賃貸経営を拡大したいと考えている不動産オーナーの中には、不動産投資ローンの利用を検討している人もいるのではないでしょうか?本記事では不動産投資ローンの種類や審査、借り換えなど、不動産投資ローンを利用するために必要な知識について分かりやすく解説します。ぜひこの記事を賃貸経営にお役立てください。
【著者】水沢 ひろみ
オーナーのための家賃保証
「家主ダイレクト」
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目次
不動産投資ローンとは不動産投資を目的とした融資のことを指し、アパートローンと呼ばれる融資やプロパーローンと呼ばれる融資に分かれます。また、同じ不動産を取得するための融資でも、不動産投資ローンだけでなく住宅ローンもあります。そこで、ここではこれらの融資の違いについて解説します。
不動産投資ローンとは、一般的にはアパートローンのことをいい、マンションローンといわれることもあります。アパートローンとは、賃貸経営目的でアパートやマンションなどを購入、もしくは建築するための資金が不足している際に、金融機関から受ける借り入れのことです。プロパーローンもこれと同じく、不動産投資を目的とした借り入れに利用することができます。
アパートローンとプロパーローンは不動産投資用の資金の借り入れに利用できるという点では共通していますが、利用できる目的、条件、審査基準などに違いがあります。
アパートローンは利用目的が不動産投資のための資金に限定されますが、プロパーローンの利用目的は必ずしも不動産投資に限定されず、広く事業資金のための借り入れに利用できるところに特徴があります。
さらに、アパートローンの融資条件は金融機関ごとにある程度の定型的な基準があり、形式的に条件を満たしていれば融資は比較的受けやすくなっています。それに対しプロパーローンは案件ごとに独自に審査され、融資条件は実質的に厳しく判断されます。
また、プロパーローンは将来にわたった資金回収の可能性に重きを置いて判断されるので、貸し倒れのリスクを金融機関がどの程度認識するかで融資条件は個別に異なるといえます。事業の収益性が高く、借主の返済能力への信頼が置ける場合には、融資条件はアパートローンよりも有利になりやすく、また金利も低くなる傾向にあります。
そのため、プロパーローンで有利な融資条件を引き出すためには、説得力のある事業計画のもと、自己資金の割合を高め、信用力のある連帯保証人を立てるなど、返済の確実性をアピールすることが必要です。
アパートローン | プロパーローン | |
---|---|---|
資金の使用目的 | 賃貸用不動産の取得の資金 | 事業資金 |
団信 | 必要 | 不要 |
融資の審査基準 | 物件や借主の属性により、金融機関ごとの基準で判断 | 借主の属性、金融資産、事業の収益性などを総合的に判断して厳しく審査 |
融資金額 | 金融機関ごとに上限が決まっている | 個別に判断 |
金利水準 | 2~5% | 貸し倒れのリスクが小さければ低い |
担保の必要の有無 | あり | あり |
連帯保証人の有無 | 不要 | 必要 |
自己資金の必要性 | なくても可能 | 必要なケースがほとんど |
融資の期間 | 長い | 短い |
審査期間 | 2~3週間 | 長め |
先述のとおり、アパートローンは賃貸用の不動産を入手するための資金の借り入れに利用される融資です。一方、住宅ローンは自分が居住するための住居を購入、または建築するための資金を借り入れるための融資です。
両者は不動産を取得するためのローンという点では共通していますが、不動産を取得する目的が異なることから、その内容には大きく違いがあります。
まず、アパートローンは不動産投資を目的とした借り入れですので、ローンの申込者が不動産を賃貸して得た収入によってローンの支払いがなされると考えられます。そこで、取得する不動産の収益性や、不動産の資産価値を重視してローンの審査が行われるのが一般的です。不動産の収益性が高いと判断されれば、後述する住宅ローンの数倍となる資金を借り入れることも可能となります。
しかし、住宅ローンとは異なり、不動産経営においては予定した収益率の実現可能性は不確実です。空室リスク・家賃の不払いリスク・家賃相場の下落リスク・不動産自体の値下がりリスクなどがあるからです。そのため、アパートローンの金利は約2~5%と、住宅ローンに比べてこれらのリスクを考慮し高く設定されています。金利の高さはリスクに比例しているのです。
一方、住宅ローンは、ローンの申込者自身が住むための住宅の購入資金の借り入れですので、ローンの返済は申込者の収入からなされると考えられます。そこで、住宅ローンの貸し出しの審査においては、ローン申込者の職業や年収・勤続年数・年齢・金融資産など、申込者の属性や借り入れ金額とのバランスなどが重視されます。
