2023.05.15
税金

不動産の生前贈与とは?メリットと注意点、相続との違い

少しでも税金を減らして家族に不動産を譲る方法として、「生前贈与」というやり方があります。この記事では、「相続」するケースと比較しながら、不動産の生前贈与のメリット・デメリット、流れ、必要書類、費用等について解説します。大切な財産を大切な人に引き継ぐために、不動産の生前贈与についての正確な知識を身につけてみてください。

【著者】水沢 ひろみ

 

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不動産は生前贈与することができる

不動産を譲り渡す方法のひとつに、生前贈与という方法があります。

生前贈与とは、言葉の通り、財産を所有している者が自分の財産を生前に贈与することです。財産の所有者が、自分の自由な意思で贈与する相手や贈与する財産の内容を決めることができるだけでなく、相続税の対象となる財産の額を減らすことで相続税を減らせる可能性もあります。

そのため、生前贈与は節税目的で着目されることが多い制度ですが、高齢者に偏りがちな財産を若い世代に移して有効に活用することで、経済活動を活性化させる方法として期待されている側面もあります。

しかし、暦年贈与制度が相続税の節税対策として利用されている現実に対して、暦年贈与制度を見直す動きがあります。また、生前贈与を行えば贈与税が発生するケースも多く、減少する相続税とのバランスを考えることも必要になります。

不動産を生前贈与する目的やそれによる効果の程度を勘案しながら、どのような方法で財産を譲り渡すのが最善であるかをさまざまな角度から考えることが大切だといえます。

◆不動産の相続税については、こちらの記事をご覧ください。
不動産の相続税|計算ステップと特例、注意点などを解説!

不動産を生前贈与するメリット

不動産を生前贈与することによるメリットは、主に以下の3つです。

  • 相続税の節税につながる可能性がある
  • 贈与する相手を選べる
  • 贈与する時期を選べる
  •  
    これらについて、以下に詳しく解説していきます。

    メリット1:相続税の節税につながる可能性がある

    相続税に比べて贈与税の税率は高いため、贈与によって財産を譲り渡すのは不利なのではないか、と考えることがあるかもしれません。

    しかし、贈与税にはいくつかの特例が設けられており、さらに年間110万円以内の贈与であれば贈与税がかからないという暦年課税制度が設けられています。そのため、これらの制度を上手に利用することで、生前贈与は相続税の節税につながる可能性があります。

    そこで、贈与税に関する特例の中でも、特に「不動産の生前贈与に関わる特例」を次に紹介します。

    相続時精算課税制度

    相続時精算課税制度とは、推定相続人の中で一定の要件に該当する者が贈与を受けた際に、2,500万円までは贈与税を納めなくてもよいという制度です。ただし、相続が発生した時には、相続時精算課税制度を利用して贈与された財産と相続財産を合計して相続税の額を計算します。

    相続時精算課税制度を利用するには、

  • 直系尊属(両親や祖父母等)から直系卑属(子や孫等)に対する贈与であること
  • 贈与者である両親や祖父母が、贈与が行われた年の1月1日において60歳以上であること
  • 受贈者である子や孫が、贈与が行われた年の1月1日において18歳以上であること(※令和4年3月31日以前に行われた贈与については20歳)
  • 贈与が行われた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、贈与税の申告書と共に「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出すること
  •  
    が要件となります。

    参考:国税庁ホームページ – No.4103 相続時精算課税の選択

    なお注意点として、相続時精算課税制度を利用した場合には、毎年の贈与額から110万円を控除できる「暦年贈与制度」は利用できなくなります。

    相続時精算課税制度が節税になるケースは、贈与時よりも相続時の不動産の価格が上昇するケースや、相続発生時までに利益が発生する収益物件等のケースが考えられます。

    暦年課税制度

    贈与税は、一年間に贈与された財産を合計した額から、「基礎控除額(110万円)」を差し引いた額に対して、一定率を掛けて計算します。一人につき一年ごとに計算することから「暦年課税制度」と呼ばれており、年間の贈与合計額が110万円以下であれば贈与税はかからず申告も必要ありません。

