2022.01.05
不動産投資

積算価格とは|計算方法とシミュレーション、収益価格との違い

不動産投資を検討する際、本当にこの物件の価値と価格は合っているのだろうか、と思ったことはないでしょうか。本記事では不動産の適正な価格を算定するやり方のひとつ、積算価格(積算法)の考え方や計算法、簡単なシミュレーションを紹介します。また、もうひとつの不動産算定方法である収益価格の考え方についても説明しますので、この記事を参考にして不動産投資を成功させてみてください。

 

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積算価格とは「不動産価値が正しいか判断する基準」

積算価格とは、不動産の価格が正しいか判断するための基準のひとつです。不動産の価格を算定するやり方は「コストに着目する方法」と「収益に着目する方法」に分かれますが、今回のテーマである積算価格は不動産のコスト面に着目して計算するアプローチ法となります。

不動産の購入に際して銀行から融資を受ける時に、銀行の融資担当者が主に参考にするのが積算価格だと考えられています。ですから、銀行からの融資を前提にして不動産投資を考えている時には、積算価格の考え方が重要になってきます。

銀行が融資をする際には積算価格の7割程度が目安という考え方もありますので、積算価格をできるだけ適正に計算することで資金計画を考える際の参考にすることができます。もちろん、自分が購入する不動産の価格が適正かを判断する目安にもできるでしょう。

なお、積算価格は土地と建物に分けて以下の式で計算されます。

積算価格 = 土地の現在価格 + 建物の現在価格 + 修正額

 
土地の積算価格(A)の計算方法と、建物の積算価格(B)の計算方法については、次章で具体的に解説していきます。
(※便宜上、一部の項目に対してアルファベットをつけています)

積算価格の計算方法とシミュレーション

積算価格の計算法を解説するとともに、シミュレーションをしていきます。計算の元となる地価は全国地価マップというサイトで調べられますので、興味のある人は具体的な数字で計算してみてください。

(A)土地の積算価格の計算方法

積算価格の基になる土地の現在価格を求める計算式は以下のとおりです。

土地の現在価格=基準となる地価×土地の面積

 
この、不動産価格を算定する基準となる地価には4つの種類があります。それぞれ公表する主体が異なり、算定の基準日・算定する地点・算定の目的などに違いがあります。

地価の種類
(以下①~④)
公表主体 評価水準 基準日 公表
➀公示地価 国土交通省 1月1日時点 3月下旬
②基準地価 都道府県 7月1日時点 9月下旬
③固定資産評価額
(路線価)
市町村 公示地価の7割 1月1日時点(3年に1度定) 4月上旬
④相続税評価額
(路線価)
国税庁 公示地価の8割 1月1日時点 7月初旬

 
➀公示地価は1月1日時点における全国の標準地の1㎡あたりの価格で、国土交通省が3月下旬に公表する土地の価格です。

②基準地価は7月1日を基準日として、都道府県が9月下旬に公表する標準地1㎡あたりの価格です。

公示地価、基準地価と並んで、「路線価」と呼ばれる土地の評価基準があります。路線価とは道路に接する標準的な土地の1㎡あたりの価格を意味し、③固定資産税などを評価する際の基準となる路線価と、④相続税などを評価する際の基準となる路線価の2つの種類があります。

路線価に土地の面積をかけて土地の価格を計算する際には、その土地が商業地域に属するのか、住宅地にあるのか、工業地域にあるのかといった用途地域や土地の形などによってさらに修正が加えられて、土地の価格が計算されます。

ここで注意が必要なのは、固定資産税評価基準としての路線価は公示地価の7割、相続税評価基準としての路線価は公示地価の8割の価格で表示されていることです。自分が購入を検討している土地の値段の相場を知る目安として路線価を使う時には、0.7もしくは0.8で割戻して土地の価格を評価する必要があります。

積算価格を計算する際にどの路線価を用いるかは厳密に決まっているわけではありませんが、公示地価に比べて路線価のほうが基準となる地点の数が多く、より詳細なデータが入手できることから、路線価を基に計算することも多くあります。そのうえ、融資を検討する金融機関側にある、土地の担保としての価値をできるだけ慎重に算定したいという要請にも合致すると考えられます。

