2022.04.18
不動産投資

賃貸リノベーションのローンとは?金利の種類、比較ポイント

物件オーナーの中には、賃貸物件のリノベーションを検討していて、少しでもコストを抑えて成功させる方法を知りたいという人がいるのではないでしょうか。この記事では、賃貸物件のリノベーションに使えるローンや金利、メリット・デメリットなどをお伝えします。効果的なリノベーションは賃貸物件の魅力を高めて収益性を向上させることにつながりますので、ぜひ記事を参考に検討してみてください。

【著者】水沢 ひろみ

 

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リノベーションに使えるローンとは

リノベーションを行う際に使えるローンにはどのような種類があるのでしょうか?一般的に、リノベ―ションを行う際に利用するのはリフォームローン、もしくは住宅ローンとなります。

「リノベ―ション」と「リフォーム」という言葉の使い分けについて気になる人はいるかもしれませんが、両者の間に厳密な違いがあるわけではありません。

リフォームを直訳すると「再び形作る」、リノベ―ションを直訳すると「革新、刷新」という意味になります。そのため、リフォームは家屋の一部の改築や改装といった「比較的小規模な工事」なケースを指し、リノベ―ションは単なる改修に加え、新たな性能を追加したり用途を変更したりすることで資産価値が向上するような「大規模な工事」を指す傾向が見られます。

しかし、リノベ―ション、またはリフォームという言葉が使われる時に、必ずしも両者を区別して使い分けているケースばかりではないことには留意しておく必要があります。

住宅ローン

住宅ローンとは、家屋のリフォームだけでなく住宅を新築する際にも利用されるローンです。融資申込者の属性にもよりますが、一般的に貸し出し金利は低く、長期での借り入れが可能です。

貸出限度額の上限は高く、条件によっては1億円ほどの融資が可能なケースもあります。ただし、そのぶん融資の審査期間は長く、審査基準も厳しくなる傾向があります。また、借り入れのためには担保が必要となるのが通常で、対象となる家屋などに抵当権が設定されることになります。

リフォームローン

リフォームローンとは、家屋の改築などをはじめとするリフォームの実施を目的とする際に利用できるローンです。住宅ローンに比べると金利は高めで借入期間も短くなりますが、そのぶん貸し出しの審査期間が短く、審査の基準もそれほど厳しくないのが特徴です。

融資額の上限は低めであることが一般的で、1,000万~1,500万円程度が多い傾向です。借り入れのための担保が必要ないケースが多いのはリフォームローンのメリットですが、もしも大規模な改修を行う際には必要な金額の調達ができない可能性があるという面もあります。

不動産投資用リフォームローンの特徴とメリット・デメリット

前章のとおり、リノベ―ションを行う際にはリフォームローンと住宅ローンを利用することができますが、住宅ローンは不動産投資用の借り入れの場合には利用できません。

住宅ローンは自分や家族の居住用住宅を購入するための借り入れにしか利用できないからです。上で説明したように、リフォームを行う場合には住宅ローンを利用したほうが金利や借入期間などにおいて有利な条件で借り入れできます。しかし、住宅ローンとリフォームローンでは審査の基準が異なり、別の仕組みのローンとなりますので、不動産投資用物件のリフォームを行うならばリフォームローンを利用することになります。

なお、居住用物件と投資用物件だとリフォームローンは違う取り扱いがなされます。さらに、不動産投資用リフォームローンには無担保型・担保型の2つがあり、それぞれに特徴があります。そこで、不動産投資用リフォームローンのメリット・デメリット、無担保型・担保型の特徴について説明していきます。

不動産投資用リフォームローンのメリット

不動産投資用リフォームローンは一般的なフリーローンとは異なり、目的がリフォームに限定されているため、金利が2~5%ほどとフリーローンに比較すると低いのが特徴です。

また、不動産投資用リフォームローンでは、融資の審査基準として対象物件の収益性も考慮されるので、大規模なリフォームを行うことで物件の収益性が大きく改善されると判断されるケースだと融資が下りやすくなるというメリットもあります。

※一般的なフリーローンについて
融資の資金の使い道が限定されていないフリーローンでは、おおよそ4.0%~15%と高い水準の金利が多く見られます。

不動産投資用リフォームローンのデメリット

不動産投資用リフォームローンのデメリットとしては、一般の住宅ローンに比べると金利水準が高く、返済期間が短めで、貸出限度額も限られていることです。返済期間は長くても15~20年ほどが多く、金利のタイプも変動型が多いため金利の上昇のリスクを負うことになります。

