2022.07.11
賃貸管理

アパートの消防設備点検は義務!費用や自分でできる項目は?

アパート経営の必要経費には消防設備点検の費用が含まれ、定期的な点検が必要であると定められています。中には有資格者による点検が義務付けられている建物や設備もあります。しかし、消防設備の中にはオーナー自身で点検できるものもあります。この記事では、消防設備の種類や自分で点検する際のポイント、有資格者に依頼する際の費用などについて紹介します。

 

オーナーのための家賃保証
「家主ダイレクト」

家主ダイレクトは、27万人を超えるオーナーに利用されている「オーナーが直接使える」家賃保証サービスです。

  • 賃貸経営をしているけど、なぜか手元にお金が残らない
  • 家賃の値下げはせず空室対策をしたい
  • 月々の管理コストを削減したい

こうしたお悩みを抱えている方は、まずは資料ダウンロード(無料)しお役立てください。

消防設備点検はアパートオーナーの義務

消防設備点検はアパートオーナーの義務と定められていることから、設備の点検不良などによって火災事故が起こればオーナーの責任となります。

火災が発生した際の被害の大きさは、その建物が使用される用途や規模、利用する人数の多さなどによって異なります。過去には、不特定多数の人が出入りする大規模な建物で火災が発生し、適切な防火対策がなされていなかったために大惨事が引き起こされた事件が起こったことがありました。

そこで、消防法などでは、建物の構造・用途・規模などに応じて、消防設備の設置義務や点検義務、届出義務を定めています。これにより、有資格者による消防設備の点検が義務付けられている建物は、

  • 延べ床面積が1,000㎡以上のもの
  • 階段が建物内に1カ所しかなく、地下または3階以上の階に特定用途があるもの
  • (特定用途とは、レストランやホテルなど不特定多数の人が利用すること)
     
    となっています。有資格者とは、消防設備士または消防設備点検資格者をさします。

    また、加圧式消火器であれば製造から3年、蓄圧式消火器であれば製造から5年を超える消火器が設置されている場合には、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必要となります。

    賃貸物件のオーナーには、入居者が安全に暮らせる環境を用意する義務があります。万が一命にかかわる事故が起これば、莫大な損害賠償責任を問われる可能性も生じます。適切な消防設備を備えておくことで、火災発生時に入居者に知らせたり、逃げ道を確保したりしておくことは非常に重要であるのです。

    そのため、いつ起こるか分からない災害に備えて、自分の所有する物件に必要な消防設備点検の内容や点検のポイント、費用などを把握しておくことは不可欠であることを理解した上で、以下の内容を読んでみてください。

    消防設備点検の内容とは

    消防設備点検の内容とはどのようなものなのか、具体的に説明していきます。これらの中には、点検の難易度によって有資格者しか行えないものと、有資格者ではなくても行えるものがあります。特別な資格がなくても行える点検については、以下でお伝えする確認のポイントなどを参考にしてぜひ自身で行ってみてください。

    消火器

    消火器の点検において確認すべきポイントを簡単に説明します。

  • 製造年は何年か(消火器の種類により、製造から3年または5年を超えている時には、有資格者による点検か消火器の買い替えが必要)
  • 消火器本体に変形や損傷などがないか
  • 安全栓の封がはがれていないか、変形や損傷がないか、使用済みになっていないか
  • レバー、キャップ、ノズル、指示圧力計は正常に動作するか
  •  
    詳しくは、消火器の説明書等を参考にして点検しましょう。また、上記に加えて、

  • 消火器の設置場所は適切で、すぐに使えるようになっているか?
  • 設置場所に適した種類の消火器が用意されているか?
  •  
    などについてもしっかりとチェックしてください。

    自動火災報知設備

    自動火災報知設備とは、熱や煙を感知した感知器が、建物の内部にいる者に火災の発生を自動的に知らせるための装置です。自動火災報知設備の点検において確認すべきポイントは以下の通りです。

  • ひび割れなどの損傷や変形、脱落などがないか
  • 間仕切りなどによって、感知されないエリアが生じていないか
  • 設置場所は適切か
  • テストボタンを押して感知器の作動確認を行い、「正常」というアナウンスが流れるか
  • 連動型警報機能付感知器が連動しているか
  •  
    自動火災報知設備が正常に作動しないと、火災の発生に気が付かずに逃げ遅れてしまったり、被害者が出てしてしまったりする可能性があります。間違いなく作動するか、しっかりと確認を行いましょう。