また、貸し倒れが生じた際には、ローンで購入した不動産の所有権は金融機関に渡り、金融機関はそこから返済を受けることになることから、不動産の資産価値も審査における判断の材料になります。
このように、アパートローンと住宅ローンでは借り入れの目的が異なることから、ローンの審査の基準も異なっているわけです。アパートローンでは年収の10~20倍ほどの借り入れが可能であるケースもあるものの、住宅ローンでは借主の年収の5~6倍ほどが借り入れ限度額となるのが一般的です。
賃貸目的の不動産を購入しようとする際に、できれば金利の低い住宅ローンを利用して購入したいと考える人がいるかもしれませんが、住宅ローンで賃貸用の不動産を購入することは契約違反となります。場合によっては一括返済を求められる事態にもなりえますので、注意が必要です。
不動産投資ローンを組むメリットはどのような所にあるのでしょうか?また、注意すべき点はあるのでしょうか?これらについて解説します。
不動産投資ローンのメリットは、レバレッジ効果を利用して少ない自己資金でも大きな利益を得ることができること、手元資金を残せることにあります。
レバレッジ効果とは「てこの原理」のことを意味します。小さな力でより大きな力を出すことができる、ということです。
たとえば、ここに収益率20%の投資の機会があったとします。自己資金が100万円しか無ければ得られる利益は20万円です。しかし、もし手元に1,000万円あればどうでしょうか?200万円の利益が得られます。仮に1億円あれば、2,000万円の利益となるのです。このように、資金があればそれだけ投資の効果は大きくなります。お金持ちにお金が集まるのはそういう理由があるからです。
ですが、手元に資金があまりない人でも、不動産投資ローンを利用して融資が受けられればこれらの利益が手に入る可能性があります。もちろん借り入れには金利が付きますが、仮に4%の金利を払ったとしても、1,600万円は手元に残る計算です。
このように、高収益が期待できる投資機会がある時に、少ない自己資金を元手に不動産投資ローンを利用して何倍もの資金を得て投資することを「レバレッジを効かせる」と表現します。
また、不動産投資において、多額の資金を借りられるメリットは、単にレバレッジ効果だけではありません。立地条件に恵まれた好条件の物件は取得価格が高額なケースが多くなりますが、そのぶん安定した家賃収入が見込めるため、相対的なリスクは低くなる傾向にあります。手元資金が少なくても高額な物件に投資できるのは、不動産投資ローンのメリットです。
さらに、不動産投資ローンのもうひとつのメリット、手元資金を残せることも大切です。不動産経営には、先ほども述べたようにさまざまなリスクが生じますから、予定したキャッシュの流れが滞るケースがあります。その際にすぐに行き詰ってしまうのでは不動産経営は成り立たないといえるため、常に手元のキャッシュには一定の余裕をもたせておくことが必要です。
ただし、借り入れにはそのぶん金利がかかっていますから、全体的なバランスが大切となります。
不動産投資ローンは住宅ローンに比べて金利が高いので、長期にわたってしっかりとした収支計画をすることが重要となります。不動産の資産価値は時の経過とともに下落し、修繕費は増加していくのが一般的です。
また、経済情勢の変化で金利は変動します。そのうえ、賃貸需要も変化する可能性がありますし、当初予定した家賃が得られないケースも生じます。前述した空室リスクや家賃の不払いリスクなどもあるため、当初予定した収益率が確保できるとは限らないのが不動産投資です。
これらのリスクを下げるためには、魅力ある物件選びと、いかに安い金利でローンを組むかが重要になります。便利な立地にある築年数の新しいマンションだと空室リスクは低くなるでしょう。また、金利の負担が小さければローンの支払いが負担になる可能性が減るといえます。
不動産投資ローンを組むための収支計画はできるだけ保守的に作成する必要があります。借りられる資金の金額と利益の額は比例することも多いので、できるだけ多額の資金を借りたいと考える人もいるでしょう。しかし、投資には必ず不確実性が存在します。レバレッジ効果を期待して借り入れを増やしすぎると、当然リスクも大きくなります。大きな金額を掛けて投資するということは、それだけ大きなリスクもはらんでいるということです。
金融機関はこれらのリスクを慎重に判断し、回収できるかどうかの可能性を検討した結果、融資の可否を決定することになります。
不動産投資ローンは、自力で金融機関を探して条件を確認して組むこともできますが、基本的には不動産会社が提携する金融機関から選ぶケースが多いです。後者の場合、不動産会社が間に入ることで融資が受けやすくなるメリットもあります。