なお、リフォームローンという名称のローンは多くありますが、自宅のリフォームのみを対象としているローンが多いのもデメリットです。賃貸物件のリフォームを対象としているかを確認する、もしくは賃貸物件を専門にしたリフォームローンを探す必要があります。

無担保型・担保型の動産投資用リフォームローンの違い

不動産投資用リフォームローンには、担保型と無担保型の2種類があります。担保型は、融資の条件として不動産上に抵当権を設定したり保証人を必要としたりするぶん、有利な条件で融資することが可能なケースが多くなります。一方、無担保型は、融資額の上限が500万円~1,000万円ほどと少額であり、返済期間も相対的に短いものが多くなります。

不動産投資用リフォームローンの金利の種類

ローンを借り入れると、返済するまでの期間、一定の金利を支払わなくてはなりません。返済期間は長期に及ぶので、基準となる金利はその時々の経済状況に応じて変動しますし、ローンの契約条件によっては金利を含めた支払総額が大きく変動することもあります。中には、当初予定していた支払額を大きく超える場合には、ローンの返済が難しくなってしまうケースもあるでしょう。

そのため、金利の支払い方法をどのように設定するかで、以下のような種類に分かれています。融資を希望する金額の大きさや返済期間の長さ、自身のライフプランなどを考慮して、最適な金利のタイプを選択することをおすすめします。

変動金利型

変動金利型とは、市場の金利の変動に応じてローンの金利も変動するタイプです。市場の金利が低くなればローンの金利も低くなり、市場の金利が上がればローンの金利も上がります。金利の水準は固定金利に比べて低いのが一般的であり、現在は空前の低金利時代が続いていますので、現在の水準が続けば総支払額は固定金利を選択するよりも少なくなると予想されます。

しかし、2022年3月現在、アメリカの中央銀行が金利引き上げの意向を示しており、過去には住宅ローン金利が8%を超えていた時代もあることを考えると、将来的な金利上昇のリスクを無視することはできません。こういったリスクに対応するために、金融機関によっては「5%ルール」や「125%ルール」といった仕組みを設けているところもあります。

5%ルールとは、市場において金利の変動があっても5年間はローンの支払額が変動しないというルールです。125%ルールとは、金利の変動があった際にローンの支払額がいきなり増えすぎないように、返済額の上限はそれまでの返済額の125%までとするルールです。

ただし、これらのルールによって支払い総額が減るわけではないので、支払いを遅らせたぶん、残りの期間の負担が増えることになります。なお、5%ルールや125%ルールは金融機関によって導入しているところ・していないところがあり、メリット・デメリットもありますので、慎重な判断が必要です。

変動金利を選択する際には、これらの仕組みを慎重に理解したうえで、金利上昇のシナリオにも対応できるような備えが必要だといえるでしょう。

全期間固定金利型

全期間固定金利型とは、ローン返済期間を通して金利が固定されており、市場金利が変動しても金利が変わらないタイプです。金利上昇によるリスクがなく、毎月の支払額が変わらないので、将来の資金計画を立てやすいのがメリットです。

ただし、金利上昇のリスクを金融機関が負うぶん、同時期に申し込むのであれば変動型よりも金利が高くなる点には注意する必要があります。

固定金利期間選択型

変動金利型と全期間固定金利型を組み合わせたタイプとして、固定金利期間選択型があります。固定金利期間選択型とは、ローン契約時に選択した期間の金利を固定金利としますが、期間経過後に新たに固定金利とするか変動金利とするかを選択できる仕組みです。固定期間の設定は金融機関によって異なりますが、2年・3年・5年・7年・10年・15年・20年といった期間が設定されています。

固定期間経過後に新たに金利のタイプを選択する際には、その時点の金利水準によりますので、当初金利が2%であったとしても、次回の固定金利は3%というように金利が上昇するリスクがあります。反対に、金利水準が下がればさらに低い金利が適用できる可能性もあります。現在の金利水準と将来の金利上昇、もしくは下落の可能性を考慮して、固定期間の選択をする必要があります。

リノベーション用のローンを比較するときに確認すべき点

リノベーション用のローンを比較するときには、いくつか確認すべき点があります。重要となるポイントについて以下で解説しますので、後から後悔しないようにこれらの点に注意してリフォーム用のローンを選択してみてください。

金利

前章で述べたとおり、ローンの返済では金利は大変重要なポイントとなりますので、必ず確認することが必要です。利用するローンの種類や条件によって金利は大きく異なります。また、借り入れ金額が大きくなるほど、借入期間が長くなるほど、金利の違いによる影響は大きくなります。