    この仕組みを利用して毎年110万円以内の範囲で少しずつ財産を贈与していくことで、相続の対象となる財産を減らし、結果として相続税の節税をすることが可能です。

    ただし、相続開始前の3年間に贈与された財産は、相続財産とみなされ相続税の対象となります。

    また、毎年一定額ずつ贈与しているつもりでも、

  • 贈与の事実を受贈者が知らない場合
  • 贈与後も財産の管理を贈与した側が行っている場合
  •  
    等は、暦年課税の対象と認められないこともあるので注意が必要です。

    暦年課税制度を利用して財産を譲り渡すのであれば、

  • その都度贈与契約書を作成すること
  • 贈与された財産は受贈者が管理すること
  •  
    等の対策を行うことが大切です。

    配偶者控除制度

    婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用の不動産を贈与する場合には、贈与財産の価格から2,000万円を限度として控除が受けられる制度があります。110万円の基礎控除との併用ができるので、合計で2,110万円までは贈与税がかかりません

    ただし、配偶者控除制度を利用するには以下の要件がありますので、確認が必要です。

  • 婚姻期間が20年以上の夫婦間の贈与であること
  • 贈与の対象が居住用の不動産か、居住用の不動産を購入するための資金であること
  • 贈与された配偶者が、贈与の翌年の3月15日までに贈与の対象となる不動産に現実に居住していること
  • 贈与された配偶者がその後も引き続き居住する予定であること
  • 贈与の翌年の2月1日から3月15日の間に、税務署に贈与税の申告をすること
  •  
    参考:国税庁 – No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

    メリット2:贈与する相手を選べる

    相続によって財産を受け取る権利があるのは、配偶者や直系の親族、または兄弟姉妹等の法定相続人です。これらの親族が法律に定められた順位で相続人となり、遺産分割協議を行って現実的に相続する財産を決めることになります。

    しかし、事前に遺言書を残すか生前贈与を行うことで、法定相続人以外の者にも財産を譲り渡すことができ、贈与する額も贈与する側が自由に決めることができます

    子供のいない夫婦の一方が亡くなった時に、亡くなった配偶者に兄弟姉妹がいる時にはその兄弟姉妹も法定相続人となるため、夫婦の財産は一方の配偶者が全額相続できるわけではありません。このことを知らずにトラブルになるケースがあります。もしも財産の全てを配偶者に残したいと考えているなら、遺言書を残しておくか生前贈与をしておくことで、譲り渡したい相手に確実に財産を渡すことができます。

    メリット3:贈与する時期を選べる

    相続によって財産が移転するのは、被相続人が亡くなったタイミングです。その点、贈与であれば、譲り渡したいと考えている人が自由なタイミングで財産を譲り渡すことができます。

    不動産の価格が上昇しているようなケースであれば、早めに贈与することで譲り渡す財産の評価額を抑えることが可能です。また、収益物件であれば不動産を贈与した後の収益は受贈者のものになりますので、相続で譲り受ける場合に比べると、譲り受ける財産の総額は少なくなるでしょう。

    このように贈与する時期を自由に選べることは、不動産を生前贈与する大きなメリットといえます。

    不動産を生前贈与するデメリット

    不動産の生前贈与には以下のようなデメリットがありますので、慎重な判断が大切です。

  • 贈与税の高い税率が課せられる
  • 登録免許税が高くなり、不動産取得税がかかる
  •  

    デメリット1:贈与税の高い税率が課せられる

    相続税より贈与税のほうが税率は高く、基礎控除の額も違うため、贈与税の特例や暦年課税を上手に利用しなければ、かえって損をする可能性があります。

    相続税の基礎控除は【3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】ですので、配偶者と子供2人の家族であれば、4,800万円までは相続税がかかりません。一方、贈与税の基礎控除は年間110万円です。

    基礎控除を超えた額に課税され、仮に1,000万円だと相続税ならば10%ですが、贈与税だと40%もしくは30%となります。基礎控除の額や適用条件が違うので単純には比較できませんが、一般的には贈与税のほうが高い税金が課せられる可能性が高いといえます。