    避難器具

    避難器具とは、火災などが発生した際に、高層階から避難するための避難用はしごや滑り台、救助袋などをさします。非常時以外は使用することがないため、格納場所の周囲が物で塞がれていていざという時の使用に支障が生じる、器具が破損してしまっているということのないように定期的な点検が重要です。

    これらの避難器具の点検には専門的な知識や技術が必要となるため、有資格者による点検が必要となります。

    非常警報器具

    非常警報器具とは、火災発生時に建物内にいる人達に火災発生の事実を知らせて避難を促すための装置で、携帯用拡声器や警鐘、手動サイレンなどのことをさします。非常警報器具の点検において確認すべきポイントは以下の通りです。

  • すぐに使用できないような場所に置かれていないか
  • ほかの物に紛れ、見つけにくい状態で保管されていないか
  • 外形に変形や損傷などは生じていないか
  • 機能が正常に作動するか
  •  
    緊急時に必要となるものですので、どこに収納してあるのかを普段から確認しておくことが大切です。

    誘導標識

    誘導標識とは、火災が生じた際に避難口や避難すべき方向を知らせるための標識のことです。誘導標識の点検において確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 標識の一部が欠けているなど、損傷や汚れなどはないか
  • 設置場所は適切で、物などで視覚が遮られてはいないか
  • 標識が見えるように十分な明るさがあるか
  •  
    これらは、火災が発生した時に逃げ遅れる人が出ないよう、日ごろからもれなく点検しておく必要があります。ただし、蓄光式のものや電気エネルギーによって光を発するものなど、配線などの点検が必要な誘導灯は専門家による点検が必要なため、専門家以外の防火対象物の関係者が行うことはできません。

    連結送水管

    連結送水管とは、火災発生時に消防隊が消火活動を行うにあたって、火災が発生している階まで消化用水を送るための装置です。7階以上の高層建築物や、5階以上で延べ床面積が6,000㎡以上の広さのある建物などが設置の対象となります。マンションや商業施設などの入り口付近に設置されています。

    設置をしてから10年経過後に耐圧性能点検の実施が必要となり、それ以降は3年ごとに点検が必要となります。連結送水管の点検は専門的な知識が必要ですので、有資格者に点検を依頼する必要があります。

    消防設備点検の種類、期間について

    消防設備点検には「機器点検」と「総合点検」の2種類があります。設備点検を行ったら消防署長へ報告する必要があり、この報告を怠ったり虚偽の報告をしたりすると30万円以下の罰金、または拘留に処せられることになりますので、うっかり忘れることのないように注意してください。

    機器点検

    機器点検とは、消防設備に破損や劣化などの異常はないか、設置場所に問題はないかといった、外観や簡単な操作で確認できる程度の点検となります。消防法によって、半年に一度点検を行い、点検の結果は消防署長へ報告することが義務付けられています。

    総合点検

    総合点検とは、消防設備が問題なく機能するか実際に作動させて点検するもので、通常は機器点検を行う際に同時に実施します。この点検は1年に一度行うものとされ、機器点検と同様に点検結果は原則として消防署長へ報告することが義務付けられています。

    消防設備点検を行う際に注意すべきこと

    各部屋やベランダに備え付けられている設備を点検する際には、点検を担当する者が個人の住居に立ち入らなくてはなりません。そのため、各部屋の入居者には事前に点検日を伝えて都合のよい日程を調整し、部屋で立ち合いをお願いするなど、トラブルにならないような配慮が必要です。

    また、共用部分で行う点検であっても、事前に設備点検の日程は知らせておきましょう。周知しておくことで、警報機がいきなり鳴り響くなどによって入居者が本物の火災と間違える、といったトラブルを減らせます。

    消防設備は、火災発生という非常事態の際に命を守るため大変重要な設備です。緊急時に使用が妨げられるようなものが周りに置かれていることがないよう、入居者には周知しておく必要があります。設備点検の機会にお知らせするようにし、改めて意識してもらえるように声掛けをするとよいでしょう。