ここでは、自力で融資先を探す場合に、不動産投資ローンを組める場所、審査難易度、団信についての説明をしていきます。
不動産投資ローンを扱っている金融機関は数種類あり、都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合・日本政策金融公庫・ノンバンクに分けられます。
都市銀行は、金利が1%前後と低く、長期の融資も可能という好条件ですが、融資の審査がかなり厳しい点が特徴です。医師や弁護士、1部上場企業勤務、年収○○万円以上などというように各銀行によって基準が設けられており、申込者の高い属性にくわえ、投資対象の資産価値の高さも求められるのが一般的です。
地方銀行は、金利1.5~4.5%と、都市銀行よりは高めの金利となりますが、条件によっては有利な借り入れも可能です。地方銀行の中には不動産投資ローンに力を入れているところがあり、築古物件でも融資可能なケースもあります。都市銀行よりは審査の基準は緩やかといえますが、融資を受けられるエリアには制限があります。
信用金庫や信用組合は、金利2%台と比較的安い利率で融資が受けられる可能性がありますが、地方銀行同様に融資を受けられるエリアには制限があります。
日本政策金融公庫の金利は、約1.2~2%と比較的低くなっていますが、融資期間は10~15年と短いのが特徴です。ローンの診査にあたっては、個人の属性よりも対象不動産の収益性を重視する傾向があるので、女性や高齢者などでも有利な条件で融資が受けられる可能性があります。
オリックス銀行などのノンバンクは、3~4%台と金利は高めですが、融資の審査基準が緩いのが特徴です。他の金融機関で断られてしまったとしても、ノンバンクであれば融資を受けられる可能性があります。融資期間を長めに設定できるなど、融通が利くメリットもあります。
それぞれに融資条件や審査の基準がありますので、一行で断られても他行ならば融資が下りるというケースもあります。また、金融機関によって下りる融資の条件が異なることもあります。条件の有利な金融機関から相談していき、一番有利な金融機関と契約することをおすすめします。
住宅ローンは、先ほども説明したとおり、ローン契約者自身の支払い能力が重視されます。ですので、医者や弁護士などの高収入とされる職業や、上場企業などの大企業に勤めている高収入のサラリーマンなどは審査に通りやすく、貸出限度額も高額になりやすい傾向にあります。
一方、不動産投資ローンだと、ローン契約者自身の支払い能力だけでなく、投資用不動産の収益性の高さや、いざという時の担保価値の大きさも重視されます。
また、住宅ローンは契約者の年収などの属性から、ローンの支払い能力をある程度推測することができます。そのため、貸し倒れのリスクは比較的低いと判断され、相対的に金利も低く設定されています。
しかし、不動産投資ローンは不動産の収益性の予測に不確実性が伴うため、不動産の収益予測の実現可能性や不動産の資産価値などについて、より詳細に検討する必要性が生じます。これらのことから、不動産投資ローンは住宅ローンに比べて融資の難易度は上がるといえるのです。
住宅ローンやアパートローンの契約をする時には、団体信用生命保険(団信)に加入することが求められます。
団体信用生命保険とは、ローンの契約者が死亡、もしくは高度障害などによりローンの支払いが不可能な状況になった際に、ローンの契約者に代わって残債の支払いをしてくれる制度です。ローンの契約者に団信へ加入してもらうことで、金融機関は貸し倒れのリスクを抑えることができます。
また、ローンの契約者の家族にとっても、契約者に万が一のことがあった場合にはローンが完済されるだけでなく不動産が手元に残るという点もあるため、いざという時の生命保険として心強い存在となります。
ここでは、不動産投資ローンを組むときに大切なポイントとして、金利、借入金額、返済期間、返済方法の4つについて解説します。
不動産投資ローンを組むためには金利かかりますが、不動産を取得するための融資額は金額が大きく、借入期間も長期に及ぶため、わずかな金利の差でも影響が大きくなります。つまり、いかに金利の負担を低く抑えるかが重要だといえます。金利には固定金利と変動金利という2種類があるため、それぞれ解説します。
固定金利とは、ローンの返済期間の金利が一定に固定されている返済方法です。一方の変動金利とは、金融情勢により金利の相場が変動するに伴って支払う金利が変動する返済方法です。
一般には、今後の金利が上昇すると予想される場合には固定金利に、下がると予想されるなら変動金利を選択することが有利と考えられます。
ただし、固定金利は返済期間中に金利の相場が上昇しても支払い利息は変わらないというメリットがあるぶん、金利水準は変動金利より高く設定されています。このことから、固定金利と変動金利のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
