2022.04.22
不動産トピックス

表面利回りと実質利回りの違い、計算方法、シミュレーション

不動産投資を成功させるために必要な指標のひとつが、物件の「利回り」です。利回りとは収益率を指しており、利回りの数値が高いほど収益率が高いと一般的には捉えられています。この記事では物件の利回りについて詳しく解説をしますので、これから不動産投資を成功させたい人は参考にしてみてください。

 

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不動産投資の利回りとは

利回りとは、投資した金額に対して得られる見込み収益の割合のことで、物件を購入した費用に対して1年間の家賃収入がどのくらいの割合であるのかを把握することができます。利回りは「○○%以上」などというように、%(パーセント)で表すのが一般的です。「利回りの高さ=収益の高さ」であるため、数値が高いほど収益率は高いと判断されます。

不動産投資で使用される利回りには、表面利回り(グロス利回り)と、実質利回り(ネット利回り)の2種類があります。表面利回りでは「シンプルに計算した大まかな収益率」が分かり、実質利回りでは「諸費用なども計算に入れた詳細な収益率」が分かります。

冒頭でも述べたとおり、利回りは収益率の判断材料であるため、不動産投資を行う際には欠かせない重要な指標のひとつで、一般的には利回りの数値を参考にして不動産の購入を判断することになります。不動産投資においては、細かい諸経費を算入して計算する実質利回りのほうが、大まかに計算する表面利回りよりも実際に手元に残るキャッシュフローを正しく算出できると考えられています。

表面利回りと実質利回りの違い、計算方法

ここでは、表面利回りと実質利回りの詳しい説明や計算方法について解説します。

表面利回り

表面利回り(グロス)とは、年間の家賃収入の総額を物件価格で割り戻した数値です。投資用物件の広告には表面利回りが使われていることが一般的ですが、その理由として、計算方法がシンプルであるだけでなく、毎年変動する媒介手数料や修繕費などの経費を算入することは不確定要素が高いということがあります。「表面利回り○○%」などと記載されており、不動産投資家が物件を購入する際の判断材料として使います。

表面利回りの計算方法は以下の通りです。

表面利回り=(年間の家賃収入)÷(物件価格)×100

 
具体例として、年間の家賃収入が500万円、物件価格が5,000万円のケースで計算してみましょう。上記の計算式に当てはめて計算してみます。

表面利回り=(500万円)÷(5,000万円)×100 
     = 10%

 
したがって、この物件の表面利回りは10%ということになります。年間の家賃収入を物件価格で割るだけなのですぐに算出できるのがメリットです。大まかな収益率をすぐに知りたい場合に適しています。

実質利回り

実質利回り(ネット)とは、不動産投資の経営にかかる経費を考慮して計算した利回りです。 不動産経営には、購入時の諸費用のほかにも、税金や管理会社に支払う費用、各種手数料などさまざまな経費がかかります。実質利回りは実際にかかる必要経費を含んで計算するため、正確なキャッシュフローを把握するのに有効です。

不動産経営には何かとランニングコストがかかるため、実質利回りの数字がわかっていないと、さまざまなマイナス要素が発生する恐れがあります。特に、物件を購入する時点で実質利回りを把握していないと、思っていたよりも利益が少ない、赤字になってしまうなど、不動産経営を続けていくうちに想定外のリスクに見舞われる可能性が考えられます。

実質利回りの計算は、年間の家賃収入から固定資産税や管理費などを差し引いた金額を、購入時の物件価格に不動産取得税などの諸経費を合わせた金額で割ります。計算式にすると以下のようになります。

実質利回り=(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

 
具体例として、表面利回りの例と同じ条件で「年間の家賃収入が500万円、物件価格が5,000万円」というケースで計算してみましょう。年間の諸経費は200万円、購入時の諸経費は150万円だと仮定し、上の計算式に当てはめてみます。

