2021.02.12
トラブル対応

家賃滞納の督促の流れを4段階別に解説!【督促状文例あり】

賃貸経営は毎月決まった家賃が入る安定したビジネスといえますが、入居者の経済状況によっては家賃滞納が発生する可能性があります。家賃滞納の督促の流れは4段階に分けられるため、本記事では各段階の説明を行うとともに、督促状の文例も紹介します。今後のために対策を知っておきたいオーナー、家賃滞納でお悩みのオーナーはぜひ参考にしてください。

【著者】矢口 美加子

 

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月初の家賃滞納率は約5%、2カ月以上の滞納率は約1%


出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 – 日管協総合研究所「第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』2020年10月~2021年3月」P12

公益財団法人「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに公表している「賃貸住宅市場景況感調査」のデータの中で、2020年10月~2021年3月までの家賃滞納率を表したグラフがこちらです。このデータから、全国の月初全体の滞納率は5%程度、月末での1カ月滞納率は2%程度、月末での2カ月以上の滞納率は1%程度だとわかります。

月初の滞納率には、残高不足で引き落としが行われなかった・振り込みが間に合わなかったなどのそれほど深刻な家賃滞納ではないケースが該当し、およそ20戸に1戸、総戸数100戸のマンションならば5戸で発生している計算になります。

もっとも深刻なのが、2カ月以上滞納率です。1%を単純計算するとおよそ100戸のうち1戸が2カ月以上滞納しており、その前兆といえる月末での1カ月滞納率でも2%(100戸のうち2戸)は発生していることになります。月初の滞納率に該当する入居者は支払う意思がそこまで低くない・必ずしも悪意があるとはいえないのに比べ、2カ月以上滞納率・1カ月滞納率のケースは1カ月以上にわたり確実に家賃を滞納している注意すべき入居者で、100戸のうち1~2戸は存在することが見て取れます。

オーナーができる家賃滞納の督促の方法・流れ

家賃滞納は放置するほど回収が難しくなるので、入居者が家賃を滞納していることが分かったらすぐに家賃の請求を入居者本人に求めていきます。基本的には下記のステップを踏んで督促し、最後のステップへ行くほど深刻度は増します。

1. 口頭、書面での連絡
2. 契約解除の予告通知書(催告書)を内容証明で送付
3. 保証人に連絡する
4. 法的措置を実行する

STEP1. 口頭、書面で入居者に連絡

家賃支払い日から1週間程度が過ぎても振り込みが確認できない場合には、電話や口頭で家賃が未入金であることを伝えます。電話がつながりにくい・直接伝えるのが難しいときは書面で行います。入居者がうっかり忘れていただけという可能性もあるので、この時点ではあくまでも「連絡」という形で穏やかに請求をするのがポイントです。

▽督促状の文面例

令和●年●月●日

●●●●(入居者)様

(賃貸オーナーの名前、社名、住所、電話番号など)
賃料のお支払いに関するご連絡

平素は●●(物件名)の●●●号室をご利用いただき、ありがとうございます。●●(物件名)の●●●号室の賃料につきまして、お支払い期日を過ぎておりますがご入金の確認が取れておりません。
つきましては下記の振込先へ早急なご入金と、その旨のご連絡をお願いいたします。
なお、本状と行き違いですでにご入金を済ませておられる場合は、ご容赦願います。ご不明な点などおありの場合も、ご連絡をお願い申し上げます。

(物件名や振込先、滞納家賃額などを記載)

以上

電話をかけても一向につながらない、督促状を送っても何の音沙汰もないなら2回目の督促状を送付します。この場合は1回目とは違い、明確に「〇月〇日までにご入金ください」などと期限を明記します。保証人がいる場合には「保証人への連絡」を示唆する内容を含めます。

具体的には、上記文面に「●月●日までにご入金なき場合は、連帯保証人へ連絡をさせていただきます」という文言を追加します。書面を送るタイミングは、1回目は滞納が確認されてから1週間経過後、2回目は1カ月経過後を目安にしましょう。

STEP2. 契約解除の予告通知書(催告書)を送付

2回目の督促状を送っても家賃の滞納が解消されない場合には、内容証明郵便による催告書の送付を行います。内容証明郵便とは、郵便局が手紙の内容を証明するサービスです。「いつ・どのような内容の文書を誰から誰あてに差し出したのか」ということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明してくれます。

つまり、この内容証明郵便を受け取った人は「内容を知らない」などと言い逃れすることはできなくなります。そのため、後で法的措置をとる際に証拠品として裁判所に提出することもあります。

▽契約解除の予告通知書(催告書)の文面例

令和●年●月●日

(入居者の住所、名前)
(賃貸オーナーの名前もしくは社名、住所)

催告書

貴殿は当社(個人の場合は私)との賃貸借契約を締結し、下記建物について賃貸しておりますが、令和●年●月分から現在に至る賃料を総額●●円滞納しております。
つきましては、本書面到達後●日以内に滞納されている賃料の全額を下記の振込先までお支払いいただくよう、催告いたします。
なお、期日までにお支払いがなき場合は貴殿との賃貸契約を解除させていただきます。

