2022.02.10
不動産投資

不動産投資の物件選び|心構えと避けるべき物件例のまとめ

不動産投資で成功できるかどうかは「物件選び」にかかっているといっても過言ではありません。不動産オーナーの経営努力によって、ある程度は利益を上昇させることができても、物件自体に魅力がなければ高い効果は見込めないからです。そこで、本記事では不動産投資における物件選びのポイントや心構え、避けるべき物件例について詳しく解説します。

 

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不動産投資は「どの物件を選ぶのか」にかかっている

ご自身で居住する目的ではなく、投資をする目的で不動産を所有する場合、どの物件を選ぶのかは非常に重要だといえます。いわゆる「ダメ物件」を選んでしまうと、どのような工夫を施しても利益をあげるのは難しくなるため、物件選びの段階から慎重に検討する必要があります。

物件を選ぶ際は「賃貸需要があるかどうか」がもっとも大切なポイントです。なぜなら、そもそも入居者が集まらなければ、「利回りが高い」「物件価格が割安」などとオーナーにとって有利な条件が整っている物件でも収入を得ることは難しいからです。

また、物件を選ぶ際は「これだけの条件があれば入居者が来るだろう」というご自身の主観的な判断ではなく、信頼できる不動産会社から意見を聞いたり、空室率などの過去のデータを調べたりして、客観的な視点で分析することが大切です。そのうえ、マンション・アパート・戸建てといった物件の種類によっても特徴やメリット・デメリットがあるので、それらを総合的に踏まえて検討するようにしましょう。

最初にやることは「不動産投資を始める動機や目的の整理」

不動産投資をする心構えとして物件選びが何より重要であるのは上で述べたとおりですが、そもそも不動産投資をはじめる大前提として、その動機や目的の整理をしておくことをおすすめします。動機や目的が不明瞭なままだと、選ぶべき物件の判断軸が異なる可能性があります。

以下に、主な目的3つとその詳細について、どのような物件を選ぶべきか・注意すべき点は何かについて解説します。

老後資金や副収入のため

不動産投資を始める目的の1つに挙げられるのは、「老後資金や副収入のため」という場合です。不動産投資は家賃収入が安定した収入になることから、特に老後資金の確保やサラリーマンの副収入として不動産投資を始める人は多く存在します。2021年6月に株式会社グローバル・リンク・マネジメントが不動産オーナー400人に対して行ったアンケート調査(※1)では、不動産投資の目的が「老後の年金対策」と回答した人は18.5%を占め、「資産運用」に次ぐ第2位となっています。

老後資金や副収入が目的の場合、賃貸需要が高い物件を選択すべきであるのはもちろんですが、その物件が安定した収入源となるためには、リスクの少ない物件を選ぶ意識がより大切となります。

賃貸需要が高くリスクの少ない物件を選ぶためには、利回りと空室率の分析が重要です。利回りは物件の収益性を示す基礎となる指標であり、物件を購入する際に確認できます。なお、利回りには表面利回りと実質利回りがあり、一般的に公表されている利回りは表面利回りであることを理解しておく必要があります(※2)。

この利回りですが、周辺の相場と比較したときに、かけ離れた数値である場合は注意が必要です。まず、利回りが低すぎる物件は、駅近・新築などと好条件である場合が多く、空室リスクは少ない傾向にあります。しかし、そのぶん物件価格は高くなるため大きなリターンを得られないうえ、築年数が経過して物件の価値が下がっていくと、賃料設定を下げなければならないケースも考えられます。

その一方で、利回りが高すぎる物件は、過去に自殺や殺人事件が起こった、近くに嫌悪施設があるなど、特別な理由があるために物件価格が割安になっている場合があります。こうした物件はそもそも入居の需要が少ないため、空室リスクを抱えることになります。入居者がいる間は比較的高い利益を期待できますが、空室になってしまうと赤字物件になりかねません。

