブル要因にもなります。

こうした行為は規約違反であるだけでなく、共用部分への私物放置は法律に違反する恐れもあります。関連する法律や条例として、たとえば以下のような規定があります。

1つめは、消防法です。

消防法 第8条の二の四
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。

この規定によると、共用部分は避難経路であり、そこに私物を放置することは避難に支障が生じるため、物を置いたりしないよう適切な管理しなければならないとあります。

都道府県の条例にも同様の規定が設けられていることがあります。以下は東京都の火災予防条例からの抜粋です。

第五十三条の二 何人も、令別表第一に掲げる防火対象物において、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
一 避難施設に、火災の予防又は避難に支障となる施設を設け、又は物件を置くこと。
二 防火設備の閉鎖又は作動に支障となる施設を設け、又は物件を置くこと。
三 消防用設備等又は法第十七条第三項に規定する特殊消防用設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)の感知、操作、散水その他の機能に支障となる施設を設け、又は物件を置くこと。

こちらでも、火災時の安全確保の観点から共用部分に物を置くことを禁止していることがわかります。このように共用部分での私物放置は美観やマナーの問題だけでなく、防災の観点からも禁じられています。

私物を放置している住人への段階別対処法

廊下など賃貸住宅の共用部分に私物が放置されている場合、オーナーが取りうる対処法には4つの段階があります。それぞれの段階別に時系列で解説します。

段階1:写真を撮影し、状況を確認する

苦情が入ったり、オーナー自身が私物の放置を発見した場合は、まず写真を撮影して状況の確認と証拠を残しておきます。その写真がいつのものなのかを確認できるよう、日付の入った新聞と一緒に撮影するなど証拠の能力を高めておくのも有効です。

段階2:口頭、書面による注意

最初の段階では状況の確認と証拠を確保しただけなので、この第2段階が住人に対する具体的な行動の1つめになります。顔を合わせる機会があるのであれば口頭で、その機会が少ないようであれば書面による注意を行います。

口頭での注意は手軽ですが「言った言わない」の水掛け論になる可能性があるので、証拠を残す観点からも口頭で伝えるだけでなく書面でも伝えておくことが望ましいでしょう。

書面には共用部分に私物が置かれていることに対する注意と、それが規約や法令に違反するため、今後置かないようにしてほしい旨の内容を記載します。ここで重要なのは期限の設定で、書面には私物を片付ける期限を定め、その期限を過ぎても置かれている場合はオーナー側が撤去することを伝達します。

段階3:オーナー自身が撤去し、保管する

書面による注意で私物を住人自身が撤去してくれれば問題は解決ですが、そうならない場合はオーナー側による私物の撤去を行います。ここで撤去した私物は一定期間、オーナー側で保管します。私物の撤去を行った事実を書面によって通知し、一定期間は保管していること、その期間を過ぎたら処分することを伝達します。

放置されていた私物は住人の所有物なので、一方的な撤去は問題があるのでは?とお感じの方もおられるかもしれませんが、撤去した私物を保管しておくのであれば問題はありません。

段階4:保管期限を過ぎてからの対処

私物を撤去した際に通知した処分期限を過ぎても、住人が私物を取りにこない、もしくは何もアクションを起こしてこない場合は、再度処分を示唆する内容を含む通知をします。それでも住人からのアクションがなければ、オーナーの判断で価値が高いと思われるもの以外を処分します。

このとき、撤去したものを保管するならともかく、処分することに躊躇するオーナーさんもおられるでしょう。法的にも、いくら禁止されている共用部分に放置されていた私物だからといって、それをオーナーが勝手に処分することは「自力救済禁止の原則」に抵触する恐れがあるからです。

この原則に照らし、価値の高い物品の処分には慎重を期す必要があります。私物を放置した住人の責任によるトラブルではありますが、民事訴訟に発展してしまう可能性が排除できないからです。私物の処分で揉めるような事態になるのであれば、賃貸契約書の規約違反を根拠に物件からの退去を求めるのもひとつの選択肢です。

私物放置は平時からこまめに対応を

共用部分、特に廊下における私物の放置は「家の前だし」「これくらいなら」という人間の心理的な甘さが背景にあります。そのためオーナーが黙認していると常態化し、他の住人も私物を置くようになる可能性があります。1枚の窓が割れたまま放置されていると他の窓も割られてしまうというのは有名な「割れ窓理論」ですが、共用部分における私物の放置も1戸だけの放置を黙認しているとやがてそれが広がってしまい、マナーの低下を招きます。

最初は1人の住人による1個の私物放置でしかなかったものが、やがて建物全体に波及してしまうと住環境の悪化だけでなく、消防法の規定が懸念しているような安全性の低下にもつながります。ひいては賃貸住宅としての集客力の低下や資産価値の低下にもつながるため、平時からしっかりと管理をして私物の放置にはこまめに対応することをおすすめします。
 

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