新型コロナウイルスの影響で家賃収入の落ち込んだ不動産オーナーも多くいらっしゃることでしょう。来年の固定資産税の減免を受けたいのなら早めに準備をすることが必要です。年が明けたらすぐ申請期限が到来します。今回は、固定資産税の減免申請に必要な条件や手続きについてお伝えします。
目次
以前、本サイトで固定資産税を抑える2つの救済策をお伝えしました。そのうちの1つが「2021年度分の固定資産税の減免制度」です。この制度を活用するには、事前の申請が必要です。そしてその申請の締め切りは償却資産税の申告期限と同じく1月末です。今回の2021年分の減免申請に関しては、1月末日が土日に重なるため、2月1日(月)が期限となっています。減免を検討しているのなら、早めの準備が必要です。
【参考】コロナ禍で家賃が激減……。固定資産税を抑える2つの救済策とは
固定資産税の減免制度とは、今年コロナ禍で家賃など事業収入が落ち込んだ事業主が申請を行えば2021年度の固定資産税を減額・免除できる制度です。具体的には次のようになります。
この制度の対象は事業規模の小さい法人・個人の事業主です。一定割合以上事業収入の減少している事業主だけが減免制度の申請ができます。
「事業規模が小さい事業主」の正式名称は「中小事業者等」です。この「中小事業者等」の要件は、法人・個人別に次のような要件があります。なお、性風俗関連の事業を営む事業主は減免申請ができません。
(1) 法人
法人は次の条件が求められます。
・資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
・資本金や出資金がないなら常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
ただし、資本金・出資金が1億円以下でも実質的に大規模法人だと見られるものは対象外です。発行済株式総数や出資総額の1/2以上が単独の大規模法人に、あるいは2/3以上が複数の大規模法人によるのであれば、形が中小規模であっても申請できません。
(2)個人
常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業者が対象です。不動産オーナーならほぼ全員があてはまります。
続いて、「一定割合以上事業収入が減少」とはどのような意味なのでしょうか。それは、2020年2月から10月までの任意の連続する任意の3か月間の売上や雑収入などの事業収入の合計額が前年同時期に比べて30%以上減少していることをいいます。
減額か免除かは、事業収入の減少の割合に応じて次のように決まります。
・事業収入の減少割合が30%以上50%未満:半分減額
・事業収入の減少割合が50%以上:全額免除
「半分減額」だと納税額が半分に、「全額免除」だと納税額はゼロになります。
不動産オーナーが減免申請する際に必要な書類は次の通りです。
・特例申告書:後述する認定支援機関に提出し、確認を受けなくてはなりません。
・特例対象資産一覧
・収入が減少したことが分かる書類:会計帳簿や青色申告決算書など。賃料の支払いを猶予・減額したのならその事実が分かる書類も必要です。
手続は特例申告書に必要事項を記入し、既述の書類を添付した上で賃貸物件の住所を管轄する都道府県税事務所あるいは市町村に郵送か窓口で提出します。ただ、この減免申請は事業主単独で行えません。後述する認定支援機関に協力してもらい、申告書に確認の旨の記名押印が必要です。この記名押印がないと、申請は無効になります。
減免申請には認定支援機関の協力・確認が必要です。認定支援機関の意義や対象者は次のようになっています。
認定支援機関は正式名称を「認定経営革新等支援機関」と言います。2012年、中小企業に専門性の高い支援を行う制度として始まりました。税務・金融・企業財務に関する知識や経験が一定水準以上の個人・法人に対し、国がお墨付きを与えています。経営相談への対応の他、補助金申請用の事業計画書の作成や資金調達のサポートを行います。
認定支援機関になっているのは司法書士や会計士・税理士といった士業の他、金融機関、民間コンサルティング会社、商工会議所などです。詳しくは中小企業庁のウェブサイトで確認できます。
固定資産税の減免が受けられれば、コロナ禍で家賃収入が激減したオーナーの資金繰りがラクになります。ただし、次のような点に注意が必要です。
固定資産税の減免申請は通常の税金の申告・納付と同じく、厳しく期限が決められています。1日でも過ぎたら受け付けてもらえません。書類の記入や資料の準備、認定支援機関での確認を含めると、早めに準備をしないと間に合わないのです。
認定支援機関の成り手でもっとも多いのが税理士です。日頃から事業主のお金を管理しているからでしょう。ただし、税理士の全員が認定支援機関なのではありません。税理士の一部が認定支援機関業務を請け負っているだけです。
固定資産税の減免申請を考えているのなら、早めに顧問税理士に相談しましょう。もし顧問税理士が認定支援機関でないのなら、この認定を受けている他の税理士を紹介してもらうのも1つの方法です。また、認定機関を地域の商工会議所が担っているケースもありますので、相談してみましょう。
細かい条件や申請先が異なる可能性があります。東京都では都税事務所が申請先である一方、福岡市は市役所が窓口になっています。実際に手続きする際は、管轄の地方自治体に確認しましょう。上述したように、申請には期限が定められており、認定機関での確認、協力も必要です。早めに行動し、準備を始めていきましょう。
【オススメ記事】
・家賃収入がある人が確定申告する際の注意点|申告漏れに注意しよう
・不動産投資が相続税対策になる仕組み
・不動産を相続しよう【相続するために必要な手順をプロが解説】
・土地をもらうとお金がかかる?贈与税の計算方法を要チェック