     

    消防署長への報告義務に対して注意すべきこと

    消防署長への報告義務は、不特定多数の者が出入りする商業施設やホテルなどの「特定防火対象物」だと1年に1回、「非特定防火対象物」だと3年に1回と定められています。マンションなどの共同住宅は「非特定防火対象物」に該当しますので、報告義務は3年に1回となります。

    ただし、これは消防署長へ報告しなくてはならないのが3年に1回でよいとされているのであって、設備点検を行う必要があるのは年に1回、もしくは2回であることには変わりはありません。

     

    アパートなどの消防設備点検費用の目安

    消防設備点検費用は、物件の規模や設備の種類によって点検内容・点検する箇所の数が異なるため、費用には大きな開きがあります。おおよその目安について、10戸未満の物件を小規模、20~50戸未満の物件を中規模、50戸以上の物件を大規模として以下に紹介します。

    物件の規模 費用の目安/年間
    小規模 8千円~1万5千円
    中規模 2万5千円~5万円
    大規模 7万円~

     
    一般的にアパートは10戸未満であることが多いため年間費用は1万円~1万5千円ほどですが、部屋数が50戸前後の標準的なワンルームマンションタイプのケースでは、7~10万円ほどが一般的な相場となります。この他、消火器交換等の必要がある時には、その分の費用が別途発生します。

    消防設備点検は自分で行うことができる

    「消防設備点検の内容とは」の章でもお伝えしましたが、アパートやマンションなどの集合住宅の場合、建物の規模によっては消防設備士や消防設備点検資格者のような有資格者ではなく、建物の関係者が自ら点検することもできます。

    有資格者による点検が必要な建物として、

  • 延べ床面積が1,000㎡以上のもの
  • 階段が建物内に1カ所しかなく、地下または3階以上の階に特定用途があるもの
  •  
    と最初の章では説明しましたが、逆にいえば、それ以外の建物であれば有資格者以外の者でも点検できるケースがあるということです。消防設備の中でも、消火器・自動火災報知器(特定小規模施設用)・非常警報器具・誘導標識の点検は比較的簡単に行うことができ、有資格者以外の点検でも問題ありません。

    建物の規模や用途などに応じて必要となる消防設備は法律で定められていますが、物件が比較的小規模、かつ、備え付けられている消防設備が上記のものに限られているのであれば、消防設備点検はオーナーや管理者などの建物の関係者が行うことができます。

    自分で点検をしたり、消防署等への報告書を作成したりする際に利用できるアプリが用意されていますので、該当するオーナーは試してみてはいかがでしょうか?
    消防用設備等点検アプリについての詳細はこちら

    アプリを利用せずに報告書を作成して提出するのであれば、以下のサイトから報告用紙をダウンロードすることができます。
    消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票(総務省消防庁ホームページへ飛びます)

    消防設備点検を実施した結果の報告書は、建物所在地の消防本部予防課へ提出することになっています。不明なことがあれば問い合わせて聞いてみましょう。

    また、消防設備点検を行った結果、故障などの不具合を発見した際には、できる限り早めに修繕するなどして復旧しなくてはなりません。どのように改修を行うのかについて計画を立て、報告書の備考欄にその旨を記入しましょう。

    消防設備点検は法令の定めに従いしっかりと行おう

    適切な点検を怠っていたために火災の被害が拡大するようなケースでは、オーナーの責任も問われることになりますので、消防設備点検は法令の定めに従いしっかりと行うことが大切です。違反すると罰則もあるので、定期的に点検し、3年に1回の報告を忘れないように気を付けましょう。

    アパートのような小規模な賃貸住宅ならばオーナー自身で点検を行うことも可能ですので、この記事を参考にして点検してみてはいかがでしょうか。一方、比較的大規模で、有資格者による点検が義務付けられている設備を備えているマンションのオーナーの場合には、点検のための費用をある程度予測して確保しておく必要があります。

    消防設備は、火災発生の際に入居者の命を守る大切な装置です。定期点検の時期だけに限らず、日頃から設備の状況を確認したり、周囲に関係ない物が置かれたりしてはいないか気を配ることを心がけましょう。

    PREV 賃貸経営のトイレリフォーム|入居者層を意識して決めよう

    関連記事