    【相続税の速算表】

    出典:国税庁 – No.4155 相続税の税率

    デメリット2:登録免許税が高くなり不動産取得税がかかる

    不動産を生前贈与すると、登録免許税が高くなり不動産取得税がかかることにも注意が必要です。登録免許税は、相続を原因とする場合だと固定資産評価額の0.4%ですが、贈与の場合だと2%となります。

    また、相続によって不動産を取得する場合には不動産取得税はかかりませんが、贈与によって取得する場合には課税の対象になります。

    不動産を生前贈与する際には、これの費用についても考慮して判断するようにしましょう。

    生前贈与と相続について

    本章では生前贈与と相続の違いと、生前贈与がおすすめできるケース・おすすめできないケースについて紹介します。

    生前贈与と相続の違い

    前章では、不動産を生前贈与するメリットとして、相続税の節税につながる可能性があることや、贈与する相手方や贈与する時期を選べることを紹介しました。

    一方の相続の場合には、財産を譲り受ける者は原則として法定相続人に限られ、所有権が移るのは財産の譲り渡し人が亡くなったタイミングです。また、贈与と相続では控除できる額や税率にも違いがあり、一度に同額を譲り渡すのであれば贈与のほうが不利になるケースが多くなるでしょう。

    しかし、相続では1度に全ての財産が譲り渡されるのに対して、生前贈与は何回でも利用することができます。一人につき年間110万円までの贈与には贈与税はかかりませんので、複数人に対して数年に渡って贈与をする場合には、相続によって譲り渡すよりも有利になる可能性があります。

    さらに、先ほど説明したように、いくつかの特例を利用して贈与できるケースもあります。突然発生する相続とは違い、生前贈与はあらかじめ計画的に財産を承継していくことができるので、それぞれの事情を考慮しながら、有利な方法を選択することをおすすめします。

    不動産の生前贈与がおすすめな場合

    不動産の生前贈与がおすすめできる場合とは、どのようなケースでしょうか?

  • 贈与対象の不動産が収益用の不動産である場合
  • 将来値上がりすることが見込まれる不動産である場合
  • 法定相続人以外の人に譲り渡したい場合
  • 特定の相続人に多めに財産を譲り渡したい場合
  • 不動産の所有者が比較的若いため、数年に渡って暦年贈与が可能な場合
  • 贈与の特例の要件を満たしている場合
  •  
    不動産が収益用の不動産であれば、相続で譲り渡す場合には不動産から得た収益にも相続税がかかることになりますが、早めに譲り渡しておくことで不動産の譲受人が収益を得ることができます。

    また、相続税は相続時の財産の評価額が大きいほど高くなりますので、暦年贈与を利用して譲り渡しておき財産を減らしておけば、相続税を減らすことが可能です。

    不動産の生前贈与がおすすめできない場合

    不動産の生前贈与がおすすめできない場合には、以下のようなケースが考えられます。

  • 贈与の特例の要件を満たしていない場合
  • 相続財産の総額が基礎控除の範囲内になる場合
  • 財産の所有者が高齢または死期が近い病気である等の場合
  • 一度に高額な財産を贈与する場合
  •  
    相続開始前3年以内に行われた贈与は相続税の対象となってしまうため、財産の所有者が高齢または死期が近い病気であるような場合には、不動産の生前贈与をしても無駄になってしまう可能性があります。

    また、一度に高額な財産を贈与する場合には、贈与の特例の要件を満たしていなければ高額な贈与税がかかってしまうため、生前贈与はおすすめできません。

    不動産を生前贈与する流れ、必要書類

    不動産を生前贈与する際の手続きの進め方と、必要書類について紹介します。

    実は贈与契約は「贈与する人」「贈与される人」「贈与の対象となる不動産」が明確で、両当事者の贈与に関する合意があれば、口頭での契約だけでも贈与契約として有効であるとされています。ただし、後から「言った」「言っていない」のトラブルが生じるのを避けるため、きちんと贈与契約書を作成することが望ましいといえます。