実質利回り=(500万円-200万円)÷(5,000万円+150万円)×100 
     = 5.8%

 
この通り、この物件の実質利回りは5.8%だと算出できます。表面利回りで計算したときには10%でしたが、実質利回りで計算してみると、4割ほど低い5.8%に下がりました。このように、実際にかかる諸経費を算入することにより、最終的な収益率には大幅に差異が生じる可能性があることには注意しなければなりません。

上で紹介した実質利回りの計算式の中にある、「年間の諸経費」と「購入時の諸経費」についてそれぞれ解説していきます。

年間の諸経費

不動産投資においては、毎年、固定資産税や修繕費などのランニングコストがかかります。購入後にかかる主な税金・費用には以下のものが挙げられます。

・固定資産税
・都市計画税
・管理費
・修繕費
・修繕積立金
・水道光熱費
・火災保険料、地震保険料(年間単位で契約している場合)
・税理士などへの報酬費
・リフォーム費
・ハウスクリーニング費

 
固定資産税は地価の高いエリアほど税額が高くなりますので、同じ広さの土地でもエリアによって税額には大きな開きがあります。また、管理会社に管理を委託する場合は毎月管理費が発生しますし、建物が傷んだり住設機器が故障したりした場合は修繕費も必要です。それとは別に、大規模修繕に備えて修繕積立金も毎月支払うことになります。

ほかにも、建物の共用部分にかかる水道光熱費、火災保険料や地震保険料、経理業務を委託する税理士への報酬費、入居者が退去した後のリフォーム費用・ハウスクリーニング費用も必要な経費です。

なお、物件価格や建物の築年数、グレードなどによって諸経費には違いがありますが、年間のランニングコストはかなり高額な金額になることを想定しておきましょう。物件の規模が大きくグレードが高いほどにランニングコストは上がる傾向があるので、家賃収入の金額だけでなく年間のランニングコストがどのくらいかかるのかも積算してから物件を購入する必要があります。

購入時の諸経費

不動産を購入する際には、物件価格以外にも、税金や手数料などとさまざまな費用が発生します。購入時にかかるおもな諸経費には以下が挙げられます。

・不動産取得税
・登録免許税
・収入印紙代
・固定資産税の清算(物件の引き渡し日までを日割り計算)
・不動産仲介手数料
・司法書士手数料
・ローン事務手数料
・ローン保証料
・団体信用生命保険料
・火災保険料(購入時に一括で最長10年間の補償などの場合)

 
不動産を取得するには、不動産取得税・登録免許税・印紙税などの税金がかかります。

また、固定資産税は「物件が引き渡された日」を起算日として売主との間で清算するのが一般的です。なぜならば、固定資産税は毎年1月1日時点で物件を所有する人が支払う義務をもつので、その年における所有日数が少ないと売主は損をすることになってしまうからです。税の負担を公平化するため、売主と買主との間で所有日数に応じて負担します。

不動産を仲介した不動産会社に支払う仲介手数料も必要な経費です。400万円以上の不動産を購入した場合は、取引額の3%以内(税別)を支払います。不動産の所有者を変更する際は、権利関係を明確にするために登記を行います。この場合、登記のプロである司法書士に支払う手数料が発生します。

そのほか、ローン事務手数料、ローン保証料、団体信用生命保険料、火災保険料なども購入時に支払う必要があります。

表面利回りと実質利回りのシミュレーション

実際に不動産投資を行う際には、あらかじめ綿密にシミュレーションをしておくことが肝心です。ここでは「都心の物件」と「地方の物件」に分けて、表面利回りと実質利回りをシミュレーションしてみましょう。

物件1:都心の一棟マンションのシミュレーション

1つ目の例として、都心にある一棟マンションのシミュレーションをしてみます。次の条件の物件を購入するとします。

物件:新築の一棟マンション
立地:東京都文京区(東京メトロ有楽町線/護国寺駅 徒歩3分)
物件価格:3億円

年間家賃収入:1,500万円(月々125万円×12カ月)
物件購入時の経費:3,000万円
   (仲介手数料・不動産取得税など取得に関わる各種税金・火災保険料など)
年間運営経費:180万円
   (管理費・修繕積立金・固定資産税・その他諸経費)

