2021.02.12
税金

住宅購入資金を非課税で贈与してもらえる「住宅資金贈与の特例」とは?

住宅購入資金を親などから援助してもらうケースは多いでしょう。そこで気になるのが、「贈与税が発生するかどうか」です。結論から言えば、親子間のお金の授受でも贈与税の支払い義務は発生します。ただし、住宅購入資金に限っては、特例を使って非課税にすることが可能です。特例の概要と、特例を受けるための条件、相続時精算課税制度との併用に関する注意点などを、詳しく解説します。

最大1,500万円が非課税!「住宅資金贈与の特例」とは

たとえ親から子へのお金の受け渡しであっても、その金額や内容によっては贈与税が発生します。ただし、場合によっては贈与税が非課税になることもあります。その手段の1つが、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例(住宅資金贈与特例)」の利用です。

これは2021年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母など)が20歳以上の子・孫へ、マイホームの増改築も含めた住宅購入資金として贈与したお金については、次の非課税限度額までが非課税になる制度です。非課税にできる金額は、新築・購入・増改築の契約をした年によって変わります。具体的には以下のとおりです。

建物の価格に消費税率10%が適用される場合

消費税率を10%負担している人は、契約の締結が2020年3月31日までに行われていれば、最大で3,000万円が非課税になります。3,000万円の非課税締結期間を過ぎている場合は、次の締切日である2021年3月31日までに締結すると1,500万円まで非課税枠を使うことができます。つまり、早く締結するほど多くの非課税枠を使えるということになります。
 

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

上記以外(中古住宅の個人間売買で建物に消費税がかからない場合)

消費税10%が適用される場合以外とは、不動産会社を介さずに個人間で売買した場合に、消費税10%を負担しないケースです。こちらは次の締切日である2021年3月31日までに締結すると1,000万円の非課税枠が使えます。以前ほど消費税10%負担した場合と大きな差はなくなっています。
 

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~2015年12月31日 1,500万円 1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 800万円 300万円

 

【参考:省エネ住宅とは】
住宅資金等資金贈与が非課税になる「省エネ住宅」とは、室外の温度変化に左右されず、少ない冷暖房エネルギーで室内の温度を一定に保てる家屋をいいます。具体的には「夏に直射日光を遮蔽する」「冬に室内の熱を外に逃さない断熱効果がある」そしてそれらの効果をささえる「機密性の高さをもつ」住宅となります。
この「日射遮蔽」「断熱」「機密性の高さ」が、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)にもとづき、基準として定められています。
また、省エネルギー性能の高い住宅には住宅ローン【フラット35】の優位なプラン(省エネルギー基準等級により金利が一定の期間引き下げられる)を利用できるなどの特典が用意されています(等級により年数と引き下げられる金利は異なります)。

なお、非課税の対象となるのは、一定の要件を満たしている場合になります。具体的には以下のとおりです。(引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)※
 
 

【参考:受贈者の要件】

次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
o    (注) 配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
(2) 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
(4) 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)。
(5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
 (注) 受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
(7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が一時居住贈与者又は非居住贈与者である場合を除きます。)。
なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
 (注) 「一時居住者」、「一時居住贈与者」及び「非居住贈与者」については、受贈者が外国に居住しているときをご覧ください。
(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
 (注) 贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
※ 災害により住宅用の家屋に被害を受けた場合には、災害を受けたときの贈与税の取扱いをご覧ください。

要件を満たしているかどうか等、念のため事前に国税庁のホームページで確認しましょう。

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住宅資金贈与の特例を受けるために必要な条件

住宅資金贈与の特例を受けるためには必要な条件を満たしていなければなりません。

贈与の特例を受けられる人

贈与を受けられる人は、贈与者の直系卑属(子や孫)で、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上かつ所得金額が2,000万円以下の人です。さらに、贈与された年の翌年3月31日までに贈与された全額を使って新築等をし、同じ年の12月31日までに居住している必要があります。

贈与の特例を受けられる建物

贈与を受けられる建物は、新築・増改築ともに家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下で、その2分の1以上に相当する部分が贈与を受けた人の居住の用に供されるものです。また、建築後使用されたことがある住宅用家屋(中古住宅)では、その取得日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたものが対象になります。

住宅資金贈与の特例は、土地の取得でも適用が可能です。ただし、適用を受けるには以下の要件を満たしている必要があります。

  • 住宅の新築、新築建売住宅の取得とともに土地の取得を行うこと(住宅用家屋の新築に先行して行う土地等の取得を含む)。
  • 中古住宅の取得とともに土地の取得も行うこと。
  • いま住んでいる住宅の増改築とともに土地の取得を行うこと。