ローンの金利や返済期間の違いによって返済額がどれだけ影響を受けるのか、以下にシミュレーションしてみます。

【例1:500万円を10年間、元利均等額払いで借り入れた場合】
金利1%、2%、5%のケースで月々の返済額と返済総額を比較してみましょう。

金利 1% 2% 5%
毎月の返済額 4.4万円 4.6万円 5.3万円
返済総額 526万円 552万円 636万円

 
金利が1%の場合と2%の場合を比べると、返済総額は26万円変わります。1%と5%では返済総額は110万円もの差が出ることが分かります。

【例2:500万円を5年間、元利均等額払いで借り入れた場合】
同じ条件で、返済期間を5年間に短縮した場合を比べてみます。

金利 1% 2% 5%
毎月の返済額 8.5万円 8.7万円 9.4万円
返済総額 512.8万円 525.8万円 566万円

 
返済期間が10年の場合と5年の場合を比べると、月々の返済額の負担は大きくなりますが、返済総額は少なくなります。金利が1%では13.2万円の差ですが、5%では70万円もの差が出ます。返済期間が長期になるほど、わずかな金利の変動であっても返済額に与える影響は大きくなるので、できるだけ低い金利での借り入れをしたいものです。

また、金利の負担を減らし、返済総額を少なくするためには、返済期間は短く設定するほうが有利だと考えられます。ただし、そのぶん月々の返済は増えてしまいますので、無理な資金計画を立てて返済が困難になってしまっては大問題です。

リノベーション用のローンを契約する際には、可能な条件の中で可能なだけ金利を下げることと、自分のライフスタイルに合った金利のタイプと返済額を選ぶことが重要だといえるでしょう。

◆元利均等額払いについて詳しく知りたい方は、以下記事の見出しにある「不動産投資ローンを組むときに大切な4つのポイント」をご覧ください。
不動産投資ローンの基本を解説!審査や種類、借り換えなど

借入金額、返済期間

リノベーション用のローンを利用する際に、借入金額や返済期間の上限は金融機関によって異なります。一般のリフォームローンは担保を必要としないものが多く、比較的容易に借り入れが可能ではありますが、借り入れ金額の上限も低く設定されていることが多いため、大規模なリフォームを予定している場合には融資額が必要額に届かないケースも考えられます。

また、返済期間も短く設定されているので、多額の融資を受けると月々の返済の負担が大きくなることも予想されます。そのため、リフォームローンの選択にあたっては以下の2点を慎重に見極めることが大切です。

  • リフォームを行うために必要十分な金額であるか?
  • 無理のない支払いが可能な返済期間であるか?
  • 審査基準

    ローンの審査では、契約者の収入などの属性や、担保となる不動産の資産価値などが金融機関の判断の基準になることが一般的です。その中でも住宅ローンの審査となると、ローン返済が可能かという審査にあたり、ローン申請者の収入などといった属性が重視される傾向にあります。また、不動産投資用リフォームローンになると、不動産の収益性やこれまでの賃貸実績などが審査の対象となることがあります。

    担保型のリフォームローンは、無担保型に比べて融資額が大きく返済期間も長期になることが多いので、審査の基準は厳しくなる傾向にあります。無担保型のほうが融資の判断は緩やかなケースが多いため、必要となるリフォーム費用が少額であれば無担保型を利用したほうが手続きは簡単で便利なこともあります。

    団体信用生命保険

    団体信用生命保険とは、ローン申込者の死亡や高度障害状態に備えるための保険です。ローン返済期間中にこれらの事態が生じた際、ローンの残債は保険金で清算できるため、家族には借入金の負担のない不動産を財産として残すことができるという特徴があります。

    住宅ローンの借り入れの際には団体信用生命保険を契約することになるのが一般的ですが、不動産投資用のリフォームローンでは金融機関の条件によって異なります。金融機関によっては団体信用生命保険への加入を条件にしていることもありますが、任意とするケースもありますので、融資額の大きさや融資期間の長さなども考慮して必要性を判断することをおすすめします。

    リノベーション用のローンを使って物件の資産価値を高めよう

    どれだけ優良な物件であっても、時が経過すれば老朽化しますので、資産価値を保つためには定期的なリフォームが必要です。大規模にリノベーションを行った物件の中には、新築と見分けがつかないほど魅力的に生まれ変わるケースもあります。

    賃貸物件の場合だと、物件の外観さえ魅力的であれば、築年数に拘らずに比較的高い家賃で入居してくれる入居者を見つけることも可能です。最適なリフォームローンを利用して、ご自身が所有する物件が高収益を生み出す物件へと生まれ変わるよう、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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