このように、利回りが低すぎる物件も、利回りが高すぎる物件も、どちらも不動産投資で安定した収入を目指すのであればおすすめできない物件だといえます。

また、先述のとおり、賃貸需要が高くリスクの少ない物件を選ぶためには、物件の空室率を確認することも重要です。たとえば、中古一棟アパートを購入する場合に、現在どのくらいの空室が存在するのかを確認する、ということです。

実際に購入するかどうかを検討する場合、必ずシミュレーションを行って、現在の空室率で黒字になるかどうかを判断する必要があります。一般的に、アパート・マンション経営の理想的な空室率は20%という意見もあります。ただし、不動産投資の利益を多くするためには、年単位においての空室率は5~10%程度が理想といえます(※3)。

※1 参考:グローバル都市不動産研究所 第10弾(都市政策の専門家 市川宏雄氏監修)不動産投資に対する意識調査 2021

※2 利回りに関する内容は、以下の記事で詳しく説明しています。
不動産投資の利回り|種類と相場、シミュレーションを紹介

 

※3 空室率の正しい見方や計算方法については、こちらの記事をご覧ください。
空室率の正しい見方|データ推移と効果的な空室対策とは?

節税対策のため

所得が一定額以上に該当する場合、不動産投資を始める目的が「節税対策のため」というケースもあります。以下の速算表にあるとおり、所得税は累進課税で計算されるため、所得が多い人ほど高額な税金を支払わなければならなくなります。

出典:国税庁 – No.2260 所得税の税率

こうした税金の負担を減らすために有効なのが、不動産所得の赤字を本業の所得と損益通算する方法です。なお、ここでいう「赤字」には、実際のキャッシュフローの赤字だけでなく、減価償却費により発生する帳簿上の赤字も含まれます。減価償却費をうまく活用すれば、損失がなくても帳簿上の赤字を作り出せるため、これを利用して損益通算することが可能です(※4)。

たとえば、本業の課税所得が900万円あり、不動産所得で100万円の赤字が出ている人を例にして考えてみましょう。この人が不動産所得の損益通算を行わず通常どおり税金を支払うと、33%の所得税が課せられます。しかし、損益通算を行うと、課税所得は以下のようになります。

課税所得:900万円-100万円=800万円

 
すなわち、課税所得が900万円から800万円に減少します。課税所得が900万円から800万円になると、所得税の税率は33%から23%に減り、10%の節税ができることになるので、手元資金は多く残ります。このようにして課税所得を減らすことで節税することができるのです。

さらに、不動産を売却する場合において、減価償却期間中であれば売却時の譲渡所得税として20%が課されますが、これは課税所得900万円の人の所得税33%よりも13%低くなるため、節税効果が見込めます。

なお、住民税は課税所得に対して概ね10%とされており、課税所得が減少すれば税額も減少することになります。所得税ほどの効果はありませんが、一定の節税効果は見込めるでしょう。

ただし、これまで説明してきたような内容が該当しない人もいます。課税所得が900万円に満たない人の場合、所得税・住民税率と譲渡税率の差が小さいため、損益通算を行っても節税効果はあまり期待できません。まずご自身の課税所得と所得税・住民税の税率を頭に入れ、検討することが必要です。

※4 不動産投資の減価償却については、こちらの記事で詳しく説明しています。
不動産投資による減価償却|節税になる理由と実際の計算方法

相続税対策のため

不動産投資を始める動機が、「相続税対策のため」という人もいます。資産を多く持つ人が、子供や孫へ承継する際にかかる相続税を抑える手段として有効であるからです。平成27年(2015年)に以下のとおり相続税の制度改正があり、基礎控除が減額されたことからも、よりニーズが高まっています。

改正前の基礎控除額:5,000万円+(1,000万円 × 法定相続人の数)
改正後の基礎控除額:3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)