住宅資金贈与の特例を受ける際の注意点2つ

次に、住宅資金贈与の特例を受ける際の注意点を確認しておきましょう。

非課税の場合も贈与税の申告は必要になる

住宅資金贈与特例を利用する際に注意すべきことは、非課税の場合でも申告が必要という点です。贈与税申告の期間内、つまり贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、申告書や添付書類を税務署に提出して申告します。期限内に申告しなければ、特例の適用を受けることができません。

小規模宅地等の特例を受けられなくなる

住宅購入時に住宅資金贈与特例の利用を検討する際に、もう1つ頭に入れておきたいことがあります。それは、贈与を受ける人が将来相続する時に、「小規模宅地等の特例」を受けられなくなる可能性があることです。

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人が所有していた不動産を相続した場合に、一定の要件のもとで相続税評価額が大幅に減額される制度です。たとえば、親が住んでいた自宅を子どもが相続した場合、この特例によって評価額が最大で8割引になります。1億円の不動産を相続しても、評価額が2,000万円になるので、支払う相続税は大きく抑えられます。

ただし、小規模宅地等の特例を受けられる人は、「亡くなった人と同居していた親族」か、「別居していても、過去3年以内にマイホームを所有していない親族」です。つまり、住宅資金贈与特例を使って住宅を購入した人は、この小規模宅地等の特例を受けられないことになります。

したがって、子どもなどへ住宅購入資金を援助する時には(あるいは親から援助をしてもらう時には)、「住宅資金贈与特例」や「相続時精算課税制度」を使うのか、それとも将来「小規模宅地等の特例」を使うのか、トータルで得になる方法を事前によく検討する必要があります。

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相続時精算課税制度との併用はお得なのか?

上記の非課税枠を使った後に、さらに贈与税の基礎控除(1年間に110万円)を利用することができます。たとえば個人から中古住宅を購入し、2019年12月に契約するケースでは、700万円プラス110万円で、合計810万円の住宅購入資金を非課税でもらえることになります。

また、住宅資金贈与特例は「相続時精算課税制度」とも併用できます。相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した際に選択できる制度で、贈与時は2,500万円まで非課税で受け取ることができます。ただし、贈与してもらった親などが亡くなって相続が発生した時には、相続時精算課税制度を利用して受け取った贈与財産と、相続した財産を合わせて再計算して、相続税額を決めることになります。

なお、贈与税の基礎控除と相続時精算課税制度は併用できません。よって住宅資金贈与特例と併用する場合は、贈与税の基礎控除か、相続時精算課税制度のいずれかを選ぶ必要があります。

では、住宅資金贈与特例と相続時精算課税制度を併用することはお得なのでしょうか。贈与税の基礎控除110万円と、相続時精算課税制度2,500万円を比較すると、後者と併用したほうがお得な印象があります。しかし、相続時精算課税制度は、課税を免除された贈与財産が最終的には相続財産と合算して精算される仕組みです。贈与税での課税が相続時に先送りされるだけなので、必ずしもお得になるとは限りません。

さらに、一度相続時精算課税制度を選択すると、一生にわたって暦年課税を選択できないという大きなデメリットがあります。

それでもお得になるケースもあります。相続税の基礎控除は3,000万円+法定相続人の数×600万円です。そのため、相続人が1人の場合、贈与した財産と相続する財産が3,600万円以下であれば、相続時精算課税制度を利用して贈与税を先送りしたとしても、最終的に課税されることはありません。

住宅資金贈与特例と相続時精算課税制度を併用するかどうかは、相続財産がどれくらいあるか精査したうえで利用を検討するのが妥当といえそうです。

まとめ:相続財産を精査して、贈与税非課税枠を有効に活用しよう!

ここまで、住宅購入資金の贈与税が最大3,000万円または1,500万円非課税になる特例についてみてきました。非課税枠は期間ごとに決められており、あとになるほど限度額が低くなっていきます。もし、制度を利用するなら早めに契約を締結したほうが節税になります。

また、住宅資金贈与の特例を受けるには、必要な条件や注意すべき点があります。特例を受けられる建物にも条件があるため、まずは自分が特例を受けられるかどうか、国税庁のホームページ等で確認してみましょう。

住宅資金贈与特例と相続時精算課税制度の併用については、効果的な場合とそうでない場合があります。贈与税の基礎控除とどちらを選べば得かを、相続財産を精査したうえで判断することが大事です。

さまざまな非課税枠を使って、少しでも有利に住宅を取得できるようにすることが求められます。

参考:国税庁「住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし」

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