2021.02.12
税金

確定申告を忘れずに!不動産売却の税金の基本

不動産を売却すると翌年3月15日までに確定申告をしないといけません。今回は、はじめて不動産売却を行ったオーナーさんを対象に、売却にかかる税金の種類と計算方法について、その基本を解説します。普段とは異なる確定申告の仕方を理解しましょう。

目次
賃貸不動産を売却したら確定申告が必要
不動産売却の税金の基本
不動産売却における税金とオーナーの負担にかかわる注意点
不動産売却時にかかる他の支出も意識しよう

賃貸不動産を売却したら確定申告が必要

ほとんどの不動産オーナーは毎年の不動産所得で確定申告はおなじみかと思います。もし不動産投資をやめたとしても、確定申告が必要な場面があります。それは賃貸不動産を売却したときです。この売却の利益に所得税・住民税がかかります。

不動産売却の税金の基本

不動産を売却するときの確定申告は不動産所得のそれとは異なります。何を売却対価(譲渡対価)とし、何を売却原価(譲渡費用)とするかで利益が変わります。

売却益(譲渡所得)にかかる税金は3つ

最初にどういった税金がかかるのかを押さえましょう。不動産を売却したときにかかる税金は所得税・復興特別所得税・住民税の3つです。

所得税と復興特別所得税は、売却した翌年3月15日までに管轄の税務署に対し、確定申告を行います。納税の期限も3月15日です。

一方、住民税は、その後の5月から6月上旬に住民税決定通知書が届きます。この通知書で6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて納税することになります。

なお、この3つの税金は、不動産を売って利益が出たときにかかるものです。売却損が生じた時はかかりません。

他の所得と別に計算する「申告分離課税」

建物や土地といった不動産を売却した時の税金は、申告分離課税で計算します。申告分離課税とは、他の所得と分けて単独で所得額と税額を計算し、確定申告で納税する課税方式のことです。

一方、不動産オーナーが毎年確定申告している賃貸料収入は、不動産所得です。不動産所得は「総合課税」が適用されるので、給与所得や事業所得、雑所得と合算して税額を計算します。

「毎年申告している賃貸料収入と不動産を売ったときの利益は別々に計算する」と意識しておきましょう。

譲渡所得の計算式

土地や建物を売却した時、所得額は次の算式で計算します。

▽不動産売却時の所得額
=譲渡対価-(取得費+譲渡費用)

取得費は土地や建物を買ったときの金額です。購入金額や建築代金の他、購入時に支払った仲介手数料やリフォーム費用も含めます。なお、建物は減価償却相当額を差し引いた後の金額になります。

もし取得費が「譲渡対価×5%」よりも少ない、あるいは取得費そのものがわからないのであれば「譲渡対価×5%」を取得費にできます。

譲渡費用は不動産売却時にかかった費用です。仲介手数料や登記・登録の費用、違約金、店子の立退料、測量費、建物を取り壊して更地にしたときの取壊し費用がこれに当たります。また、譲渡対価の額をなるべく上げるためにリフォームや修繕をしたのであれば、これも譲渡費用にすることができます。

所有期間で税率が変わる

不動産売却の税金は「譲渡所得×税率」で計算します。この税率は「不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超か5年以下か」で次のように変わります。

・5年以下の場合:39.63%(所得税及び復興特別所得税30.63%、住民税9%)
・5年超:20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)

譲渡所得が同じ3,000万円の不動産でも、4年所有だと1,188万9,000円の税額ですが、6年所有だと609万4,500円とぐっと下がるのです。

不動産売却における税金とオーナーの負担にかかわる注意点

不動産を売却するときは、以下の4つの点に注意が必要です。

賃貸用物件の売却に特別控除は使えない

「居住用物件を売却すると、3,000万円の特別控除や軽減税率の特例を受けられる」といった話を聞いたことがある人もいるでしょう。「賃貸物件も人が住むためのものだから節税できるはず」と思うかもしれません。

しかし残念ながら賃貸物件の売却は、こういった特例で節税することはできません。特例で節税できるのは「自分が生活拠点として住むための家」に限られます。「他人を住まわせて収益を得るための物件」には適用できません。

売却益の税金を抑えたいのなら、5年超所有して低い税率を適用するくらいしか方法がないのです。

住民税以外の公的負担も高くなる

売却益で税金が高くなるのは所得税・住民税だけではありません。国民健康保険税や保育料も上がります。なぜかというと、これらは地方自治体の公的サービスに直結しており、その徴収額のベースは住民税の計算の基礎となる所得額とほぼ同じだからです。

売却で利益が出るのは喜ばしいことですが、その後で国や地方自治体に支払うものが増えることを念頭に置きましょう。

固定資産税は買主との間で精算を

売却年でも固定資産税は原則、売主が負担しなくてはなりません。この2つの税金はその年の1月1日時点で土地や建物を保有している人が納めなくてはならないからです。また、売却したとしてもいったん支払った固定資産税は還付されません。

固定資産税は通常、買主との間で精算します。ただ、この精算は法律で決められた手続きではなく、不動産取引での慣習でしかありません。不動産を売却するときは、売買契約の前に税金の精算を行う旨を不動産会社に確認しましょう。

不動産売却時にかかる他の支出も意識しよう

今回は所得税・復興特別所得税・住民税を取り上げました。実際には、この他にも不動産売却で支払わなければならないものがあります。売買契約書に貼付する印紙税、抵当権の抹消登記に伴う登録免許税です。この2つは、売却益の有無に関係なく発生します。印紙税と登録免許税は、所得額の計算における取得費に含めます。

この他、仲介手数料や司法書士などの専門家報酬もあります。このように不動産を売却すると色々な費用がかかることは意識しておきましょう。普段の不動産所得に加えて譲渡所得も計算しなくてはなりませんが、確定申告の申告期限は変わらず翌年3月15日です。期限を意識して早めに準備しましょう。
 

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