しかし、金融機関によっては公示地価や基準地価を算定の基準とするケースもありますので、実際には金融機関ごとの判断になることを理解しておいてください。

(B)建物の積算価格の計算方法

積算価格の基になる建物の現在価格を求める計算式は以下のとおりです。

建物の現在価格 = 建物の建築単価 × 延床面積 × 残りの耐用年数の割合(b)
          (建物の再調達価格…a)

 
建物の建築単価 × 延床面積で、建物を新たに建てたと仮定した場合の建物の再調達価格を計算します。次に、残りの耐用年数の割合を掛けて、建物を建てた時から現在までの経過年数分の価値の減少を価格に反映させます。

(a)建物の再調達価格の計算

上でも説明したとおり、建物の再調達価格は以下の式で計算します。

建物の再調達価格 = 建物の建築単価 × 延床面積

 
建物の建築単価を計算する基準としては、国税庁のホームページに掲載されている「1㎡当たりの地域別・構造別の工事費用表」を参考にしてみてください。都道府県別・構造別の工事単価が毎年公表されていますが、以下に令和3年分の全国平均の単価を参考として示しておきます。

【構造別工事費用表(令和3年分用)全国平均 ※単位:千円】

構造 (1㎡当たり)
木造 172
鉄骨鉄筋コンクリート造 268
鉄筋コンクリート造 260
鉄骨造 250

出典:国税庁 – 地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)【令和3年分用】

延床面積とは、建物すべての階の床面積を合計したものです。1階の床面積が100㎡、2階の床面積が50㎡ならば、延床面積は150㎡です。

(b)残りの耐用年数の割合の計算

次に、残存耐用年数の割合を計算します。

残りの耐用年数の割合=(建物の耐用年数―建物の経過年数)÷建物の耐用年数

 
建物は時の経過とともに価値が減少していきますので、時間の経過を基準にその価値の減少を算定します。建物の耐用年数は建物の構造や用途ごとに決められています。参考として以下に例を紹介します。

  • 木造住宅:22年
  • 金属造で主要な鉄骨の肉厚が4mmを超える場合(住宅用):34年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(住宅用):47年
  •  
    築11年の木造住宅であれば、【(耐用年数22年-築年数11年)÷耐用年数22年=0.5】となり、再調達価格(建物の建築単価×延床面積)に0.5をかけた価格が、建物の現在価格となります。

    積算価格のシミュレーション

    では、実際に積算価格の計算をしてみましょう。

  • 木造建物(耐用年数22年:再調達価格17.2万円/㎡)
  • 延べ床面積:100㎡
  • 築5年
  • 土地の面積:120㎡
  • 路線価:30万円/㎡
  •  
    上記のケースで具体的に積算価格を計算してみます。

    残りの耐用年数の割合:(22年-5年)÷22年=0.7727…≒0.77
    建物の再調達価格:17.2万円/㎡×100㎡×0.77=1324.4万円
    土地の積算価格:120㎡×:30万円=3,600万円
    土地と建物の積算価格の合計:1324.4万円+3,600万円=4924.4万円

    積算価格は約4,924万円と計算できます。

    積算価格が高い=よい物件とは限らない

    積算価格は上記のように、一般的に用いられる指標などを基に計算されます。ですから、積算価格が高い=必ずしもよい物件とは判断することはできない点に注意が必要です。たとえば、立地に対し建物価格が高いケースなど、積算価格は高いけれども利用価値が低い物件などがこれに該当します。

    また、積算価格は高くても管理状態が悪ければ、現実的な耐用年数は法律上の耐用年数より短くなる可能性もあります。反対に、高級な材料を使い仕様にこだわりのある注文住宅であれば、積算価格を大幅に上回る価値があるケースも見られます。

    積算価格はあくまでも判断材料のひとつであることを理解しておきましょう。

    耐用年数の考え方

    建物の積算価格を計算する際に利用する耐用年数は法律で定められた耐用年数であって、現実として利用に耐えうる耐用年数とは異なります。

    税金などの計算をする際に、1年間の収益を算定する必要があります。その際、不動産の取得に要した費用を取得した年度にすべて計上してしまうと、その年の収益はマイナスになる可能性があります。

    しかし、現実的にはその後も不動産を利用して収益を獲得していきます。

    「収益の獲得に対して不動産の効果が及ぶ期間に渡り、不動産の取得費用を配分する」という考え方に基づいて行う方法を、減価償却といいます。この減価償却を行う時の不動産の耐用年数は、不動産の構造ごとに一律に定められています。

    つまり、建物の積算価格の計算にはこの耐用年数を便宜的に使っていますが、個々の建物の現実的な耐用年数は必ずしも減価償却の基準に使われる耐用年数と一致するとは限りません。ですから、冒頭でもお伝えしたとおり、耐用年数経過後も十分利用価値のある不動産も多数あります。

    不動産投資するなら覚えておきたい「収益価格」とは?