固定金利のメリット | ・金利相場が上昇しても金利は一定なので、ローンの支払額は変わらない ・金利が上昇するケースに有利 ・長期の借り入れに向いている |
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固定金利のデメリット | ・金利相場が下がっても恩恵を受けられない ・変動金利よりも金利が高く設定される |
変動金利のメリット | ・固定金利よりも金利が安く設定される ・金利水準が下がれば、支払額は減る ・短期の借入に向いている ・手元に資金があり、金利が上がれば繰り上げ返済で対応できる場合には向いている |
変動金利のデメリット | ・金利水準が上がれば、ローンの支払額が増える ・長期間に及ぶと金利水準の変動の可能性も大きくなるので、長期間の借り入れはリスクが大きい ・金額が大きいと金利変動の影響が大きくなるので、そのぶんリスクが大きくなる |
この変動金利のデメリットを補うために、金融機関によっては、5年ルールと125%ルールというルールを設定することがあります。5年ルールとは、金利水準が上昇しても5年間は返済額が変わらないというもので、125%ルールとは、金利が上昇しても返済額は125%を上限とするというものです。
住宅ローンの融資額は返済能力を考慮して年収の5~6倍ほどを上限とするのが一般的であること、不動産投資ローンは賃貸収入からの返済を想定するため年収の10~20倍もの借り入れが可能となるケースもあることはすでに説明しました。
先ほどのレバレッジ効果を考えると、目一杯融資を受ければそれだけ大きな利益を手にできると考えがちですが、レバレッジを効かせるということはリスクもまた大きくなることに注意が必要です。
不動産投資ローンを組む際は、頭金をどれくらい用意できるかも大きなポイントになります。頭金が多ければ、それだけ金融機関への信用力は上がりますので、借入限度額は増える可能性が高くなります。しかし、信用力一杯の借り入れをするということは、先ほど説明したようにリスクも大きくなります。
頭金を多くするぶん借り入れを少なくするのであれば、そのぶん支払い利息は減り、リスクは小さくなります。ただし、常に必要なキャッシュを手元に残すことも必要です。
不動産投資ローンはプロパーローンとは異なり、頭金は必ずしも必要ではありませんが、信用力を上げて目一杯投資したいのか、リスクを抑えたいのか、自分の投資方針によってこれらのバランスを考えて借り入れ金額を検討する必要があるでしょう。
不動産投資ローンは賃料からの返済を想定しますので、不動産投資ローンの返済期間は投資した建物の耐用年数によって異なります。マンションの耐用年数は47年、木造アパートの耐用年数は22年となっていますので、その範囲内で設定されます。そのため、たとえ新築でも、木造アパートの返済期間は比較的短く設定されることに注意が必要です。
また、住宅ローンだとサラリーマンの場合は給与収入からの返済を予定しているので、融資の期間は契約者の定年までとされることが多くなります。一方、不動産投資ローンは賃貸収入での返済が可能と考えられるので、定年という縛りはあまり関係なくなります。
返済期間は、できれば長く設定することをおすすめします。返済期間を短くすると、そのぶん1回あたりの返済額が大きくなるからです。ギリギリの収支計画では、不測の事態に対応することができません。返済期間を長めに設定しておき、ある程度資金のプールができたら繰り上げ返済をしていくほうが安全だといえます。
元利均等返済というのは毎月の返済額が等しくなる返済方法で、一般的に利用されている方法です。元金均等返済とは、毎月元金を均等額返済する方法です。
ローンの支払い金額には、元本部分と利息部分が含まれています。元金をローンの支払期間にわたって均等に返済していくと、それに伴って利息も減少していきます。ですから、元金均等返済だと当初の支払金は大きく、ローンの残高が減るに従って返済額も減っていくという仕組みです。
一方、前者で紹介した元利均等返済は、元本と利息の返済額を返済期間で均等にして返済しますので、当初の支払いのほとんどを利息部分が占め、元本部分は余り減らない計算です。つまり、トータルの返済金額は元利均等返済のほうが多くなります。
にもかかわらず、元利均等返済方式のほうが一般的に利用されているのは、
・毎月の返済金額が一定なので、ローンの返済がしやすいこと
・元金均等返済では当初の負担が重すぎて支払いが難しいケースが多いこと
などが考えられます。
後者で紹介した元金均等返済は金融機関によって扱っているかどうか対応が分かれますので、もし希望する場合には金融機関へ確認してみる必要があるでしょう。