※計算を簡単にするため、物件購入時の経費、年間運営経費は各種経費を合算しています

 
表面利回りを算出してみましょう。

(125万円 × 12カ月)÷ 3億円 × 100 = 5%

 
表面利回りで計算すると、利回りは5%となりました。次は実質利回りで計算してみます。

(125万円 × 12カ月180万円 ― 180万円)÷(3億円 + 3,000万円)= 4%

 
実質利回りで計算すると利回りは4%となり、表面利回りで計算したときよりも1%低い数値が算出されました。このように、不動産投資にかかる諸経費を算入して計算すると、実際に手元に残るキャッシュフローを割り出せるようになります。

物件2:地方の中古一棟アパートのシミュレーション

2つ目の例として、地方の中古一棟アパートの利回りをシミュレーションしてみましょう。以下の条件の物件を購入するとします。

物件:中古一棟アパート
立地:茨城県鹿島市(JR鹿島線鹿島神宮駅 徒歩30分)
物件価格:1,200万円

年間家賃収入:150万円(月々12万5,000円×12カ月)
物件購入時の経費:120万円
   (仲介手数料・不動産取得税など取得に関わる各種税金・火災保険料など)
年間運営経費:18万円
   (管理費・修繕積立金・固定資産税・その他諸経費)

※計算を簡単にするため、物件購入時の経費、年間運営経費は各種経費を合算しています

 
表面利回りを算出してみましょう。

(12万5,000円 × 12カ月)÷ 1,200万円 × 100 = 12.5%

 
表面利回りで計算すると、利回りは12.5%になりました。続いて実質利回りで計算します。

(12万5,000円 × 12カ月 ― 18万円)÷(1,200万円 + 120万円)= 10%

 
実質利回りは10%となり、表面利回りで計算したときよりも2.5%低い数値になりました。

以上、2つの物件例をもとにシミュレーションしましたが、ここで重要なのは「利回りの数値だけで物件購入を判断しないこと」です。物件1の「都心の一棟マンション」の利回りは4%とあまり高くないように感じられるかもしれませんが、東京都文京区という立地条件の良いエリアにある点、東京メトロ有楽町線の護国寺駅から徒歩3分である点は投資物件として大きな魅力です。物件価格は3億円とかなり高額ですが、「都心+駅近+新築」という3大メリットがある物件ですので、満室経営で着実な利益を上げられる可能性は高くなるといえます。

一方、物件2の「地方の中古一棟アパート」は、物件価格が1,200万円と、1棟建てのアパートにしては比較的お手頃価格に感じられます。そのうえ、物件の実質利回りは10%と高い数値となっていますので、魅力的な物件に映るかもしれません。

しかし、収益率をそのまま鵜吞みにするわけにはいきません。なぜならば、「地方+駅から遠い+中古」という物件は、入居者が入りにくい傾向があるからです。特に駅からのアクセスが悪いというのはかなり不利となります。利回りは「満室時の家賃収入」で計算するため、いくら数値が高くても、実際に空室が目立つ物件では赤字経営になる可能性が少なくありません。詳しくは次章で紹介しますが、物件を購入する際には、実際にどのくらいの利益を上げられるのかについて詳細に調べる必要があります。

利回りが高くても注意すべき物件

不動産投資を行う際には、その物件が実際にどのくらいの収益をあげられるのかを把握しておくことは肝心なポイントです。繰り返しとなりますが、実質利回りを計算すると物件の収益力が明確になるため、キャッシュフローを把握できるようになります。つまり、実質利回りを調べることは「物件の本当の収益力」を計るのに有効な手段だといえます。