(物件名や振込先、滞納家賃額などを記載)

以上

見てのとおり、書面の内容はさらに強い調子になり、「期限までに入金されない場合は賃貸借契約を解除する」という一文が含まれています。

STEP3. 保証人に連絡する

内容証明郵便で催告書を送付しても解決しない場合、いよいよ保証人へ連絡を行います。保証人へ連絡をする時期はオーナーにより違いがありますが、多くの場合は内容証明郵便で送付した期限までに家賃が支払われないことを確認した時点で実行されます。

連絡の際は、まず電話で行い、つながりにくいときは書面で通知をします。保証人が入居者に代わって滞納分を弁済した場合、滞納問題はここで解決となります。保証人からも支払いをしてもらえない場合は次のステップとなる「法的措置」へ移ります。

STEP4. 法的な措置(明け渡し訴訟、強制執行)を実行

入居者と保証人のいずれからも滞納家賃が支払われない場合は、最終的な手段である法的措置を実行します。明け渡し訴訟や強制執行を行うことになりますが、そこで重要となるのが「入居者とオーナーの信頼関係が崩れている」という客観的な証拠です。一般的に、この「信頼関係が崩れている」とみなされるケースに該当するのはこのような場合です。

1. 少なくとも3カ月以上の家賃滞納がある
2. 内容証明や電話などによる度重なる督促にもいっこうに応じない

つまり、オーナー側が何度も請求しているにもかかわらず話し合いに一切応じないなど、「まったく支払う意思がない」とみなされる場合は「信頼関係が崩れている」とされ、法的措置を実行する可能性が高くなります。

◆この「信頼関係が崩れている」についての詳しい説明や、入居者を家賃滞納で強制退去させる条件などはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
家賃滞納による強制退去の流れと、オーナーがすべき対策とは

家賃滞納していた入居者に退去されてしまったら?

最悪のケースとして、家賃滞納をしていた入居者が無断で退去してしまった場合はどうしたらよいのでしょうか?

家賃保証会社に加入しているならば、すぐに保証会社へ連絡を行いましょう。家賃保証会社が家賃滞納分を保証するだけでなく、原状回復費用や万が一のときの訴訟費用も保証してもらえる可能性があります。

家賃保証会社に加入していない場合であっても、入居者の代わりに保証人が対応してくれるならばよいですが、それも難しければオーナー自身が損害を被ってしまうことになりかねません。さらに、仮に残置物をそのままにして無断退去されてしまったとしても、勝手にオーナーの判断で処分することはできません。法的措置を行い残置物の処分許可が下りたとしても、処分費用は基本的にオーナーが負担することになり、金銭的にも精神的にも負担が大きくなるといえます。

◆入居者が家賃滞納のまま退去してしまった場合について、こちらの記事で詳しくまとめています。ぜひご覧ください。
入居者が家賃滞納のまま退去!パターン別の対応策を解説

家賃滞納を未然に防ぐ「家賃保証サービス」とは

これまでの説明のとおり、入居者による家賃滞納が起こっても、家賃保証会社に加入している場合はオーナー側の負担はほとんど発生しません。滞納分を回収するには大変な労力と手間が必要となるため、督促をしなくても済むよう家賃管理・督促業務を請け負う家賃保証会社を利用することがおすすめです。

また、家賃保証会社はオーナーの代わりに入居者の就労状況・収入面などから審査も行なうため、家賃滞納などのトラブルが発生しにくい入居者に入居してもらえる可能性があります。

安心安全な賃貸経営を実現するなら「家主ダイレクト」


安定した賃貸経営を行うなら、数ある家賃保証サービスの中でもおすすめなのが「家主ダイレクト」です。家主ダイレクトを利用すると、家賃は月末までに全額入金されるといった「キャッシュフローの改善」、孤独死への対応・退去時精算費用への保証などといった「リスクへの対策」、独自ネットワークによる客付け支援・精度の高い入居者審査といった「空室への対策」の3つのメリットを受けることができます。

また、滞納が長期化してきた場合に発生する法的手続き費用なども家主ダイレクト側が保証します。弁護士費用や強制執行申し立て費用などを合計すると100万円を超す可能性もあるため、こういった部分を保証してもらえるのはオーナーとして安心できるのではないでしょうか。

家主ダイレクトの保証料は入居者が支払うため、オーナーは実質負担ゼロで数々の有益なサポートを受けることができます。

家賃滞納への督促は大きな負担。家賃保証会社への加入を検討しよう

昨今の大規模な感染症の影響から、入居者による家賃滞納トラブルは今後も増えていく可能性があります。失業などにより入居者の経済状況が急激に悪化する可能性も少なくないため、日ごろから入居者とこまめなコミュニケーションをとり、状況の変化はないかオーナーとして知っておくのも大切です。

万が一家賃滞納が発生してしまったら、督促を行うのはオーナー自身です。その点、家賃保証会社に加入していれば、家賃滞納が発生しても家賃は必ず保証してもらうことができます。賃貸経営の不安やリスクを解消することもできるため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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