不動産投資において、キャッシュフローは非常に重要なポイントです。特に高い金利で融資を受けている場合には、「借り換え」という選択肢を取ることで、キャッシュフローが大幅に改善するケースもあります。ここでは、不動産投資ローンの借り換えについて解説します。
ローンの借り換えとは、高い金利で借りているローンをより金利の低いローンに借り換えることです。現在契約している金融機関との契約を解消し、別の金融機関とローン契約を結び直します。その際に、新しく契約した金融機関から借り入れた資金で、元の金融機関の残債を一括返済します。
しかし、条件によっては必ずしも借り換えができるとは限りません。その場合には「繰り上げ返済」という手法を検討することができます。繰り上げ返済とは、月々の支払金額以外にまとまった資金を返済に充てることをいい、トータルの支払額を減らす効果があります。
ローンの金利は、その時々の経済情勢で大きく変動します。不動産の取得のためのローンは長期に及ぶことが多いので、その間に金利水準が大きく変動することもよくあります。ですから、融資を受けたタイミングが高金利の時代であれば、借り換えによって大幅に金利が安くなる可能性があります。
借り換えには手数料がかかりますので、金利差がそれほどないのであれば、メリットが少ないこともあります。また、どのタイミングで借り換えを行うかという判断も重要です。借り換えを行うならばできるだけ金利の低いタイミングを図りたいと考えるかもしれませんが、変動する金利の状況を正確に判断することは困難だからです。
さらに、借り換えの際、固定金利から変動金利へ、反対に変動金利から固定金利へと支払い方法の変更を検討する人もいるでしょう。金利の先行きが今後上昇すると見込まれる情勢では固定金利が、反対に低くなると見込まれる情勢では変動金利に変えることが有利といえます。
しかし、長期の金融情勢を予測するのは専門家であっても難しい問題であるうえ、固定金利と変動金利の変更は頻繁にできるわけではないので、慎重に判断する姿勢が求められるでしょう。そのうえ、借り換えによって、今まで付き合いのあった金融機関との関係が変化することになる覚悟も必要です。今後も融資の可能性があるうちは、多少の金利差だけで安易に判断するべきではないかもしれません。
それでは、不動産投資ローンを組む流れを解説します。
これまで説明したとおり、不動産投資ローンといっても扱う金融機関によって条件はさまざまで、審査の基準も金融機関ごとに設けられています。そのため、不動産投資ローンの借り入れを検討しているならば、初めからひとつの金融機関に絞るのではなく、複数の金融機関に相談した中で、自分の条件に一番近い金融機関を選択することをおすすめします。
金融機関へ融資を申し込むためには事前審査が必要になります。この時に必要となる書類は金融機関によって異なるので、具体的には審査を申し込む際に金融機関に確認することが必要です。主に以下が挙げられます。
事前審査に通過した後、不動産の売買契約を締結します。金融機関の本審査はこの後に行われますので、もし本審査に通らなかった場合には契約を解除し、支払い済みの手付金が返還される旨の特約を付して契約することになります。
本審査では、事前審査で必要とされた書類にくわえ、不動産に関する正式な書類も揃えて提出する必要があります。具体的には以下が挙げられます。
こちらも金融機関によって異なるので、事前に確認が必要であることと、用意するために日数が必要な書類もあるため、早めに準備することをおすすめします。
不動産投資ローンは、融資の申し込みから本審査を経て融資が行われるまでに3週間から1カ月ほどかかるのが一般的です。
本審査通過後、正式に不動産投資ローンの契約が結ばれます。その際に、団体信用生命保険への加入と抵当権設定契約の締結が同時に行われます。これによって、ローンの支払い不能の事象が生じても、金融機関が資金回収のリスクを負わないように担保されることになります。
賃貸経営を行うには、金融機関からローンの借り入れをするのが一般的です。長期に及ぶ不動産経営を成功させるには、金利や融資期間、融資金額など、できるだけ有利な条件で金融機関からの融資を受けることが大切です。
そのためには、ローン契約者の収入や金融資産などの属性を高めること、投資対象として収益力のある優良な不動産を選択することにより、金融機関から支払い能力が十分あると判断されることが求められます。この記事を参考に、不動産投資ローンを上手に活用することで賃貸経営が成功することを願っています。
かつて銀行や不動産会社に勤務し、資産運用に携わった経験を活かし、現在は主に金融や不動産関連の記事を執筆中。宅地建物取引主任、証券外務員一種、生命保険募集人、変額保険販売資格など保険関係の資格や、日商簿記1級など、多数の資格を保有し、専門的知識に基づいた記事の執筆とアドバイスを行う。