2022.04.22
賃貸経営

賃貸管理会社の倒産|知っておくべき兆候と回避するポイント

アパート・マンション経営では、管理会社へ多くの業務を委託するのが一般的です。管理会社は入居者募集・家賃の入金管理・トラブル対応などといった重要な業務を行うため、不動産オーナーはどの管理会社へ委託するのか選定する必要があります。

しかし、どのような管理会社であっても倒産する可能性はゼロではないため、不動産オーナーは万が一管理会社が倒産した場合に、受ける影響や対処法を考えておくことが大切です。本記事では管理会社の倒産について詳しく解説しますので、特に管理会社の利用を検討中のオーナーはぜひ参考にしてください。

 

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賃貸管理会社が倒産する確率は高い?低い?

一般的に、賃貸管理会社(以下、「管理会社」と表記)は倒産する確率が低いと広く認識されています。これは、管理会社の収益源である管理委託費は基本的に毎月固定の金額であり、収入の変動が少ないストックビジネスであるためです。

しかし、そうは言っても、管理業務の解約が発生する、不動産オーナーからの要請で管理費が削減されるなど、収益が減少する可能性は常につきまといます。

また、管理会社には親会社やグループ会社が存在していることが多いため、関連する会社がリスクの高い事業を行っている場合、影響を受ける可能性も少なくありません。たとえば、親会社が飲食業や旅行業といった景気の変動を受けやすい業種の場合、親会社の経営悪化により倒産するケースが考えられます。

管理会社が倒産した場合に受ける影響

万が一、委託している管理会社が倒産してしまったら、不動産オーナーや入居者はどのような影響を受けるのでしょうか。オーナーと入居者それぞれで解説します。

オーナーが受ける影響

管理会社が倒産すると、オーナーは主に以下の点で影響を受ける可能性があります。

・入居者の家賃が送金されない
・入居者に家賃の振込先変更の連絡ができない
・契約内容が不明瞭になる
・保証会社の保証契約が切れる可能性がある

管理会社へ業務を委託する場合、家賃の入金管理や契約管理は全面的に任せることになるのが基本です。家賃は、入居者から管理会社へいったん振り込まれた後に、オーナーの口座へ入金されます。したがって、もし管理会社が倒産してしまった場合、入居者から回収済みの家賃がオーナーへ送金されないトラブルが発生する可能性があります。

それに加えて、オーナーは入居者に対して家賃の振込先をオーナー自身の口座へ変更してもらうように連絡を行う必要もあります。しかし、長期間に渡り管理会社へ業務を一任していた場合、入居者の連絡先を知る手段がなく、振込先変更の通知ができないという事態が起こることが考えられます。

入居者との賃貸借契約書も管理会社が保管しているケースが多いため、契約内容を確認したくても不明瞭のままになってしまうリスクもあります。そのため、入居者との契約事項はオーナー側でもある程度把握しておくことが大切です。また、これは管理会社の倒産に限ったことではないですが、管理会社を変更、または解約する場合、保証会社との保証契約が終了してしまう場合があることにも注意が必要です。

入居者が受ける影響

一方、管理会社が倒産した場合に入居者が受ける影響として、主に以下が考えられます。

・敷金が返還されない
・修繕やクレームの対応が滞る

賃貸物件の入居者はオーナーに対して敷金を預けることが多いです。敷金とは、家賃滞納があった場合の補填や、退去時の原状回復工事費に充てることなどを目的として入居時に預ける資金です。礼金とは違い、敷金は入居者が退去した際に返還されるケースが大半ですが、管理会社が倒産した場合、返還されるべき敷金を入居者が回収できない可能性があります。

もちろん、管理会社が倒産してもオーナーへ直接請求することで敷金を回収できるケースはありますが、オーナーが管理会社と同じ企業だったり関連会社だったりすると、オーナー自身が倒産の影響を強く受けるため、回収が難しくなることがあります。

また、入居者が管理会社へ依頼していた修繕やクレーム対応が滞る可能性も考えられます。管理会社が倒産すると、入居者から依頼があり継続中となっている案件は次の管理会社、もしくはオーナー自身が引き継ぐことになりますが、中には上手く引き継がれていなかったり、オーナー自身が忙しく対応が遅延してしまったりすることがあります。

ここまでの内容は入居者が受ける影響ですが、修繕に関してはオーナーも同様に影響を受けることがあり、たとえば長期修繕計画の策定まで管理会社へ任せていた場合、オーナーは計画を再度作り直す必要に迫られる可能性があることも覚えておく必要があります。

管理会社が倒産した場合にオーナーがやるべきこと

もしも管理会社が倒産してしまった場合、オーナーはどういう行動をとるべきなのか具体的に考えていきましょう。たとえ委託先が業界大手であっても、会社である以上、倒産する可能性は常に抱えています。入居者に負担をかけないためにも、オーナーはできるだけ速やかに対処することが大切です。

新しい管理会社を探して契約

管理会社が付いていないという状況が長引くと、不動産オーナーはさまざまなリスクを抱えることになります。特に、家賃の入金先変更手続きが遅れると、最悪の場合は家賃が未回収となり、経営上の大きな損失になる可能性を抱えています。