    また、贈与された不動産の所有権を「贈与契約の当事者以外の第三者」に対して主張するには、法務局で不動産の名義変更手続きを行わなくてはなりません。そして、生前贈与によって贈与税が発生する場合には、税務署への申告と贈与税の納付を忘れないように注意が必要です。

    贈与契約書を作成する

    贈与契約自体は契約書がなくても有効であると説明しましたが、法務局で不動産の名義を変更する手続きを行う際には、「登記原因証明情報」として「贈与契約書」の提出が必要になります。ですから、不動産を生前贈与する際には必ず贈与契約書を作成するようにしましょう。

    贈与契約書には、

  • 贈与する人
  • 贈与される人
  • 贈与の対象となる不動産
  • 贈与の日付
  •  
    等、必要事項を明確に記入するとともに、贈与者と受贈者両方が署名押印します。

    その際に、

  • 不動産の名義変更にかかる費用負担
  • 固定資産税の負担割合
  • 不動産の名義変更に対して協力すること
  •  
    等も記載しておくとよいでしょう。

    手続きで必要な書類を集める

    贈与した人と贈与された人の当事者間では、贈与の合意だけで贈与契約は有効に成立しますが、不動産の所有権が移ったことを対外的に主張するには、法務局での名義変更手続き(登記手続き)が必要です。

    その際に必要となる書類はこちらです。

  • 登記申請書
  • 登記識別情報通知(登記済権利証)
  • 登記原因証明情報(不動産贈与契約書)
  • 贈与する人の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)
  • 贈与を受ける人の住民票
  • 固定資産評価証明書または課税明細書
  •  

    法務局で手続きを行う

    上記の必要書類を揃えたら、不動産を管轄している法務局へ登記申請書とともに提出し、名義変更のための登録免許税を納めます。

    不動産の名義変更手続きは以上となりますが、先ほども説明したように贈与税が発生する場合には贈与税の納付手続きも必要になります。

    不動産を生前贈与するときにかかる費用と計算方法

    不動産を生前贈与するときには、不動産取得税、登録免許税、贈与税がかかるほか、手続きを専門家へ依頼する場合には手数料もかかります。これらについて以下に詳しく解説していきますので、不動産の生前贈与を検討する際には、これらの費用も含めてシミュレーションすることが大切です。

    不動産取得税

    不動産取得税とは、土地や家屋等の不動産を取得した際に、不動産を取得できるという取得者の資金力に着目して課税される税金で、不動産所在地の都道府県に納めるものです。有償であるか無償であるかという点や、登記の有無にかかわらず、課税の対象となります。

    不動産を購入したり贈与を受けたりした時だけでなく、新たに建物を建てた時も課税の対象になりますが、相続による取得等課税の対象とならないケースもあります。

    贈与によって不動産を取得した場合には、「相続時精算課税制度」や「夫婦間における居住用不動産の贈与の特例」を利用した時にも不動産取得税がかかることに注意してください。

    不動産取得税の標準税率は原則4%ですが、住宅と土地は特例により令和6年3月31日まで3%となっており、固定資産課税台帳に登録された固定資産の評価額を基に計算されます。

    不動産取得税 = 固定資産評価額 × 3%

     
    (固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書の中に添付されている「課税明細書」に記載されています。)

    また、一定の要件を満たした住宅や住宅用の土地には、不動産取得税が軽減される制度もありますので、興味がある人は調べてみるとよいでしょう。

    参考:埼玉県 – 住宅又は住宅用土地を取得したときの不動産取得税の軽減制度について

    不動産取得税は相続によって不動産を譲り渡す際にはかからない税金ですので、生前贈与を検討する際には、どの程度の影響があるのかについてメリットとの比較が大切となります。

    登録免許税

    土地や建物を取得した際に自分に所有権があることを対外的に主張するためには、法務局で登記という手続きを行うことが必要になります。その際に国に対して治める税金が登録免許税です。

    それぞれ固定資産評価額を基に算定され、相続を原因とする登録免許税は0.4%ですが、贈与の場合には登録免許税は2%となります。

    登録免許税=固定資産評価額×2%(贈与の場合)