 
不動産を相続する場合、ほかの財産とは違い、相続税は相続税評価額により決定されます。建物は「固定資産税評価額」と同額となる時価の約70%の価額で、土地は主に路線価方式により時価の約80%で評価され、現金のように100%で課税されることがありません。

さらに、「小規模宅地等の特例」を利用すれば、より多くの減税が可能になります。小規模宅地の特例とは、一定の条件を満たした事業用・居住用の土地のうち200~400㎡を、要件に応じて50~80%減額できる制度です。
参考:国税庁 – No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

たとえば、建物が3,000万円、土地が5,000万円の場合を例にして考えてみましょう。まず建物と土地の課税価格を計算します。

建物:3,000万円×0.7=2,100万円
土地:5,000万円×0.8=4,000万円

つまり、この場合だと合計6,100万円が課税価格です。現金の場合、8,000万円がそのまま課税されますので、合計1,900万円の節税につながることになります。これに「小規模宅地等の特例」を利用すると、土地の課税価格をさらに減らすことができます。仮に80%の減額ができる場合、以下のような数値になります。

土地:4,000万円-(4,000万円×0.8)=800万円

建物価格と合計しても2,900万円となるので、大幅な減税になります。この例は非常にシンプルなパターンであり、実際にはもう少し複雑な計算が必要になることがあるものの、基本的には現金で相続するのに比べると大きな節税につながると考えて問題ありません。

避けるべき不動産投資物件の特徴とは?

不動産投資の物件選びをする際は、避けるべき物件の特徴も知っておくことが大切です。ここで紹介する3つの特徴のうち、どれか1つでも該当する物件は、投資対象として望ましくありません。

人口が減少しているエリアにある物件

不動産投資は、そのエリアで賃貸需要があるかどうかの見極めが重要です。人口が少ないエリアと多いエリアでは、当然ながら、人口が多いエリアのほうが入居率は高まるといえます。

また、現時点での人口数が少なくても、年々増加傾向にあるエリアは賃貸需要が伸びる可能性があるため、将来性を考えて投資する手段もあります。しかし、年々人口が減少傾向にあるエリアだと、将来、賃貸需要が下がり、空室リスクが増加する可能性が高いため避けるべきでしょう。

確認済証がない物件

「建築確認済証」とは、建築計画が建築基準法や条例に適合していると確認された場合に、特定行政庁から交付される文書のことです。建物の建設工事は、この確認済証の交付を受けなければ着工できない定めになっており、確認済証がない物件は違法建築物と見なされることになります。

こうした物件は購入価格が安い場合があり、魅力的に感じるかもしれませんが、金融機関からの融資を受けにくい、物件の買い手が見つかりにくいといった大きなリスクを抱えることになります。融資を受けにくいと投資効率の悪化を招きますし、次の買い手が見つからないと不動産投資の出口戦略を立てにくくなるため、購入は避けるべきです。

もっとも、ほとんどの物件では確認済証を受けており、このような違法物件が売りに出されることは稀ですが、念のため物件購入の際は確認済証のチェックをするようにしましょう。

瑕疵物件

「瑕疵(かし)」とは、売買契約において目的物に何らかの欠陥や不具合があり、品質や性能が損なわれている状態をさします。法律に違反した建築物である・設備に不具合が起きている・過去に殺人事件が発生しているなどの理由により、価値が損なれた物件のことを「瑕疵物件」といいます。瑕疵物件は主に以下の4つに分けられます。

・法的瑕疵(法律的瑕疵)物件
・物理的瑕疵物件
・心理的瑕疵物件
・環境的瑕疵物件

 
法的瑕疵物件とは、前述した建築確認済証のない物件のように、法律の規定に反した物件のことです。物理的瑕疵物件とは、建物や土地自体に重大な欠陥がある物件のことで、たとえば施工不良による雨漏りの発生、有害物質による土壌汚染などがあげられます。