    積算価格は、銀行からの融資や、自分が居住するための家の売買価格を知る目安としては有効ですが、これまでの説明からお分かりのように不動産の収益性は考慮されていません。不動産を購入するための費用と不動産から得られる収益の高さは必ずしも比例するとは限らないので、不動産投資用の物件価格の目安を知りたい場合には、その不動産の「収益価格」を計算することが有効です。

    そこで、不動産の収益価格についても簡単に説明しておきます。厳密に考えるとかなり難しい計算式になるので、まずはざっくりと理解してみてください。

    収益価格とは「家賃収入から不動産価格を計算すること」

    収益価格とは、「不動産から得られるであろうと想定する収益の現在価値」の合計から不動産価格を計算した価格です。収益価格を計算する方法を収益還元法といい、➀直接還元法と②DCF法の2つに分かれます。

    ➀直接還元法の計算式は以下のとおりです。

    直接還元法による収益価格=1年間の純収益÷還元利回り

     
    ②DCF法は、不動産の所有期間中の純利益と復帰価格を、発生時期に応じた割引率で現在価値に割り引いて合計することで求められます。復帰価格とは「不動産保有満了時点の不動産価格」と考えられているため、最終的な処分価格を想定して計算します。計算式にすると以下のとおりです。

    DCF法による収益価格=
    不動産の所有期間中における純利益の現在価値の合計+復帰価格の現在価値

     
    直接還元法で使われている還元利回りとは、1年間の純収益から不動産の価格を直接求めるために使用される率ですが、そこには空室リスクや価格変動リスクなどの変動予測と予測の不確実性が含まれています。一方、DCF法にある「将来の収益を現在時点の価値に割り戻す際に使用される割引率」には、空室リスクや価格変動リスクなどの変動予測は含まれません。

    つまり、直接還元法の考え方は、「不動産から得られる一定の還元利回りを想定し、不動産の価値がゼロに近づくまでその利回りで半永久的に運用される」と仮定したものです。それに対して、DCF法は「不動産保有期間に得られる収益の合計と最終的な処分価格を、現在価値に割り引いて合計する」という考え方です。

    「現在価値に割り引く」という考え方は、馴染みのない人には理解が難しいかもしれませんが、「現在の100万円の価値」と「将来の100万円の価値」は、実は同じではないのです。

    お金が手元にあれば投資機会を利用することで増やすことができますし、貨幣価値は経済状況で変化しています。ですから、将来得られる収益の価値と同じ価値を持つ現在の価格に計算し直すことを「現在価値に割り引く」と表現しているのです。

    参考:国土交通省 – 不動産鑑定評価基準(第7章)

    積算価格は「費用面」、収益価格は「収益面」

    以上の内容から、積算価格は「費用面」に着目した考え方で、収益価格は「収益面」に着目した考え方であることが理解できたでしょう。それぞれの計算法はアプローチの仕方がまったく違いますので、計算結果の価格は乖離することもあります。

    不動産投資をする際、金融機関からの融資を前提にするのであれば積算価格の把握も必要ではありますが、不動産投資を行う際の判断基準としては収益性を重視した収益価格が重要といえるでしょう。

    積算価格に限らず不動産の価格の評価は慎重に

    不動産の価格を算定する方法には、コスト面に着目する積算法と、収益性に着目する収益法の2つの方法があることを解説しました。積算法は銀行融資や自宅用の不動産購入に、収益法は投資用不動産の購入の際に参考にすべき目安といえます。

    ただしこれらはあくまでも目安であって、実際に不動産を購入する場合には、周囲の取引状況や類似物件の価格と比較するなど、現実的な取引価格も参考にする必要があります。不動産の価格の評価はさまざまな情報を参考に慎重に行うことをおすすめします。

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