管理会社は全国に多数あり、特に都心部ほどその数は豊富ですので、比較的見つけやすい傾向にあります。しかし、管理手数料は管理会社によって異なるため、複数社から見積もりを取得して比較検討することをおすすめします。サービスの質も管理会社によって差がありますので、事前に業界での実績や評判を確認したうえで判断しましょう。

もちろん、管理会社が倒産した場合は早急に次の管理会社へ切り替えをしなければならないため、比較検討している時間はあまりありません。倒産する事態に陥る前に、管理会社を見極めるポイント(次章で詳しく説明します)や、管理委託費の相場など、ある程度把握しておくことをおすすめします。

家賃の回収、敷金返還の請求

入居者の家賃を管理会社から送金されていない場合、オーナーは速やかに家賃の請求をしましょう。ただし、すでに会社が倒産していると回収することが困難なケースもあるため、法的措置を検討しなければならない可能性が出てきます。法的措置によって倒産した会社から家賃を回収するとなると長期間を要するうえ、訴訟にかかる費用も発生するため、オーナー自身が資金難に陥らないよう気をつけなければなりません。

また、入居者の敷金に関しても基本的には委託先の管理会社が預かっているため、こちらも返還してもらうよう請求します。特に、敷金の場合は家賃とは違い、あくまで入居者から預かっている資金であるため、家賃以上に重要度は高いと考えるべきです。

管理会社の倒産リスクを判断するチェックポイント

どの管理会社へ委託するか検討する際は、倒産リスクを抱えていないかオーナー自身でチェックできるようになるとベストです。倒産しにくい管理会社を見極めるためには、以下の点を事前に確認してみてください。

・対応の迅速さ
・物件の入居率の高さ
・クレームに対しての対応スピード
・管理委託料の適切さ
・会社の規模の大きさ
・会社の歴史の長さ
・親会社が存在するかどうか

 
全体としてサービスの質が高く、料金が適切であれば、基本的に倒産リスクは少ないと考えられます。このほかに、会社の規模・歴史の長さも重要です。規模が大きく売上の高い会社は、管理物件の数も多いため、仮にいくつかの物件を失っても十分経営していける力を持ちます。仮に小さな会社の場合、管理物件を複数失うとそれだけで経営上、大きな損失になりかねません。

また、親会社の有無も見極めるポイントといえます。管理会社は財閥系・ゼネコン系などの関連会社・子会社が多数ありますが、このような大手企業であれば親会社の影響もあるため倒産の可能性は非常に低いと考えられます。

管理会社が倒産する「兆候」に当てはまるものとは

管理会社が急に倒産することは基本的に考えにくいため、倒産する前に何かしらの兆候が現れます。以下に当てはまる兆候があった場合は要注意と捉えておきましょう。

・顧客対応が目に見えて悪化した
・管理会社の事業規模が縮小した
・従業員の退職、リストラが増えた
・電話など、連絡が繋がりにくくなった
・オーナーへの家賃送金が遅くなった
・親会社が経営不振に陥っている
・親会社で不祥事が起こった

 
一般的に、会社は経営が悪化すると、従業員のリストラや賃料の安い事務所への移転といった対策を行うことでコストを削減し、経営の立て直しを図る傾向にあります。経営状況が悪化すると、リストラに限らず自ら退職を選択する従業員は増えますが、特に会社の役員や経理など財務事情をよく知っている人の退職が目立つ場合はいっそう注意するようにしましょう。

従業員の退職によって人手が減少すれば、それに付随してサービスの質が低下したり、電話などの連絡が取りにくくなったりするといったケースが起こる可能性も高いです。

そのほか、管理会社独自の特徴として、オーナーに対する家賃送金の遅れがあります。物件の入居者から家賃を得ていながら送金が遅れるということは、会社の財務状況の悪化が関係している可能性があります。

また、業務委託している管理会社が他社の子会社やグループ会社である場合は、親会社の経営悪化による影響を受けることがあります。親会社が経営不振に陥ったり、TVニュースや新聞で扱われるような不祥事が起こったりした場合、子会社である管理会社の名前にも傷がつき、経営悪化の原因となることがあるからです。大手企業の子会社だと基本的には独立系の賃貸管理会社よりも経営は安定している傾向にありますが、親会社の評判が落ちた場合は悪影響を及ぼすリスクを抱えていることも覚えておきましょう。

そのうえ、管理会社が大手企業の子会社という場合は、管理費などの価格が独立系の管理会社よりも高い傾向にあるので、オーナーとしてはメリット・デメリットをよく考えたうえで委託すべきかどうか判断することが大切です。

賃貸管理会社が倒産した場合の対処方法を理解しよう

不動産オーナーにとって管理会社は経営上の重要なパートナーです。空室募集や入金管理、入居者のクレーム対応などを任せる関係上、賃貸経営の収支に大きな影響を与える可能性があるため、委託先は慎重に見極める必要があります。

管理会社を探す場合はできるだけ経営状況が良い会社を選ぶことをおすすめしますが、万が一倒産した場合に備えて、次の管理会社を探す手段や選ぶ際の注意点を把握しておくようにしましょう。また、常日頃から管理会社にすべての業務を任せきりにはせず、オーナー自身も契約内容や委託している業務内容を把握して、もし倒産してしまった場合でも戸惑うことのないように対策を立てておくことも大切な心構えのひとつだといえるでしょう。

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