心理的瑕疵物件とは、いわゆる「事故物件」と呼ばれる物件のことで、過去に自殺や殺人事件などが起こったなど、入居者が心理的に拒絶感を抱きやすい物件が該当します。環境的瑕疵物件とは、周囲に火葬場やゴミ処理場といった嫌悪施設が存在する場合をさします。

こうした物件も購入価格は安い場合があるものの、入居者が集まりにくくなりますので、購入は避けるべきだといえます。

◆瑕疵物件については、以下の記事で詳しく解説しています。
【不動産投資】リスク一覧と対策、投資成功の4つのポイント

不動産投資物件の探し方

不動産投資物件を探す方法はいくつかあります。最近ではインターネットを利用して物件を探す人が増えていますが、実は優良物件は不動産ポータルサイトに掲載される前にすでに別ルートで紹介されてしまっている場合も多いため、別の手段を考えておくことが大切です。以下におすすめの探し方を3つ紹介します。

不動産会社から紹介してもらう

もっとも成功しやすいのは、信頼できる不動産会社から紹介してもらう方法です。そのためには、投資物件を扱う不動産会社の営業担当者と親しくなり、良い物件が見つかった場合に情報を優先的に提供してもらえる関係性を築き上げておく必要があります。営業担当者としても、物件購入の見込みが高い顧客へ優先的に物件情報を提供すれば、速やかに取引を進められるメリットがあるため、お互いにとっても良い関係を作っておくことは重要です。

投資物件を探している人は、購入する意思があることを営業担当者へ正確に伝えておくことが大切です。購入意思をもっていることが伝わらないと、ほかの顧客へ物件情報が流れてしまい、売れ残りの物件しか紹介してもらえなくなる場合があります。

また、物件を購入する目的を伝えておくことも有効です。なぜ不動産投資を始めたいのか、どういった物件を探しているかなど、ご自身の考えを明確に営業担当者へと伝えておけば、希望に近い物件を紹介してもらいやすくなります。一社だけでなく、複数の不動産会社と関係を築き上げることができれば、さまざまな物件情報が集まることも期待できます。

不動産投資会社のサイトで探す

インターネットを利用して投資物件を探す場合は、不動産投資会社のサイトを利用することがおすすめです。不動産ポータルサイトでも物件は探せますが、情報更新が遅いうえ、誰でも閲覧することができるため、問い合わせ時にはすでに売れてしまっていることが少なくありません。

また、先述したように、優良物件はそもそもポータルサイトには掲載せず、不動産会社が懇意にしている顧客へと優先して情報を流し、その時点で売れてしまう場合があるため、一般の人が購入するのは非常に難しいと考えるべきでしょう。一方、不動産投資会社のサイトだと「売主」として収益物件を販売しているため、情報更新スピードが速く、優良物件の情報を得やすいという特徴があります。

情報誌や新聞広告で探す

情報誌や新聞広告といった紙媒体から情報を得る方法もあります。近年では、多くの不動産会社が自社ホームページを開設してインターネット上で情報を発信していますが、地方の不動産会社だと、こうしたサイト自体を持っていないことがあります。

こうした不動産会社はタウン誌や新聞の広告欄、チラシなどでの情報発信が中心になり、物件数が少なくても稀に掘り出し物が掲載される場合があります。そのため、こういった紙媒体もチェックをしておくと良いでしょう。

不動産投資は物件選びが重要!優良物件を見つけるコツを掴もう

不動産投資の物件選びに失敗すると、入居者が集まらず空室を多く抱えることになり、収支が赤字になってしまう可能性があります。条件の悪い物件では、どのような工夫を施しても高い収益をあげるのは困難です。投資物件に限らず、不動産は一度購入するとキャンセルすることはできないため、特に慎重に検討するようにしましょう。これから不動産投資を始めたいと思っている人は、今回ご紹介した内容を踏まえ、優良物件を見つけるコツを掴んでみてください。

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