物件価格が手頃でも、購入後に管理費や修繕費などが高くつく物件では、ランニングコストや経費が高くなり、全体的な収支で見るとそれほど利益を得られないケースが少なくありません。購入価格も重要ですが、購入した後にかかるコストも考慮して物件を取得するようにしましょう。その見極めが十分でないと赤字経営に陥ってしまう可能性も考えられます。

利回りが高いけれども購入は慎重になるべき物件の特徴を以下の表にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

物件の特徴 避けるべき理由
旧耐震基準の物件 ・地震での倒壊リスクが比較的高い
・リニューアル工事費用が高額になる
・耐震補強工事を実施する必要が出てくる
・保険料が割高になる
出口戦略が難しい物件 ・買い手がつきにくい
・老朽化が進むと維持管理費が増えていく
・最終的に赤字になってしまう
借地権物件 ・銀行の融資審査が通りにくい
・地代を払い続けなくてはならない
・売却をする際に地主の許可がいる
管理状態が悪い物件 ・建物が傷みやすくなるのでリフォーム費がかさむ
・住環境が悪くなり入居者が不快な気分になる可能性
・空室率が高くなる可能性
立地条件が悪い物件 ・駅から遠いと入居者が入りにくい
・川沿いにある場合は水害のリスクが高まる

物件購入後に利回りを上げるには?

立地条件や建物のグレードなどを後から変えることはできませんので、物件の利回りは物件を購入する時点である程度決まってきます。しかし、不動産投資を始めたいからといって、都心にある数億円のマンションを購入できる人ばかりではありません。最初は自分にとって無理のない価格の物件から不動産投資をスタートさせるのが無難です。そこで本章では、物件購入後に少しでも利回り改善を期待できる方法についていくつか紹介します。

リフォームをする

部屋の内装や住設機器をきれいにすると、入居者が決まる可能性が高くなります。そのため、まずは居室のリフォームを検討することをおすすめします。近年はインターネットで空室を検索する入居者希望者が増えていますから、入居者からの人気が高い「宅配ボックス」「無料Wi-Fi」などの設備を整えるのもよいでしょう。そのほかにも、「ドアチャイムをテレビインターホンに変える」「トイレをウォシュレットにする」など、住設機器に付加価値を与えると入居者に喜ばれます。

広告を出す

ターゲット層に合わせて広告を出すことも有効です。たとえば、単身者向けのワンルームマンションならば、スマートフォンで見られるインターネット広告を活用するとよいでしょう。ファミリー向けのマンションならば、インターネット広告にプラスして、チラシなどといった紙媒体の広告を出すのも一案です。その際には、居住エリアを絞り込んで配布するようにしましょう。

入居者の費用負担を減らす

引っ越しには何かと費用がかかり、引っ越し代や入居する物件の初期費用など、まとまったお金が必要となります。そのため、なかなか空室が埋まらない場合には「入居者の費用負担を減らす」というのも良い方法です。たとえば、入居する際の敷金・礼金などを無料とします。

また、「フリーレント」を導入して、1カ月~2カ月など、一定期間の家賃を無料にするのも良い方法です。立地条件が良くないなど、空室が目立つ物件では、更新する際の更新費用を安くするなどの方法もあります。費用負担が少ない場合、いったん入居すればそのまま住み続けてくれる可能性が高まります。

表面利回り・実質利回りを活用して不動産投資を成功させよう

不動産投資が成功するかどうかは、物件を購入する時点でほぼ決まっているといっても過言ではないでしょう。立地条件が良い・駅から徒歩圏内・建物の状況も良い物件ならば、入居者が入りやすいうえに入居期間も長くなる傾向が高いため、安定した不動産経営が行える可能性があります。

なお、物件を購入した後、思いのほか空室率が高いという問題が発生した場合は、リフォームを行ったり、適切な営業活動を行ったりすることで改善する場合もあります。とはいえ、最初から黒字経営を目指せるほどの収益が見込める物件を選ぶことが何より重要です。これから不動産投資を成功させたい人は、物件の実質利回りを見極めてから購入するようにしましょう。

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