     
    また、相続を原因とする登録免許税には、免税措置の対象となる場合もあります。

    参考:法務局 – 相続登記の登録免許税の免税措置について

    不動産取得税とは異なり原則としては相続の場合にも課税される税金ではありますが、税率が異なるので注意が必要です。

    ちなみに、この登録免許税は贈与する側と贈与を受ける側で連帯して納付すべきとされているので、どちらが支払ってもよいとされています。

    贈与税

    不動産を生前贈与するときには、上記のほかに贈与税もかかります。贈与税とは、贈与によって個人から財産を取得する際に納めなくてはならない税金です。1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額が基礎控除の額(110万円)を超える場合には、税務署へ納税しなくてはなりません。

    この際の贈与税の税率は、一般税率と特例税率の2種類に分かれています。特例税率は一般税率よりも税率が低くなりますが、特例税率の適用対象になるには

  • 両親や祖父母等、直系尊属からの贈与
  • 贈与された年の1月1日時点で、18歳以上の者が受けた贈与(令和4年3月31日以前に贈与された場合:20歳以上)
  •  
    という要件を満たさなくてはなりません。それ以外のケースでは一般税率が適用されます。

    【一般税率】

    【特例税率】

    以下に、1,000万円の不動産を贈与した場合の贈与税を計算してみましょう。

    【1,000万円の不動産を贈与した場合の贈与税の計算例】

    特例税率のケース:(1,000万円-110万円)×30%-90万円=177万円
    一般税率のケース:(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円

     
    特例税率と一般税率では、納税額は54万円も差が出ることになります。詳しくは、以下の国税庁のサイトを参考にしてください。

    参考:国税庁 – No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

    手数料(専門家へ依頼する場合)

    不動産の生前贈与に関する手続きは、自分で行うことも可能です。しかし、書類の作成や必要な資料の添付など、時間と手間がかかり、慣れない作業に戸惑うケースもあるでしょう。そういった場合には専門家へ依頼すると安心ですが、専門家へ依頼するには手数料がかかります。

    専門家への依頼先は、内容によって、

  • 贈与の対象となる不動産の登記名義の変更に関する手続き → 司法書士へ
  • 贈与税の税務署への申告手続きに関すること → 税理士へ
  •  
    となります。

    支払う手数料は対象不動産の価格や依頼する手続きの内容によって異なりますが、1件につき5万円~10万円前後が相場となっています。

    不動産を生前贈与するうえで気を付けたいポイント

    最後に、不動産を生前贈与するうえで気を付けたいポイントについて解説します。

    相続開始前3年以内の贈与だと「相続財産として加算」に

    繰り返しとなりますが、相続開始前3年以内の贈与だと「相続財産として加算」されます。ですから、生前贈与を検討するのであればできるだけ早い時点から行うことが賢明といえるでしょう。

    相続税の特例が対象になる不動産だと、逆に税金が高くなる場合も

    小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減等、相続税にも各種の特例が設けられています。それらの適用対象となるかはそれぞれの状況によって変わってきますが、相続税の特例を利用できるケースでは、生前贈与を利用すると条件によっては逆に税金が高くなる場合もあります。個別の事情に基づいて慎重に判断する必要があるでしょう。

    定期贈与とみなされて、一括課税される可能性がある

    暦年贈与の制度を利用して110万円以内の範囲内で毎年一定額を贈与し続けた場合、これが定期贈与とみなされてしまうと、全体をひとつの贈与として扱われ、一括課税される可能性があります。このリスクを避けるには、毎年贈与の度に贈与契約書を作成し、定期贈与ではないという証拠を残しておくことが大切だと考えられます。

    不動産を生前贈与するかどうかは相続税と比較して決めよう

    生前贈与も相続も、それぞれの条件によって有利な特例が利用できるケースが異なりますので、一概にどちらがベストであるかは判断できません。どのような制度が使えるかという点や、不動産を譲り渡す目的に応じて、それぞれの状況で最適な方法を見つけていくことが大切です。

    なお、税金に関する法律は頻繁に改正が行われていますので、不動産の贈与を検討するのであれば、最新の情報を入手して判断することをおすすめします。

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